番号 10A-001  送信日 10/01/11  差出人 伊藤 政夫
件名 自転車の空気について

昨日の、科教協の企画はお疲れさまでした。
ところで、全然関係ない話しですが、
先日、自転車をこいだらやたらと重かった(力を入れてもなかなか加速しない感じ)ので、タイヤに空気を入れました。すると、まるで違う乗り物みたいに軽 くなりました。どんどん加速するのです。
空気を入れれば、地面とタイヤの接触面積が小さくなるので、摩擦が小さくなるから・・。と考えて、納得したような気になりましたが、F1のタイヤは、表面が少し溶ける素材になっていて摩擦を大きくしていると聞いた事があり、あれれ?おかしいぞと思いました。
そもそも、自転車だってタイヤと地面は転がっているのであって、すべっているわけではないですよね。どなたかわかりやすく教えて下さい。



番号 10A-002  送信日 10/01/13  差出人 林 正幸
件名 Re:自転車の空気について

 こんにちは、林まさです。
 面白そうな話題ですね。私は次のように考えてみました。
 タイヤがある大きさのトルクを持つとして、それによりタイヤは接線方向にある大きさの力を地面に及ぼします。タイヤがへこんでいないときはそれは地面に平行で、その反作用として無駄なく駆動力が得られます。ところがへこんでいると(タイヤが地面と接し始める部分で考えると)それは地面の中に向かう方向になり、地面に平行な分力で駆動力を得ることになり、地面に垂直な分力が無駄になります。これは坂道の物体を水平方向の力のみで押し上げるのにそっくりです。こうしてより大きな力でこがないと同じような駆動力が得られないと思います。
 ではまた。



番号 10A-003  送信日 10/01/15  差出人 杉本 憲広
件名 Re:自転車の空気について

杉本です。タイヤの問題面白いですね。以前から、自動車なんかが動くときに、駆動力も摩擦力なのに、なぜ運動を妨げる摩擦力も働くのか(回転軸等の摩擦もありますが)不思議でした。
 タイヤを変形するためのエネルギーということですが、飯田さんが紹介してくれたHP「ゴム摩擦の不思議」に、ゴムは変形して元に戻ろうとするから摩擦力が大きくなるのだという記述がありました。このゴムを変形させる力がひろさんの変形させる力に相当するのではないかと思いますがいかがでしょうか?つまり、地面に接地するときにゴムが変形するのに進行方向と逆向きに力を受けるということです。
ちなみに、そのHPには、ゴムはしなやかに変形するので摩擦力は接する面積に比例して大きくなると書いてありました。
 では。



番号 10A-004  送信日 10/01/15  差出人 近藤 直門
件名 可児川足跡化石

24日の木曽川の地層観察は何人くらいのさんかになるでしょうか?

可児市の可児川河床から大量の哺乳類足跡化石が発見されたというニュースが数
日前に新聞やテレビで報道されましたが、NHKのニュースをみてみると、河床
全面に動物が踏みつけたあとがぐしゃぐしゃにつき地層面が凸凹している様子が
映っていました。連続性が確認できる歩行跡もたくさんあるようです。報道によ
ると3月には河川改修ですべて壊されてしまうということで、残念です。
これだけの規模のはっきりした足跡面は他に見られないのでざんえんですが、16
日(土)13時から市民対象の現地説明会が行われます。さきほど教育委員会に問
い合わせたところ特に申し込みなどは必要ないそうです。私もぜひ見てきたいと
思います。
24日の巡検の最後に見学できるといいのですが、工事がはじまってしまうとだめ
かもしれませんし、時間も今回は、露頭をビデオ撮影するということなのできつ
いかもしれません。

場所は、新聞の地図で見ると太多線の鉄橋の下流左岸(南岸)のようです。こん
な足跡露頭は2度とみられないと思いますので、ぜひ出かけられるといいと思いま
す。

現地を確認してないのでわかりませんが、恐竜の足跡面の経験から言うと、同様
な面がさらに下から出てくる可能性もあるので、河川改修でどのように改修され
るのかも興味あります。



番号 10A-005  送信日 10/01/16  差出人 林 正幸
件名 Re:自転車の空気について

はよう、林まさです。
 私も自分の考えに十分には納得していないのですが、そしてスリッパの例はそうだと思います。この例ではスリッパに対して、女子生徒が一歩々々踏みつぶして仕事をしています。しかしタイヤに対して、たとえば車軸はどのように仕事をしているのでしょうか。力は及ぼしていますが、変位はありません。ところが地面も変位をしていないので、このあたりどう考えたらよいのでしょうか。
 タイヤが変形しないまま回転しそしてつぶれることをくり返すと考えると、たしかにタイヤがつぶれつとき車軸がタイヤに仕事をすることになります。そしてこの場合一時的に車軸が持ち上げられることになります。しかしその後車軸は再び元の位置まで下がり、車軸を持ち上がるのに必要なエネルギーは回収されます。となるとタイヤをつぶすために必要なエネルギーのみが残る。つぶれが戻るときは仕事をする相手がいないので熱エネルギーになる。これでよいのでしょうか・・・。
 ではまた。



番号 10A-006  送信日 10/01/16  差出人 杉本 憲広
件名 Re:自転車の空気について

クッションのスリッパのイメージはいいですね。変形させるのは床からの力ですよね。
仕事はその力によってされます。その仕事が変形のエネルギーと運動エネルギーになり
ますが、その弾性エネルギーが100%運動エネルギーとなって戻らないところが問題で
はないでしょうか。つまり、非弾性衝突ということです。でも、ちゃんと地面を蹴るこ
とができない方が大きいですかね・・・。
 タイヤもHPにあったゴムの「ヒステリシス」というのが気になっていて、変形がもと
にさっと戻らず弾性エネルギーが失われているのではないかと思いますが、私もよくわ
かりません。
 いろいろ考えていて、
 力学的には、このときの地面から受ける力がへこむほうと戻る方とで大きさが異なる
ためにタイヤが逆向きのトルクを受けるからではないかとも考えました。
 それから、案外、ぺちゃんこのタイヤの接地面とゴムとの粘着力が大きくて離れると
きの力が大いに利くのではとも考えました。
 以上、だれか明快な答えを!



番号 10A-007  送信日 10/01/17  差出人 伊藤 広司
件名 Re:自転車の空気について 断熱圧縮と考えては?

最近、メールを開く時間がないのですが、10年ぐらい前から少しずつ考えためてい
た点が話題になっているので、まとめてみました。一応、プロのドライバーの書いた本
やテレビインタービューの話とも矛盾ないと思いますが、体育の先生など身近な人と話
すと理解してもらえない場合が多いようです。
1. ころがり摩擦について
20代の頃、冬はスキーに行っていたので、今でも冬はスタッドレスタイヤにしていま
す。スタッドレスタイヤにも性能に差があり、性能がいいほど価格が高いです。外国製
は高すぎて使用したことはないのですが、15年くらい前からは、修理屋さんにすすめ
られて、それまで使用していたヨコハマタイヤから少し高いブリジストンタイヤに変え
ました。タイヤに触れればわかりますが、ブリジストンタイヤはやわらかいです。凍っ
た雪上面でも、やわらかいタイヤは氷との接触面積が増大します。実は、完全に凍った
氷の摩擦係数は結構大きいなと実感します。ところが、硬いタイヤは、接触面積が小さ
いので、スケートと同じで、表面が溶けて滑りやすいのです。スタッドレスタイヤであ
る、やわらかいタイヤでも、スキー場までの途中の道路面が0℃付近では、水の膜がで
きていて、水の膜を排除するような溝が工夫されていないと、よくすべるということで
す。
 実際に、スタッドレスタイヤを交換しなく、6月まで使用していると、雨では通常タ
イヤよりスリップしやすく危険です。そして、高価なスタッドレスタイヤも2、3年で
硬くなってきます。そうすると雪での性能はどんどん落ちていきます。そこで、夏まで
乗りつぶそうとすると、雨では、すべりやすいし、さらに柔らかい分、変形が大きいの
で、燃費が悪くなる。さらに、高速道路を長時間走ったときの、タイヤの発熱を充分に
放熱できない可能性もあるのです。
 ここまでで理解していただいたと思いますが、ころがり摩擦には、タイヤの変形が必
要であるということです。完全剛体では、ころがり摩擦は発生しません。もちろん駆動
力も発生しません。鉄のレールの上の鉄の車輪も変形しているから、ブレーキ力や駆動
力が発生しています。完全剛体でなくても、面と面がすべらなけらば、静止摩擦力だけ
なら、負の仕事は発生しないはずです。しかし、タイヤ自身が変形する・つまり仕事を
されるので、これが負の仕事となり、変形した部分がもとに形にもどり正の仕事をする
ので、この仕事に差があるので、その損失分の仕事が、ころがり摩擦が原因ということ
になります。

2 空気いりタイヤの役割、断熱圧縮について
 かって、スペースシャトルが、帰還するとき、シャトルの腹底の耐熱タイルがはがれ
て、機体が爆発したことがあります。現在宇宙から飛行物体が、地球に安全に帰還する
には、持っている運動エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する方法しかありませ
ん。
 空気抵抗による負の仕事と簡単に説明もできますが、機体表面では断熱圧縮により、
圧気発火気のピストン表面のように、併進運動してきた気体分子が、固体表面に衝突し
、固体表面にある分子の熱運動を増加させます。固体表面が高温になれば、黒体放射と
して電磁波エネルギー(光)が放出されるので、何とか耐熱タイルが耐えられる温度限
界内で、無事地球に帰還できる設計になっています。高温であるほどよいブルーキにな
るわけです。
 さて、タイヤ内部の気体も、進行方向前面では、断熱圧縮で、温度が上昇します。し
かし、タイヤ内部の気体は、タイヤに進行方向後部で、もとの大きさにもどるとき、断
熱膨張で、元の温度に戻り、エネルギーロスはありません。つまり、空気だけなら、こ
ろがり摩擦は発生しないということです。では、ころがり摩擦はどこで発生するか。つ
まり、タイヤの空気でない部分です。ゴムは、圧縮すると断熱圧縮になり、もとにもど
る、つまり伸びるとき、断熱膨張で温度が低下します。(この逆応用でゴムエンジンが
あります)
 上記のスペースシャトルのように、タイヤの温度が高温になりやすい、つまりやわら
かいゴムほど変形が大きく、発生する熱エネルギー量は大きく散逸しやすいということ
です。タイヤ表面の溝は、その熱を安全に冷却放熱する手段でもあるのです。
逆にレースタイヤでは、タイヤ表面の温度が下がらないように、溝はないし、ピットイ
ンのときタイヤ表面の温度が低下しないように、保温マットをかけます。ゴムが硬くな
らないようにして、ころがり摩擦力を最大にしているわけです。

ただし、このような話のすべてを生徒にできるわけでありません。生徒の関心をあまり
車に集中させるのは、高校生の段階では、少し危険が大きいので、自転車の空気は一杯
入れた方が楽だよぐらいで止めておきます。 少し長くなりました。読んでいただけれ
ば幸いです。



番号 10A-008  送信日 10/01/18  差出人 伊藤 広司
件名 Re:自転車の空気について 二足歩行も同じと考えては?

 最近、テレビで、アスリート専用の義足を装着(両足とも)して、短距離で健常者よ
り早く走ったために、出場取り消しになったドキュメントを見ました。
 普通の義足でなく、すねから下が軽量の板バネ1枚で、できていて、横からみると、
チータなど高速で走る動物の後ろ足を、非常にうすい板バネで作ったものと考えればよ
いでしょうか。
 もちろん、本人の人並みはずれた運動能力と絶え間ないトレーニングがなければ、健
常者より早く走ることはできませんが、その記録が生まれるためには、物理的に可能と
なる仕組みが用意されているのも事実です。はじめに地面前方についた義足のバネがし
なって、ほぼ100%弾性エネルギーとして蓄えられ、体がその着地点より前方にでた
とき、後方の地面に接触した義足の弾性エネルギーは、その人自身の加速運動に有効に
使われる仕組みです。ばねに乗って跳んでいくというイメージです。
 例えば、プリウスのように筋肉の仕事(エンジン)が、弾性エネルギー(プリウスで
は電池に蓄電されたエネルギー)として蓄えられ、必要なときに、必要な所に配分され
るわけです。
 スポーツとして考えると、走り高跳びと、棒高飛びは別のルールで競われる競技です
。したがって、水泳の特殊な水着の使用が禁止されたように、弾性エネルギーを極端に
利用した用具の使用は別のルールで競われるべきかもしれません。
 しかし、限られた身体能力を、可能なかぎり最大限工夫して、記録を塗りかえるとい
う人間の営みは、障害の有無に関わらず、尊敬されるべき人間の挑戦ではないかとも思
います。
 さて、この弾性エネルギーとして蓄えられる点は、空気をバネとして考えたとき、タ
イヤに似ていると思いませんか。
 タイヤ前方でゴム接地面の変形で圧縮された空気は、タイヤ後方部のゴム接地面を変
形する前の円筒形に復旧する仕事に使われます。断熱圧縮と断熱膨張では仕事のロスは
ないから、空気バネが完全な弾性衝突となり、ころがり摩擦力は0で、走り続けること
ができるということです。ころがり摩擦力は、ゴム内部でのエネルギー損失から発生す
るとしか考えられないのではないでしょうか。ゴム面が地面と非弾性衝突して発熱する
部分の影響もあるでしょうが、ゴムが完全弾性体なら、発熱はないということです。一
応タイヤは空気圧で元の形に戻るのですから。
 それから、鉄の車輪と鉄のレールでも変形があるのですが、車輪が変形しなくても、
レールが変形します。車輪前部がレールを押して変形させるのですから、車輪前部が接
触しているレールからうける力(合力)の作用線は、車輪の回転を止める方向のモーメ
ントを持っています。つまり作用線は、車輪の回転軸のわずかですが、下を通過します

 そのような、レール変形による運動を妨げる方向の抵抗力は、車輪が通過した後に、
レールの変形が元に戻るとき、レールは車輪を、運動方向に押して正の仕事をします。
この2つの力が完全につりあえば、ころがり摩擦力は0になるのですが、車輪後方のレ
ール復旧が遅れれば、つまり、レールが変形して蓄えられた弾性エネルギーが、車輪を
押すのに使われることなく、レール上に散逸すれば、やはりころがり摩擦力が発生する
ことになります。高速鉄道で、車輪とレール方式での速度限界は、この抵抗力の増加も
あるのでは?と考えますが、ここから先は考えたことがないので、どなたか書いてくだ
さい。以前に比べるとこの速度限界はかなり進化しているような気がしますが。営業車
ではヨーロッパは時速300km以上ですが、中国では時速350kmです。有人試運
転の世界記録はインターネットで見ると時速574.8km(TGV)ということです


前回同様に少し長くなりました。書き出すと止まりませんね。読んでいただければ幸い
です。 ]



番号 10A-009  送信日 10/01/19  差出人 伊藤 広司
件名 Re:自転車の空気について 後輪駆動と前輪駆動について

 言うまでもなく、自転車は後輪駆動です。大学1年の春休みに免許を取ったのですが
、当時は、自動車学校の車は後輪駆動でした。そもそも前輪駆動の乗用車など存在しな
かったかも知れません。後輪駆動では、雪道の坂を上がるとき、後輪が斜面の低い方に
流れて、山道では苦労しました。免許1年目の冬に、深夜の高速道路を運転中に、橋脚
の上に負歌積もった霜が凍っていて、突然、後輪が横滑りを始めて、車体が進行方向に
15度くらい斜めを向いて、全くコントールできないまま時速80kmで直進を続けま
した。幸い降雪でなかったので凍結した橋脚部分を通過すると、氷のない路面上に出た
ので車体後部を振りながらも、体制を戻すことができました。一応、自動車学校で習っ
た知識として急ブルーキを踏んでいけないことは知っていましたが、その時点でそれを
自覚していたかどうか記憶にありません。
 この事件の後、道路面をよく観察することや、タイヤが滑ることに関心を持ったわけ
です。「物理の散歩道」には、急ブルーキを踏んで、タイヤがロックすると、4脚のテ
ーブルが滑っていくのと同じで、全くコントロールできないと書いてありました。
その後、世間の流れで、燃費のよい前輪駆動になり、横滑りの経験はなくなりましたが
、やはり、一度雪面での急ブレーキの結果タイヤがロックされて、車体が180度逆を
向いてしまう経験をしました。
現在のマイカーは初心に戻って、後輪駆動車です。(今では当たり前ですが)ABSも
標準装備です。ABSはタイヤをロックさせない仕組みです。雪道などで急ブレーキ時
にタイヤがロックするとブレーキ力が自動的に弱まり、路面とタイヤのスリップ状態を
回避する装置です。安心して、急ブレーキを踏めるのはありがたいことです。免許を取
ったころは、ABSは存在しませんから、急ブルーキで車体がすべりはじめたら、すべ
らない限界までブルーキを緩めることを耳学問で教えてもらっていただけでした。
 昔の車でも、普段から4輪の空気圧などバランスをとっていれば、4つのタイヤのブ
レーキ力が等しく、ハンドルが直進方向を向いていれば、急ブレーキでタイヤをロック
させても、自動車はまっすぐ向いたまま停止できます。以前NHKテレビでプロのドラ
イバーがテストしていましたが、濡れた路面でも、ABSがない方が制動距離は短くな
ります。昔は、事故のとき、急ブレーキでロックしたタイヤと路面の間で発生した摩擦
音がよく聞かれました。最近はABS車の普及で、ブレーキ音はしなくなり騒音が減っ
たけれど、事故のときスリップ痕が残らないので事故検証が難しくなったという弊害も
聞きます。

 前回、車輪が路面から受ける力の作用線が、車輪の回転軸を通らないと書きましたが
、実は、接地面からタイヤがうける力の作用線が、車軸の上を通るか、下を通るかは、
4輪自動車の場合、前輪駆動か後輪駆動か、加速時か、減速時かで分けて考える必要が
あります。ころがり摩擦力(タイヤの変形だけで考えています)だけで言えば、前回、
タイプミスしましたが、タイヤは路面から、車輪の回転を妨げる向きの力のモーメント
をうけます。この力の作用線は、タイヤの接地面から、回転軸の上方を通ります。
後輪駆動の場合は、後輪は、アスリートが後ろ足で地面を蹴るのと同じで、タイヤ面が
、進行方向逆向きに道路面を、後方の斜め下方に押します。反作用でタイヤは、道路面
から、進行方向の斜め上方に力をうけます。この力の作用線は、タイヤの回転軸の下方
を通ります。つまり、タイヤの回転を止める方向の力のモーメントを受けます。もちろ
ん、加速時には、この力のモーメントより大きい力のモーメントをエンジンから受け、
駆動輪を回転させ続けます。等速回転しているときなら、この2つの反対回りの力のモ
ーメントの大きさは等しくなります。反対に、駆動輪でない前輪は、アスリートの体の
前方に着地した前足と同じですから、ころがり摩擦だけをうけ、路面からうける力の作
用線は、接地面から、後ろ向き上方に向かって、タイヤの回転軸の上方を通過します。
もちろん、等速回転しているなら、タイヤの軸から、この力のモーメントと大きさ等し
く、反対回りの力のモーメントをうけます。これも自動車のエンジンがする仕事の一部
となります。
前輪駆動では、まったく反対に前のタイヤが路面うける力の作用線は、前方斜め上方に
、タイヤの回転中心の下を通過します。駆動輪でない後輪がうける力の作用線は、後方
斜め上方に、タイヤの回転中心の上を通過します。

「いきいき物理わくわく実験」に急ブレーキをかけると・・・の実験が記述してありま
す。前輪だけがロックしても、車体は安全に停止するが、後輪だけロックすると、車体
は180度回転する。実は、急ブレーキをかけても、後輪駆動車はエンジンが止まらな
ければ、後輪は回転し続けます。ABSがないと、前輪だけがロックします。反対に、
前輪駆動車は、エンジンが動いていても、後輪がロックすると180度回転していまい
ます。先ほど記述しましたが、ABSなしの前輪駆動車に乗っていたとき、あやうく事
故になるのが、この経験でした。
 後輪駆動車でも、後輪が横にすべりするのは、最大摩擦力に対して、許されない大き
さの向心力を要求するような急カーブをきったときです。しかし、雪面など、摩擦力が
小さい場合はかなり低速な直進運動中でも、横にすべりするときがあります。その時、
減速するのが事故回避の手段ですが、急ブレーキで、さらにすべって危険な場合もあり
ます。ゆっくりアクセルを上げて減速し、タイヤの回転と、車の速度があって、ころが
り摩擦と駆動力を一致させ、進行方向も横方向も最大まさつ力で、タイヤが路面をグリ
ップすることで横すべりが止まるはずです。経験がないのですが、ハンドル操作などで
、後輪駆動の方がコントロールできる範囲が大きいようです。もちろん、事故防止には
、危険な速度をださないことが一番ですが。
 最大摩擦力と動摩擦力(横でも縦でも滑っているとき)に対して、ころがり摩擦力は
、静止摩擦力の範囲で、回転を妨げる向きの摩擦力(負の仕事をします)と考えてはど
うでしょうか。 
終わります。



番号 10A-010  送信日 10/01/20  差出人 山岡 世司郎
件名 灰探索

私が世間知らず? それとも・・・・・
 理科総合Aの化学分野「酸と塩基」で、アルカリ性の実例として
灰を水に入れた抽出液を使おうと思い、灰を探しました。

 ない!

 学校の焼却炉はロープで密閉中。
 落ち葉の焚き火はもう過去のもの・・・
 近くの木材の工事現場を見ましたが、焚き火のあとなし。
 時期によって、畑などでの野焼きや、正月のどんと焼き
なども行われているのですが、いわゆる、都市部では木や紙を
燃やすということが行われなくなっています。
 灰など触ることもない・・・・。

 ありました。

 ホームセンターに、土壌改良の商品として草木灰が売られていました。
 この年まで灰など買ったことがない・・・・。灰などそのあたりに
いくらでもあるというイメージを(勝手に)持っていたのですが裏切られました。
 これも時代の流れなのでしょうか。
 その辺の落ち葉を燃やして焚き火をしなくなったのは果たして社会の
進歩なのでしょうか・・・。
 灰探索の苦労から文明のあり方についてまで考えてしまいました。



番号 10A-011  送信日 10/01/21  差出人 林 正幸
件名 Re:灰探索

こんにちは、林まさです。
 「灰」の話、よく分かります。私の家では庭の手入れで燃やすべき物が常に出てきます。市は可燃ごみとして出せと言うのですが、かなりかさばります。それにこれでは庭の土はやせる一方で、肥料を注ぎ込むしかありません。昔は当たり前に自分で焼却していました。幸いまわりが田畑が多くよく野焼きが行われているので、私も
風向きを考えながら燃やしています。もちろん一般の可燃ごみは、収集して大きな炉で燃やした方が熱エネルギーの利用もしやすいし、汚染対策もしやすいと思います。
 酸化物の酸性、塩基性に関しては、私のホームページに「酸化物から酸と塩基をつくる」



番号 10A-012  送信日 10/01/21  差出人 伊藤 広司
件名 Re:自転車の空気について ドリフト走行について

 前回が最後で、もう書くことはないかと思っていましたが、偶然、昨日の朝のテレビ
で、ドリフト名人の映像が流れていました。今まで、ドリフトの仕組みが今一歩わから
なかったのですが、こうやってころがり摩擦力についてまとめていると、ドリフトして
いるときの摩擦力(このときすべっていても、タイヤが変形しながら回転しているとき
はころがり摩擦力も含まれます)が気になります。その映像と、今回書いてきたことと
、昨年の秋に実施した動摩擦力測定の生徒実験が、ひとつに結びついて、ドリフトの仕
組みが書けるようになった気がしたので追加します。

 まず、昨年秋の生徒実験から紹介します。2年くらい前から同僚のO先生が、器具を
用意した実験を、今年度(昨年秋)、使わせもらうことになりました。器具はホームセ
ンターで購入した2×4の輸入材を長さ15cmでカットした木片3個(フックを各1
個つけてあります。重さは約2N)と、幅30cm、長さ90cmの板1枚を各班に用
意します。木片1個、2個、3個と積み重ねながら、垂直抗力と、最大摩擦力、動摩擦
力をばねばかりで測定していきます。摩擦係数をかえるため、板の上にゴム板を敷く実
験もします。また板を傾けたとき、木片がすべりだす角度(摩擦角)も測定します。
 この実験で、とくに動摩擦力の測定では、測定中にバネバカリが動くので、目盛が振
動すると正確に読めないという問題点があります。そこで、先年度の生徒の意見も参考
にして、バネバカリを実験者の手で引くのではなく、机に固定したクランプにバネバカ
リの一端をひっかけ、他端を木片につなぎ、バネバカリ本体は動かないようにします。
実験では、木片を引くのではなく、台である板の方を逆方向にゆっくりと引いていくと
バネバカリが伸びていきます。木片が滑りだす直前の最大摩擦力の測定では、動かす方
の板の端を左右の手首を机上に固定しながら指先のわずかな圧力で調整しながら押して
いきます。すべり出しても、そのまま板を等速で動かし続けると、バネバカリの目盛は
一定値を指すようになります。凝った班では結構安定な数値が得られます。もちろん天
然木ですから、表面のざらつきは一定ではありませんが、各3回の平均をとると、結構
いい値がでます。ゴム板は、木材より摩擦係数が大きいので、動摩擦力の測定時に等速
度で運動させることが困難です。木片がゴムにひっかかって止まったり動いたりして振
動を繰り返します。そこで安定して運動するように板を一定に動かしながら、同時に、
浮かせた木片を、板に対し相対的に一定の速さで動かしながら、板に乗せます。乗せて
から手を離すタイミングや、そのときのばねばかりの伸び具合が重要ですが、何回か試
行すれば、ゴム板でも、安定した等速度で目盛を読むことができます。
 ちょっと脱線しますが、この実験で、木片を動かすことと、板を動かすことは、全く
同じでしょうか。測定値については、相対運動ですから問題はありません。しかし、摩
擦力で発生した熱エネルギーはどこからきたのでしょうか。木片を動かしたときは、ば
ねばかりを経て手で引いた仕事が熱になります。台である板を動かすときは板を引く仕
事が発熱の原因です。電磁波のポインティングベクトル(場のエネルギーが移動する方
向を示すベクトル)のように、エネルギーの流れは、引いた力の方向ではなく、木片を
動かすときは、摩擦面に垂直に木片面から板面へ流れ、板を動かすときは、反対に摩擦
面に垂直に板面から木片面へ流れます。観測者の基準(速度0の物体)が違うのですか
ら、エネルギーが流れる方向が違うのは当たり前ですが。

少し問題提起をしておきます。ブレーキとしての動摩擦力の利用では、発熱する部分の
面積と、発生した熱を放出する手段が重要です。現在、乗用車で主流のディスクブレー
キは、放熱や削り滓の排出で、ドラムブレーキより優秀ですが、ブレーキ面の面積が小
さいので、より大きなブレーキパッドを押し付ける力が必要です。したがって、ハンド
ブレーキとしての制動力は弱いようです。動摩擦力の大きさが面積に依存するなどと物
理の教科書に書いてありません。でも、接触していなければ、摩擦力は発生しません。
接触する面積の大きさが無関係とは考えられません。押し付ける力が増加すると、面と
面の相互関係は密になります。そのとき、動摩擦係数が変化するかもしれないと考えれ
ば、話は合います。ブレーキでは金属やパッドがどんどん削られて滓が発生します。滓
がたまれば面と面の関係が変わります。教科書では、そして、この生徒実験でも、動摩
擦係数が一定である(温度、圧力、相対速度などに依存しない)という前提で理解して
います。土俵が違うということになります。動摩擦係数が一定と考えられる範囲はどこ
までなのか、議論する必要がありそうです。

 話を最初にもどして、この生徒実験とドリフトの関係はどこにあるのでしょうか。テ
レビ画面を見ているとドリフト中は、前輪は、つねに進行方向を向いてロックしないよ
うにドライバーがコントロールしています。タイヤの幅は広いですから、カーブすると
き、接地面のカーブ内側と外側では、接線速度が異なりますから、カーブすると、タイ
ヤの接地面の一部はかならずスリップしているということです。そこで最大摩擦力の範
囲で、タイヤがスリップしないように運転するには、ころがり摩擦力のみ、つまり回転
するタイヤの向きを、常に車の進行方向に合わせるようなハンドル操作をしています。
(前回紹介したいきいき物理わくわく実験で、安定走行には前輪をスリップさせないこ
とが大切だとわかります。)
 ドリフト走行では、後輪を意図的にスリップさせます。タイヤのグリップ力以上に加
速させたり、ブレーキをかけたりすればスリップします。スリップさせてからのタイヤ
の接地面からうける動摩擦力の大きさと向きをどうコントロールするかは、プロの技な
のでしょう。タイヤが完全にロックしていれば、動摩擦力は、単に進行方向に逆向きと
いうだけでコントロールしようがありません。完全な横すべりなら、タイヤの横向きの
動摩擦力のみです。運がよければ、この動摩擦力で車体のスピンは減少していくことに
なります。しかし、横に滑るときの動摩擦力は小さいのです。ころがり摩擦力も含めて
最大摩擦力に変えなければ、制御に必要な充分な駆動力も制動力も発生しません。この
点ではある程度幅が広いタイヤが有利です。ちなみにタイヤの幅は、くつの足幅(規格
EEEとかEEEE)と同じ意味合いをもちます。燃費は悪くなりますが、パワー走行
には足幅が重要です。
前回書いたように、後輪のタイヤの回転速度を車体の進行速度に合わせて、タイヤと地
面のスリップ状態を回避することがコントロールの第一歩になります。そのときタイヤ
の溝は大いに役立ちます。レールのように進行方向のタイヤ溝は横滑りを防ぐ役割もあ
るのですから。(一般に溝なしタイヤは危険です!でもレース用タイヤは溝なし?均一
な面では溝は役にたたない。ゴムのやわらかさで接地面積を増やすことが重要?)
 さて、動摩擦力測定の生徒実験でわかるように、木片と板面との相対速度が、動摩擦
力の方向を決定します。タイヤが横すべりはじめたとき、タイヤの回転数をあげれば、
この相対速度の成分のうち、タイヤの回転方向の成分が大きくなります。動摩擦力の方
向をコントロールするわけです。滑っていることには変わらないのですが、実は、車体
が滑っている方向とタイヤ面が滑っている方向は違っているわけです。タイヤを回転さ
せる速さで、タイヤ面が滑る方向とその逆向きになる動摩擦力の方向を制御できること
になります。
 これで説明できているかどうか、ドリフトにも種類があるようで実際に体験したこと
がないのでわかりません。でも物理的におもしろい現象です。授業で使えなくても、横
滑りしたときそれを回避する解決方法もそこから生まれると思います。10年以上前の
テレビニュースですから、今もやっているかどうか知りませんが、ロンドンの2階建て
バスの運転手は、水で塗らした何もないアスファルト面で、2階建てバスをスピンさせ
る運転のトレーニングをしていました。体験は安全運転につながるという考え方のよう
です。
 さらに、脱線すれば、自転車やバイクなど2輪のドリフトも、フィギュアスケートと
似たスピンと横滑りの連続ではないでしょうか。二輪の免許はないですが、完全な雪道
で滑りながら走行しているバイクを見ると、常に前輪が滑らないように進行方向にハン
ドルを向けて、スリップして傾く後輪を、復元しながら進行しているように感じられま
すが、どうでしょうか。
長々と書くなと言われる前にこれで筆を置きます。



番号 10A-013  送信日 10/01/22  差出人 榊原 隆得
件名 センター試験の送電電圧の問題について

日曜日に行われた大学入試センター試験の物理Tの問題についてです。
問題はこちら→http://nyushi.nikkei.co.jp/center/10/2/exam/412.pdf

第2問の問2の送電線の出題になんとなく納得がいきません。

はじめ、定年退職後の非常勤の先生と2人で考えましたが、問題の設定や意味がわかりませんでした。
何も考えずに、送電電圧を使ってP=IV=RI^2=V2/Rの式を立てると、どれで計算するかによって答えが違ってきてしまいます。
ということは、この考え方自体間違っているなとわかるんですが。

■電圧を高くして送ることで電力ロスを少なくしているということを考えれば答えは1/100倍になる

■おそらく、送電電圧はすべて電線にかかるのではなくほかの部分にも電圧がかかっているのだろう。

  →じゃあ、発電所より先はすべて直列につながっているのか?送電線は枝分かれしていないのか?

■物理Tの範囲ではあるが、交流と書いてあると受験生は混乱しないか?

■教科書、問題集、インターネットを見ても、高校の物理であまり送電線は出てこない。

■予備校の分析を見ても、回路の問題のほうに焦点が当たっており、どの予備校も送電線の問題にはほとんど触れていない。

など問題の意味がわからない状態では2人で疑問だらけになりました。
第一学習社の物理Tの教科書を見てみると、この教科書にだけは送電線と電力ロスの話がわかりやすく紹介されています。
図を見た瞬間に、こういうことを聞いていたのかと問題の設定がわかりました。図をみれば、問題は簡単に解けます。

この問題、物理に詳しく、普段から物理に慣れしたんだ先生や研究者にしてみれば何も疑問に思うことはないかもしれません。
日常に結び付く内容であり、いい題材なのかもしれませんが、
僕のように不勉強な者や、センター試験を受験している受験生には、何を聞かれているのかわからないのではないでしょうか。
物理的な考え方やセンス、現象の理解も大事ですが、
(中程度の学力の学校に勤めていますので、)
受験生の学習の成果や努力がそのまま結果になるような出題がなされるといいなと思ってしまいます。
だいたい、一社の教科書にだけ詳しく書いてあって、他の教科書では触れられてもいない内容です。
出題の意図もよくわかりません。
先生方はどうお考えか伺いたくて投稿させていただきました。

どう思いますか??



番号 10A-014  送信日 10/01/26  差出人 田中 英二
件名 Re:センター試験の送電電圧の問題について

こんばんは、田中です。
1月23日(土)に名古屋EHCがあり、リードスイッチごまを作りました。そ
のとき榊原さんのメールの話が出て、同時に今回のセンター試験の物理の問題が
どうかという言う問題になりました。私はいつもこの話題で発言すると注意を受
けますので、慎重にする必要があります。それで、この問題が易しいとか難しい
とかについては意見を差し控えます。
 この問題の考え方は、同じ負荷に送電する場合、送電側の電圧を高くした場合
に、送電ロスはどうなるかという問題ですよね。この場合、負荷側では、同抵抗
に同電圧がかかっていますので、送電側の電圧を10倍にすると、負荷側では変
圧器で10分の1に電圧を下げますよね。そうすると、送電側の電流は、10分
の1になります。送電線の抵抗が同じ場合は損失はRI2ですから、10分の1
の2乗で100分の1になる訳ですよね。でも本当は、交流の場合対地容量があ
るので、電圧を10倍にすると対地容量をとおして地面に流れる電流が増加する
ので、そんな簡単にはなりません。この部分をこの問題は無視していると思います。



番号 10A-015  送信日 10/01/27  差出人 伊藤 広司
件名 Re:自転車の空気について 動摩擦力一定の範囲

前々回で提起した問題の解答例を提示したいと思います。
はじめに、「ころがり摩擦力」の解釈について、はじめて林先生に賛同していただいて
ありがとうございます。約15年近く前に、サークルで砂や雪をかきわけていくときの
抵抗力は、速さに比例するというようなことに近いことが議論になったのではないかと
思いますが、そのときにも同じ理論を話したのですが、賛同を得られません。昨年夏、
KEKの施設を見学して、電気抵抗も同じだと気がついたとき、力学的な問題も、電磁
力による問題も同じ考え方でいいんだと確信できました。
空気抵抗の大きさは衝突する粒子(窒素分子や酸素分子)との相対速度の大きさに比例
します。密度一定なら、衝突する粒子数が速度に比例するのだから当然です。「ころが
り摩擦力」も粒子との衝突による変形だから、速度に比例します。空気中を落下する雨
が終端速度で落下するように、出力一定のエンジン(アクセル一定)で加速すれば、は
じめは等加速度で加速しても、抵抗が速度によって増加するので、やがて一定速度で等
速度運動になります。これは、速度に比例する「ころがり摩擦力」が存在するというこ
とです。
教科書に記述されているように、動まさつ力の大きさは速度に無関係です。「ころがり
摩擦力」は速度によって増加します。この違いはなぜでしょう。
動まさつ力が一定、すなわち動まさつ係数が一定とは、物体の変形が無視できる場合の
まさつ力です。ところが実際には、高速で走行中の機関車が急ブレーキをかけて、車輪
の回転を止めると、火花をあげてレールを削って停止するように、抵抗力の大きさは空
気抵抗と同じように速度に比例すると考えた方が自然です。
そこで、速度に無関係で一定な大きさの動まさつ力はどこで発生するか、と考えると、
すべる物体と、接触する摩擦面の粒子間での相互作用であると考えるしかありません。
この相互作用は、粒子間の圧力(単位面積あたりの垂直抗力)と接触面の面積の積に比
例する。すなわち垂直抗力の大きさに比例する。しかし、相対速度が増加しても、接触
面積は一定なので、2つの面の間で相互作用する粒子数に変化はない。つまり動まさつ
力は一定のままになるわけです。このときの動まさつ力で発生する熱の発生場所は、接
触面であり、そのエネルギー源は、前に書いたように、この接触面に垂直に流れる場の
エネルギーです。
教科書の定義が、正しいなら、動まさつ力は、運動方向に平行な接触面で発生し、速度
に無関係な抵抗力の成分をあらわし、「ころがり摩擦力」は、速度に比例して増加する
抵抗力で、回転しなくても、運動物体の進行方向の前面の床を変形させることによって
生じる抵抗と考えれば、すっきりします。速度に比例する変形量(あるいは削る粒子数
)は、空気抵抗と同じと考えられます。
したがって、動まさつ力一定の範囲は、あまり大きな変形や、削れることがない物体を
用いて、しかも小さな垂直抗力で実験する必要がある。



番号 10A-016  送信日 10/01/27  差出人 田中 英二
件名 Re:センター試験の送電電圧の問題について

こんばんは、田中です。
下のメール書いてから、もっとわかりやすい書き方があると思いましたので、も
う一度書きます。同じ電力を送信するのだから、電圧が10倍になれば電流は
1/10倍でよいわけです。電力=V*I=10V*(1/10I)ですから、
それで、送信電流は1/10倍になり、送電線での送電ロスは
ロス=R*(1/10I)*(1/10I)=1/100*R*I*Iとなり、
1/100倍となります。これが1番わかりやすいように思います。
それでは、

こんばんは、田中です。
1月23日(土)に名古屋EHCがあり、リードスイッチごまを作りました。そ
のとき榊原さんのメールの話が出て、同時に今回のセンター試験の物理の問題が
どうかという言う問題になりました。私はいつもこの話題で発言すると注意を受
けますので、慎重にする必要があります。それで、この問題が易しいとか難しい
とかについては意見を差し控えます。
 この問題の考え方は、同じ負荷に送電する場合、送電側の電圧を高くした場合
に、送電ロスはどうなるかという問題ですよね。この場合、負荷側では、同抵抗
に同電圧がかかっていますので、送電側の電圧を10倍にすると、負荷側では変
圧器で10分の1に電圧を下げますよね。そうすると、送電側の電流は、10分
の1になります。送電線の抵抗が同じ場合は損失はRI2ですから、10分の1
の2乗で100分の1になる訳ですよね。でも本当は、交流の場合対地容量があ
るので、電圧を10倍にすると対地容量をとおして地面に流れる電流が増加する
ので、そんな簡単にはなりません。この部分をこの問題は無視していると思います。



番号 10A-017  送信日 10/01/27  差出人 榊原 隆得
件名 Re:センター試験の送電電圧の問題について

丁寧な解説をありがとうございます。
発電所から送電線、使用する電力までの構造がイメージできないために、
送電電圧と送電線の部分にかかる電圧の関係も良くわからなかっただけといえばそうなんですが…。
回路に抵抗が繋いであるという設定で同じ質問をされたら誰も間違えないと思います。
難しい問題ではありません。
物理教員同士で相談してもすぐには意味が分からず、
本校で受験した生徒の設問別の正答率を出したらこの問題が断トツで低かったので
送電線の設定では高校生が理解できないのではないかなぁと思って質問をしたんです。
出張で会った他校の先生方に聞いみても、
この問題なんか引っかかることある?という感じでした。
むしろ電位の問題(「電位」の考え方は物理Tではない?)や
光ファイバーの問題の方が…という声が聞こえてきました。
なんだか本校の教員がたまたまハマってしまっただけのようでした…!
すみません、ありがとうございました。



番号 10A-018  送信日 10/01/28  差出人 加藤 聡也
件名 Re:センター試験の送電電圧の問題について

センター試験に関して、すこし発言します。

>むしろ電位の問題(「電位」の考え方は物理Tではない?)や
光ファイバーの問題の方が…という声が聞こえてきました。

上の意見に同感です。特に光ファイバーの設問については、
sin(90-r)=cos r= √(1-sin2 r) といった、受験テクニックといえる
式変形を求める点が疑問です。
この間のセンター試験は、定性的な物理法則の意味を問う傾向が続いて
いたので、逆行という印象です。
電位概念は大切ですが、これは物理Uで初めて定義から学ぶというのが、
指導要領の建前だと思いますので、私も、センターに電位差計が
選ばれるのは、?です。
センターは、議論を承知で、物理Tを学ぶ高校生に、「電位で理解
せよ」と言っているのでしょうか?



番号 10A-019  送信日 10/01/**  差出人 ** **
件名 ***********