AOA indicator


AOA :ANGLE of ATTACK
飛行機の 迎え角です
もっと 正確に言うと 主翼に 当たる 風の 角度です

理論的に考えると これで その飛行機の 性能や特性が 決まります


AOA計は 最近の戦闘機には 必ず付いています
民間機にも 最近では 装備される場合もあります
しかし 民間機の場合は 使用される 迎え角範囲が 狭いので 
それほど重要な要素では 無いかも知れません

しかし 戦闘機の場合は 迎え角にして ー10度〜+20度ぐらいまでは 平気で使用しますので
迎え角が 重要なファクターになります


通常 迎え角計は 操縦席の 左上に あります
計器板の 左側は 速度関係の 計器となっていますので
AOA計も どちらかと言えば 速度関係の 計器になりますので ここに 配置されているのでしょう

飛行機の性能は 揚力係数と抵抗係数によって 決定されます
この 揚力係数と抵抗係数は 迎え角 αの 関数として表現されます
だから 飛行機は αに よって 決まってしまうとも言えます

一番 揚力係数が 高いところ CLmaxが 失速点で
この 迎え角が 失速迎え角です

これは 速度に関係なく この迎え角で 飛行機が失速する事を意味します
通常失速というと 1G失速を考えてしまうので
どうしても 速度を意味しているように 感じますが
本当は 迎え角で 失速は 定義されます

ですから どんな速度で 飛んでいても この迎え角にすると 飛行機は コントロールを失います
ある飛行機では 430ktsで 6gかけると ちょうど 失速迎え角に なります
そして これ以上 引っ張ると 迎え角が CLmaxを 越えて 430ktsでも 失速します
でも このぎりぎりの 所が 最大揚力を出すので
機動性能は 良くなります
また 6gをかけたまま 増速すると 今度は 揚力係数が減少して
効率の 良い 機動はできません

そこで 今度は 迎え角を 一定にして 旋回します
すると 常に 最大の 揚力係数で 旋回する事が できます
この場合 速度が減ると 今度は 旋回率が 減りますので
これまた 適当では ありません

よって 戦闘機の場合は
一番効率の 良い旋回をするために
たとえば 迎え角 15度にして CASを 400kts にして 旋回するのが 
理想的と 言う 方法が あみ出されました
こうすると 理論的には 誰よりも 早く敵の後ろに入れることになります


今までの飛行機は
速度が 大きな ファクターでした
離陸も 着陸も 巡航も 上昇も 降下も すべて 速度基準でした

しかし 迎え角計が あると もっと便利です
速度は 飛行機の 重さによって 最適速度は変化しますが
迎え角は 変化しません

そこで 今のパイロットは 
極端な事を 言えば 着陸速度を知らなくても 良いのです
着陸用迎え角を知っているだけで 良いのです
自重も 必要ありません

その迎え角にすれば 昔の 最適速度に自動的になるのです
多くの戦闘機は 迎え角を 音に変えて パイロットに知らせます
ですから 着陸時や 戦闘時に 計器を見る必要が無いのです
音を 聞くことによって 迎え角が 分かるので
外を見たままで 飛行機が コントロールできるのです

そのうち 速度計は その座を AOA計に 奪われるかもしれません