ENGINE


グライダーと飛行機の差は 動力装置の有無です
まあ モグラのような 変な滑空機もありますが・・・・・・
モグラは飛行機なのかな・・・

まあどちらにしても 今回は エンジンのお話です

エンジンは 大きく分けて レシプロとジェットがあります
レシプロは良く知りませんので ジェットエンジンのお話です

航空機用 ジェットエンジンは 現在ほとんどが ファンジェットになっています
ヘリは違いますが・・・

今飛んでいる飛行機で 純粋なターボジェットエンジンを搭載しているのは 全体の10%程度でしょう
まあターボジェットもファンジェットも 同じ様なものですから 特に区別をせずに お話を進めます
また 原理や構造は 専門家の方が 沢山おられるので
そちらに お譲りして 主に 運用者から見た エンジンです



1 エンジンスタート

キーを入れて回せば かかる これは車です
飛行機の場合は それほど簡単ではありません

通常は 何らかの方法で エンジンを回転させます
戦闘機の場合は だいたい エンジンを20〜30%程度まで 加速させる必要があります
この加速には JFS ジェット フュエル スターター なる 小型のジェットエンジンを使いますが 
1世代前の 戦闘機は JFS 積んでませんので 地上機材を使用して エンジンスタートします

地上機材のスターターも ジェットエンジンです
これから排出される 高圧空気を 機体に送って エンジンを回します

また 外部電源で 機内のスターターモーターを回す 飛行機もあります
特異な物としては F−4の様に 火薬の圧力で エンジンを回す物もあります

まあ いずれにしても 飛行機のエンジンは 自分ではスタートできません

ちなみに 飛行中は 車の押し掛け みたいな 方法で エンジンのスタートができます

それでは 実際のスタート手順です

(1) F−15  


  これで エンジンスタート終了 約1分
  次に逆側をかけます
  まあ 簡単な操作ですが この間に いろいな計器をチェックしなくてはいけないので
  それほど暇ではありません

 ちなみに スタート時に スロットルが どこの位置にあっても 正常にスタートできます
 また 何%で スロットルを進めても 正常スタートします


(2) F−2


 これで終了 F−2は1本しかエンジンがありませんので これで全て終了です
 スロットルを出すのを忘れていると 30%ぐらいまで JFSで加速されますが
 あまり長い時間 そのままにしておくと JFSが焼き付きます 


(3) F−1/T−2

 複雑な様ですが 簡単に言えば 

  1. エアー送れ
  2. ライトがついたら スロットルIDLE
  3. ライトが消えたら エアーオフ!

  簡単でしょう・・・ でも 一番気を使います
  あと F−1/T−2だけは 左エンジンから 通常スタートします
  他の飛行機は 右エンジンからです 


(4) F−4

 きわめてF−1と似ていますが 違いは スロットルをIDLEに出すときに IDLE位置よりも ちょっと前まで スロットルを進めて
 それから IDLE位置に下げることです これによってスロットルリンケージ内の ヒスを消します
 これをF−1でやると エンジンが溶けます

(5) T−4

 きわめて簡単 さすが 練習機! これを2回やれば スタート完了です



まあ 大体 他の飛行機も 似たり寄ったりで
エンジンを回して 火花を飛ばして 燃料を流す これで スタート完了です
あとは どの程度 自動になっているかです



2 タクシー

タクシーは タイヤ内に入っている 小さなモーターで するのではありません
あくまでも 自分のエンジンでやります

通常 停止から動き始めるまでは 僅かに パワーは必要です
どの飛行機も 数%くわえるだけで 動き始めます

動き始めたならば IDLEで十分です
まあ 爆弾をたくさん積んでいるとか 上り坂とかの場合は それなりのパワーが必要です



3 エンジンチェック

戦闘機は通常 離陸前に 停止してエンジンチェックをします
民間機の場合は 離陸滑走中にやります

先ず 滑走路に アラインして その飛行機に 指示されている チェックをします
出来れば最大パワーまで チェックしたいのですが

最近の飛行機は エンジンパワーが強いので
停止状態では このチェックができません

どんなにブレーキを踏んでいても
ブレーキ圧よりも 推力が大きかったり
ブレーキは利いていても タイヤが滑り出したりしてしまいます

要するに エンジンチェックの間に 止まっていられないのです
これは 最大パワーといっても MILまでで
A/Bのチェックは当然できません

通常エンジンチェックは スロットルを 急激に出します
これによって 燃料コントロールの状況を判断します

ターボジェットエンジンの場合は かなり応答性が良くて
数秒で MILまで加速しますが

ファンジェットの場合は 安定するまで 1分ほどかかってしまいます
その上 その日の 外気環境で 回転数や排気温度が異なりますので
何%で何度であれば エンジンが正常なのかは そうとう勉強していないと 分かりません
ですから 両方のエンジンの値が 概ね一緒だったら OKでしょう・・・

1本しか エンジンが無い場合は 比べようがありませんので
まあ 振動や異音が無ければ 良いんじゃないんでしょうか・・・

2本のエンジンの飛行機が 2機で滑走路にアラインシした場合
F−15が滑走路に 2機入った場合です
通常は 左エンジンから チェックしますが(F−15はエンジンチェックしなくても良いんですが・・)
センスのあるパイロットなら
自分が 他機より左側にいたら 右エンジンから チェックします
そうすれば もしブレーキが おかしくても 他機にぶつかることはありません

ちなみに
F−15なら 両エンジン 80%
F−4なら 両エンジン 85%
F−2なら 90%
まで ブレーキで止まれることが 保証されています


4 離陸



エンジンを 指示されている回転数に安定させます
ブレーキを離して
スロットルを MIL位置まで進めます

エンジンが安定するまで 数秒
rpmとFTIT(EGT ITT)と ノズル位置を確認します
このころには すでに 時速100kmぐらいになっています

エンジンの安定と正常を確認したら
アフターバーナーに点火します

アフターバーナーは エンジン排気ガスの中に さらに燃料を流して
推力を5割ほど増加させるのですが
燃料は2倍流れてしまいます

アフターバーナーの着火は どの飛行機も ノズルで確認します
正常着火した場合は ノズルが徐々に開いてきます
着火に失敗すると ノズルが閉じてしまいます

まあ このほかに 「ドカン」という 急激な加速体感で分かりますが・・・

正常着火した アフターバーナーは 急激に飛行機を加速します
完全着火を ゆっくり確認していたら 滑走路から出てしまいます
多分 3kmの滑走路をはみ出るまでには 40秒ほどで良いでしょう

通常 戦闘機の離陸は 15〜20秒で完了します


編隊離陸の場合
F−4は エンジン回転数で リーダーとウイングマンの パワーの整合を取っていましたが
F−15のような ファンエンジンでは 回転数が同じでも 同じ推力とは限りません
ですから 燃料流量や 排気温度で パワーを会わせます

F−4なら「パワー 98」って言って
F−15なら「パワー 920」って言います


5 上昇



クリーンで アフターバーナー使用して 離陸 上昇は 
ほとんど ロケットです
F−15 F−2は 推力の方が 自重より大きいので
理論的には 垂直に上がれます

それなのに 水平加速すると
滑走路エンドで 音速が出てしまいます

まあ 無難な上昇は ピッチ角を 45〜60度にして
加速しながら 上昇するのが良いでしょう

上昇するに従って 推力も減少しますので
アフターバーナー炊いてるままでも
30000feetぐらいになれば 姿勢角20度ぐらいになって
レベルオフが 簡単にできます

それ以前では アフターバーナー炊いたままで レベルオフしようとすると
5000feetぐらい手前で ハーフロールを打って 背面にして
飛行機の機首を 2Gぐらいで引っ張って 背面水平飛行にして
またハーフロールを打って 通常の水平飛行に戻します


6 水平 巡航 飛行



F−15やF−2の場合は
40000feetMILで 音速を超えてしまいます
MILのまま よそ見をしていると
高度計が ビクンビクン 動くので 分かります

しかし 40000feet mach 1.0と言っても
計器速度は 280kts ぐらいなので
大きな機動は出来ません
60度バンク取ったら 失速です


7 降下



飛行機は 上昇よりも降下の方が 時間がかかります
垂直に降りれば 早いのですが
これだと 地面に激突してしまいます
ちなみに エンジンIDLEで 真下を向いても
簡単に 音速が出てしまいますので

いくら高度があっても
ちょっと下を向いている時間が長いと
地上に突き刺さります

このため いくら戦闘機でも 適当な降下率を作って 降下します
この場合 通常はIDLEです

戦闘機のエンジンは どんな状況でもサージしないようになっていますので
IDLE回転数も かなり高く設定してあります
特に ファンエンジンは IDLEでも70%ぐらいあって
かなりの推力を持っています

このため 通常は スピードブレーキを使って 降下します
民間機が 翼の上のスポイラーを出して降下するのと同じです



8 着陸



飛行機は 出来るだけ抵抗を減らそうと 努力しながら飛んでいます
しかし 着陸の時は 違うのです
特に ジェットエンジンの飛行機は 出来るだけ抵抗を増やして 着陸します

ジェットエンジンの最大の欠点は その加速です
IDLEから MILまで 数十秒必要です
このため アプローチ中にIDLE近くまで 絞っていると
いざというときに 加速できません

ゴーアラウンドしようとしても
パワーがつぃて来ません

ですから 着陸には スピードブレーキを出して
その分 大きなパワーを使って 降りてきます

通常 どの飛行機も80〜90%程度のパワーを残してきます
そうすれば いざというときに 直ぐにパワーがつぃて来ます

ここが プロペラ機と 大きく違うところです


9 エンジン停止



エンジンの停止は 簡単です
どの飛行機も スロットルを CUT OFF 位置にすればいいのです

ただし 上空で 間違ってCUT出来ないように
何らかの 複合動作が必要となっていますので
これをやって CUTします