外来魚拡大はやはり混入からか?

02/12/04


 以前、新潟県の外来魚はアユなどの放流に随伴して増えたのではないか?と書きました。
 実際、わが県にしても毎年大量の琵琶湖産コアユを放流しています。

 また、ヘラブナなどに関しても琵琶湖で取れた稚魚を放流しているそうです。
 オイカワやハス、ゼゼラ、ビワヒガイ、ギギなど琵琶湖産の淡水魚は以前から県内に定着していることから、混入は当然と考えるのが自然です。
 しかし、多くの水産業者やバスの駆除派は否定しています。
 確かに状況証拠だけですが、それを言えばバスの釣り人密放流のみという主張も状況証拠だけですね。

 最近、琵琶湖のリリース禁止条例が問題になっています。
 この中で、賛成派、反対派から様々な意見が出てきていますが、そのやり取りの中でいろんなことが明らかになってきました。
 2万通を超える反対意見に根拠を示して反論するために、漁業関係者等から出てきた意見は逆に我々に様々なデータを与えたといってよいのではないでしょうか。
 なお、今回のこれらの意見はゼゼラ氏のHPでDB化されています。
 氏の琵琶湖問題に関する意見をひたすらまとめていくという作業は地味ですが非常に価値の有る仕事であると思います。
 これらの情報を元に、新潟県内の外来魚移入問題を新たに考えてみました。

やはり琵琶湖からの移入
 次の文章は、平成14年9月13日に滋賀県琵琶湖環境部あてに京都府内水面漁場管理委員会会長、国土交通省・淀川水系流域委員会委員を歴任している倉田亨 近畿大学名誉教授が条例について支援する意図で送った文章です。
 

 冠省、過般から審議されております貴県の「琵琶湖レジャー利用適正化条例案」に重大な関心を抱いて注視して参りました。
 それは、京都府下の内水面漁業ではアユ種苗を琵琶湖産種苗に依存することを図ってまいりましたが、この度、外来種種苗(稚仔)がアユ種苗に混入していることを拙生自ら確認し、選別強化の必要を感じ乍ら限度があり心を痛めておりましたからです。一人京都府下のみならず、アユ種苗を滋賀県に依存する各府県の内水面漁業の継続にとって琵琶湖の外来魚駆除努力の如何が極めて大きく影響することをご配慮願い度い想いを一段と強めておりましたからに外なりません。
 ところが、今般の条例案に対して、外来魚レリース(注:原文のまま)を求める2万通に及ぶ意見が寄せられましたことを聴くに及び、組織的なレリース要求意見が殺到したものであり、広汎な一般意見であると誤解されぬよう強く求め度く存ずるに至りました。内水面遊漁漁業の全国1,323万人(平成10年度漁業センサスによる)の内の0.0015%の方々のレリース要求であって、極めて特異な僅少の要求でしかございません。2万人のレリース要求が10倍の潜在要求があったとしても、遊漁者の0.015%にしかならぬことを斟酌して頂き、レリース禁止の英断を基礎に外来魚駆除努力に踏み出していただくことを切に念じております。本年8月6日、水産庁長官の各都道府県知事への「漁場計画樹立について」の通達の中においても(第五種協同漁業権に関する指示8項目の中で)、「水産資源の保護培養及び漁業被害の防止を図る観点から、外来魚の生息数の減少及び生息域の拡大の防止を図る必要がある。云々」と述べられており、ブラックバス・ブルーギル等の外来魚駆除への全国的取り組みの機運が高まっておりますことを重く受け止めていただけることを切望いたしております。
以上。
 


 この文章の赤文字の部分で

「湖産アユへの外来魚の混入を漁場管理委員会会長自ら確認していたが選別に限度があるとして放置していた」という事実

が浮かび上がりました。
 湖産アユは京都でもそして新潟でも利用していますから同じことが新潟で起きていることは明確です。
 新潟の水産業者がこれを否定するならばそれは単に「混入している事実を把握していなかった」という事でしかありません。

 なお、倉田教授の文章の後半の2万件以上の反対のパブリックコメントが組織票だったというのは根拠のない誹謗中傷になります。
 実際、ここまで組織票ができるならバス擁護派は苦労しません。
 むしろ、パブリックコメントの募集閉め切りの設定は組織票が出来にくいようにバス関係のメディア(月刊誌)の発行と意図的にずらして行ったようにも見えます。
 (募集開始は入稿日の直後、メディアの取り組みは1月遅れ、次の号に記事を載せた時点で募集期間はほぼ終わるように設定されていた。実際、意見を送ったのはインターネットで情報を収集したり、関係者とコネクションの有る釣り人だけだったと思われます。)

諏訪湖のワカサギも
 2002年8月3日土曜日、長野県主催の「外来魚問題公開討論会」が諏訪市文化センターホールにて開催され、長野県の各漁業組合関係者、バサーなど県民約300人ほどが集まりました。
 討論会の模様はfB'sのHPによって報告されています。
 この中で諏訪湖のワカサギへの混入が問題になりました。
 1999年に諏訪湖ではワカサギの近親交配が問題となリ、新たな遺伝子を入れると言うことで琵琶湖から150kgのワカサギ稚魚を移入したことが取り上げられました。
 この移入と前後して大量のバスが諏訪湖に出現したとのことです。
 地元長野の日釣振の代表からこのワカサギに混入があったことを裏付ける状況証拠が次々とあげられました。
 漁業関係者は当然否定していますが、状況から見てあまりに不自然な状況では?

河川以外での混入
「そんなことを言っても到底アユなんて放流しそうもない溜池、ダムまでバスやギルはいるじゃないか!」
 という意見もよく聞かれます。
 当然、そのなかにはバサーによる放流も無かったとは思いません。
 しかし、アユ以外の魚種の放流に混入していたという考えもあるのではないでしょうか?
 このようなところでの放流魚種はフナ類、コイ類が考えられます。

 やはり、これらの溜池、ダムにも関西圏の魚種が混じっています。
 私の実家の前の用水路にもタイリクバラタナゴがいてびっくりしました。
 実家の近所は海が近いので内水面の釣りは盛んでなく、魚種の放流もほとんど聞かないのですから。
 しかし、新潟県の場合は吉田幸二さんの罵州雑言で取り上げられた「ブラックバスがメダカを食う前に」というコラムの一文でこの謎は解けます。


 昭和31年から36年に俳優の山村聡の釣り具店の店員だった増田逸魚氏は、昭和44年の著作「四季のヘラブナ釣り」で、
「新潟県下の水のあるところは、魚でいっぱいにしろとの知事のバックアップで、一反歩以上の池沼には、総べてヘラブナが放流されて心からうれしく思い、東京近郊の千葉、茨城、埼玉もこれを見習ってくれたらと思う」と著わしている。




 つまり、政策的にかなりマイナーなところまでフナの放流が行われたと言うことです
 また、高度経済成長期以前の農村では動物性たんぱく質の補給と、田んぼの水を動かし、稲の成育によいと言うことで田植後の水田にフナやコイの稚魚を放流していたそうです。
 これも「関西方面の業者」がシーズンになると売りに来ていたとのことでした。
 実家の用水路のタイリクバラタナゴはこれに混じって入ってきたのでしょう。
 バスが琵琶湖で問題になった1970年代には実家の周りではこのような放流は行わなくなっていましたから、実家の周りには琵琶湖の固有種や昔入ってきたカムルチー、タイリクバラタナゴは多くいますが、バスやギルは全く生息していません。
 昔放流があって最近途絶えてることの現われですね。

 しかし、
 「うちの漁協ではフナやコイの放流をしてるが、養殖した人工種苗だ」
と反論する人もあるかもしれません。
 岩手県のリリース禁止前の議論でもフナコイへの混入が話題に上っていますが、
「放流魚は、5〜6年前から養魚場から買っており、バスが混じることはない。」
 とのコメントになっています。
 そもそも、じゃあ、5〜6年前は養殖場じゃなかったんだ?と言う問題も出てきましたが、まあ、趣旨としては人工種苗なら大丈夫と言う主張です。
 確かに人工種苗なら受精卵から孵化させて専用の池や水槽で飼育するので、他魚種が混入することは通常有り得ないように思えます。

 でも、本当にそう言いきれるでしょうか?
 養殖池や水槽への導水は通常近くの河川や湖から行っています。
 トラウト関係なら湧水や井戸ということも有りますが。
 この導水の中に稚魚や仔魚が混入することは十分考えられます。

 最近、ヨーロッパや中国で日本産モツゴの繁殖が問題になっているそうです。
 モツゴは特に水産上重要な種ではなく、愛好家がいるわけではないですから好き好んで日本から輸入・放流することは考えにくいです。
 やはり、河川などから入った仔魚が養殖魚の移入に伴って移動したと考えるのが自然だと思います。
 日本からは欧米へは観賞用、アジアの国々へは食用などの目的でコイ、金魚が輸出されていますし、かの北朝鮮へも村松のコイが行ってるとのことです。
 人工繁殖の魚でもその地域の水を取っている限り混入は避けられないことをコイとモツゴの関係は証明しています。

 漁協に聞いたところ、もともと内水面漁協の放流しているマブナ(ギンブナ)はヘラブナの養殖池にこのような経路で混じったものをより分けて使ってるだけとのことです。
 人工養殖といってもその程度の精度なので純粋にその魚種のみの種苗放流であるかどうかは怪しいのです。
 それどころかインターネットで淡水魚養殖技術のページなどを見るとフナと一緒に、ヌマエビやタモロコなど他魚種を混ぜて育てると生育がよいしているサイトもあります。

 問題のフナの養殖に関してはグラフのとおり大阪府に養殖業者が多くあります。


 大阪といえば国土交通省の水辺の国勢調査によると淀川水系は外来種の生息数が日本一だそうです。
 淀川水系でなくても関西の河川湖沼はほとんどバスやブルーギルが入っていますのでその流域で養殖をしている限り混入は避けられないことでしょう。
 また、2番目香川県もバスが古くから入っています。
 野池バスの盛んなところですからね。

琵琶湖の外来魚の起源
 我が県の外来魚の元が琵琶湖など関西圏としても、意図的に混入したんじゃない。
 琵琶湖に外来魚を放流したバサーがやはり悪いという人も居るでしょう。
 しかし、先の琵琶湖のリリース禁止問題でブルーギルは1968年イケチョウガイの増殖研究のため西の湖へ「滋賀県水産試験場」により放されたものが琵琶湖全域に広がったということが明らかになりました。
 http://www.geocities.co.jp/Berkeley-Labo/3397/offline/2000_1/200001bluegill.html

 また、バスに関しても水産試験場の関与が噂されています。
 バスが琵琶湖で初めて発見されたのは彦根ですがここには同水産試験場が有ります。
 この頃、水産資源としての研究のためバスが同水産試験場に送られていたのは偶然だろうか・・・?という疑惑が以前からありました。
 リリ禁ネットにこれを問題にしていた京都大学の資料が載ってましたね。
 琵琶湖総合開発による資源の減少を補うために新魚種の導入を盛んに研究していたそうです。
 その中にはブルーギル、バスのほかにぺへレイやラッドも含まれるそうです。
Rudd:ラッド ヨーロッパ産のコイ科淡水魚
 ラッドは新潟県の信濃川水系でも見つかってます。
 ヨーロッパ原産のコイ科の淡水魚ですが、これってますますバサー以外の誰かが外国産の魚をどんどん琵琶湖に入れてる証拠だと思うんですけど。
 実はこのラッドこそブルーギルの次に淡水真珠の増殖研究の対象となった魚なのです。


 私自身も子供の頃からバスが釣りたい!と思っていましたが、積極的に放流する気は有りませんでした。
 しかし、オイカワやタモロコなどほとんどの魚種が移植の随伴によって地元で見られるようになっている事実を見て、子供ながらに
「いつかはバスもこの辺で釣れる様になるだろう」
と思っていました。
 実際、琵琶湖への移入があってからはあっという間にそのようになりましたが。
 
これを期に理性的な話し合いを
 県内の外来種の移植者はバサー!と言い切るには非常に怪しい状況が分かってもらえると思います。
 私は先にも述べてるように決して、バサーによる移植は無かったと言っているわけでは無いのです。
 ただ、バサーを加害者、漁業関係者や環境保護派が被害者という定義の基になっている「バサーによる闇放流」という定説、それに伴う害魚論を良く見て考えて欲しいと思っています。
 加害者と被害者の二元論で感情的な対立となっている今のバス問題からは解決の糸口すら見えません。
 バス害魚論はバスとバサーを無条件に「悪」、「害」としているところに重大な誤りがあります。

 先日、内水面漁連の某方と話す機会がありましたが、
「バス以外の魚はどうなってもいいと思ってるんだろう。」
 と私のことを決め付けていました。
 彼との話の中ではそのようなことを一言も言ってませんし、実際、バス以外の魚も大好きなのですが・・・思わず笑うしかないですね。
 このようにバス害魚論者の理論にはバス関係者やバスは『悪』でなければいけない、という前提があるのでしょう。
 間違った認識を元に組み立てていった理論構成は滑稽です。
 あくまで彼らの頭の中でのストーリーですので、理論的には破綻するでしょう。
 しかし、被害者と加害者という図式がある場合、感情的な面が先に立ちどうしても間違いを認めることができず、泥沼に落ちて行きます。
 バスの移植問題では加害者と被害者というのは単純では無いという認識が無ければいつまでたっても理性的な議論はできないのです。

 最後に、新潟県内でも『こんなところにブラックバスなんてとんでもない』と言われている2箇所のブラックバスの起源に関する噂話を。
 どっちも結果的にバサーはほとんど行ってない湖ですからバサー以外の仕業と言うのも説得力があります。
 害魚論者の皆さん、なるほどなと思ったらゲリラ放流の可能性以外も検討してくださるようお願いします。

噂1)F潟では天然記念物のオニバスの芽をアメリカザリガニの食害から守るため環境保護の団体が移植した。

噂2)OダムのG湖ではかつて大型イワナの釣り人で賑わったがキャッチアンドリリースが定着していないため資源量が減った。
禁漁期も長く若者の人気も低下したトローリングやムーチング主体のトラウトでは観光収入、入漁量収入が望めないため、トラウトに見切りをつけた何者かがバスの導入を独断で行った。
池原ダムや河口湖のようにバスの容認が結果的にできるようになるのではと考えたらしい。