あとがき

1997年は、香港返還、第15回共産党大会、日中 国交回復25周年、と中国が 熱かった。

今、伸びている国と言われている中国を自分の目で実際に確かめたかった。1 2億人という、世界人口の5分の1が住む国のパワーがどれほどかを見たかった 。それがこの旅に出た理由でもあった。

今までの旅とは異なり、一国だけに絞ってゆったりと旅をしたかった。しかし 、現実はそんなにうまくは行かない。中国という国はスケールがでかすぎる。た かだか24日間で周れる国ではないと痛感した。刺激がつきることはなかった。 短期間しかいなかったにも関わらず、偉そうに感想を述べさせてもらう。

上海の街は、地震の後のようになっており、急ピッチでインフラの整備が行わ れていた。しかし、それ以外はこの国が伸びているとは感じられなかった。それ は中国人に問題があったように思われる。中国人は一人一人がパワーを持ってい ても、集団となると力を発揮しないように感じた。そして日本人と比べて、中国 人は働こうとしない、他人のことを考えようとしない。日本が敗戦国でありなが ら、中国と比べて何故、圧倒的経済格差をつけたのか。一つには、資本主義と社 会主義という体制の違いがあげられる。でもそれだけではなくて、私は日本と中 国の国民性の違いにある、と感じた。中国は今の段階では日本に水をあけられて いる。あくまでも長い歴史の中の「一時点」ではあるが。

現在、中国は資本主義が浸透し始め、動揺している。なかなか一つにまとまる ことが出来ないでいる。広すぎる国土、多すぎる人口・民族。しかし、しかし、 この国が一つの方向に向かったら、中国という眠れる獅子が目覚めたら、世界を 主導する国にもなり得るのだ。歴史は繰り返す。世界の中心の国、中国。まだま だ先のことになりそうだが、これからの10年間の中国の伸びで先を読むという 楽しみが出来た。中国は莫大な市場を持っている。中国人民の一人一人が、それ ぞれもう1枚服を買おうと思ったら、もう一切れ肉を食べたいと思ったら、どう なるか。個人が一つのモノを持つだけで世界の市場を動かせる国なのだ。

そして、我らが日本の隣国として、歴史上、数多くの交流があった国、日本の 文化の源流を持った国でもある。中国と日本が、広い視野で互いに認め合ってい く国同士になってもらいたい。そして、そうしていくのが、これからの私たちの 世代である。




     
まえがきへ
     
北京へ
       
ホームへ