国会でもバス論議

02/05/01


 先日、さるスジから国会でバス問題が取り上げられたという情報が流れて来ました。
  どうせ次のような害魚論かぶれの議員が騒いでたんだろうと思いながらも、一応衆議院のHPで検索してみました。
 (この検索はYahoo!とか使ったことある人なら簡単に使えますので、ぜひいろんな審議を読んでみるといいですよ)
 

(例)会議録 第xxx回国会 農林水産委員会 第xx号(200x/xx/xx)

某議員の発言例です・・・

 それともう一つ、環境省の方で、在来種に対して外国種の生物がダメージを与えているということが伝えられて、それの絶滅をしようというようなことで環境省は努力をするということになったら、何か水産庁は、ブラックバスについて環境省の方針とはちょっと違って、ブラックバスの駆除については非常に生ぬるい決定をしているような話を聞いているんですが。
 皆さん、
ブラックバスなんというのは本当に嫌なやつですよ、あれは。うちの方の沼にもそれが入り込んで非常に迷惑しています。フナだ、コイだ、ドジョウだ、ウナギだ、ただ、コイだけはブラックバスに負けないらしいんだね。ただ、生態系全体が変わってくると、これはコイにとってもいろいろ不利な状況が出てくるだろうとも思っているんですがね。ブラックバスなんというのはこれはやはり駆除の方針でいってもらいたい。そして、少なくとも釣ったらまた放すな、釣ったらもう持って帰って自分の責任で、結局あれだってうまく料理すればうまい魚なんだから。ですから、そこらのところはちゃんと対処してもらいたいと思いますが、どう思いますか。

 そうすると、第154回国会 環境委員会 第3号(2002/03/12)のなかで該当の部分が見つかりました。
 自由党の東祥三議員が環境大臣にバスの扱いについて質問しています。
 かなり長いですが、まず読んでみてください。

会議録 第154回国会 環境委員会 第3号(2002/03/12)

 第3号 平成14年3月12日(火曜日) 平成十四年三月十二日(火曜日)  午前九時十分開議

出席委員  委員長大石正光君  理事熊谷市雄君 理事西野あきら君 理事柳本卓治君 理事山本公一君
理事奥田建君 理事牧義夫君

○東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 大木大臣、山下副大臣、そしてまた奥谷政務官初め環境省の皆さんに四十分間質問をさせていただきますが、本日はブラックバスの問題について四十分間質問をさせていただきたいというふうに思います。
 御案内のとおり、ブラックバス、これは本当に害の多い魚だ、こういう論がかまびすしく叫ばれています。本当なのかという視点から質問させていただきますが、御案内のとおり、ブラックバスは、言われていることを申し上げれば、北アメリカ生まれで凶暴な顔つき、まさに西部劇の悪役面、大食漢で、すんでいる魚を全部食べ尽くして絶滅させる、アシの根を枯らして環境を破壊する百害あって一利なしの害魚、こんなふうに言われているんです。本当にそうなのかという角度から質問させていただきたいと思っております。
 まず、山下副大臣、お伺いします。
 自然生物の多様性を守るための計画について国民から広く意見を伺う、難しい言葉が乱舞しているんですが、新生物多様性国家戦略パブリックコメント、これは三月中に取りまとめられると聞いております。国民からの意見の公募は昨日の十一日に締め切られたと聞いておりますけれども、この中の野生生物の保護管理、移入種、いわゆる外来種、僕の質問ではずっと移入種という言葉を使わせていただきますが、この問題については、まず、どのような意見が何件ほど寄せられているんでしょうか、また、その意見をどのように反映させるつもりなのか、この二点について山下副大臣から御答弁いただきたい。
○山下副大臣 生物多様性国家戦略の見直しの件でございますけれども、昨年の十月からスタートいたしまして、今もちょっと触れられましたけれども、この二月十五日に中間取りまとめを行いまして、二月十八日から昨日まで約三週間、パブリックコメントの募集を実施いたしました。
 きのう夜遅くまでかかってこれを担当の部局の方で整理していただいたわけですけれども、意見の数は、個人、団体から約九百件以上の意見を寄せていただいたわけでございます。中身は詳しく分析されておりません。里山の保全、自然再生、野生生物の保護管理、多岐にわたるさまざまな御意見をちょうだいしている。
 その中で、移入種またはブラックバスにかかわるもの、整理し切れておりませんけれども、急遽取り急ぎ整理いただいた中で、ブラックバスにかかわる御意見をちょうだいしたのが、九百件以上の中で約七百五十件と、非常に関心が高いということがわかったわけでございます。どういう中身の意見なのかということまで整理し切れておりませんけれども、非常に御関心が高いということはよくわかりました。
 どう反映させるのかということでございますけれども、昨日で意見が終わっておりますので、これを分類、整理いたしまして、中環審で御審議いただきまして、反映させる部分について反映させていただく、そして、今月末に地球環境保全閣僚会議で決定していきたい、こういう方向で今進められておるということでございます。
○東(祥)委員 山下副大臣、ありがとうございます。
 九百件のうち七百五十件がブラックバスの案件であった。今副大臣がおっしゃられるとおり、極めて関心の高いものであるということを大臣も認識していただけるんじゃないかと思うのですが、まず、一般論で大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
 侵入種といっても一概に同じではない。他のものを駆逐してしまう外来のものがあったり、あるいはまた、日本の自然環境の中で在来種の方がまさっているものもある。外来でも有用なもの等、さまざまだと思います。
 生物多様性に対する移入種への対応に関するパブリックコメント案の中には、定着している移入種のうち、影響が余りにも大きいのでそれを軽減させなくちゃいけない、そういう必要性があるものに関しての排除、管理といった点もうたわれておりますけれども、まさに個々別々の概念による柔軟な対応が必要だというふうに私は思います。
 大臣、移入種、外来種についてどのように大臣はとらえているのか、またどのように考えているのか、この点について御答弁いただきたいと思います。
○大木国務大臣 これは、環境大臣としてどう考えるかというほど、私もまだはっきりしたあれがないんです。と申しますのは、移入種といいましてもいろいろございます。今、東先生はこのブラックバスのことからスタートしてこういう御質問をしておられたのか、それとも一般論としてどうだ、こういうことか、ちょっとその辺のところはあれですけれども、移入種といいましてもいろいろな物によるわけであります。それは、動物、あるいは動物の中でも例えば水産物となるとちょっと違うわけでございます。
 ということは、結局、移入種が入ってきて別に非常に悪い害じゃないんだ、むしろプラスの面もあるんじゃないかということになると、どうやってすみ分けできるかということかと思うのですけれども、その辺のところ、私も正直申し上げまして、すみ分けができるもので、しかもそれをきちっと管理できるならば、それはひとつ、それぞれの移入種の、効用ということが言えるのかどうかわかりませんが、効用というものがあればそういうことを考えたらよかろう。
 ただ、どうもそれ以上のことを、大変申しわけないのですが、今の時点では申し上げられませんので、私のとりあえずの感じだけを申し上げました。
○東(祥)委員 大臣、率直にお話ししていただいて、ありがとうございます。
 私たちは環境省にしたんですから、環境庁のままであってもらっては困りますし、大臣であるがゆえに、こういういわゆる生物多様性の問題、日本の国内から見るならば外から入ってきたものに対して、一つの定見なりポリシーというのを持っていただかないと、環境省の職員の方々は、どういうふうに考えたらいいんだろうと。
 だから、そういう意味におきまして、今大臣は、有用なものあるいはまたすみ分けできるもの、そういうものがあるとするならばそういう形でもって考えていくという基本的なスタンスであるとするならば、それはそれとして一つよくわかることであります。
 私は、一九九二年、いわゆる有名な地球サミット、ブラジルにも参加させていただいております。また、そこで、マナウスという、御案内のとおり、あの大アマゾンの、極めて過去に栄え、今もいろいろな形でもってこの生物多様性の問題についても幅広く議論されているところにも伺わせていただいて、いわゆる生物種の保護については極めて重要な問題であって、あわせて、ここで御案内のいわゆるサステーナブルディベロプメントという、持続可能な開発というこの大テーマが持ち出されてきた。その後、環境問題、生物多様性も含め、気候温暖化の問題も含め、ここから今の環境問題がある意味で世界の大中心になっている。そういう脈絡の中で、ブラックバスといったら小さいかもわかりませんけれども、そういう全体の枠組みの中でとらえさせていただいているということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、日本では、外来種の、移入種の問題で、ブラックバスあるいはまたブルーギル等の外来種が、先ほど申し上げましたとおり、極悪のようにされているのではないのか。科学的根拠というのはあるのか。乏しいままであるにもかかわらず、大げさな表現を使わせていただければ、子羊を襲う外国からやってきたオオカミのように言われている。移入種は悪い、そういうふうにも言われているわけであります。
 では、身近な例で、これは魚ではありませんけれども、豚も牛も移入種であります。魚であるならば、コイも移入種であります。外来種であるわけですけれども、では、これは一体悪いのかどうなのか。悪いと言う人、今ではいないんじゃないでしょうか。狂牛病は害悪以外の何物でもありませんけれども、家畜としての牛というのは有用で、現代の国民生活に必要不可欠なものだ。国民生活、有用性、経済性、既に存在するものとの共存共栄、生物多様性の維持と総合的に考え対処すべきではないか、このように私は考えるのですが、まず基本的な考え方について、大臣、いかがお考えですか。大枠の問題だから、まず大臣に答えていただいて、細かいことはあと参考人でも構いませんので。一般論でいいです。
○大木国務大臣 先ほどもちょっと、むしろ私の方から御質問したような形になりましたけれども、ブラックバスのことについてあれなのか、それとも生物多様性の方で、そういった問題全体としてどういうふうに思うかということでございまして、生物の多様性、これは、最近もよくNHKなんかでいろいろな自然環境についての写真などを映していますね。そうすると、一種の共存共栄というのは成立しておりますけれども、しかし、局面的なところだけとらえれば、やはり弱肉強食みたいなところもあるわけでございますから、その辺のところが、例えば今の日本においていろいろなそういうことについてやった場合に、どこのものをどういうふうにやるかによっても非常に違うと私は思うのです。
 ですから、大変申しわけないのですけれども、さっきから一般論としてとおっしゃいますので、それはもうさっきも申し上げましたけれども、そういったきちっと整理できて、非常に有用なものを活用できるというようなことであれば結構でありますし、そうでないことについて、特に今のように、さらに先ほどの狂牛病のお話もありましたけれども、外から何か入ってくることについて日本国民も非常に神経質になっておりますので、そこのところは、やはりその辺を二つよく比較考量して政策を進めないと、なかなか理解がされないんじゃないかというふうに私は感じております。
○小林政府参考人 細かい点、私の方から少し御説明申し上げたいと思いますけれども、移入種の問題、これは一概にはなかなか言いにくい点があると思います。移入種、国外から持ち込まれたそういう種類の中には、他の種を捕食したり、それから生息場所を奪ったりしまして生態系を攪乱するおそれのある種もございますし、農林水産業に影響を与える種というのもあると思います。確かに、御指摘のとおり、それほど大きな影響を与えない種類というのももちろんあると思います。
 そしてまた、移入種が、例えば影響があるものが一たび国内に入ってきまして定着してしまいますと、開放系の中に入りますものですから、それを根絶するということはなかなか難しい問題というのがありまして、侵入を予防する、そういうことが効果的な方法であろう、こう思っています。
 ただ、既に侵入して定着してしまった種類につきまして、それに対して一律な対応というのは必ずしもあるわけではないというふうに私ども認識しております。どのような影響を及ぼすのか、そういった影響の種類とか程度、それに応じましてその場所ごとに対策を考えるべきだ、そんなような基本的な考え方でおります。
○東(祥)委員 小林環境局長、そうすると、ブラックバスについては、環境省としてどのような認識をお持ちですか。
○小林政府参考人 ブラックバスにつきましては、肉食の魚であるという点、それから特に閉鎖性水域なんかですと大きな影響を与えるという点もございます。実際に、ブラックバスやブルーギルが移入された後に、小型の日本古来の在来魚種が急激に減少してしまったという事例もございます。
 そういうことから、ブラックバスというのは、在来の魚種に大きな影響を与える種類のものだというふうに認識してございます。
○東(祥)委員 ということは、環境省としては、害魚だ、こういう認識ですか。
○小林政府参考人 そういう一面もあるということでございます。必ずしも、害魚とか益魚とか、そういうふうに判断をすべき問題じゃなくて、環境に入ったときにいろいろな影響を及ぼす、そういうことを申し上げております。
○東(祥)委員 ブラックバスが他の在来種、小魚を食い尽くすため、絶滅の危機に瀕している魚もいるという声もありますけれども、いろいろな書物を読ませていただきますと、そのような例は、もともとブラックバスのいる北米でさえも聞いたことがない。まして、初めて日本に入ってきたのは、大正十二年の神奈川県の芦ノ湖だと聞いております。七十年以上たっているわけであります。だとすると、芦ノ湖にはワカサギなどいなくなってしまって、ブラックバスだけが生息しているという推論も成り立ちます。
 現状は、減少の一途をたどっていると聞いております。自然環境が残る本栖湖も同様であると聞いておりますけれども、だとすると、このような話には根拠がないんではないのかというふうに素朴に私は思うんですが、いかがですか。
○小林政府参考人 生態系が、移入種が入ることによって一時的に大きく変化することがあります。例えば、琵琶湖あたりでも、ワカサギが今まで以上にとれにくくなるという例がございます。そういうことで、大きく変化する。長い間には、ある一定の水準には達して、ブラックバスにつきましても、えさがなくなれば食べるものがなくなりますから、ブラックバスの密度も下がってくる。そういう安定状態になるまでには、大分大きな影響があろうかと思います。
 具体的に、私どもで把握している例を申し上げますと、皇居のお堀がございます。皇居のお堀は、一九七五年から定期的に調べてございますが、あそこには江戸時代からの在来の小さな魚がおりますが、そこは非常に最近急に減少をしてございます。例えば、一例を申し上げますと、一九七五年とか八五年くらいの時代には、ブラックバス、ブルーギルというのは二〇%ぐらいの捕獲確率でしたけれども、現在は八〇%を超えるような量のブラックバス、ブルーギルがとれております。
 そういう中で、在来の魚というのがございますけれども、皇居の十三のお堀のうち、八つのお堀ではブラックバス、ブルーギルが生息しております。そこではほとんど在来の魚がとれない、とれてもごく少数、こういう事態でございます。そういうわけで、ブラックバス、ブルーギルのいない五つのお堀では、在来の魚はある程度とれている。
 そういうような状況の中で、やはり特に申し上げたいのは、閉鎖性の小さな水域、そういうところではブラックバスの影響というのが大きくあるというふうに考えております。
○東(祥)委員 今、小林局長が言ったお堀の件はまた最後の方でやりたいというふうに思っていたんですけれども、お堀には例えば外来種の草魚だとかあるいはまた外来のコイ、それも放流しているんですよね。この点についてはまた後でやりますけれども、そもそも、お堀は川じゃないですよね。
 今いわゆる問題になっているところというのは、外に開かれている川であり、あるいはまた湖の問題でありまして、環境省あるいはまた水産庁にお伺いしますけれども、ブラックバスの被害あるいはまたブラックバスの現状について一体調査しているのかどうなのか、最近行った調査結果があるとすれば、それを報告していただきたいというふうに思うんです。
○海野政府参考人 お答えいたします。
 ブラックバスによります被害につきましては、定量的な把握というのはなかなか困難でございますけれども、水産庁や各県などが実施したブラックバスの食性の調査結果によりますと、内水面漁協が増殖していますアユ、ワカサギ、ウグイといった魚類、さらに、テナガエビなどの甲殻類、陸生の昆虫、水生の昆虫などを捕食していることが確認されております。
 新潟県と福島県の県境にあります銀山湖では、平成十一年にオオクチバスを確認していますが、それ以来、九百九十八匹のオオクチバスが捕獲されております。
 また、平成十三年度に、水深十メーターより浅いところで魚種別の捕獲の割合を調査しましたところ、イワナ、ウグイなどの魚種を含めた全体で二百三十七匹のうちオオクチバスが百八十六匹と、約七八%の割合で捕獲されております。
 さらに、現在取りまとめていると聞いておりますけれども、捕食の関係でございますが、オオクチバスの胃の内容物の中からも、やはりスジエビとかワカサギなどがいるというふうに確認されているところでございます。
○東(祥)委員 それは、どういう調査をしているんですか。定量的に把握するのはなかなか困難だと言っているんですけれども、どういう調査をしているんですか。刺し網でやっているんですか。それとも、どういう条件のもとでどういう調査内容を行った結果を今発表してくれているんですか。
○海野政府参考人 今申し上げました調査につきましては、新潟県と福島県とで調査したものでございまして、ほぼ毎年にわたって捕獲をするということで調査を実施しているところでございます。
○東(祥)委員 どういう捕獲の仕方をしているんですか。
○海野政府参考人 刺し網その他の方法で漁獲をしていると聞いています。
○東(祥)委員 その調査を行った直後、全国内水面漁業協同組合連合会のもとにある外来種対策検討委員会、今おっしゃられたデータに基づいて、本当にとれるのかということで、この委員会のメンバーの皆さん方が現場に行って調べているんですよね。そこで一匹も釣れなかった。そこで、その推進委員会の調査をやめようということがあったということを御存じですか。
○海野政府参考人 今のような話は初めて聞きました。聞いておりません。
○東(祥)委員 資源管理部長、僕もブラックバスの生態についてよく知りませんけれども、淡水にすむ魚の中で、ブラックバスというのは物すごく頭がいい、なかなか刺し網にはかかりづらいというふうに言われている魚ですよね。後ろにバックするんですよ、フグみたいに。淡水の中ではそういう魚というのは珍しい。だから釣り人に人気があるんですよ、これは頭のいい魚だということで。
 そうすると、刺し網でと今言いましたよね。刺し網で、例えば奥只見湖ですよね、銀山湖と言われるのは。銀山湖というのは、聞くところによれば、がばっとがけっ縁になっているわけですから、もし刺し網でとれるとするならばうじゃうじゃいるということで、七八%というその根拠もよくわかりませんけれども、うじゃうじゃ岸辺にブラックバスがいない限りとれるはずないじゃないですか。本当に調べているんですか。
○海野政府参考人 今、銀山湖での調査の方法でございますけれども、刺し網、それから網を投げる、はえ縄、釣り、それから、やすなどの方法で捕らえておりますけれども、その大半は刺し網にかかっております。
○東(祥)委員 そのデータを全部出してくれますか。
 要するに、例えばアメリカにおいても、刺し網でとれないということは言い切れないというわけです。それは、ダムの場合ですと水位にかかってきますから。基本的にブラックバスというのは深いところにはすんでいない。浅瀬にいるわけですから、そうすると、ダムの水位を調節させることによって、そして刺し網にかけることもできる。ただ、一般論として言った場合、科学的な雑誌にも書かれているそうでありますけれども、刺し網には非常にかかりづらい。これは危ないと思って、きょっきょっきょっと、どういうふうに泳ぐかわかりませんけれども、後ろに下がってなかなか捕らえづらいということなんですよ。
 だから、まず僕が教えてもらいたいのは、環境省あるいはまた水産庁で、ちゃんとこの問題をあなた方の指導のもとで調査しているのかどうなのか。あるいはまた、各県に任せているとするならば、その調査内容、どういう方法で、そういうものを全部出さない限り、いろいろなイメージ論で言っていたとしても結論というのは出てこないんじゃないのか。
 先ほど山下副大臣からお話がありましたとおり、パブリックコメントの九百件の中に、七百五十件がブラックバスのものだと言っているじゃないですか。だから、そういうことに関して、イメージ論じゃなくて、ちゃんとやらなくちゃいけないんですよ、行政というのは。だから、それを今やっていないとするならば、これからちゃんとやるということも含めた上で、そういう答えを出してくださいよ。本来なら、僕が環境大臣だったら、そういうことを言いますよ。どうぞ。
○海野政府参考人 お答えいたします。
 水産庁の外来魚の被害緊急対策事業という事業がございますけれども、その中の内水面外来魚管理等対策事業という事業の中に、生息状況等を調査するという事業がございます。これについては、都道府県に助成をして事業を実施しているということでございます。
○東(祥)委員 僕の答えになっていないんじゃないですか。委員長、いかがでしょう。ちゃんと調査をするのか、そして、調査内容をどうするのか。そういうことも含めた上で、今までやっていないというならやっていません、これからやるならばやると。大臣、ちょっと指導してください。
○大木国務大臣 何か水産庁の方と私の方と両方でそれぞれいろいろやっているようでございますが、両方できちっとまとめて、今これだけのことを調べましたというのをひとつ取りまとめたいと思います。
○東(祥)委員 これは別の角度なんですけれども、大阪のとある三つ星レストランでは、バスが生きがよい天然の魚として、おいしい魚の食用としてメニューに出されていたようであります。また、滋賀県下では平成十二年度に公立小中学校の学校給食に用いられていたと文部科学省の資料に書いてありますが、言うまでもなく、学校給食にどのような食材を使うかについては、市町村教育委員会が、食品の安全性、低廉な価格、安定的な供給体制等を総合的に判断しているのですけれども、食用という観点から、環境省へ聞いていいのか水産庁なのか、こういうところからブラックバスというのは検討したことはありますか。
○海野政府参考人 ブラックバスにつきましては、駆除を推進すべき水域において、遊漁者が採捕してこれを食用にするということが非常に有効であって、期待できるというふうに考えておりまして、ブラックバスの食用利用についても、その料理法に関するパンフレットを配るなど、そのことについて支援をしているところでございます。
○東(祥)委員 ブラックバスは、在来種には勝てず、また一時的にふえてもほうっておけばいなくなってしまうという説もあります。バスが増加している場合、自然環境の破壊による原因が最大の理由なのではないかと私は思っているんです。
 フナ、ヤマベ、ハヤなどの在来種の多くは、粘着卵と呼ばれるもので、アシや水草や藻に卵を付着させます。護岸工事などによって水生植物がいなくなると、新たに生えるまで世代が繰り返されなくなります。他方、バスのような外来種は、砂利底にばらまいて産卵するので、従来の自然環境が破壊された後の方が世代交代の最適な環境となる、このようにも言われている。霞ケ浦の例では、霞ケ浦総合開発以前に百四種確認されていた種が、開発以後の調査では五十六種に減少して、そのうち二十二種が外来種であると確認されました。
 そうすると、大げさに言えば、バス害魚論というのは、自然環境破壊論のすりかえとも言えるのではないのか、このように私は疑念がわいてくるわけです。
 二つ目は、また、ワカサギが減少したのも、バスが来るずっと前であって、バスのせいではないと、二〇〇〇年「生物科学」第五十二巻の浜田篤信氏の学説で報告されておりますけれども、これらについてはいかがですか。
○小林政府参考人 在来種が減少している原因としまして、先生御指摘の生息環境の悪化ですとか、それから場合によっては、種類によるんですけれども、過度の採取、捕獲、そういったような要因というのが非常に大きいと思います。特に、おっしゃるとおり、淡水産の魚についての生息環境の悪化というのは、非常に大きな影響があるだろうというふうに見ております。また、移入種の導入による影響というのも重要な要因であろうというふうに思っていまして、幾つかの要因が複合して種の減少というのを招いているのではないかというふうに考えてございます。
 ブラックバス、ブルーギルにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、やはり特に影響が大きいのは、小さい水面というんでしょうか、そういうところにつきましては、やはりかなりの生息密度に在来の魚を低下させてしまう、そういうくらいの強い力を持っているというふうに考えているところでございます。
○東(祥)委員 ある意味で、今局長は、結論からいえば両方に原因があるんじゃないかという視点なんだろうと思います。ある意味で、国土の乱開発が内水面漁業に打撃を与える、それも大きな根本原因ではないかということもお認めになられているわけです。
 他方、百十一万人に及ぶブラックバスの署名というのがあるんです。バスフィッシングフィールド、つまりブラックバスが釣れる場所を何とかつくってくれないか、こういう声が百十二万人です。一方的な害魚論に対して、公認の釣り場を認めてほしい、ふやしてほしい、そして、有用魚として国民が楽しめるようにしてほしいという要望なんです。大臣、すごい人数だと思いませんか。百十一万人です。平成十二年の十月中旬からわずか三カ月で全国から集まって、水産庁に、また各県知事に要望された署名であります。
 ブラックバスの釣り人の数というのは大体三百万人以上いると言われている。また、少年たちにもどんどん今広まってきているわけでありますが、だから、このままこれらの要望というものを無視してよいとは思えないんですけれども、科学的な知見、先ほどお話ししているように、ちゃんとしたこういう形で科学的な知見を追い求めていて、こうこうこうだからこうなんだというのは、今までのところ全然話を聞いていない。ある意味で、推論の域を全然脱していない。そういう科学的な知見もないままで、ある意味で、怖いオオカミだ、駆逐しなくちゃいけないものなんだ、こういうイメージばかりが先行しちゃっているんではないのか。これが本当にこういうままでいいんだろうかというふうに私は思っているわけであります。大臣、いかがですか。
○大木国務大臣 先ほどもお話ございましたけれども、日本へ来てから既に七、八十年ですか、たっておるということですから、ある程度のいろいろな資料も、そのつもりでまた調べれば出てくるかと思いますので、今三百万人でございますか、そういった、ぜひ何とかしてくれという声も十分に耳を傾けながら、どこまでどういう調査ができるか、ひとつとりあえず事務方に指示をしてみたいと思っています。
○東(祥)委員 あっという間に時間がたっちゃうので、あと五分しかないんですけれども、どうしても日本の行政というのは、ある意味で、乱暴な言い方をしますけれども、生産者の視点に立った行政しか行われていないんですね。一般の、経済産業省の視点でいうならば消費者、今度は魚の問題だとかこういう問題になるといわゆる漁業者、この場合ですと内水面業者、こういう角度の行政しかないんですよ。
 他方には、ブラックバスという問題は、今申し上げましたとおり、別の視点から大きな産業を起こそうとしているものにもなるかもしれない、そういう可能性を持っている。
 そういう意味においては、先ほど大臣がいみじくもおっしゃってくださいました、つまりすみ分け論、これはどういうふうにしていったらいいのか。あるとき、環境省の中でもこういう議論というのはかまびすしくあったと思うんですけれども、それがいつの間にか立ち消えになっちゃっている。そこには、やはり政治的な背景がいろいろあるのかどうかわかりません。いろいろ与党内における部会で圧力が来るのかもわかりません。内水面業者がどれだけいて、それは数千人、数に直せば、組合業者でいけば万単位だと思いますよ。
 ところが、今度、ブラックバスにかかわる、本当に楽しみで釣りたいという子供たちの数というのはどんどんふえてきている。さっき言ったとおり、頭のいい魚だというんですよ、僕はまだ対面していませんからそれは何とも言えないんですけれども。それは、その数は三百万人。そういう視点で、大臣が言われているすみ分け論というか、そういうことで考えていただけないか。
 あるいはまた、釣りをやる人たちの中で、今までふらちな人というのはいたのかわかりません。しかし、そのブラックバスをやっている方々、良心的な方々、私も何人かよく存じ上げています。もし行政の方で、いろいろな知恵をかしてくれ、そういうふうな申し立てをするならば、必ず彼らは協力してくれるんだろうと思うんです。そういう意見交換をちゃんとしながら、単に、内水面業者の方々をどうしたらいいのか、そういう側面からだけではなくて、いわゆるブラックバスを愛好し、またはそのフィッシングを楽しんでいる人々、これは親子の世代の関係にもかかわっていきます。そういう問題についてもやはり総合的に考えていただきたいというふうに思う次第でございます。
 環境省にしたというのはそういう意味ですから。環境というのは、ありとあらゆる側面にわたって目配り、気配りしてもらわなくちゃ困るんですよ。だから、それは経済産業省よりもある意味で極めて高い省なんだろうというふうに僕は思いますよ、すべての分野にわたって目配り、気配りしていかなくちゃいけないわけですから。そこに優秀な副大臣と政務官をちゃんと配置しているわけですから、例えば山下副大臣にブラックバスを担当させよう、そういうふうにして彼のもとで仕切っていってこの問題に対して結論を出す、それが本来の政治主導のありようであり、僕らが副大臣制度を導入した意味ですから。政務官にも一緒に手伝っていただいて、そういう形で何か御決意をお願いして、ちょうど時間になりましたので。
○大木国務大臣 三百万人の釣り人が大変に深い関心をお持ちだということでございますから、そのことを頭に置いて、ひとつきちっと検討させていただきます。
○東(祥)委員 先ほど申し上げました調査の内容、そして調査結果、それを必ず出していただくことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
 

 内容としては、先の議員の例とは打って変わって非常にニュートラルな見方でバスを見ていて、その上で環境省のバスに対する姿勢を環境大臣や官僚に問いただしている ものとなっています。
 バスの害魚論は本来、ここからスタートしなければならなかったのだが・・・
 東議員はそこも
「 いろいろなイメージ論で言っていたとしても結論というのは出てこないんじゃないのか。 」
 と、ばっさり斬っています。
 これに対して、生態系のプロであるはずの環境省は突っ込みどころ満載の回答しかできてません。
 そして、最終的には環境省側は調査から見直さなければならない、すなわち、これまでの見解(バスは単純に害魚)を見直さなければならなくなっていることを認めてしまいました。

 今回のこの環境委員会はある意味、すごい転換点でした。
 バサーも、国会の動向を見守っていく必要があります。
 やはり政治への関心はなくしちゃだめです。

 しかし、肝心のマスコミはぜんぜんこれを取り上げてない。
 何とかしてほしいですね・・・