番号 99I-001  送信日 99/11/01  差出人 林 正幸
件名 愛知科教協事務局のお知らせ

 こんばんは、林です。
 日曜の合同県教研、ご苦労さまでした。もっと時間があればという思いは毎年のこ とですね。
 さて引き続きになりますが、そのあとの話し合いで、今週の金曜つまり11月5日に「愛知科教協事務局」を開こうということになりました。時間と場所は次のようです。
    19時  喫茶店「大銀杏」
 「大銀杏」は東別院の交差点の北東側で、地下鉄を上がってすぐ、女性会館に向かって歩き、例の「OAシステムプラザ]の手前、トンカツ屋の二階です。
 議題は、来年始めの「討論合宿」の相談です。今年は池内さんの講演になりましたが、今度はどのような企画にしたらよいでしょうか。
 4月の呼びかけでも書きましたが、今や世代引き継ぎが重要課題です。事務局は自主参加で、集まったメンバーで決めて動きます。多数に皆さんの出席を期待しています。
 ちなみに、教研実行委員会の反省会は、1週間後の11月12日(金)に、二次会付きで予定されています。一次会は千早の教育会館のはずです。
 ではまた。



番号 99I-002  送信日 99/11/03  差出人 船橋 隆久
件名 お札で慣性

 船橋です。
 今年も県教研盛り上がりましたね。原先生の話には本当に感激しました。とてもまねできませんが、原先生の「人なりに」を信じて頑張ってみようと思います。林ヒロさんの「ペン落とし実験」さっそく試してみました。牛乳瓶の口くらいの大きさだと100%成功しますが、ビール瓶になると途端に成功率が下がるので、瓶の選択も大切な要素だと思いました。
 教研終了後、山本さんから「船橋さん、お札でもおもしろい実験ができるよ」とアドバイスをもらいました。その実験とは・・・・・。
 準備するのは「空のビール瓶2本、お札1枚」たったこれだけです。実験もいたって簡単で、空のビール瓶のうち1本は平らな机の上に、もう1本はひっくり返します。そしてお札をビール瓶の口と口の間にはさみ、2段重ねにしたビール瓶からソーッと手を離します。いかにも不安定そうで、チョットした衝撃で上の瓶が落下しますので気を付けましょう。そして、お札の一方を左手で持ち、お札の真ん中あたりをめがけ右手の人差し指と中指を使って「エイッ!」とばかりに打ち下ろします。するとどうでしょう! 不安定そうなビール瓶はそのままで、お札は瓶の口と口の間から見事にはずれます。最初は「ひょっとしたらお札が破れてしまうのでは・・・」とおそるおそる、しかも千円札で挑戦しました。この不安感が災いして、はじめのうちはお札がはずれないで「ビリッ!」と破れそうになったり、ビール瓶がひっくりかえったりしましたが、そのうちに「これは気合いだ!」ということに気づいたら、あとは成功率がどんどんアップしました。お札が五千円札、一万円札とグレードアップするにつれ、ますます力(リキ)が入り、結果もほぼパーフェクト。みなさんも一度試してみませんか。ビ ール瓶の中が水で濡れていると、お札が濡れて破れやすくなりますので注意しましょう。
 ではまた。



番号 99I-003  送信日 99/11/04  差出人 杉本 憲広
件名 リニアモーターカー

 こんばんは杉本です。トピックスをお知らせいたします。
 川田さんがつ・つ・つ・ついにリニアモーターカーの開発に成功しました!! そのアイディアがすごい。感動ものです。図があるとすぐわかるんですが、まあ詳細はサークルでわかるでしょうから簡単に説明します。
 2つの磁石を用意します。それと、アルミパイプと木ねじを2本。要するに、2つの磁石をアルミパイプと両側につけた木ねじをシャフトにして車輪にするわけです。そして、ポイントはここです。金属のレールを用意します。これは、平面にアルミのシートを貼るとよいでしょう。2本のレールにはそれぞれ電池のプラス・マイナスを接続します。そして作った車輪を乗っけると車輪を通って電流が流れ、両輪が単極モーターになり、進むという仕組みです。ブラシを利用せずレールを用いたというのが素晴らしい!! さすが川田さん。なんかすごいことになっています。
 ではまた。



番号 99I-004  送信日 99/11/06  差出人 船橋 隆久
件名 ビー玉で結晶格子

 船橋です。
 昨年から「金属結晶」や「イオン結晶」の単位結晶格子作りにこだわってきました。これらは、単位格子中の粒子数や配位状況を知るうえでの有効な手段として、授業でも利用してきました。こうした単位結晶格子を積み重ねて、結晶格子全体のイメージアップもしてきましたが、粒子数が多すぎて粒子配列が分かりにくくなる、という欠点もありました。
 そこで透明なビー玉を使って、図説等で紹介されている最小の粒子配列を組み立ててみることにしました。参考にしたのは「ものづくりハンドブック3」(仮説社)の「愛と感動の物語」の章です。この本では、コロコロころがって固定しにくいビー玉を、下に敷いたガムテープで仮止めする方法を薦めていますが、それでもビー玉は動いてうまくまとまりません。そこで私は、山田正男さんの方法を参考に、6cm×6cmの木片に直径4mm程度の穴(体心立方は4,面心立方は5,六方最密は7)をあけ、そこにビー玉を入れて固定し、さらに塩ビ板でわくを作り、接着時の不安定さを解消するようにしました。
 ビー玉の接着には「スコッチ3Mガラス用」を、ビー玉には「直径17mm,無色透明(クリアー)200個入り,1800円」を使用しました。さわっただけでは分かりませんが、ビー玉の表面は何か油性のもので処理してあるようです。そのため、接着前にアルコールで1個1個ふき取っておく必要があります。この作業を省くと、一旦しっかりとくっついたように思えるビー玉も、2〜3日でポロポロとはずれてしまいます。
 なお、県教研で紹介した「ビー玉とレーザーポインターによる臨界モデル」は、ビー玉で作った塩化ナトリウム型の結晶格子とポリカミラー(三面)を使用したものです。

 杉本先生へ
 メールで紹介のあった「超簡単リニアモーターカー」、さっそく作ってみました。長さ50cm幅7cm程度の木片に2本のアルミテープを張り付けて、その上を転がるようにしました。はじめはうまくいきませんでしたが、アルミテープの表面を紙やすりで磨いたらうまくいきました。そして5v,2A程度の電源(私は電源装置を使用しました)も必要だということが分かりました。詳しい理論はよく分かりませんが、とにかくおもしろいですね。

 戸田先生へ
 田中先生から「第2回指南車作り」が12月23日にあると聞きました。前回は都合で参加できませんでしたが、第2回からでも参加できるでしょうか。もし可能なら、参加させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。



番号 99I-005  送信日 99/11/06  差出人 林 正幸
件名 原 弘良さんを囲む会

 こんばんは、林です。
 昨日、愛知科教協事務局会議を開きました。その内容については、明日朝に県外参加依頼の見通しが立ちますので、それを踏まえて報告します。
 その席上で話題になり、私が担当することになった「原 弘良さんを囲む会」の企画ができましたので、お知らせします。
 原さんと言えばご承知の方が多いですが、合同研教研で「友だちがスゴイ! 私も科学者だい。」というレポートを発表してくれました。そのとき「もっと話が聞きたい」という声が上がり、今回の「二次会」を計画することになりました。
    12月18日(土) 16:30〜21:00
    場所:一宮駅から歩いて5分のすし屋さんの二階
    会費:7000円(飲み代を含む)
 そして彼の授業記録ビデオ(30分ほど)の紹介もあります。これで今まで見えにくかった「生徒にどう接しているか」が浮き彫りになることを期待しています。
 会場の都合で定員は15名です。ご希望の方は電子メールで林まで申し込んでくだ
さい(先着順です)。
    masasuma@zzz.or.jp
 ではまた。



番号 99I-006  送信日 99/11/07  差出人 戸田 亜昭
件名 物理サークル案内とEHCサークル変更のお願いなど

 川田さんが単極モーターを使ってリニアモーターカーに成功!すばらしいですね。ファクスですぐに連絡をもらいましたが,川田さん自身がe-mailをはじめたらもっと楽にニュースを送れるし,発展すると思います。でも私も追試を試みているのですが,まだ成功していません。私は、10ボルトで5アンペアくらいまでしか流していません。川田さんは10アンペアほど流しているとのことです。飯田さんは乾電池でも成功したとのことですが,どこがコツでしょうか。教えて下さい。磁石をつなぐ胴のパイプの太さを3種類(4o,6o,10o)変えているけれど,うまくいきません。銅管が少し曲がっていることも原因となっているように思います。早く成功したいです。船橋さんも成功したようですね。軸のパイプが熱くなるくらいになっても動きません。

 私はアンパンマンにブランコをこがせることに成功しました。生徒たちも喜んでくれました。井階さんのように低速のモーターを使うことができないので、手動でアンパンマンにブランコの立ちこぎをさせることにしました。手動だけに共振させるのが難しい反面,身体で納得することができるなど,いい面と悪い面があるようです。
 また,10月30日(土)には中学生向けに体験入学の説明をやりました。面白い方がいいだろうと考え,飯田さんの胴なし人間をかぶり,エコーマイクで説明をしたら,中学生があっけに取られ目を見開いてのぞきに来たので,成功したと思っています。
 全部終わってからでも理科室をたずねもっと面白い物をじっくりと見せてほしいという生徒まで来ました。。案内している本校の先生に笑われました。ピエロをやって恥ずかしかったけれど,先ずは成功したと思います。

 物理サークルの案内
予告もなく突然でも気楽に参加してください。手ぶらで結構です。もちろん,何か質問疑問工夫などを持って参加されることも歓迎します。
期日:1999年12月11日(土)13:00〜
場所:名古屋市立**商業高校物理教室(地下鉄桜通線野並下車西へ2つ目の信号天
白川の手前)で左折突き当りにあります。徒歩10分)

 EHCサークルの結晶模型作りの日程を、講師(山田正男さん)の都合で変更をお願いしたいので至急話し合いたいと思います。山田さんは2月に変更してもらいたいとのことです。

 指南車の製作について途中から参加したいとの連絡が船橋さん,杉本さんから入りましたが,まだ受け入れてもらえるかどうか分かりませんが,豊橋工業の石田先生に尋ねてみたいと思います。先着順となりますが,参加したい方は11月7日までに戸田亞昭のところまで連絡をしてください。材料がどれだけ余分があるか分からないので,石田先生からの返事を待って改めて連絡します。直接石田先生からメールで連絡があるかもしれません。
 期日:1999年12月23日(木)10:00〜
 場所:愛知県立**工業高校機械科実習室
 費用:5000円
 完成後忘年会も予定もあります。自動車では行かない方がいいでしょう。工業科の先生との交流のチャンスだと思います。多くの人を受け入れてもらうように頼んでみたいと思います。
 愛知の産業遺産を保存する会のメンバーも居られる様なので、私は綿を栽培出来たのでそのとき、糸に紡ぐところまでの機械について相談を持ちかけようかと思っています。もっともっとお互いに協力(一方的かもしれませんが,)して教材の開発が出来るのではないでしょうか。



番号 99I-007  送信日 99/11/07  差出人 林 正幸
件名 愛知科教協事務局会議の報告

 林です。
 先日ホームページにファイルをアップロードしていたところ、マウスの操作ミスなんでしょうが、突然FTPが真っ白になってしまいました。リセットしても状況が変わりません。ややあわてましたが、このプログラムをフロッピーにしまっておいたことを思い出しました。それをロードして設定し直したところ、無事復旧しました。3年以上も前にやったことなので忘れてしまっていますよね。ときたま起こるこの種のトラブルは心臓によくないです。
 一昨日の5日(金)の事務局会議には、飯田、岡田はる、鈴木ひさし、清水、林まさ、林ひろ、船橋の7名が参加し、2000年の「理科教育討論合宿」の相談をしました。
  日時:1月8日(土)15時〜9日(日)12時
  場所:料理旅館「金翠荘」
       (名古屋市千種区、052−731−8156)
  会費:10000円ないしそれ以上にせざるを得ません。
       (安くて使いやすい施設があれば、今後のために知らせてください)
今回のテーマ
  第1 改めて科学教育の「何のために、なにを」を問う
 10月末のJCOの臨界事故、そして「環境ホルモン」などを通して、改めて科学技術と科学教育のあり方が問われています。今回は千葉県から盛口 襄さんを招いて問題意識を語ってもらい、その上でお互いの発表・討論を行います。なお、盛口さんと言えば実験開発の泉ですから、特別に実験紹介も組み込みます。
  第2「私の思うこと、感じること、取り組んでいること」
 これはいつも共通で、全員が自由に討論に参加できるためのものです。疑問や悩みも交流しましょう。
スケジュール
  1/8  14:30〜 受付開始
       15:00〜 発表・討論(その1 盛口さんの発表を中心に)
       18:00〜 夕食
       19:30〜 発表・討論(その2)
       21:30〜 自由討論(酒付き)
  1/9   9:00〜 発表・討論(その3)
       12:00  終了
       (細かい時間は私が適当に書きました。)
 そして実務は
  飯田、船橋:案内の郵送(12月始め)
  飯田:科教協補助金の申請
  岡田:案内ビラの作成
  林ひろ:案内ビラの組合配布、電話集約責任(12月20日ころ)、
      旅館の折衝(その意味ではまだ日程は未確定)
  清水、林まさ:会計(一部愛知科教協から補填)
  林まさ:盛口さんの依頼(完了)
  岡田、鈴木、林ひろ:申込み先
と参加者全員で分担しました(一部私の思い違いがあるかも知れません)。


番号 99I-008  送信日 99/11/08  差出人 杉本 憲広
件名 リニアモーターカー2

 こんばんは。杉本です。
 リニアモーターについて、実験の報告が入ってましたので私も報告します。
 私の場合は、船橋さんと同じく、アルミのテープを貼ってレールを作りました。そして、車は、アルミの軸直径4mmくらいだと思います。磁石は、最初大きい径のを使ってましたが、どうも小さい径のっものの方が調子いいようです。電圧は1.5Vで演示しています。この電圧でも十分加速しますが、3Vの方が確かかも知れません。導通のよさが重要なので、失敗のないように導線を電池の両極にハンダ付けをして、クリップも用いず直接アルミテープに接触させることにしています。最近は100l成功しています。
 ここ2週間くらい、このリニアモーターの進む理由を巡って、飯田さん、川田さん、ヒロさんの間でホットな(頭が痛い?)議論が続いています。ようやく解決と思ってもひっくり返されたりして泥沼でした。やっと終息を見たと思っているのですがまだ予断を許さない状況。やれやれ。よろしかったら議論に加わって下さい。
 それじゃまた。


番号 99I-009  送信日 99/11/12  差出人 船橋 隆久
件名 ビーカー内の「三つの玉」

 船橋です。
 理科助手の大藪さんと次のような実験をしました。
[実験]
 1リットルビーカーの中に、直径17mmのビー玉と直径20mmの発泡スチロール球を入れ、その後水を2cm程度の深さになるように加えます(ビー玉は沈み、スチロール球は浮いています)。次にこのビーカーの中に卓上コンロ用ボンベのガス(空気より重いブタンガス)を少量吹き込み、シャボン玉をビーカー内の空中に浮かべます。ビーカーの口をラップで封をしたのち、レコードプレーヤーの円盤上に置き回転させました。
[質問]
 ビーカー内の三つの玉(ビー玉,発泡スチロール球,シャボン玉)はどんな動きをしたと思われますか?



番号 99I-010  送信日 99/11/13  差出人 船橋 隆久
件名 続・ビーカー内の「三つの玉」

 船橋です。
 この実験を思いついたのは、高二の息子の「物理の宿題」がきっかけでした。
【宿題の問題】
 回転できる円盤の上にろうそくを置いて火をつける。ろうそくの周りは、風の影響を避けるためフードで覆われている。円盤を回転させると、炎はどちらの向きに傾くか。また、その理由はなぜか。

【父と子の会話】
子: 「答え教えてよ.」
父: 「いきなり答えを聞く前に、自分ではどう思うかが大切だよ.」
子: 「よく分からないけど、炎が上に昇っていく間にろうそくの芯は回転方向に移動するから、回転方向の逆方向になびくと思う.」
父: 「なるほど.ところで円運動の加速度はどちら向きだったかな?」
子: 「今日の授業で、常に中心方向だということをやったよ.」
父: 「毎日電車に乗ってるわけだけど、電車が発車してどんどん加速しているとき、吊り輪や自分の体はどちら向きの力を受けているだろうね?」
子: 「あっ!そうか.加速度と反対方向に傾いたね.授業では慣性力といっていた.ろうそくの炎も加速度と反対方向つまり外側になびくことになるね.」
父: 「お父さんもそう思うよ.簡単な実験だからさっそく試してみよう.」

【実験1】 ろうそくの炎
 ペットボトルを切断し、その中にろうそくをたてる。家にあったレコードプレーヤーの回転板の上にのせ、スイッチを入れる。

【父と子の会話】
父: 「火を使うから、ペットボトルをテープで固定したほうがいいね.」
子: 「予想が当たるといいね.」
父: 「たぶん間違いないよ. スイッチオン!」
子: 「アレッ! 炎は内側に傾いているよ. 予想と反対だ! どうして?」
父: 「????・・・・」

 翌日学校へ行って大藪さんに相談したら、さっそくアイデアを提供してくれました。以下は「ビーカー内の三つの玉」に至るまでの経緯です。

【実験2】弁当箱の玉
 弁当箱にビー玉と発泡スチロール球を入れ回転させる。
 (結果)
  二つとも回転中心の反対方向に転がった(慣性力が見えた)。

【実験3】水入り弁当箱の玉
 今度は弁当箱に水を1/3程入れ、ビー玉と発泡スチロール球を入れる。ビー玉が沈み、スチロール球が浮いていることを確認した後、回転開始。
 (結果)
  ビー玉は回転中心と反対方向へ、スチロール球は中心方向へ移動。

 「いきいき物理わくわく実験第2集」にある「衝撃と浮きの運動」(80ページ)に次のような一節があります。
「急ブレーキのとき、持っているヘリウム入り風船(密度小)は後ろに倒れ、ぶら下がっている吊り輪(密度大)は前に行く。よって同密度の風船は論理的帰結として動かない!」
そこで戸田先生に電話をして尋ねたところ、「物理サークルでも同密度の風船の実験はやってない」とのことでした。そこで、次のような実験を考えました。

【実験4】ビーカー内のシャボン玉
 1リットルビーカーに少量のブタンガスを入れ、そこにシャボン玉を浮かべる(ブタンガスは空気より重いので、シャボン玉の受ける浮力が大きくなり、重力とつりあってビーカー内の空中に静止する)。ビーカーの口をラップでおおったのち回転開始。
 (結果)
  シャボン玉は多少フワフワするが、ほとんど動かない。

 予想通りの結果に二人とも満足・満足・・・・。
 よって、「ビーカー内の三つの玉」の実験結果は、
    ビー玉 ・・・・・・・・・ 回転中心の反対側へ移動
    スチロール球 ・・・・ 回転中心の方向へ移動
    シャボン玉 ・・・・・・ ほとんど動かず

 以上の実験結果をもとに、ろうそくの炎が回転中心の方向へたなびいた理由を考えてみました。それは「円運動が開始されるとフード中の空気が慣性力を受け、中心とは反対側に押しつけられて密の状態に、逆に中心側は疎の状態になる。結果として空気より密度の小さい炎は中心方向に力を受けたなびく」と考えましたがいかがでしょうか。
 【実験3】の場合も回転による慣性力で水に密・疎の部分ができ、「水より密度がはるかに大きいビー玉は外側へ、密度の小さいスチロール球は炎と同じように内側へ移動した」と考えました。
 ではまた。



番号 99I-011  送信日 99/11/13  差出人 林 正幸
件名 合同県教研実行委員会の報告

 こんばんは、林@です。
 昨日、今年度最後の実行委員会を開いて、県教研の反省を行いました。都合が悪くなった人があり、参加者は兼松、川田、林まさ、林ひろ、林本の5名でした。
 その内容は次のようです。今回は若い女性2名の発言で、新鮮な総括ができたと思います。そしてそのあとの飲み会も楽しいものでした。
・レポート発表  5
 実験・交流  20
 参加     65+10(総合学習分科会から)
・科目のバランスも取れ、充実した内容だった。
・広い部屋が欲しいが、無理だね。
・実験・交流の時間が厳しかった。
 今回はレポート5本(予定では6本)だったが、4本2時間を基本にして時間のバランスを取るようにしよう。
 朝から時間は短めに制限して(1人7、8分になるか)進行させよう。余れば(そんなことはないだろうが)、できる人で2巡目に入ればよい。
・実験・交流では、実験以外の紹介が少なかった。
 プリント、試験問題、レポート、問題提起、ビデオ、「もの」など、さまざまなものの紹介・交流を目指していることを伝え、呼びかけよう。
 (名前もたとえば「教材・実験の紹介」としては・・・)
・コンピュータ、ビデオ、OHPなどを利用するプレゼンテーションができるように準備しよう。
 またその旨を伝えよう。気に入っているビデオの紹介などでもよい。
・業者もひとりの参加者として認める。
 ただし「店」は部屋の外に準備し、販売は休憩時間とする。なお本部に了解を求める。
・実務面での詰めがすこし甘かった。
 レポート発表については条件を確認し、事前に予定を連絡しよう。
・駐車券を民主的に分配したい。
 そのために教材・実験の紹介の集約に努め、レポート発表を優先しながら資材の重量を考慮して配分しよう。
(以上、林まさの勝手なまとめです。)
 話は変わって、家内が今回の県教研の英語分科会で発表したレポートの要約を、ホームページに掲載しました。これでやっと、夫婦でインターネットを始めようとした当初の目的が適ったわけです。家内は「進学校」で日常の仕事に忙殺されているのです。
 船橋さんの「ビーカーの中の3つの玉」、おもしろいですね。息子の質問にも実験で答えるあたり、さすが船橋さんと思いました。返事を書こうかと思ううちに回答のメールが届いて、考えが不十分だったと気付きました。
<メールの引用>
 以上の結果から「ろうそくの炎」の実験で、炎が回転中心の方向へたなびいた理由を考えてみました。それは「円運動が開始されるとフード中の空気が慣性力を受け、中心とは反対側に押しつけられて密の状態に、逆に中心側は疎の状態になる。結果として空気より密度の小さい炎は中心方向に力を受けたなびく」と考えましたがいかがでしょうか。
 【実験3】の場合も回転による慣性力で水の密・疎ができ、「水より密度がはるかに大きいビー玉は外側へ、密度の小さいスチロール球は炎と同じように内側へ移動した」と考えました。
<以上>
 なお流体の疎密もありますが、ろうそくの炎については、遠心力と重力が合わさった重力場の中で浮力を受けて「上方」にたなびく、と考えた方がよいように思います。またビー球は水に沈んでいるので、浮力より重力が大きく重力の向きに移動しようとする。ただし下向き成分はビーカーの底の抗力で相殺されるにで、外向き成分で外側に移動します。
 ただスチロール球の挙動が意外ですね。これは水に浮いています。遠心力を合わせた「重力」も水による浮力も、その場の水面の鉛直方向にはたらくはずですから、シャボン玉と同じように動かないように考えられます。気体による浮力も同じ向きにはたらきますよね。むしろ回転が始まったときの水の流れに乗って中心に来て、そこに留まるのかなあ。しかしその場合はお茶をかき混ぜると茶柱が中心に集まるように、底が中心に表面は外側に流動するはず・・・・・、分かりません。
 ではまた。



番号 99I-012  送信日 99/11/14  差出人 戸田 亜昭
件名 Re:ビーカーの中の「三つの玉」

 戸田です。
 風邪を引き,1日のぞかないうちに沢山のメールが届いていてびっくりしています。なお,メーリングリストのメンバーでない方にも送るので,船橋さんの質問をもう一度そのまま載せます。
 (この部分は省略します. 番号 99I-009, 99I-010 を参照して下さい)
 船橋さんは家でこのような問題を子どもと議論でき,実験で決着をつけるとはすばらしいですね。物理サークルでもシャボン玉を浮かべたものを回転させる実験はしていません。新しい実験です。私は透明な桶の中に沢山のロウソクを立て、回転させたことがあります。そのときのことを思い出して書いています。
 回転をさせ始めるときに、よく注意してみていると、子どもさんがいっているように回転方向の逆方向になびきます。回転し始めるまでは,空気は止まっていて空気にも慣性があるため,すぐには動きません。その中で,ロウソクが回転方向に移動するから,炎は逆方向になびくのです。もちろん,しばらくして空気が容器と一緒に回転するようになり,炎は内側に傾きます。
 では,ここで問題です。
【問題】桶の中で半径方向に沢山のロウソクを並べて回転させたところ,ロウソクの炎の傾きに違いがあるでしょうか。
 予想
ア 全ての炎が同じように傾く。
イ 中心に近いものほど沢山傾く。
ウ 中心より遠いものほど傾きが大きくなる。
エ その他
実験結果
中心より遠いロウソクの炎ほど中心への傾きが大きくなりました。これは遠心力がmrω2と半径に比例しているからです。しかし,回転をだんだん速くしていくと,中心より遠いものから順番に消えてしまうのです。このことはやってみなければ分かりませんでした。
 【実験3】のブタンガスの空気との境界面は見えないけれど水を入れたバケツを回転させたときの水面のように傾いていてそこにシャボン玉が浮いているのでしょうね。



番号 99I-013  送信日 99/11/15  差出人 船橋 隆久
件名 スチロール球の動きは表面張力のいたずら?

 船橋です。
 「ビーカーの中の三つの球」に関して、林先生から次のようなメールをいただきました。
(引用開始)
 ただスチロール球の挙動が意外ですね。これは水に浮いています。遠心力を合わせた「重力」も水による浮力も、その場の水面の鉛直方向にはたらくはずですから、シャボン玉と同じように動かないように考えられます。気体による浮力も同じ向きにはたらきますよね。むしろ回転が始まったときの水の流れに乗って中心に来て、そこに留まるのかなあ。しかしその場合はお茶をかき混ぜると茶柱が中心に集まるように、底が中心に表面は外側に流動するはず・・・・・、分かりません。
(引用終了)
 そこでもう一度ビーカー内に発泡スチロール球(直径20mm)を浮かべて、再度試してみました。しかし、結果は同じでスチロール球はやはり中心部に移動してゆきます。電話で「初期条件が問題になるのでは・・・」との指摘を受け、スチロール球を最初に浮かべる位置をいろいろ変えていたそのときです。いままで中心にむかっていたスチロール球が、突然ビーカーの壁にくっついて中心にむかわないことが発生しました。10回に1,2回の割合でこうした状態になります。そこで静止した状態でビーカーの壁の近くにスチロール球を浮かべたところ、まるで静電気に引っ張られるようにビーカーの壁に吸い寄せられるのです。どうやら水の表面張力の影響を受けているようで、林先生の指摘通り「回転が始まったときの水の流れにのって中心に来て、そこに留まった」というのが正解のようです。
 そこで軽すぎるスチロール球を「おかず用の醤油入れ」に取り替え、はんだを巻き付けて浮きのような状態にして水に浮かべ、回転させてみました。今度は浮かべた位置に関係なく、シャボン玉の場合と同様ほとんど動かないで水面上を漂っていることが分かりました。ウーン!納得、納得・・・。
 以上、実験結果の訂正でした。



番号 99I-014  送信日 99/11/16  差出人 船橋 隆久
件名 遠心分離器の原理は?

 船橋です。
 「ビーカーの中の三つの玉」に関連して「話題源物理(東京法令出版)」という本を読んでいます。その中に遠心分離器に関する次のような記述(103ページ)がありました。
−−(引用開始)−−
 回転台の端に水槽を置き、水に浮く物体Qと沈む物体Pを入れておく。
回転が始まると、Qは内側へPは外側へと分離して動き始める。Qが内
側へ向くのは、まわりの水がそれより大きい遠心力を受けるからである。
 (中略)
 話題の「男女産み分け」では、適当な回転数の遠心分離器によって、
女子になる精子と男子になる精子を、そのわずかな質量の違いを利用
して用いている。
−−(引用終了)−−
 引用の前半に「水に浮く物体Qは、回転が始まると内側に動き始める」とありますが、私が行った実験では、前回のメールで訂正したように「水に浮く物体はその場に留まる」というのが正解のようです。私はその後水に浮くスーパーボールでも実験しましたが、やはりその場に留まりました。ということは、この本に引用されている実験結果は、最初私が発泡スチロール球を使って思い違いしたのと同じ誤りをしているのではないでしょうか。
 次に私は、以下のような二つの比較実験を行いました。
【実験A】
 水が半分ほど入ったプラスチック製おかず入れに、ビー玉とスーパーボールを入れる。スーパーボールが、おかず入れのふたに触れないで水面に浮いていることを確認した後回転板にのせ回転する。
【実験B】
 実験Aと同じようにビー玉とスーパーボールを入れた後、おかず入れに水をいっぱい入れる。空気が入らないようにふたをした後回転板にのせ回転する。
[結果]
・(実験A)水より重いビー玉は外側へ、水より軽いスーパーボールはその場に留まる.
・(実験B)ビー玉はAと同様外側へ、スーパーボールはふたで上を押さえつけられているため内側へ動く.
 遠心分離器に原理が、「話題源物理」で説明しているように「回転時における重いものと軽いものの動きの違い」だけで説明するなら、【実験B】のように容器に資料をいっぱい入れて空気が入らないようにふたをし、それから遠心分離器にかけた方が効率的なように思います。しかし、実際は容器に半分ほど入れた後ふたをしないで遠心分離器にかける、つまり軽いものの分離がはっきりしない【実験A】の方法をとっています。
 「ビーカーの中の三つの玉」からとんでもない方向に脱線してしまいましたが、これはいったいどういうことでしょうか?



番号 99I-015  送信日 99/11/18  差出人 林 正幸
件名 遠心分離器について

 こんばんは、林です。
 このところ、寝起きの際などに「世界」が回転して、ときに転倒するという情けない状況になっています。明日の夜に病院に行く予定ですが、いったい何なんでしょう。
 船橋さん、話題提供ありがとうございます。遠心分離器には2つの使い方があるようです。液体中の小さい粒子は熱運動で分散する傾向と(密度が液体より大きい場合は)重力で沈降する傾向持ちます。そして粒子を速く沈降させるために遠心力による大きい「重力場」をつくります。この場合は大きい粒子ほど(この表現はあいまいです。ストークスの法則とかいうのがありましたね。)沈降しやすいので、回転数を加減して、始めは比較的小さい重力場でも沈降するものを、そして次第により大きい重力場で沈降するものを分離していくこともできます。
 もうひとつは液体に濃度差による密度差を付けると、自分の密度と同じ位置まで浮いたり沈んだりするので、それぞれの粒子を分離することができます。この場合は重力場は(液体の密度差が無くなる前に)速やかに粒子を浮沈させるはたらきをすると思います。
 「話題源物理」が解説しているのは後者の使い方と思いますが、遠心分離器は「すでに浮いたり沈んだりしているもの」を回転系に置いて分離しているのではありません。回転の遠心力による大きい重力場で、浮き沈みを加減したり促進したりして粒子を分離しているのです。その意味で視点がずれていると考えます。
 高校生物では細胞分画法というのが出てきます。細胞内のさまざまな構造物を上の2つの使い方で分離して研究するのです。
 ではまた。



番号 99I-016  送信日 99/11/25  差出人 船橋 隆久
件名 手力実験「消えた?水」

 船橋です。
 期末試験が終われば生徒はすっかり冬休み気分。集中力欠乏症におちいった生徒の目を一瞬こちらにクギづけにする、そんな手力実験を紹介します。
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先生: 「きょうは究極の手力実験を紹介しよう.」
生徒: 「またインチキ実験じゃないの?」
先生: 「とんでもない! きょうこそ本物の超能力実験だ. きのうホームセンターで買ってきた白い紙コップ2つと、透明なビニールコップを1つ用意しよう.インチキがない証拠として、それぞれのコップの中もよく見てくれ.」
**と言って、教卓の黒板側(前の生徒から2〜3m離れている)に立ってコップの中をチラッとみせる**
生徒: 「OK! なにもなし!」
先生: 「じゃあ、ビニールコップに水道の水を深さ2cmほど入れるよ. そして、この水を紙コップの一方に移しかえるからよく見ているんだよ.」
**と言って、ビニールコップと紙コップの高さの差を30cm位にして、生徒によく見えるように水をジャ−と移しかえる.**
先生: 「今たしかにこの紙コップに水が入ったね. この紙コップに何も入っていないもう1つの紙コップをひっくり返して重ねるから.」
**と言って、2つの紙コップの口を重ねた後、何やらブツブツ言って30秒間ほどやりすごす.**
先生: 「今から口がくっついたままの2つの紙コップをひっくり返すからね. さあ、今度はどっちの紙コップに水が入っているかな?」
生徒: 「下の紙コップに決まってるじゃん!」
**このとき、必ず「上の紙コップに水が残っている」という生徒が2〜3人いる.**
先生: 「エッ? 上の紙コップに水があるって? じゃあ、上の紙コップを見てみよう」
**と言って、2つの紙コップを離し、上の紙コップの中をチラッと見せたりひっくり返したりする.この時も、生徒から2〜3m離れた位置でおこなう.**
先生: 「ホラ、なにも入ってないじゃないか. こうやってひっくり返したって水は出てこないぞ. ということは水は・・・・・」
生徒: 「まちがいなく下の紙コップに決定!」
先生: 「さっき、上の紙コップだ、なんてウソをついた君、ちょっと前にでてきてくれ.」
生徒: 「(不安そうに)なにをするの?」
先生: 「ウソをついた罰として、君の頭の上で下の水の入った紙コップをひっくり返すことにしよう.」
生徒: 「ギャー! やめてくれー!」
**逃げようとする生徒をつかまえて、水が入っていると思われる下の紙コップを頭の上でひっくり返す.**
生徒: 「ワァー! (しばらくして)アレ??? 冷たくない!!! 水が消えた??? どこへ行ったの???」 
先生: 「これが究極の超能力です. ではまた.」
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 いったいどんな裏ワザをつかったのでしょうか。ヒントは最初にビニールコップから水を移した紙コップにヒミツがあります。この紙コップは早めに隣の準備室のゴミ箱にすて、生徒に触らせないようにしましょう。このヒミツは次回のメールでお知らせします。



番号 99I-017  送信日 99/11/25  差出人 林 正幸
件名 インターネットで交流が広がっています

 こんばんは、林です。
 期末試験も近づいて、言われるように私たち教師も忙しくなります。追い込みの宿題やプリントファイルを点検したり、質問があったり、試験問題をつくったり、そして理科主任ということで会議が続いたり、担任が出張でSTに行ったり、はたまた自分が出張したり・・・。そんな中で生徒が私に言いました。「先生はいつも楽しそうに化学を教えているね。なかなかそんな先生はいないよ。」 これは励ましになりま す。
 船橋さん、いろいろ工夫(苦労)していますね。今回のキーワードは「吸水ビーズ」ですか。私はとっくりで似た実験をしたことがあります。
 インターネットの方は交流が広がっています。生徒が私のホームページに関心を持 ち(宿題の答も掲載されている!)、メールをくれたりもします。一般の方から「中学生の息子にきかれたのですが、硫酸銅水溶液はどうして酸性ですか。」「ライター用にはプロパンでなくブタンを使うのは何故ですか。」などの質問を受け、返事を書きました。また薬学部の先生から「授業プリント」に対する意見をもらいました。そして「先生の授業プリントを大学の講義の際に,高校での学習課程を知る上で参考にしています。」とメッセージがありました。
 こんな中で先日、日本化学会から「インターネットと教育」で30分ほどの報告をしてほしいと依頼されました。来年3月のことです。これは受けることにしました。情報の発信・交流が、独占から民主に大きく動いていると実感しています。
 ではまた。



番号 99I-018  送信日 99/11/27  差出人 船橋 隆久
件名 手力実験「消えた?水」のヒミツ

 船橋です。
 「第11回 冬の理科教育論研究会」の案内、昨日(11/26)投函しました。今回も楽しい一泊二日になりそうですね。そして毎回思うことですが、みなさん本当に話し好きですよね。途切れることのない話題、徹夜に近い討論、なかなかできることではありません。今年も圧倒されたくて参加します。
 林先生、活躍の場がますます広がってきましたね。そして生徒からの「励ましメッセージ」、いいですね。来月の「モルの会(12/12)」楽しみにしています。
 さて、本題の手力実験「消えた?水」のヒミツですが、林先生にあっさり見破られてしまいました。もはやヒミツではありませんが、「私流のヒミツ」ということで紹介します。それは・・・・
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 事前に2つの白い紙コップのうちの一方に、薬さじ1ぱい程度の小さい球状の保水剤「吸水ビーズ(島津理化)」を入れておきます。砂粒ほどの「吸水ビーズ」は紙コップの色とほとんど同じため、2mも離れていれば紙コップの中を見せても、生徒はまずその存在に気づきません(4クラスとも成功!)。紙オムツなどに利用されているこの「吸水ビーズ」は、1分間で約400倍の量の水を吸収するため、薬さじ1ぱい分で水30ml程度を吸収し終わるのに40秒とかかりません。ビニールコップの水をわざわざ30cm程度上から紙コップに注いだのは、「吸水ビーズ」と水がよく混じり合って吸水を助けるためのものです。
 30秒もたてばゲル化し、紙コップの底にしっかりとくっつきますので、ひっくり返しても落ちてくることはありません。ゲル化しても、「吸水ビーズ」は紙コップとほとんど同じ色なので、2mも離れていればこれも生徒にはその存在に気づかれずにすみます。まさに「水が消えた!」と生徒は本気で思いこんでしまいます。これが「消えた?水」のヒミツです。
 以下は「吸水ビーズ」に添付されていた「吸水性に関する解説」の一部です。
−−(引用開始)−−
 高吸水性樹脂は自重の数十倍から千倍以上もの水を吸収することができる高分子であり、水に膨潤してヒドロゲルを形成します。
 高吸水性樹脂の構造は、イオン性をもった本来水溶性である電解質ポリマーの鎖同士をゆるく橋かけしたものであります。したがって高吸水性樹脂は、高分子電解質からなるイオン網目とその対イオンからなる可動イオン、ならびに網目に包括された水とから構成されています。たとえばスミカゲルS−50のポリマー鎖に付属するカルボキシル基の負電荷が示す吸引力によって、可動イオンであるナトリウム陽イオンの濃度は、高吸水性樹脂の外側よりも内側で常に高いため浸透圧が発生します。吸水性を付与する因子はこの浸透圧のほか、水と高分子電解質との親和力であり、吸水性を抑制する因子は、高分子電解質の網目に基づくゴム弾性力であって、この両者のバランスするところで吸水性が決まります。
 (以下略)
−−(引用終了)−−
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ではまた。