番号 10B-001  送信日 10/02/01  差出人 林 正幸
件名 環境勉強会通信案

こんにちは、林まさです。
 昨日(1/31)開いた「環境問題を勉強する会」の通信案ができました。参加した皆さんなど、訂正・追加がありましたら連絡してください。しばらくしたらホームページに掲載しようと思います。
 次回の例会は次のようです。
    5月9日(日) 13:30〜16:30 「林ラボ」
 ではまた。

<通信案>
                                   10.1
                               事務局 林 正幸

   環境問題通信10−1号

 今回は近藤、田中(裕)、野々垣、林まさの4名でした。林以外は新たな参加というので
嬉しいことです。そしてこれまでの皆さんのさらなる参加も期待されます。

「留意」どまりのCOP15(林まさ)
 昨年12月20日の「中日」のスクラップのひとつ。記事の見出しを拾うと「COP
15『留意』どまり」「疲労感だけが残った」「拘束力なく、数値空白」である。
 COP3で採択された温室効果ガス(GHG)削減のための京都議定書の期限が
2012年に迫る中で、2020年に向けて新たな合意をつくるべく開かれたCOP15
は、見出しのように終わった。
 米国の姿勢が前向きになり(ただし1990年比でみると削減目標は低い)、日本の鳩
山首相が25%の削減を打ち出した(現状は京都議定書の目標をマイナスに達成中)にも
拘わらず、先進国と発展途上国の対立が全面に出てしまって、会議が空転した。
 07年2月には気象変動に関する政府間パネル(IPCC)が、第4次評価報告書の中
で第1作業部会(自然科学的根拠)報告書を出して、温暖化の可能性を強く警告している
にも拘わらず、本屋には温暖化批判の本が溢れるように並んでます。どうして「予防の原
則」に基づいて環境問題を捉えられないのか、私には疑問です。それに石油の枯渇は目前
です・・・。
 もうひとつの疑問は、国全体のGHG排出量の大小ではなく、どうして国民1人あたり
の排出量をベースして議論しないかです。その方が先進国と途上国の折り合いもしやすい
と思われます。

「生物多様性のいまを語る」(林まさ)
 岩槻 邦男の「生物多様性のいまを語る」(研成社)を読んだ。著者は植物の分類を研
究し、それを通して生物多様性とは何かを考えてきた。現在は兵庫県の「人と自然の博物
館」の館長を務め、生涯学習の支援に取り組んでいる。
 彼の考えの基本は2つに整理できると考える。ひとつは「人は生物多様性なしには生き
ていけない」ことである。
 毎日の生活を見つめてみると、数え切れない生物種と関係を持っている。まず従属栄養
のヒトは食物を摂取し、その有機物からエネルギーを獲得して生を維持している。その食
物のほとんどは生物起源である。食に限らず衣と住を見ても、多くを生物に依拠している。
石炭やおそらく石油も地質時代の生物が元になっている。さらにこころのいやしになるペ
ットはどうだろう。それだけでなく日本文化が生物の多様性抜きに形づくられたろうか。
さらに視野を広げると、直接関係するそれぞれの生物は、その生物単独で生存しているの
ではない。マグロの刺身はマグロだけでいただけるのだろうか。このように私たちはほと
んどすべての生物と係わり、それらに支えられて生きている。
 生命が30数億年前に地球上で発生したとき、生き物は単一のすがただったとほぼ確認
されている。そしてこの生命は発生したそのときから、多様化を始めていた。そして三十
数億年の進化の歴史を経た現在では、数千万とか億を越えるとか推定されるほどの多くの
種に分化している。生命にこの多様性が無かったら、地球環境のいく度かの激変によって
完全に絶滅していただろう。
 進化の歴史をたどると、生物はすべて親戚関係にあることが分かる。そして共同と競争
の中で共存し、生命系の生を30数億年にわたって生き続け、私たちひとりひとりも現在
のその生の断面を生きている。ヒトは進化の結果万物の霊長である地位を得たと認識して
いるが、他の生き物たちとの共存なくしてこの世の生を全うすることはできないことを忘
れがちである。
 もうひとつは「生物多様性を持続的に利用できるようにする」ことである。これは生物
多様性条約の基本的考え方でもある。
 持続的な利用とは、現在我々が生物多様性から得ている恩恵を、孫子の世代も我々と同
じように享受できるようにすることである。日本列島は生物多様性に恵まれているのが顕
著な特徴であることに目を向けよう。日本人はこの列島で自然と共生するライフスタイル
を確立してきた。つまり、客観的には地形の厳しさも手伝って、人里・里山・奥山という
3つのエリアが形成された。ヨーロッパのように絨毯的にではなく、奥山には自然に近い
状態を保全し、人里・里山で生物多様性の恵みを持続させながら、花と緑を愛する豊かな
心情を展開してきた。日本の新石器時代をつくった先祖たちの人為・人工は、一方的に自
然を制圧するというものではなく、自然と馴染みながら、ひとつひとつ試行錯誤を重ねて
積み上げてきたものだった。いま風のいい方をすれば、自然との共生をどう成り立たせて
いくかを詰めていく人為・人工だった。そして国土の20パーセント近くが農地として開
発されると、これまで陽地の乏しかった列島では劣等生であった陽地の植物が生を謳歌す
るようになった。開発によって形成された人里には、外来種が優勢になった。
 その里山が日本人の生活から疎外されることになった。利用価値を失って放棄され、荒
廃している。もっともこの荒廃は、長い目で見ると自然植生への復帰の出発点である。こ
れは自然保護主義者にとって望ましいかもしれない。しかし私たちは原始に戻ればよいだ
ろうか。人里・里山・奥山は、そして森に神の存在を見て畏敬する(「鎮守の杜」)のは、
世界に誇るべき日本の文化であると考えたい。

 メール参加の原 弘良さん(10年前に退職し、地域で「科学クラブ」の活動をしてい
る)からは、教育の中にも同じ原理が存在するのはないかとして、総合理科・生物分野の
彼の指導目標が紹介されました。
1.入学直後には、生徒2人ひと組になって校内の生物探検をくり返す。「友だちと学習
する心地よいコミニュケーション」の始まりを大切にし、他方で科学レポート作成の要所
を押さえ、それを習慣づける。
2.食事作法「いただきます」は、「動植物の命」をいただいで、「私の命」にさせても
らうことである。食物連鎖は換言すれば生命連鎖であること、すべての生物が生命連鎖し
合った生態系の必須存在であるから、小さな鎖の破れも重大な危機を招く。この中で「自
然界の可視化と想像力の大切さ」を習得させる。
ここで可視化とは自然界の本質を捉える視座を得ること、想像力とは自然の摂理を自分の
生き方に結び付けることと、私は理解しました。
 そして3.「すべての生物が、生物進化を経て存在する」、4.「自分自身にみる『命
の連続』」(遺伝)と続きます。

 COP10の実際の会議では、遺伝子資源の略奪に対する途上国の反撃など、利害対立
の議論も行われるでしょう。目先の経済的利益が、生物多様性が持つ大きな意味をないが
しろにする危険もあります。「100年後にも生きていられるには、どうするべきか」を
考えたいという発言がありました。
 砂漠の生物多様性は小さいです。しかし砂漠でしか生きられない生物もいます。緑豊か
な日本も荒涼と見える砂漠も、生態系の多様性としてどちらも保全する必要があります。
生物多様性の3つの側面とは、種・遺伝子・生態系です。
 食物連鎖の頂点にヒトが立っているように言うが、ヒトの後もつながっており、本当は
食物循環と捉えるべきとは、近藤さんの意見です。上の本でも、独立栄養の植物でさえ、
従属栄養の動物が呼吸で二酸化炭素を発排出し、また微生物などが排泄物や死骸を分解す
ることに依存していると指摘しています。
 絶滅危惧種対策もCOP10の重要議題ですが、ある種を絶滅から救うのは、その種が
生活する生態系を含めて保全することである。しかし他方で生物種は全体の1%くらいし
か確認されておらず、生態系の構成要員も十分には分からない。絶滅危惧種対策は試行錯
誤の時間がかかる作業と受け止められて始めて成り立つ、とは上の本の指摘です。

話 題
 近藤 昌宏さんはリサイクル運動に取り組み、エコ商品の開発も考えています。またE
SDにも係わってきたそうです。
 EDSは Education for Sustainable Development
の略で、「持続可能な開発(私は「発展」がよいと思います)のための教育」と訳されま
す。
 NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(EESD−J)
    http://www.esd-j.org/j/esd/esd.php
では次のように解説しています。
 ESDとは、社会の課題と身近な暮らしを結びつけ、新たな価値観や行動を生み出すこ
とを目指す学習や活動です。
 例えば、持続不可能な社会の課題を知り、その原因と向き合う。それらを解決するため
にできることを考え、実際に行動する。そのような経験を通じて、社会の一員としての認
識や行動力が育まれていきます。
 また、豊かな自然といのちのつながりを感じたり、地域に根ざした伝統文化や人びとと
触れながら、人と自然、人と人との共存とや多様な生き方を学ぶといったことも、ESD
のアプローチのひとつです。

 田中 裕也さんの勤務校では上のESDにも関係しそうな「地域ふれあい事業」に取り
組んでいます。また大学では環境の勉強をし、こうりゃんの茎からボード(持続可能な材
料)をつくる研究や、万博で話題になったゼロエミッショントイレに係わったそうです。
<以上>



番号 10B-002  送信日 10/02/07  差出人 伊藤 広司
件名 Re:自転車の空気について 動摩擦力の原因は流体力学で

名高教教研で、わかりにくいけど、読んでいて面白いと聞いて、さらに書く気になり
続けます。図もなく、文章はわかりにくいかもしれませんが、書いている本人の頭の中
は、具体的なイメージしかありません。小説と同じように読んだ人がそれぞれに別なイ
メージを持っていただいていいと思うので図はなしでお願いします。理科教育で今大切
だと言われている概念形成もこんなものかなと思って考えたりしています。

動まさつ力は固体と固体の及ぼしあう力であるが、実は、液体と固体でも同じではない
か。アナロジーは、我々が世界を理解する上で有用な方法のひとつであるが、実は本質
そのものではないか。チルチルミチルのように、青い鳥は実は深い森ではなくて足元に
ある家にいた。でも探す旅があったから見抜くことができたのだから。

ここからは、今まで書いたことから思いついた動摩擦力の仕組みについてのアナロジー
です。あっているか間違えているかは、時間が教えてくれます。ということで、読んで
いただけば幸いです。

静止した液体中を固体が進んでも、静止させた固体の回りの液体を一定速度で運動させ
ても相対的には同じ現象です。
例えば、船や、飛行機の進み方を調べるのに、風洞実験はそういうことです。これは前
に書いた、動まさつ力を測定する生徒実験で、すべっていく物体を動かしても、すべる
物体が載る台を動かしても同じということです。

流体同士でも同じと思うのですが、わかりやすく固体と流体の衝突を考えます。衝突す
る側面では、レイノルズ数の範囲である層流とそうでない乱流では抵抗の大きさがまっ
たく異なります。乱流では、うずが生じて、おおきなエネルギー損失が発生しまる。(
速さの二乗に比例する抵抗があるそうです。)まさに、ジュールの仕事の実験です。し
かし、層流でも抵抗は発生します。これは粘性があるからです。(これは速さに比例す
る抵抗です。) 
流体の流れる速さは、固体表面に近づくにしたがって、固体と同じ速さに近づきます。
例えば、静かな川の流れでは、川の中央ほど速い流速で、川岸に接しているところでは
水の流れは0です。
この川の流れのように整然と流れる同じ向きの流体でも、例え境界がなく連続的になめ
らかに速度変化があっても、接している隣の流線から、流線と直角に、エネルギーの流
れが生じて、負の仕事、つまり流れを妨げる抵抗の結果、熱エネルギーへの変換がおこ
ります。川が水の粘性によるジュール熱を発生させながら一定の速さで流れるには、重
力場からのエネルギーの流入が必要です。(重力場のエネルギーも重力の方向と直角に
流れる)。もちろん、この熱発生による水の流れの抵抗は、乱流に比べれば層流はごく
僅かです。これが粘性の本質で、水の流がもつ力学的エネルギーから熱エネルギーへの
変換が媒体内で一様に行われるような速度分布が生じると言った方が正しいのではと思
われます。
例えれば、理想気体の定積モル比熱が、エネルギーが分配される自由度が、x、y、z
の3方向だけの単原子分子と、さらに回転の2方向が加わる2原子分子での自由度が5
のようになる。そしてどちらの分子も1自由度あたりに分配させるエネルギーは等分配
なる原理と同じだと思われます。この川の流れのように連続的な変化で均質な流体発熱
が、流線と直角方向から入ってくる力学的エネルギーから発熱する場合、どの場所でも
同じように発熱すると考えるのは自然です。そのように均質に発熱するように流れの速
度分布ができあがるというわけです。

さて、動まさつ力が2つの物体の間の潤滑油中で、この川の流れのような層流条件で流
体の粘性抵抗だけから生じると考えます。このとき、この物体間の粘性流体で発生する
単位時間あたりの熱量が、動まさつ力×速度に比例すれば、動まさつ力は、速度に無関
係に一定の値をとることになる。そのような流体の状況は、2つの物体の間の潤滑油の
厚みが一定であれば、流線と直角方向に速度変化が大きくなる。これは、先ほど書いた
ように、接している隣の流れから、流れと直角により大きなエネルギーの流れが生じる
ことを意味します。これは、まさにストークスの空気抵抗で、速さに比例した抵抗力を
うけることになりますが、仮に潤滑油の厚みが増えて、流線と直角方向に変化する速度
分布が変わらないまま延長されたとする。このような場合は、速度分布が変わらないか
ら、粘性からうける抵抗力は、速度に無関係になる。ただし、油の粘性による発熱が単
位堆積あたり一定であっても、粘性抵抗により発熱する潤滑油の厚みは増すから、発熱
量は動まさつ力×速度に比例する。
これから推定すると、このようにして潤滑油の厚みが変化して生じる動まさつ力は、速
さに寄らず一定となる。
ここで、ファイマンさんがどう書いているか気になって探しました。ファイマン物理学
では、摩擦は銅と銅が滑るのではなく、銅の表面にくっついた不純物によってすべり方
がきまると書いてあります。(完全な銅と銅で、その間に何もなければ、自由電子で金
属結合するから動けない。金属面がすべるのは、空気中ではすべての金属面は酸化金属
になっているから、金属面を密着させても金属結合していないからである。)このファ
イマン物理学で最大摩擦力と動まさつ力の差はほとんどないと書いてあるが、実は、昨
年,生徒実験させると、そのとおりなのです。現実のすべり抵抗では潤滑油などが影響
している。そして純粋な金属の間の摩擦係数は測定できないと書いてある。(力学p169)
そして、接触面を振動させると、摩擦係数は小さくなる。これも当然な気がします。(
例:紙すもうで、台を振動させる)さらに、ガラスとガラスが密着すると、動かないと
書いてあります。ガラスはナトリムイオンが水に溶け出す程多いですから、電荷の力で
引きあって動かなくなるのかもしれませんが、動かなければ動まさつ力は測定できない
のです。
ここで、先ほど書いた、層流の範囲内で、流体の速度分布が同じなら、単位面積あたり
の抵抗力は一定であるという電磁波のポインティングベクトルと同じ考えかたが、むく
むと頭の中を蔽っていきます。流線に対して直角に単位面積あたり、そして単位時間あ
たりの同じ量のエネルギーが流入し、そのエネルギーの一部が、粘性流体の単位体積あ
たり一定量の割合で熱に変換されている様子が想像できます。そしてファラデーが書い
ているように、物体と物体が密着したらすべらないということを結びつけると結論はひ
とつになります。
動まさつ力が一定の範囲とは、物体と物体がすべっている間の接触面に、流体(油でも
、空気でもよい)が満たされていて、速度が増すにつれて、物体と物体の間に、より厚
みのある方向に流体が取り込まれる仕組みが存在するという条件である。流体は層流で
なくなるほど速くなるとこの条件に合わなくなるし、流体がすべり面の空間に取り込ま
れなくて、逆に潤滑油の役割を果たす流体の厚みがうすくなれば、固体面と固体面が直
接こすれあって削られるという、別なシナリオになります。具体例として、昔の自動車
のエンジンでは暖気運転せずに高速回転させると潤滑油不足でピストンがシリンダに焼
きついて修理不能になったものです。
生徒実験で、木と木をすべらせたとき、速度を変化させても動まさつ力が一定なのは、
速くなるほど、すべる面に供給される空気層や削られた木の粉末の層の厚みが厚くなる
から、一定の粘性抵抗になるからである。
まだ、納得できない部分が多いし、結論はファイマンが書いているように条件によって
かわる半実験的な法則のひとつということでしょうか。



番号 10B-003  送信日 10/02/09  差出人 林 正幸
件名 先進科学塾にどうぞ

こんにちは、林まさです。
 名古屋市科学館の先進科学塾もほぼ7年が経過しました。現在は年8講座で運営しています。対象は高校生から社会人までです。
 3月6/7日(土/日)(1日コースを2回)を担当する私からの呼びかけです。テーマは
  「化学平衡の新たなイメージ〜化学的変化はどちらに向かうか〜」
です。これは私が30年来考えてきたことです。化学的変化は正逆両方の向きの変化、対立する2つの変化から成り立ち、互いにその勢いを競い合っています。この「勢い」と言うのは化学熱力学では自由エネルギーないし化学ポテンシャルと呼ばれる量です。この用語をいきなり正確に理解するのは難しいので、「勢い」というぼか
した表現で大づかみにその内容をイメージアップしようというのが、私の狙いです。
 「勢い」が濃度・温度・圧力でどう変化するのか、これは定性的には単純なのです。これで対立する2つの変化の勢いがどうなるか、ダイナミックに捉えることができます。ルシャトリエの原理(平衡移動の法則)はある意味では現象論的です。これに留まらない新たなイメージアップをしようと言うのです。
 興味が湧きましたら、この講座に参加してみませんか。
   電話:052−201−4486(科学館)
   e-mail:refresh@ncsm.city.nagoya.jp
 ちなみに3月27/28日(土/日)には川田さんが担当する講座「偏光を楽しもう」があります。訴えの方は彼にまかせますが、こちらもよろしくお願いします。
 ではまた。



番号 10B-004  送信日 10/02/14  差出人 田中 英二
件名 弦の定常波についての質問

おはようございます。田中です。
昨日、船橋さんと、高輝度白色LEDを使ってストロボができないかということ
が話題となりました。このはなしのきっかけはリードスイッチこまの回転数を計
りたいということからでした。H8UMCSを発振器モードにしてデューティー
比(2〜5%)を変えて高輝度白色LEDを光らせると、ストロボになりまし
た。リードスイッチごまの回転数をそのストロボと、市販のストロボの2つで測
定しました。ともに、1秒間に80〜140回転ほどでした。それで、弦の定常
波もそのストロボで見てみようということになって簡易メルデ実験器で、
90Hzで3つ腹の定常波を作りそのストロボで見てみました。自作ストロボを
90.0Hzにセットすると定常波がピタリと止まりました。ここからが問題
で、質問したいところです。このストロボ像には2本の弦が写ります。常に2本で
す。それで、90Hzの半分の45Hzストロボをセットして見たところ、1本
の弦になりました。90Hzの定常波の場合腹は90Hzで振動しているので
90.0Hzのストロボで1本の静止の弦となるように思うのですが、実際には
2本の弦が見えるのはどうしてでしょうか。どうもよく分からないので教えて下
さい。
蛇足ですが、船橋さんと製作した高輝度白色LED(12V3W)を使った自作
ストロボは、市販の学校にあるストロボ装置より明るいし、セットもしやすく軽
いのでとてもいいです。(自画自賛かな)それではよろしくお願いします。



番号 10B-005  送信日 10/02/21  差出人 伊藤 広司
件名 こまの重心と自転車の空気、まさつ力

私はこま回しが苦手なので、和田さんのこまの重心が3つということが、実は意味が不
明でした。(ちなみに家内は私よりこま回しがうまいの、自宅に何種類かのこまはあり
ます。)2回目の動まさつ力の話題で、困っていた内容がやっと理解できました。昔読
んだ本で、こまは動摩擦力で回っていると改めて思い出すと、前回までの「Re:自転車
の空気について」シリーズと結びつけて書きたくなりました。わかりにくい点もあるか
と思いますが、前の話と続けて読んでもらえれば幸いです。
 まず用語の定義から、コマであろうと何であろうと、物体(剛体)の重心はただ1つ
1点です。重心の見つけ方は、対称物体の任意の異なった2点に、糸を結び、それぞれ
1本だけつまんでつるした線の延長線上を描きます。その2本の延長線は1点で交差し
ます。それが重心です。物理の教科書では三角形の定規などの重心を求めるのに、2つ
の頂点に糸をつけて、つるして延長線を2本描いて、交点で重心を求める実験などがあ
ります。また、物理Tの力のモーメント問題で、一様な太さでない棒(例えばバット)
の重心を求めるのに、棒を水平に保つように(指など)離れた2点で支え、その支点が
うける力の大きさで、重心位置を求める計算問題があります。
 そして、その応用として私も毎年、簡単に教室で演示実験しているのですが、上記の
バットのように棒を水平に支える2本の指を互いに近づけると、自動的に棒の重心を見
つける実験を見せています。動まさつ力(最大摩擦力も)の大きさが重心に近いほうが
大きくなる原理で、重心が2本の指の間に収まるわけです。
 さて、こまの話題に戻ります。
前に、定積モル比熱で、単原子分子に比べ2原子分子では、回転2方向に自由度がある
ので、回転エネルギーに等分配される分だけ、モル比熱が大きくなることに触れました
。そこで、もっとも簡単な「こま」を自作してみます。それは、2原子分子の分子模型
のように、2つの球を質量が無視できる棒で結び、その棒の中心に、直角2等分線によ
うにこまの回転軸をつけたものを想像してください。そのこまが回るでしょうか、回す
ことはできますが、回転軸が傾くことを重力と、床面からの力だけから防ぐことができ
ません。こまの重心は、重力に逆らうことができずに、床面に倒れてしまいます。もっ
とも簡単な安定したこまをつくるには、最低3つの球を、Y字型の針金の先端につける
必要があります。こまの回転軸は、この3つの球の各重心を結んだ三角平面に垂直に、
3つの球全体の重心(この平面上にあります)を通過する向きに取り付けることです。
 ここで、古典的な「こま」をかってに定義してみます。1個の物体が、1点で水平な
床面に接地しながら、鉛直方向を向いた回転軸まわりに回転し、重心が、接地した点よ
り上にあっても倒れないで回転し続けること。このとき回転体は、重力と床からの抗力
(重力と動まさつ力)以外の力を受けないこと。
 もし、無重力空間で、こまをまわしたら、回転軸は最初に回した軸方向(重心を通り
ます)のままで、全体の重心は、等速直線運動します。もちろん、重力がないので倒れ
るという考え方そのものが存在しません。さて、地上で、テニスのラケットを回転させ
ながら投げあげてください。安定した回転を続ける回転軸の方向があります。それは、
回転エネルギーを最大にするか、最小にする方向のどちらかです。(回転エネルギーは
、回転速度と慣性モーメントにより決まります。回転速度が同じなら、慣性モーメント
が大きいほど回転エネルギーが大きくなります。)ちなみに現在話題の4回転ジャンプ
では、慣性モーメントを最小にして安定な回転をするように、回転中は選手の腕や足を
組み合わせ、体型を一直線にして安定な姿勢を保っています。慣性モーメントとはこま
を回すのにどれくらいエネルギーが必要かというこまの質量と形状できまるそのこま固
有の定数ですが、重心を含む回転軸をどの方向にとるかで異なる数値をとります。
 一般のこまでは、回転軸は、形状から慣性モーメントが最大になる方向に決められて
います。逆立ちこまのように、手で最初回したときの回転軸は、途中で変化し、逆さま
になったときに、回転軸は反対向きになります。
 ここで、普通のコマと逆立ちコマについて少し触れておきます。普通のコマは倒れよ
うとすると、それを防ぐように、回転エネルギーを減らしてでも、重心を高く保とうと
します。これは、回転軸が接地面でうける動まさつ力を利用しています。ですから、動
まさつ力が0なら、こまは倒れてしまいます。動まさつ力が大きいほど復元力も大きい
のですが、回転エネルギーの消耗が激しいので、回転がゆるやかになれば、やはり倒れ
てしまいます。
 ここで、コマでなく、自転車の前輪のように、高速で回転する物体の回転軸を変える
には、外からエネルギーの注入が必要で、簡単に回転軸が変えられないという点と、コ
マの安定は別の要素があるということです。確かにコマも高速回転であるほど、安定な
姿勢を保ちやすいと思いますが、それは、慣性と同じで、今の姿勢を保つ性質があるの
ですが、その姿勢を変えるような、重力と垂直抗力だけなら、ゆっくりであっても回転
軸は傾いていくことになります。それを防ぐのが、動まさつ力であり、回転エネルギー
を消耗してでも、コマ自身の重心できまる重力の位置エネルギーを最大にしようとする
構造があるからです。
具体的に、逆立ちゴマのはじめの回転では、コマの重心はかなり低い位置にあります。
しかし、コマと床の接地面の形状は針ではなく、球面にして、動まさつ力を回転軸の向
きを変更させるほど大きくします。もちろん、回転軸は常に接地面を通り、動まさつ力
の発生する場所も接地面で移動していきます。逆立ちした時点で、コマの重心はかなり
高くなりますから、その差の位置エネルギーと途中の動まさつ力による摩擦熱の合計分
だけ回転エネルギーは減少しています。
 これで、コマの姿勢を制御しているのは、動まさつ力であることに賛成していただけ
たでしょうか。そして、普通のコマも、接地面は針ではなく、厳密に拡大すれば、球面
です。コマが傾いたとき、真に針が床と接地している点は、回転軸に中心でなく、最大
針の太さだけ回転軸の中心からずれた位置です。極端な場合、針の先を円筒断面にして
ください。このとき、この針先の円筒の周囲に1点が、位置を変化させながら、床面と
すべりながら移動していくことになります。何かと似ていると思いませんか。 
 動まさつ力、すべりながら制御している。ドリフトです。自動車の後輪をスリップさ
せながら、動まさつ力の方向をコントロールする。もちろん動まさつ力だけでコントロ
ールできるわけではありません。軸が傾き、接地した部分で軸が動まさつ力をうける。
軸が前進する。歳差運動がはじまります。歳差運動で、針の接地部分は円周を描きなが
ら、進んでいきます。ほとんどの動まさつ力は、この円の接線方向を向いて円運動を継
続させていきます。しかし、ドリフトのように、ほんのわずかな動まさつ力の成分が、
普通のコマでは、円の中心方向を向き、逆立ちゴマでは、円の外周方向を向くように、
コマの針の形状が設計されていると見るのはどうでしょうか。
 話は最初に戻ります。安定したコマは、@重心をみつけること、そして、その重心を
通り、A慣性モーメントが最大になる方向に回転軸をつけること、最後に、B針の接地
部分の形状を工夫すること。
 Aの慣性モーメントを最大になる方向を見つけるのは、難しいのですが、慣性モーメ
ントを最大にする方法は、回転面を決め、その中心からできるだけ遠くにおもりを配置
し、回転面上に重心をみつけて、面に垂直に回転軸を取り付けることでしょうか。

 以上が、コマをうまくまわせない素人のコマ理論です。
ちなみに、空中に浮く回転磁石コマがあります。この磁石の回転軸を倒れないように戻
す仕組みは何でしょうか。ヒントは、回転エネルギーを使って、コマの重心を高くする
仕組みです。答えは、磁石コマに付属している、金属環です。ここで発生する渦電流に
よって生じるジュール熱と、その電流がうける電磁力ではないかと思うわけです。詳し
い説明はどなたか解説してください。



番号 10B-006  送信日 10/02/24  差出人 田中 英二
件名 物理サークルのみなさんへ

この前の物理サークルでLEDストロボを船橋さんと二人で発表しましたが、
(岐阜の石川さんも同じことを考えていました。驚き)そのときH8UMCS
(ユニバーサルメージャーメントアンドコントロールシステム)でデューティー
比を4,5%にしてLEDストロボを点灯しましたが、普通の発振器でもできる
かと質問がありました。そのとき「普通の方形波発振器を使用する場合はLED
ストロボと方形波発振器との間に微分回路を入れるといい」と言いましたが、し
かしあの後あの回路では明るさが少し乏しいことが実験をしてみて分かりまし
た。そのため、OPアンプ(NJM7032)とPIC12F683を使って、
微分回路に替わる方形波のデューティー比を変換する回路を考えてみました。こ
れを使うと、同じデューティー比で(4%としました)LEDを点灯することが
できるため明るくなり、また解像度を一定にすることができました。
74HC123AというIC(単安定マルチバイブレータ)使用して、アナログ
的に方形波のデューティー比を変えることができるそうですが(コンデンサーと
抵抗で)、同比率でデューティー比を変換するというわけにはいかないようで
す。デューティー比を同比率で行うためにはやはりデジタル化する必要があり、
そのために今回はPICマイコンを使いました。



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