.黒部川生態系調査へんな夫婦編

01/02/20


 久しぶりに天気が良かったので黒部川の生態系調査に行ってきた。
 といっても、先日、仕事で調査に行ったところが良かった-と話したら妻に「連れてけー!」となってしまったからだ。
 今回行ったところはどちらも湧き水が出ているワンド、細流で
河川の生態系上重要な地形だ。

 まず、第1は河口部のたまり。
 
          河口細流                     湧き水
 ツルヨシとヤナギの生えた細流が流れるなかなかのロケーション。
 ここでタモ網でガサを行なう。(草の根元にタモを置いて足でガサガサと追い出すのだ)
 取れたのはすぐ逃がしたけどね。(ウグイを10匹ほど幸二のお土産にしたが(^^; )
 ウグイの3〜5cm程度の稚魚がめちゃくちゃいた。
 
           ウグイ稚魚                 持ってきたやつ・・・
 その他はスミウキゴリとモクズガニが若干。
 珍しかったのはサケの稚魚。
 ここは伏流水が水源で下流は冬の日本海の波で砂が寄せられて閉塞している。
 つまり、完全に本流からは離れているのでおそらくこのたまりで自然孵化したのだろう。
 サケの親の骨とかいっぱい有った。
 その他、スジエビが1匹だけ確認された。
 ほんとにエビの類は日本の淡水から減っているのを
実感。
 黒部川にはバスは生息していないのに何でかなあ(笑)
 やはり俺は甲殻類が減ったのは農薬と生息環境の破壊が最大の原因だと思う。
 環境を何とかすればバスがいても甲殻類の絶滅は考えられないのではないか?
 妻は縞々の小さいゲンゴロウと落ち葉でケースを作ったでっかいトビケラを捕ってご満悦だった。

   トビケラの巣(ヤドカリのように動く!)

 続いて第2ポイントは愛本取水堰の上流。
 ここは、下流に堰と川幅の狭いところがあるので土砂が堆積、所々伏流水が湧いている。
 湧き水にはおびただしいクレソン(オランダガラシ)が生えていた。
 こいつは名前のとおり外来種だが何故かバスやオオマツヨイグサみたいにバッシングはされない。
 某バスたたきのアウトドア誌B○○○なんかでも野草料理特集とかで喜んでとり上げられてる(笑)
 
       クレソン(食えるよ)                クレソンの下で捕れたカジカ
 まあ、それはいいとして、こいつの下は稚魚や水生昆虫の生息環境として重要だ。
 ここでもウグイとタカハヤの稚魚が大量に見つかった。
 ウグイとタカハヤは棲み分けがはっきりしていて、たまりのようなところはタカハヤ、流れの速いところはウグイが多い。
 自然というのは良く出来てるもんだ。
 この一帯は黒部川の本流とは異なり、水生昆虫が大量に見つかった。
 カゲロウもトビケラもびっしりといる。
 
         トビケラ属のケース
 他の渓流でよく見られるシマトビケラ属の吐く糸でがっしり固められた河床は黒部川ではほとんど見られない。
 しかし、ここだけは例外だった。
 おそらく、本川と切り離され、伏流水だけを水源としているので流れが安定しているからだろう。

 妻はまた水生昆虫のサンプルをいくつか捕っている・・・

 黒部川は魚も昆虫もぜんぜんいなくて、俺的にはぜんぜんダメって感じだったが、場所によっては結構しぶとい連中もいることがわかった。
 なぜ、このような本流から離された環境に生命が豊富なのか?このへんに黒部全体の生態系を立て直す鍵があるのか?と再認識した。
 まあ、長い目で見るしかないと思うが。

 それにしてもほんとにいい天気だった。
 残雪の上を羽化したばかりのカワゲラ#18くらい・・・が歩いている。

雪の上のカワゲラ(セッケイカワゲラではない、残念)

 さて、黒部の生活もあと少し?
 良い思いでになった・・・なるといいな・・・(笑)