番号 09L-001  送信日 09/12/01  差出人 原 弘良
件名 びっくり! 中日新聞取材記事

こんばんは。  原です。
 ヒョンなきっかけから、退職後に近所の子どもたちと遊び続ける
「科学クラブ」が取材を受けました。
 楽しかったのは、取材記者が理系(東大卒)人間だったためか、
私の現職時代の生徒の各種資料(大量の授業記録・レポート)を
ひっくり返しながら、5回延べ5時間以上にわたり興味深げに取材して
くれたり、「詳細な記録が研究の命であり、その記録からの考察が
研究者の命」だと、卒業研究に際しての生徒へ強調した指導など、
大きく頷いていた彼(記者)が心に残ります。 
 久しぶりに気持ちよく、ツーカーと共感し合う出会いの宝を得ました。
これだけの小さな記事の背景に、厖大な彼(記者)の人間資質を
感じ取った日々でした。



番号 09L-002  送信日 09/12/12  差出人 林 正幸
件名 MOLの会報告

こんにちは、林まさです。
 12月6日に開いたMOLの会の通信案ができました。不足や訂正などがあれば、早めに連絡してください。
 次のMOLの会は
  2月28日(日) 13:00〜 市立北高校化学室
です。
 ではまた。

<通信案>
                                  09.12
                               事務局 林 正幸

   MOLの会通信09−12号

 今回は浅井、岡田、田中、出口、林まさ、福島、藤本、船橋の8名が参加しました。こ
のところ若い仲間が増えて、活性化されています。うれしいことです。

チュオンチュオン(福島)
 「チュオンチュオン」とはベトナム語でトンボの意味。指先などに留まらせることがで
きる竹を削って作った民芸品である。
 MOLの会でも以前に科学の祭典で出展したことがありました。こちらは画用紙を切り
取り、羽根に1円玉を貼り付け、「バランスとんぼ」と呼んでいました。
 原理はやじろべえと同じで、支点より重心が下に来るように設計されています。見た目
には指先から落ちそうな形がポイント。似たものとして「いきいき物理わくわく実験」1
号に「ベルバラ」が載っています。
 旅先で購入したこの「チュオンチュオン」はベトナムの障害者や孤児(ベトナム戦争の
被害者を含む)によって作られている。1個200円で代金はすべてベトナムの障害者や
孤児のために使われる。店は長野県伊那市にある「カフェ・ドゥドゥ」で、注文もできる
(電話:0265−78−5650)。

塩水振り子(林まさ)
 科学の祭典で山岡さんが紹介していた塩水振り子、かなり以前に新聞に紹介されたとき
やってみてうまくいかなった覚えがあったので、ノウハウを教わって、小さく作ってみた。
 100mLくらいの無色透明なプラびんの底にドリルで直径1.2mmの孔をあけ、
200mLビーカーで支えられるように口に銅線を巻き付ける。そしてつまようじで孔を
塞ぎ、20%くらいの食塩水にフェノールフタレインと水酸化ナトリウムなどで色を着け、
3/4ほど注ぎ、ビーカーに載せる。水面がほぼ同じ高さになるまでまわりから水道水を
注ぎ、つまようじを外すと、孔を通して液が出入りし続ける。
 原理は孔の上下の圧力差と慣性である。容器内の食塩水の密度の方が大きいので、上側
の圧力が大きくて食塩水が流れ落ちる。そして慣性のため圧力がバランスする以上に食塩
水の水面が下がってしまう。すると下側の圧力が大きくなるので、水が噴水のように上に
流れ込む。そして慣性のためこれも水の水面が下がりすぎ、下側の圧力が小さくなる。こ
の繰り返しである。
 時間とともにビーカーの底が赤色になり、容器の上が無色透明になっていき、1時間ほ
どで停止する。
 眺めていると心がいやされます。そして新たに参加した藤本さんがさらなるチャレンジ
をするとのことです。

水溶液の導電率(林まさ)
 講座プラン「溶解と溶液」を手がける中で、電球テスターの実験に加えて、電解質水溶
液の導電率(正確には比導電率で、比抵抗の逆数である)を計測して溶解の秘密を解読す
ることを考えた。メーターは輸入品で1万円弱のものがあるのでそれを使用する(学校で
そろえやすい)。今回はDTScan4というメーターを使った。ただしこのレベルのも
のは、計測範囲は0〜20mS/cm(ミリシーメンス毎センチメートル)の1レンジで、
0.2刻みである。したがって水溶液の濃度は0.1mol/Lを基本とし、導電率に応じて
濃度を加減する。なおオッシロで調べてみると、交流3000Hz,電圧5mVであり、
電気分解の影響を避けるようになっている。
 塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムの水溶液の導電率は、7.5,9.2,
11.3mS/cmであった(データを記録し忘れたので、別の測定値)。ちなみに導電率
は温度の影響を受け、高いほど大きくなる。これらの水溶液では陰イオンが共通なので、
陽イオンの導電率つまり移動のしやすさを比べることができる。イオン半径が1番大きい
カリウムイオンがもっとの移動しやすいのはどうしてか。それはイオン表面の電場が小さ
くて水の水和が緩やかであり、水を「着替えながら」移動できるのでその分スリムなので
ある。
 続いて半分の0.05mol/L塩酸の導電率は、16.3mS/cmであり、濃度をそろ
えると32.6mS/cmになる。オキソニウムイオンは大きくないのにどうして移動しや
すいのか。身軽なプロトンが隣の水分子に跳び移ってあらたなイオンができ、それからさ
らにプロトンが跳び移るというようになるのである。そして水酸化物イオンの導電率もか
なり大きい。それはイオンが隣の水分子のプロトンを引き抜くことでそこに代わりの水酸
化物イオンができることをくり返すからである。ちなみにイオンの導電率自身は「輸率」
を計測しないと求まらない。

 なお改訂した講座プラン「変化はどちらに向かうか&化学平衡」とその思いと狙いをま
とめたレポート「化学平衡をどう教えるか〜その冒険的試み」なども配布しました。

宝石のようなミヨウバン結晶(林まさ)
 これも講座プランがらみ、今年の科教協化学分科会における米澤さんのレポートに刺激
され、現役と違って時間があることもあり、ミョウバンの結晶づくりに取り組んでいる。
手元にノウハウまで記したものがなく、我流で試行錯誤してきたが、幸い5割くらいの確
率で宝石のように澄んだ結晶ができるようになった。生徒実験を前提にし、翌日には生徒
ひとりひとりに渡せる形を目指している。
 常温の飽和水溶液を100g計り、これにミョウバン5gを加えて加熱溶解する。これ
が飽和になる温度 t’は、始めの温度を t とし、次の式で計算できる。
    t’= 0.845t + 16.0
この関係式は色々な温度におけるミョウバンの溶解度から、最小2乗法などを利用して求
めた。t’より15℃ほど高い温度で溶解するのでそれをポリコップに移す。
 断熱容器は別にポリコップをアルミ箔で包み、ポリコップを被せてまたアルミ箔で包み、
さらにポリコップを被せたものにした。ふたは厚み2cmほどの発泡スチロールにアルミ
箔を被せ、中心に孔をあけた。種結晶もきれいな単結晶をつくり、それをてぐす0.15号
で縛る(せんたくばさみとルーペが役立つ)。
 (t'+10)℃になったら水溶液を断熱容器に収める。そして(t'+5)℃時点で結晶を
つるし、そのまま翌日まで放置する。
 現在さらに考えているのは、上部から冷えて対流が起こるのが望ましいので、断熱容器
の下部をさらに断熱することである。

「パイプ・スピーカ」(船橋)
 愛知物理サークルで石川さんの「パイプ・スピーカ」に感動して、自分でも製作してみ
た。16個のスピーカを準備し、それぞれにラの音440Hzから2オクターブ上のシの
音1776Hzに共鳴する塩ビパイプを1cmほど離して(密着するとうまく共鳴しな
い)セットした。パイプの長さは開口端補正だけではうまく行かなくて、さらにパイプ出
口の速度差による補正が必要のようで、試行錯誤で決めていった(2cmほど短くした)。
スピーカ(抵抗が8Ω)は石川さんに習って、4つを直列につなぎそれを4つ並列につな
いで、アンプとインピーダンス・マッチングさせ、すべてのスピーカを鳴らす。パイプは
倍音などにも共鳴しており、高級なスピーカボックスにも似た仕掛けがあるらしい。
 スピーカ1個だけの再生に比べて、よく響き深みのある音楽が流れ、しばし森山良子の
歌声に聞き惚れました。

11円電池でLEDが光る(船橋)
 第2アメ横のクニ産業で、乾電池1本でLEDを光らせるキットを315円で売ってい
た。直流をブロッキングオシレータで昇圧する回路で、トランジスターのベース電流を加
減する抵抗を3.3kΩから510Ωに代えると、11円電池(11円の間にろ紙をはさみ、
食塩を加えた食酢を浸み込ます)でLEDが光る。
 船橋さんからキットを売ってもらいました。

 他にも、今年の科学の祭典で見た錯視「学校の廊下」のつくり方を聞き出して、修学旅
行先で撮影した写真を元に、錯視「厳島神社」を製作した。片目をつぶると飛び出してい
る「奥」が後方に下がって「正常」に見える。見る位置を変えると、「奥」が大きく動く。
 これも画像をもらってその場で自作しました。

チョコで溶けるガム(岡田)
 「理科教室」11月号の和田さんの実践を試してみた。ガムをかんで、チョコレートを
一緒に食べると、ガムが溶けてしまう。みんなで体験しました。
 どうしてか。ガムの原料は「天然チクル」、これはポリイソプレンで炭素と水素の化合
物であり、トランスとシスが3:1である。ちなみに風船ガムは伸びやすいためポリ酢酸
ビニルが使われる。
     −H2C H         −CH2−CH−
        >C=C<               |
      CH3     CH2−           OOCCH3
 ポリイソプランの単位(トランス型の場合)  ポリ酢酸ビニルの単位
これに対してチョコレートの主成分ココアバターはカカオ豆からつくられる脂肪で、脂肪
酸とグリセリンのエステルである。したがって食用油が灯油(炭化水素)に溶けるように、
ガムはチョコに溶けるわけである。

大きい分子模型(岡田)
 県教研で紹介された、発泡スチロール球、赤ちゃん用綿棒(長くてしなりやすい)、φ
5mmの塩ビチューブ(球に差し込む)でつくる大きい分子模型を、藤本さんらと製作し
た。このとき前に紹介した正四面体を作ってスチロール球を包み、面の中心からチューブ
用の穴を空けると、簡単にきれいな形ができる。
 授業では生徒全員に小さい分子模型を渡して実習しているが、そのときだけでは定着が
悪い。その後の授業でこの大きい分子模型を使って反応のしくみなどを説明し続けると理
解が深まり、モル計算などで嫌いになった化学をもう一度好きになってくれる生徒も出て
くる。

生物多様性(出口)
 来年には名古屋で生物多様性条約締約国会議COP10が開かれます。環境カウンセラ
ーでもある出口さんに、生物多様性について解説してもらいました。
 生物多様性条約(CBD:Convention on Biological 
Diversity)とは、1992年にブラジルのリオで開かれた国連環境開発会議
(地球サミット)で締約された、気候変動枠組み条約(CCC)と並ぶ国際条約である。
COPとは Conferennce of Partiesの略で、10は第10回の会
議を意味する(気候変動に関するCOP15はまさにコペンハーゲンで開かれようとして
いる)。
 生物多様性とは生態系、生物種、遺伝子(種内)の3つのレベルを含む。それは人間が
存続する基盤である。その危機とは、人間の開発や乱獲、国外からの移入種や化学物質に
よる汚染、地球温暖化のような環境変化などである。
 条約は @多様な生物をその生息環境とともに保全する A生物資源を持続可能である
ように利用する B遺伝子資源利用の利益を途上国と先進国が公正かつ衡平(つりあうこ
と)に配分する(これが最大の議題になる) の3つの目的を持つ。
 ちなみにカルタヘナ議定書(2000年)とは、生物多様性に悪影響を及ぼす可能性が
あるバイオテクノロジーによる遺伝子組換え生物の輸出入に関する国際協定である。

植物の吸水力を体感(藤本)
 植物は凄い力で水を吸い上げる。それは蒸散、浸透、表面張力(毛管現象)による。そ
れを体感するために、4mの高さからジュースを吸えるか試させる。細い塩ビチューブは
沸とう水で消毒した。果たしてどうなるでしょうか。

静電気メーター(田中)
 かつて製作した、静電誘導ないし帯電の結果をコンデンサーとFETおよび続く増幅回
路で検出する静電気メーターを、高輝度発光ダイオードでグラデーションをつけてレベル
表示するように改良した。箔検電器では無理な静電気のプラマイが判別できる。検出部で
ある100mLアルミ缶に包み紙と共にストローを差し入れ、ストローだけ抜くと包み紙
がプラスに帯電したことが分かる。そのストローをもう1台の検出部に近づけると、マイ
ナスの電気を持っていることが分かる。さらにストローをもとの包み紙にもどすと、中和
されて電気量がゼロになることが分かる・・・手品師のよう! 製作費は3500円程度
で、近いうちにEHCで製作講習会を開く予定である。
 高輝度LEDは100円以下で、消費電流も2,3mAになっている。ちなみに白色は
3原色の混合ではなく、紫外LEDで蛍光剤を光らせており、蛍光灯と同じになっている。
<以上>



番号 09L-003  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-004  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-005  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-006  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-007  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-008  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-009  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-010  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-011  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-012  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 09L-013  送信日 09/12/**  差出人 ** **
件名 ***********