番号 10C-001 送信日 10/03/01 差出人 林 正幸
件名 科学の祭典のテーマ
こんにちは、林まさです。
昨日のMOLの会で、今年の科学の祭典のテーマについて話し合いました。船橋さんから「振動反応」はどうかという提案があり、次のように考えてみました。
振動反応はかき混ぜていれば、色が青色と黄色の間を往復します。そこで「色の行き帰り」というテーマでどうかと考えました。あと3つ加えます。
ひとつは、フェノールフタレインを加えた水は、塩基と酸を加えることで、赤色と無色を往復します。
ふたつは、昨日はメチレンブルーの変色に触れましたがこれはよく知られているので、「カメレオン・エマルジョン」でどうかと今日試してみました。これはBTB水溶液とベンゼンで成り立ち、静止状態では2層に分かれ、無色と緑色です。しかし激しく振るとエマルジョンになって黄色になります。振ると静止です。
みっつは、塩化コバルトの水・エタノール混合溶液です。これは熱湯では青色、氷水ではピンク色になります。温度の変化です。
そこで船橋さんにお願いです。振動反応も子どもが参加できる形にできたらと思います。スターターは使いましょう。ある溶液を追加すると振動反応が始まる。振動回数はそんなになくてもよいのですが、少量にして子ども毎にできるようにならないでしょうか。その裏には反応混合物の処理があります。
通信案については、今週中にまとめたいと思います。
ではまた。
番号 10C-002 送信日 10/03/04 差出人 林 正幸
件名 モルの会通信案
こんにちは、林まさです。
MOLの会の通信案がまとまりました。不足、訂正などありましたら知らせてください。
次回のMOLの会は次のようです。
6月6日(日) 13:00〜17:00 市立北高 化学室
ではまた。
<通信案>
10.2
事務局 林 正幸
MOLの会通信10−2号
今回は浅井、岡田、鈴木とし、田中、林まさ、福島、船橋、堀の8名が参加しました。
終了時間を5時にと努力しましたが、相変わらず6時になってしまいました(せっかく浅
井さんがお菓子を準備してくださったのに、お茶を飲む暇もなかった)。形式的になって
もまずいわけで、すこしずつ改善していきたいと思います。また疑問などを出し合って交
流する時間もつくってみましたが、これも定着させていきたいと思います。さらに科学の
祭典は振動反応を取り上げることになり、4月25日に林ラボで予備実験をすることにな
りました。そして食事会ないし飲み会は夏までお預けです。
水谷式分子模型(岡田)
前回紹介した水谷健次郎さん提案の大きな分子模型を、授業で使うために系統的につく
ることにした。発泡スチロール球は直径3.5cmが水素、6cmが他の原子で、ユニポス
カを塗って色分けをする。ポリエチレン管は内径3mm、外径5mmのもので、水素用は
4cm、他は5cmにカットする。そして球に1cm埋め込んでホットボンドで固定する。
綿棒はコーワ製品がピッタリ合い、またよくしなう。酸素は105°の、硫黄は92°の
角度定規をつくった。炭素、窒素は、前に紹介したように正四面体を利用する。この模型
はおよそ4億倍である。13種の分子模型をつくった。
授業では、原子の結合、分子構造、反応式と量論、置換・付加など反応の形式を理解さ
せるのに便利である。
平尾・板倉著「分子模型をつくろう」(仮説社)、板倉著「原子とつきあう本」(仮説
社)を参考にした。
そのとき話題になった二酸化炭素の量子論な結合状態は、そのことを直接書いた文献は
手元にありませんでした。そしていずれにしてもこの種の分子模型はそこまでの内容を表
現できるものではありません。
これとは別に「牛乳パックの裏返し」の術を教えてもらいました。これは昨年の安房科
学塾で大村さんが紹介したものです。パックを輪切りにし、正方形4つがリングになった
ものを使います。岡田さんは図と写真入りの説明プリントをつくる熱の入れ様です。目隠
ししてもできるくらいです。
しかしいざ自分がやってみると、手ほどきを受けてもすぐに習得とは行きません。それ
でもねばり強く訓練して、一応全員ができるようになりました。これはホームルームなど
で使えそうです。
高精度温度計(林まさ)
半年を掛けてやっと、0.01℃刻みの高精度温度計が完成した。凝固点降下の計測は
100回を越えた。前々回にも一部紹介したが、その後ベンゼンの凝固点降下も計測でき
るようにし、また校正方法も確立できた。もうひとつ、冷却の条件も重要であることが分
かってきた。冷却曲線を使って凝固点を求める方法は、面倒な上に必ずしも正確とは言え
ない。むしろ寒剤の温度を低くして1分以内に過冷却をブレークさせる。そして上昇した
最高温度を凝固点にすることにした。そのデータの1例は次のようである。濃度はすべて
0.2mol/kg。
(a)水溶液(水のモル凝固点降下 1.86℃)
ブドウ糖 Δ0.37℃
エタノール 0.36
塩化ナトリウム 0.71
硝酸マグネシウム 1.13
硫酸ナトリウム 0.82
(b)ベンゼン溶液(ベンゼンのモル凝固点降下 5.08℃)
ナフタレン Δ1.04℃
安息香酸 0.50
エタノール 0.76
水溶液では、電離による粒子数の増加が確認できるが、硫酸ナトリウムは100%は電
離していないようである。ベンゼン溶液では、安息香酸が2分子会合して溶けていること、
エタノールは一部がそうなっていることがうかがえる。
サークルでは水の凝固点などの計測を実演して、温度計の性能を確認してもらいました。
イオンの電気泳動(林まさ)
高電圧によるイオンの電気泳動の危険性が指摘される中で、18Vでやった昔の実験を
改良してみた。1mol/L塩化カリウム水溶液5mL、BTB溶液5mL、そして2%塩
化アンモニウム水溶液3mL(これはBTBを緑色にするために加える)に水を加えて全
体を50mLとする。これを加熱沸とうさせて寒天(食用で十分)0.5gを溶かし、クッ
キングペーパー上のスライドガラス10枚にかける。固まったら白色のプラ板に載せ、両
端をアルミ箔で包んで電極とし、発光ダイオード(LED)と直列にして9V乾電池(0
06P)2つにつなぐ。そして3mol/L硫酸を浸ませた木綿糸を中央に置くと、陰極に
向かって黄色の帯が拡がっていく(水素イオンの移動)。LEDが光って電気が流れると
き、水溶液中ではこのように電気を持つイオンが移動する。さらに陽極付近が黄色に、陰
極付近が青色になって反対の極に拡がり、水の電気分解で陽極が酸性に、陰極が塩基性に
なることも分かる。ちなみにカリウムイオンや塩化物イオンも移動し、このため寒天の電
導性が確保される。
水酸化物イオン、テトラアンミン銅イオン、過マンガン酸イオンなどでも同じように実
験できる。なお後2者のついては、4つの電池で36Vを掛ける。
尿素樹脂(船橋)
野曽原さんの授業プリントに従って尿素樹脂をつくってみた。試験管にホルマリン6m
Lを入れ尿素4gを加えて、よく混ぜながら弱い炎で加熱して溶解させる。これを水道水
で冷やした後に、試験管に巻き付けて作ったアルミ箔の容器に流し込む。そして6mol
/L塩酸1mLを一気に加えると、激しく重合して白色の尿素樹脂ができる。生徒たちはほ
ぼ失敗なく実験できた。
型に入れるてはどうかという意見がありました。また化学図表に、開始剤に緩やかに反
応する酢酸アンモニウムを使って、透明な樹脂をつくる例が載っていました。
パルス燃焼(船橋)
物理サークルで紹介されたパルス燃焼、自分でもチャレンジしてみた。コーヒー缶のふ
たの中央に9〜10mmの穴を開けたり、上半分が円錐形になっているガラスびんに座金
をつけて、メタノールとエタノールが7:3の混合燃料を10mL弱注ぎ、しばらく手の
平で温めすこし間を置いて点火すると、バイクのような音を立てて燃焼が継続する。爆発
的な燃焼が起こり、燃焼ガスが排気され、排気による陰圧などで外気が補給され、再び燃
焼することがくり返される。ガラス容器は燃焼の様子が目で観察できる。容器の形状や温
などの影響を受けるようで、いくつも試行錯誤した。
こんな燃焼の仕方があるのかと思えるのですが、熱効率が高くて一部の業務用温水器に
実用化されています。
ハートモーター(船橋、鈴木とし)
横浜物理サークルのホームページに載っていた。電池の一方に円形のネオジム磁石を付
け、こちらを下にして立て、銅線をハート形にしてその中心をもう一方の電極に載せると、
いやし系の回転をする。銅線を載せる極は座金を使ったりすこしへこませてくぼみをつく
る。ハート形は中心(支点)が重心のすこし上に来るようにし、下は切れていてもよい。
ハート形の下がネオジムに触れると電流が流れ、フレミングの左手の法則に従ってトルク
を得る。するとハートの下が遠心力ではねて不思議な回転をする。電流の流れる時間が短
いので、かつて紹介された単極モーターほど電池は消耗しない。
自作ストロボ(田中)
LEDでストロボをつくるという船橋さんのアイデアを受けて、マイコンなど電子技術
を活かした高精度のストロボを実現した。手元にはEHCのユニバーサル計測制御システ
ムがある。これでONとOFFの時間幅(デューティ比)を加減した方形波をつくり、こ
れをスイッチにして高輝度LEDを光らせる。周波数は1以下まで加減できる。LEDは
3Wで700円のものを使った。2セットつくって同期して光らせることもできる。他方
でEHCは1Hz刻みの発振器も開発している。これをスピーカーにつなぎ、糸を振動さ
せて定常波をつくる。たとえば30Hzの定常波に30Hzのストロボで照らすと糸の動
きが停止する。次にストロボを30.5Hzにすると、糸がゆっくりと波打つように振動す
る。音叉もわずかに周波数をずらしたストロボで照らすことで、振動の様子がよく観察で
きる。周波数は10kHzくらいは平気で対応できる。
この装置はこれまで観察できなかった領域に光を当てることになると思われます。
酸化と還元(福島)
学習が苦手な生徒たちを相手に、酸化と還元の授業をした。内容は酸素の授受に限定し
た。そして反応はたとえば次のように表現した。
┌─┬──┐ ┌──────┐ ┌─┐ ┌──────┬──┐
│鉄│酸素│ + │アルミニウム│ ―→│鉄│ + │アルミニウム│酸素│
└─┴──┘ └──────┘ └─┘ └──────┴──┘
テルミット反応を演示した後、生徒に3つの実験を取り組ませた。
1.先をコイル状にした銅線を加熱して酸化銅にする。
2.そのコイルを加熱しておいて、水素の入った試験管を逆さにして差し入れて銅にもど
す。
3.酸化銅と炭素粉を混ぜて、試験管の中で加熱し、発生する気体を石灰水に導く。
最後の実験は試験管の口の付近が曇ったり、銅がその時間内には取り出せなくて苦労した。
ちなみに「おもしろ実験・ものづくり事典」(東京書籍)にある、酸化銅をお菓子で還
元するのは、やってみると大変でした。これに対して飲み物で還元するのは使えそうです。
福島さんの苦労と頑張りがよく分かります。
なお福島さんからは、お土産にタイの周期表をいただきました。タイ語と英語が混ざっ
ていますが、元素記号などは万国共通なので大まかな内容は理解できます。
疑問・意見の交流
・中和の反応式は塩基、酸、水、塩の順に書かせるようにしてはどうか。塩基の化学式の
OH と、酸の化学式の H をくくって水ができることが分かりやすい。そして中和の本
質を意識させるためにも水を先に書き、塩を後にする。生徒はなぜか塩の方が頭に残って
いる。
・反応式において化学式の順は規制されていないが、生徒によってはある程度定式化した
方が勉強しやすい面があると思う。
・中学でも水と塩ができることを教えるが、中和したあと塩を取り出す実験の印象が強く
て、塩の方が中和と強く結び付いているのだろう。
・原子が電気的に中性であることは意外に理解しにくいにではないだろうか。生徒にとっ
て中性は電気そのものが存在しないことと思える。イオンでは陽子と電子の差し引き分だ
けの電荷を帯びるというのも同じである。このあたりはすこし電気の勉強をしてから入る
とよいと思う。
・二酸化炭素は無極性分子であるという一面が強調され過ぎる。分子が近づいて結晶をつ
くるときには、C=O の極性によって、炭素と酸素がそばにくるように配列する。
<以上>
番号 10C-003 送信日 10/03/18 差出人 川田 秀雄
件名 高校入試問題(B日程)理科4について
みなさま
川田です。3月15日実施された高校入試B日程の「理科4」の問題について、皆さんのご意見をお聞かせください。
(問題は3月16日新聞各紙に掲載されています。)
3月16日夜、愛知県のA高校の物理の先生Bさんから電話が入った。「理科の試験監督をしていて、問題4がおかしいことに気付き、すぐ校長から県教委に照会してもらった。返事は「中学校の教科書にも類題がある。複数の人が繰り返し検討した問題だから、問題なし」と言われた。
この返答に納得できなかったBさんが私の意見を聞きたいと、電話してきたと言うわけです。私も早速新聞で問題を見ました。確かにおかしい。Bさんは17日朝、文書で誤りを指摘し、校長を通して県教委に詳しい説明を求める、と言っておられました。(その後のことは聞いていません。)
不適切な問題は、当然、理科教育の観点からも排除しなければなりません。こんなことで「15の春」を泣かせてはなりません。
問題は小球の位置エネルギーの大きさを「小球を木片に衝突させ、木片が摩擦力に逆らってする仕事で調べる」という問題です。狙いは良くわかります、が、小球と木片が衝突した時「力学的エネルギーが減少」します。この減少量は小球と木片の質量によって変わります。問題のように小球の質量を変えると、エネルギーの変換率も変化し、回答不能になります。木片の質量を与えれば解答できますが、大学入試問題になります。
中学校でどう教えているかは知りませんが、高校の物理で衝突を扱う時は2段階で考えます。@衝突時、運動量保存則で速さを求め A衝突後の運動エネルギーで仕事を、の2段階です。
ところが、入試問題は衝突によるエネルギーロスを無視しています。このロスエネルギーは、小球と木片の質量比よっては無視できるような量ではありません。半減することもあります。
私の計算も添付しました。計算間違いがあったらゴメンナサイ。
問題を後の便で送ります。
番号 10C-004 送信日 10/03/19 差出人 飯田 洋治
件名 Re:高校入試問題(B日程)理科4について
川田、杉本様、みなさま
私も、今朝新聞で問題をみて、川田さんの書かれたものを読みました。
感想ですが、川田さんの計算は正しい。
でも、図3のグラフでは、小球の質量(m)と木片が動いた距離(S)が比例していますね。これは木片の質量(M)がゼロでないと成り立たないように思います。
川田さんの計算を使って言えば、@式でS∝mが成り立つにはM=0のときです。
S=m2・2gh/2F(m+M) @
問題は、M=0を前提とした問題だったといえないでしょうか。
問題では、木片を軽い物差しのようなものをセンサーのように使っているつもりだと思いますので、「質量の無視できる」木片とすれば良かったでしょうね。
番号 10C-005 送信日 10/03/20 差出人 近藤 直門
件名 Re:高校入試問題(B日程)理科4について
もともと物理の問題は、摩擦力を無視したり,質量を0にしてみたり、現実にはおき得ないようなことを前提にして作られていることが多いですね。この問題も小球よりはるかに大きい木片の質量を0と考えるなんて,生徒にとっては不可解でしょうね。飯田さんがいわれるように「「質量の無視できる」木片」とすれば問題としては成り立つと思いますが、中学生にとってはよけい「わけがわからない」ことになりそうです。
実験結果として提示されているグラフを素直に受け入れて考えれば,出題者の期待する答えは出てくるとおもいます。
この実験結果がおかしいと疑問を持つ生徒は、多分「力を加え続けないと止まってしまう」という摩擦力を無視して考えるような場合と違って、日常生活の中であまり意識してみることは少ない現象なので、ほとんどいないのでは?と思います。
でも、ほんとは無視できないものがいつの間にか無視されて問題が作られているのは、物理を生徒にとってわかりにくいものにしている一因なのかもしれませんね。はずかしいながら、自分も就職して,教える立場になって初めてそのことに気づき、それまでなにかもやもやしていたものがすっきりし、やっと理解できるようになったのですから。
番号 10C-006 送信日 10/03/25 差出人 川田 秀雄
件名 公立高校入試問題 その1
皆様
川田です。現役の先生方は公立高校の合格発表も済み、新年度に向けての諸準備で忙しい毎日かと思います。
さて、入試問題その後ですが、A公立高校のBさんから本日(木)昼頃に電話が入った。校長を介して入試問題の不備を文書で指摘したが、「教科書に類題がある」「混乱はなかった」との返事の繰り返しだった。
そこで、Bさんは中学校の理科の教科書を調べたら「木片ではなく、軽い紙の円筒にぶつけ、一定の摩擦力で止める」と言うもの。Bさんはこれなら「教科書に何の問題もない」と思った。では、何故木片にぶつけたのかを知りたくて、中学校で使う理科の問題集を調べた。するとC出版社から出されている問題集に今年の入試問題とよく似た問題を発見した。Bさんは県教委の説明は言い逃れで「教科書ではなく某出版社の問題」ではないか、との疑惑を持った、と言うわけ。
そこでBさんは今朝、教科書と問題集の両方のコピーを校長に渡し、県教委に再度説明を求めた、との事。(私は現物を見ていませんが)
Bさんは私がakknで報告することを了承しておられますので、Bさんから連絡があれば又投稿します。
「問題4」は杉本さんが言うように、実験を装った問題です。しかも長文でかつ物理的には中身がでたらめです。こんな問題は排除しなければなりません。今後「過去問」として、愛知の子ども達が「誤った問題」とも知らず、わけわからずに若い頭脳に刷り込まれると思うと情けなくなります。ますます物理嫌いを増やします。
思い起こせば、Bさんは入試直後に誤りを指摘したわけですから、県教委の誠意ある対応(ノーカウント等)があってもしかるべきだったと思います。
番号 10C-007 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********
番号 10C-008 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********
番号 10C-009 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********
番号 10C-010 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********
番号 10C-011 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********
番号 10C-012 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********
番号 10C-013 送信日 10/03/** 差出人 ** **
件名 ***********