番号 08I-001  送信日 08/09/01  差出人 近藤 直門
件名 8月末の豪雨浸水域

近藤です
8月末の豪雨は東海豪雨以来のもので、岡崎や一宮、名古屋市内などで大きな被害がでました。2学期は濃尾平野の地形と地質、災害についての授業をするので、早速新聞記事などをたよりに浸水域をチェックしてみました。
新聞では、土地の低い一宮市五日市場と下浅野というふうに地名が出てきているので、地形図、土地条件図などでチェックしてみましたが、いずれも氾濫平野ではなく大部分が自然堤防の上に作られた集落でした。五日市場は五条川に支流の青木川が合流するところで、
http://blogs.yahoo.co.jp/kinpachu_sensei/56441874.html
の写真(多分テレビのニュースのキャプチャーか?)ではポンプ場が写っており、内水を五条川にポンプで排水しているようです。写真の説明には「下流域の堤防決壊を避ける為に愛知県一宮市の排水ポンプを3時間停止させた事でこの様に、一宮市で浸水被害が起こりました。」とありました。
写真にあるポンプ場の場所自体は、土地条件図では氾濫平野の色に塗り分けられていますが、ポンプ場の手前は自然堤防で、写真で見ても家屋以外のところは水田ではなく畑になっています。いつもは、自然堤防のところは水害にたいしてはより安全で、氾濫平野は危険と教えているので、その周りの氾濫平野とくらべてどうだったのかということが知りたいのですが、そのような記述や、実際に近所や知り合いの話などで情報をお持ちの方があれば教えてください。
写真も、道路や畑がぬれたように写ってはいますが、おそらくは水が引いた後の写真で、ピーク時にどのあたりまで水がきていたかや、写真が撮られた時点でまわりの氾濫平野はどのような状態であったかはわかりません。
下浅野は五日市場からみて青木川のすこし上になるので、このあたりで降った雨の量が特に多かったのと、ポンプを止めたための内水氾濫と思いますが、新聞の「低い土地」という記述が気になったのでもし情報ありましたらお願いします。



番号 08I-002  送信日 08/09/02  差出人 林 正幸
件名 Re:8月末の豪雨浸水域

こんにちは、林まさです。
 今年の夏は天候不順ですね。おかげで庭に水をまく(毎日1時間)必要がなく、時間的にも経済的にも助かっています。私の家はまわりより高い土地にあり、こんなのんきなことを言っていられるわけです(東海豪雨のときは、100m先は冠水した)。
 それにしても28日深夜の雨は凄かったです。ちなみに杉本さん呼びかけの飲み会に参加した川田さんは、電車が動かなくなり、6時間も車内に閉じこめられたそうです。報道によると一宮市も被害を受け、親戚などから心配の電話が入りました。翌日午前にその地域を走った家内が、放置された車があちこちにあって渋滞し、太極
拳に遅刻してしまったそうです。この地域からやはり100mほど離れたところに「林ラボ」があるのですが、午後に念のために見に行きましたが、大丈夫でした。こちらも比較的高い土地で、一宮市の水害ハザードマップでも被害を受けにくい地域になっています。林ラボは以前に私が住んでいた家ですが、小学生のころから、この
地域は水に浸かることがありました。ただし私が書いている「この地域」は下浅野でも五日市場でもありません。一宮市街地は全体に自然堤防の上にありますが、やはり高低差があるためこの地域は被害を受けるのです。江戸時代と違って市街化し道路がアスファルトで覆われ下水道が整備され、自然堤防でも低地には水が集まりやす
いと思います。
 もうひとつは人口堤防の問題があるように思います。普段は堤防に守られているのですが、ひとたび溢れると自然堤防であれ氾濫平野であれ水が襲い(昔なら氾濫平野に流れ込んだ)、比較的低い土地は被害を受けることになります。岡崎市で死者が出た地域はそういう所ではなかったかと推測します。
 すこし話が変わりますが、一宮工業高校のときには授業で見学のために生徒を外に連れ出していました。学校の南の地域は、自然堤防と氾濫平野が見事に分かる所なのです。
 ではまた。



番号 08I-003  送信日 08/09/03  差出人 近藤 直門
件名 Re:8月末の豪雨浸水域

近藤です
昨夜から今朝にかけては、大垣市など西濃で大雨での浸水が出ているようです。
ハザードマップをいろいろ見てみましたが、どの図を見ても一宮市の下浅野や五日市場あたりは、浸水域に塗られているものは見つかりませんでした。
普通、時間雨量50mmくらいを想定した排水・洪水対策がされていることが多いので、146mmという、想定の3倍をこえる雨では、自然堤防のうえまで水があふれるのもありうること(もっとも自然堤防も洪水時に水が上をあふれて流れるからできるわけですから)ですね。
ニュースの写真では、畑の面も顔を出しているので、自然堤防上は水がすぐひいていることに着目させればいいのでしょう。よくみるとポンプ上の池以外にもポンプ上わきの道路は一部まだ湛水してます。土地条件図ではこの部分は氾濫平野の色に塗られています。
それにしても時間雨量146mmという雨の激しさは想像つきませんね。



番号 08I-004  送信日 08/09/03  差出人 原 弘良
件名 生徒発信の理科授業−その50:生徒の本質と授業づくり・1

 原です。   わくわくの、2学期スタートですね。

「生徒が、いきいきバンバンの理科授業づくり」:トコトン・原おじさん流(概要) のスタートです。
       (もう少し詳しくは、既述本「授業づくりで変える高校の教室・4 理科」 川勝編著)

  ぶっちゃけて、要約しますと、こうかな? と。

  1、生徒が学ぶ価値があり、教師が生徒に学ばせきる価値ある内容は?
          人類の共有財産である「学問知」に尽きる!

それも、ヒトの子ども(児童・生徒)にとって、「しびれる学問知:本物」でなくっちゃあ!
    その必須要素とは、何だろう?     と考察するときには、
      「ヒトの子ども(児童・生徒)の検証」の洗礼を受けた教育内容だけが、

          学問の系統を踏まえた、教室での「学問知」の価値があるのです。

    私が36年間の在職中に続けた「理科教育実践のねらい」は、上記の必須要素を具現する
    「1コマ一こまの理科授業づくり」であり、そのための「1枚一枚授業教材プリントの手づくり」や  
     「手づくり実験教材」であり、私の脳みそが熱くなるほど楽しかった「理科教育の仕掛けシステム」
    でした。

               それら「理科授業の源泉・拠り所」となったのは、
    1)、原少年をしびれさせ「科学の虜にしたホンマもんの学問知」そのものだし、
    2)、愛知の科教協や全国の科教協の「仲間の教育実践と著作物」に
       学び教室で再試実践・改良したものや、
    3)、何よりも私と出会った約7000人の
       「一人ひとりの生徒が歓喜した価値ある教材の財産化と実践継続」でした。     

  
  2、人類の共有財産である「学問知」を学ぶ主人公は、言うまでも無く、「目の前の、児童・生徒」です。

   「人を見て法を説け!」: 中学生以上ともなれば、現実として、多くの子どもが、「競争教育の価値観
    に汚染」されているから、「ヒトの本質にリセットする授業づくり」を意識的に強力な展開が不可欠でした。

    即ち、
    1)、私自身が、納得できて熱くなる学問の系統を踏まえた「学問知」を、目の前の生徒たちの実態
      から私自身が判断した「認識の順次性」に基づいて、「教材プリント」を作成し、授業で使った。
    2)、「友だち・命」の「学び合い学習方式」で授業展開すると、生徒一人ひとりが自己実現を実感し、
      この教室の授業が、自分の居場所であることに気付くのです。
     3)、生徒は、ロボットではないから、当然、一人ひとりに自分の意志が在り、「選択眼」を持っています。
      だから、「学問知に出会い、しびれるチャンスや、その発表の場」を、多種多様な「教育の仕掛け」
      として、授業以外の場にも準備してやると、「ヒトの本質」が活性化して(釣りの「撒き餌効果」!)、
      生徒たち同士の「学びの選択眼」自己実現のチャンスと自発学習行動が、連鎖的に広がるのです。
       (これらは、ウッソ!みたいなホントの生徒の自発学習行動の連鎖で、「一種の夢世界」の事実。) 
       
     この期限の目安は、1週間で、「授業スタイルや方向性」を、生徒が理解・承知して、
           1ヶ月で、「授業の巡航速度」に達して、スイスイとした「真剣な授業軌道」でした。
        (この、1週間、1ヶ月の展開・完了ペースは、実践のメリハリからも重要でしたね。)
  

     本日は、これにて。         これからも、  ボチボチと 
         「生徒が、いきいきバンバンの理科授業づくり」:トコトン・原おじさん流(概要)つづき  ます。



番号 08I-005  送信日 08/09/04  差出人 船橋 隆久
件名 Re:夏の涼しげな実験

加藤先生こんばんは、船橋です。
「夏の涼しげな実験」として適当かどうか自信はありませんが、参考になればと思いメールします。

[化学氷のう]
これは硝酸アンモニウムが水に溶けるとき多量の熱を吸収することを利用して、「氷のう」を作ろうという実験です。私は「100mlビーカーに硝酸アンモニウム30gと水30mlを入れてガラス棒でかきまぜ、温度の降下をはかる」ようにしています。マイナス5℃くらいになります。
この種の「氷のう」はスポーツ店で商品として売られており、捻挫や打撲のような怪我をしたときに使うとのこと。商品は二重になった袋で外側に硝酸アンモニウム、内側には水が入っており、使用時は外からたたいて水の入った袋を破って患部に押しあてます。

[逆つらら]
寒い冬の朝、「つらら」は軒先で下に向かって垂れ下がっていますが、シャーレの中で上に向かって成長する「つらら」のような結晶を作ってみようという実験です。
酢酸ナトリウム・3水和物80gに水20mlを加え、加熱溶解したのち室温まで冷やします。酢酸ナトリウムの溶解度は123.5g/水100g(20℃)ですから結晶が析出するはずですが、この場合は過飽和状態になって結晶は析出しません。そこでこの過飽和水溶液15ml程度を試験管に移します。次にシャーレの中に砂粒程度の酢酸ナトリウム・3水和物の結晶を1粒置き、その上にポトポトと1分間ほどかけて試験管の中身を落とします。すると1粒の結晶が種結晶となって「つらら」のようにどんどんと成長して、うまくいくと15cm程度の「逆つらら」のような結晶に成長します。先週学校説明会に参加した中学生に紹介したら、実験をしながら長さを競い合って楽しげでした。
酢酸ナトリウム・3水和物の過飽和溶液は、冬になると「リサイクルカイロ」として100円程度で市販されています。「リサイクルカイロ」ですから「逆つらら」といっても「あったかつらら」になってしまいますが、見た目だけは涼しげかな・・・・。
ではまた。



番号 08I-006  送信日 08/09/06  差出人 大羽 康利
件名 渥美半島は自然で元気!伊良湖フォーラム08 のお知らせ

渥美自然の会 並びに MLの皆さま(転送歓迎)
 (複数のMLにBCCにてお届けしています)
 大羽康利@渥美自然の会 です。
 
 例年伊良湖岬で行っておりました「伊良湖フォーラム」を
 今年は田原市街の田原市福祉センターで10月19日(日)に
行います。
 詳しくは http://www.amitaj.or.jp/~irago-o/08foram.htm
をご覧いただけますようお願いを致します。各報告団体がリンクされております。
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渥美半島は自然で元気! 伊良湖フォーラム08
                         主催 渥美自然の会
 
日  時 08年10月19日(日) 受付 13:00
          開会 13:30(16:30終了予定)
場  所 田原福祉センター 1階多目的室
     (田原市赤石2丁目2番地 電話:(0531)23-3811 ) 

内 容                           

 報告 矢ノ口 ええZONEマーケット            山本 和宏

 報告  一緒にやろう!まちづくり
     −渥美半島ハイキングクラブができた頃のお話し−    鈴木 一敏  

報告  渥美の自然を20年
     −大山問題など地域の自然保護も全国的課題として− 大羽 康利            


 報告  体験が促す子どもと地域の自立 
     ―どろんこ遊びの現場から― 河合 忠志

報告  表浜の海浜環境と地域
    −ウミガメ・サーフィン・産廃・など−   田中 雄二

 今年の「伊良湖フォーラム」は「渥美半島で自然や農業を生かした『まちづくり』等
に取り組むNPO・NGO等」がそれぞれの活動を紹介し合うことになりました。
 多くの方のご参加で渥美半島がいっそう元気になれることを願っています。

講師紹介
山本 和宏:矢ノ口 ええZONEマーケット 代表
鈴木 一敏:NPO法人 渥美半島ハイキングクラブ 代表
大羽 康利:渥美自然の会 代表
河合 忠志:NPO法人 はっくるべりーじゃむ 事務局長
田中 雄二:NPO法人 表浜ネットワーク 代表



番号 08I-007  送信日 08/09/12  差出人 原 弘良
件名 生徒発信の理科授業−その51:化学大嫌い!の悲鳴

「生徒が、いきいきバンバンの理科授業づくり」:トコトン・原おじさん流(概要) 

    <化学、きらい!>の大合唱

  「止めて−! 化学、大嫌いやあー!」、女生徒の悲鳴が、一斉にあがった。
   工業高校生には、なかった現象だ。津島北高・普通科の「理科T・化学分野」最初の授業だった。
  この悲鳴に象徴される「化学嫌い」の授業スタートは、定年退職までの18年間続き、「なあーんだ、
  こんなに易しかったのだ、この勉強の仕方を、中学の弟に教えてやろう!」「中学校の理科で、苦労
  したのは何だったのか?馬鹿らしく思う。」とまでこぼす生徒が、化学分野の授業の進行につれて
  増加した。化学分野・最後の定期テストでは、多様な化学反応式や「モル概念」の応用計算問題も、
  ケアレス・ミスを除けば、ほぼ全員が正解であり、クラス平均点は75〜80点に達する、生徒たちの
  得意分野に変化するのは、毎年、恒例になったのでした。(既述本。4・理科、69頁・問題例)
         
         この変化の原因は、何だったのか?  生徒の声を聞くのが、当然だ。

  1、「よく理解できないのに、とにかく暗記だった」「入試によく出る、覚えなさい。先生が言う。」
   「周期表を使って、化学反応式を勉強した事は無かった。」などなど、一生のうちでも、「暗記力」
   抜群の年頃をもってしても、「暗記ものの化学」として定着させた、「中学校理科・化学分野嫌い」
   は、とても根深いし、考えもんである。ちなみに、今、「科学クラブ・食物の科学部門」を担当して
   いるお母さん講師も、「中学校理科・化学分野の学習は、暗記ばかりで、思い出してもぞっとする!」
   と言い、「原おじさんの教え方、今からでも、勉強したい」と、言われるほどだ。 


  2 今、教科書「中学校理科・1分野・上下」大日本図書・平成19年2月発行、「化学分野」を
   めくりながらの感想
    1)、「文章づらの化学知識の羅列が、多過ぎる。これでは、「生徒の好奇心は、ホッタラカシじゃあ!」
   2)、『物質の粒子概念イメージ』が、脳みそに具体像として浮かばない。
     などなど、「未知の謎の扉を開く学問知」をはぐらかせているので、探究意欲を惹起できない内容だ。
   3)、これでは、自発的な自学自習によって、生徒自身の持つ「未知の謎」の扉を開く「武器・道具」に、
     なり得ないなあーと思わざるを得ない。これでは、「研究のワクワク感に、迫れないなあ!」
   4)、だから、現実として、教科書に拘束される限り、「反復練習・暗記物」になっているのかなあ、今も。
     と、中学生が可哀想になる。  粒子概念と周期表の活用で、「化学は、めっちゃ、楽しいのに。」

  3 しかし、教師の工夫次第で「光が射す」と思える部分もある。
   1分野・下の裏表紙記載の「発展・周期表」を、本来の化学学習教材の基軸として活用しながら、
   教科書本文中の化学式や化学反応式に、還流して学習展開すれば、中学生は、「学問知の魅力・威力」
   に気付くチャンスを、授業で得られる可能性が大きくなる。

  4 私・原少年は、学校の授業からではなくて、「火薬研究」の過程で、メンデレーエフの「周期表の学問知」
   に出会ったことから、「化学反応式の楽しさ」を、自分流の学力として独習で身につけ、火薬研究に
   応用していた中学生でした。丁度、中・高生と同じ年頃だったから、化学知識の認識過程も役立つだろうと、 
    このときの、「学習プロセス」を、そっくりそのまま現職時代の授業に導入した結果が、上記の
   「この勉強の仕方を、中学の弟に教えてやろう!」など、生徒の化学嫌い払拭に活用できました。
         (この詳細プロセスは、既述本の4・理科、181〜184頁に記載)

  5、教科書は、国の「学習指導要領」に拘束され、発行されていますが、「目の前の生徒に、直接責任を
    負い、教職の喜怒哀楽を負っている」現場教師の誇りと自負を、仲間とともに守り、強い志で
    いつも生徒と共に「科学を楽しむ先生」であってほしい、と祈っています。
             「ヒトの子ども(児童・生徒)の検証」の洗礼を受けた教育内容だけが、
          学問の系統を踏まえた、「教室での学問知」の価値があるのです。

  <ひとこと>       
        私自身の「競争教育無経験者の視点」から映る生徒たちの実態が、どの学校でも、
  「ヒトの子どもの本質」をズタズタにされた高校生だったから、「自分の教育価値観に逆らわない仕事」
  をした結果が、「変わった先生、独自の教育実践」でした。  教育は、「生徒が主役」なのだから。 

     次回   生徒の学習意欲を誘い出す「理科授業の仕掛け、いろいろ」 つづき  予定



番号 08I-008  送信日 08/09/17  差出人 林 正幸
件名 気体分子の飛行速度計測について

こんにちは、林まさです。
 林ひろさんの問題提起で物理サークルでも話題になりましたが、7月から折を見て気体分子の「飛行速度」計測に取り組んできています。そのために5Paまで引けるという真空ポンプを購入しました。
 やり方は、外径30mmの1mのポリカーボネートチューブの前から22cmのところと82cmのところにコンデンサーマイクを入れてセンサーとし(間隔は60cm)、後はコック付きガラス管を通したゴムせんをします。前にはラップを貼り、ぽり袋でつくった「気体袋」を被せます。そしてチューブにも気体袋にも目的の気
体を詰めます。そして気体袋に入れておいたつばをチューブに付けて気体袋がチューブに巻き込まれないようにし、真空ポンプで1分以上引きます。そしてやはり気体袋に入れておいた針金でラップを破って通過時間をデジタルストップウオッチで計測し、すぐにポンプを止めます。
 チューブにも目的の気体を詰めるのは、いくら真空にすると言っても気体が残留するわけで、それがいつも空気ではまずいと考えたからです。ラップのすき間から気体が漏れ込むとしても、それは気体袋の気体です。後のセンサーを比較的前に出しているのは、突入気体が残留気体を圧縮してエネルギーを減らす効果を小さくするた
めです。
 こうして次のような結果が出てきました。
    空気   0.78ms  770m/s
    ブタン  0.95    630    空気の0.82倍
    水素   0.52   1150       1.49
 一見それらしく見えますが、大きな問題が隠れています。これらの速度の分子がセンサーに有意の衝撃を与えたのですが、速度を2乗して分子量を掛けた数値(エネルギーに比例した数値)を比べると、次のようにあまりにも違うのです。
    空気(分子量28.9)   172000
    ブタン(  44)    230000
    水素(    2)     26000
本来はエネルギーが同じになるべきもので、そのためには速度は分子量の平方根に反比例すべきなのです(と思います)。このままでは何を計測しているのか、分からない状況です。
 私としてはかなり工夫を重ねてきたつもりですが、先が見えない袋小路に入っている感じです。一体何が問題なのか、皆さんの知恵を借りたいのです。なお不明な点はお尋ねください。
 よろしく。



番号 08I-009  送信日 08/09/18  差出人 川田 秀雄
件名 Re:星と月

川田です。お尋ねの望遠鏡の件ですが、凸レンズ2個を組み合わせたケプラー式と凸レンズと凹レンズを組み合わせたガリレイ式を考えています。
 当日私の講座は、大きく4つのテーマがありますので、望遠鏡だけにあまり時間とお金が掛けられず、凸レンズは100円ショップのルーペ。凹レンズはギョロ目または理科業者に頼みます。円筒は印刷のロール芯を使います。簡単に量産できますから授業で使えます。私は15個作り(3人で1個)授業で生徒達に見せています。
 倍率は対物レンズと接眼レンズの焦点距離の比が大きいほど高くなります。以前、対物レンズとして老眼鏡でやってみました。倍率は上がりますが、きれいな像が出来ませんでした。
何かありましたら教えてください。



番号 08I-010  送信日 08/09/19  差出人 原 弘良
件名 生徒発信の理科授業づくり−その52:生徒の本質と理科授業づくり

原です。   「生徒が、いきいきバンバンの理科授業づくり」:トコトン・原おじさん流(概要) 
   生徒の学習意欲を誘い出す「理科授業の仕掛け、いろいろ」の背景

 自分が生徒だったら、学びたくって堪らなくなる授業しか、いらねえや!  だったろう。
      自分ひとりでだって、新聞少年しながら「科学三昧の日々」に夢中だったって事は、だれだって、
    「ヒトの子どもの本質」:自分の意志で未知の世界に踏み込み探究したい本能が在る、って事だ。
      ましてや、本来の学校では、「友だち・命」だから、互いに励まし合い、互いに認め合い、自分の
    居場所の教室で、「学びと人格形成が統合した、学校生活の日々」を、生徒一人ひとりに保障する。
   しかし、原は、養護学校と荒れる工業高校で、「日本の競争教育」が、資本主義社会の「企業に
    都合のいい 労働力供給源 の社会的機能を学校が担い、人間である生徒一人ひとりは、そのレール上
    を競争させられ、あげくに、選別され、捨てられる悲惨な現実」を、勤務する日々を重ねるほどに、
        「原の心身での認識」を深めた。  一方、原の人生経歴からの「本来の教育信念」は、
    その正当性に、より確信を強め、「自分を素直に生きる、理科教師」を、以下1〜4のように仕事した。
     そして、多くの生徒が、「原先生、理科の先生やって、正解だね!」と言ってくれたのが、今も、うれしい。
   
   <仕事の2本柱>
      だから、私の仕事は、「競争教育被害者の生徒を、本来の生徒の本質へ、リセットする仕事」と
   「学校の優位性を活用して、『友だち・命』の力で、学びと人格形成の統合授業を創る」の、2本柱だった。


1,  学校長の進学校転勤推薦を断り、世間で言う教育困難校:実業高校を、転勤希望し続けた理由。

   1) 「一宮高校を校長推薦し、、」「いいえ、一宮工業高校を、お願いします。」「いいえ、一宮商業高校を、」
     転勤希望、2月の校長との会話は、いつも、「論功行賞的・世間的栄転話」の評価観だった。 
      しかし、「どの日も、同じ一日」(銀色 夏生「詩集」。掃除中に、「先生、読んで、、、」と、生徒が、そっと手渡してくれた。)         
      じゃものと、「実業高校の生徒たち」 を、選択した原でした。 
   2) なぜなら、「日本の競争教育」は、多くの「普通科高校」の親子が、重度の進学熱症に感染している実態
     があり、一方では、多くの「実業科高校生」が、理不尽な自己の尊厳否定に陥っている実態がある。
           その事実をふまえて、転勤先高校を選択すれば、
      原流の、「ヒトの子どもの本質」へのリセット理科教育で、「科学する楽しさ・学ぶ喜び!」を享受するのは、
     断然、「実業科高校生」だと、確信していた。  
      だから、原にとって、校長が勧める「進学校」勤務は、魅力の無い・しんどい学校でしかなかったのです。 
    
2,   というわけで、同僚との仕事の流儀も、すべて自分流を大切にした。

  1) 初対面の理科の同僚への口上は、 「それぞれのやり方で、自由にやりましょうや。  教材や実験の開発、
    授業時の生徒反応など、 いつでも自由な情報交換を楽しみましょうや。」で、各自の自由と互いの交流を
    大切にした。例えば、互いの実験授業中に自由に出入りしたり、他教科の先生が、授業参観に来たりした。
      (唯一の例外期間は、一宮工業高校で、奇跡的理科メンバーが揃った5年間のみ共同実践した)
   2) 13ヶ月の「生死をかけた、ガン様との付き合いから生還」して復職した職場は、恒例の学習指導要領改定
    に起因した、生徒の様変わり(授業中のおしゃべり、ズリずりズボンにチンタラ歩き、クレオパトラ顔などの現象)
    で浮き足立った先生方が、「原先生、生徒は変わりましたよ。」と、ぼやき嘆いていた。
     「心身の回復のために、勤務態様の軽減申し入れ」をした。「生徒の授業だけは全コマやりたい。それ以外は
    免除ください。」校長は、「充分です。」と認めた。諸会議いっさい欠席した。そんな折、職員会議で、「授業中の
    おしゃべり男子生徒への、退学勧告」が可決された。会議後、その足で、理科準備室で教材研究中だった原に、
    「原先生のお考えを知りたい、相談したい。」と、校長が来て、いきさつを私に説明した。
     日頃、「一人ひとりの生徒を大事に育てる学校にしたい」と、準備室で意気投合した校長だった。「校長先生、
    正念場ですね。退学は、教育の敗北です。ましてや、退学勧告を出すとは、正気の教育ではない。今こそ、日頃
    の教育理念を、職員に指導し生徒を守る時だし、その校長権限行使は、先生にしかできません。」「ありがとう。」
     そして、翌朝打ち合わせで、「男子生徒の指導を、全校であたたかく続けてください。」との、校長発言があったと、
    理科の相方が知らせてくれた。  定年まで残り7年間は、あまりにも少なく、この時点で、退学勧告者と決別した。
  3) 「この学校を最後に、社会へ巣立つ生徒たち全員に、科学研究する楽しさ・喜びを、『餞(はなむけ)』にしてや
    ろうじゃないか!」と、科学大好き人間の原と相方のふたりの夢は、バッチシ!  高校3年間の理科カリキュラムを、
    相談し決定した。科目は「総合理科」で、生物・化学・物理・地学の基礎・基本の、概念・学力・学び方・技術の
    習得を、1学年〜3学年・1学期末テストまで授業する。
      その後、卒業までの7ヶ月間を、「理科の時間」は、授業の無い教室や学校内の随所で、それぞれがそれぞれに、
    「科学研究三昧」を味わう、日本のどこにも無い「自分の科学をする」のです。

      この授業実践の概要は、以下です。   「研究テーマを一人ひとりが自分で自由に選定し、研究方法や、装置
    の製作・工夫を自分で行い、詳細な研究記録(行動内容・月日・データの図解や写真など)を仔細漏らさず証拠
    として残し、その記録に基づく考察や課題・まとめを、常に公開可能状態にしておく。10月と12月の2回、研究発表
    会を開催し、各自が教壇上で研究の実物(再現実験・生成実物・写真など)で発表する。その後、2月中旬まで
    に卒業論文を作成し、研究記録と自己評価計算書の3部を一緒に提出する。」のです。
     この3部を、卒業テスト中に審査し、合否を判定します。その結果は、驚くほど真面目に真剣に取り組んだことが、
    ヒシヒシと伝わってくる提出物であり、多くの生徒が「私の宝物」と言います。

     この実践こそが、少年時代「火薬飛行ロケット研究」での感動を、生徒たちに共有体験感動させたかったものであり、
     原の理科教師の集大成ともいうものです。(詳細は、記述本、4・理科の、45頁〜91頁に記載)

   3, 生徒に対して、生徒自身の意志で、判断し行動することを要求する。これが、原流・「生徒との接し方」。

   1) 「自分が、『自分の理性と心で判断し、納得して、行動する』なら、それが、『自分を生きること』なんだ。
    親が言ったから、先生が言ったから、なんて他人のせいにするんじゃねえんだ!  年頃ともなりゃあな!
    お前はお前、わしはわし。人間、誰でも、人生の一瞬たりとも、身代わりは、出来っこねえんだからな!」
   2) [年頃ともなりゃあ、親や先生が、うっとうしくなる。喜ばしいことじゃ! 大人たる『自立心の成熟期』に
    突入しとる証拠じゃでな。 この時期は、自分の可能性を花開かせる絶好の『人生の季節』なんだぜ!
    自分の可能性を花開かせるのは、あったりまえじゃが、自分だわさ! そして、「友だち・命」の心だ。
      などと、いろいろと生徒に吠え続けた。 
          これは、自分の人生経歴(生死の大病など在職中5回の入院、戦中・戦後体験など)から
      体得した信念であり、生徒にとっても普遍性があるとの、「ゆるぎない思い込み」からであった。
       これは、「授業記録」に「先生のおことば」コーナーがあったりして、生徒なりに受け止めていたようだ。。
    
   4、 上記1〜3をベースに、お題目でなく、生徒自身が賢くなっていく自分を実感する「授業づくり」をした。

   1)  最初の授業で生徒に対し、授業の単元到達目標と、 目標へのステップ目標を提示し、目標への確実な
    学びの方法として原の手づくりプリントや学習手法で授業展開し、教科書は獲得学力の検証に、必要に応じて
    補助的に使う旨を、説明しておく。 生徒自身が、事前に、到達点と方法を認識しておくのは、重要だと考えた。
   2)   原の手づくりプリントや学習手法での授業展開プランは、
    ア、 学問知の系統性を踏まえ、学問知の本質を衝いた生徒向けの教材づくり
(これこそが、試行錯誤の連続!)
    
     本日は、これにて。  つづき。



番号 08I-011  送信日 08/09/26  差出人 林 正幸
件名 MOLの会の報告

こんにちは、林まさです。
 23日のMOLの会の通信案ができました。不足や間違いなどがありましたら、指摘してください。
 なお次回は
    12月14日(日) 13:00〜 市立北高化学室
です。
 ではまた。

                                   08.9
                               事務局 林 正幸

   MOLの会通信08−9号

 今回は岡田、鈴木とし、田中、林まさ、福島、船橋、堀の7名が参加しました。以下に
記事はありませんが、福島さんが樟脳の分離にチャレンジしました(次回には改良されて
登場するでしょう)。また私(林まさ)が「混合気体を体積で分けることと、圧力で分け
ること(アボガドロの法則と分圧の法則)」および「気体の平均自由行程」の話をしまし
た。また講座プラン「物質とエネルギー(改訂)」と先進科学塾テキスト「目に見えない
気体を科学する」などの資料を提供しました。

ダイス・スタッキング(船橋)
 今年の科教協大会のナイターで横浜物理サークルの越さんが紹介していた手品(技)を、
2日間の特訓で身につけた。逆さにしたコップでダイスを拾って積み上げる。コップが2
往復半すると、5つのダイスが積み上がっている! 透明なコップで動きを調べ、秘密が
分かった。遠心力を利用している。コップは半円に近い形で動かして、ダイスを壁面に押
しつける。しかもコップを傾けて、拾ったダイスは上(底)の方に上げる(ダイスは1
cm以上の大きいものを選ぶ)。この理屈が分かると、技も身に付きやすく、田中さん、
岡田さんはすぐできるようになりました。
 夏休み明けの授業で紹介すると、生徒が教卓に寄ってくる。放課後には準備室に来て練
習を重ね、次々にできるようになる。いやいや、こうすれば生徒は勉強するのですね。
 なお道具は東急ハンズでも2000円ほどで入手できる。

水素が水を吸う?(林まさ)
 杉山 正明さんに教わり、指定された素焼き容器(一輪差し)を取り寄せ、チューブ付
きゴムせんも含めて10セット準備した。
 ひとりが4mのチューブの端を水(アンモニア水とフェノールフタレインで着色)に浸
け、中央を2m近く持ち上げる。もうひとりが素焼き容器に水素を吹き込み、すかさずゴ
ムせんをする。すると水がスルスルと昇っていく。そして中央を越えようとするので、チ
ューブを押さえて止める。しばらくして指を放すと次第に水が降りてくる。
 これは気体の種類によって分子の飛行速度が異なるためである。気体分子運動論による
と平均飛行エネルギーは次のようになる。
    (1/2)mv2 ×N = (3/2)RT
単位に注意して分子量を含む形にすると
    v = √(3000RT/M)
つまり平均飛行速度は分子量の平方根に反比例する。15℃として具体的に計算すると
  水素      1895[m/s]
  窒素       506
  酸素       474
  二酸化炭素    404
水素が際だって速い。素焼きには、気体分子が通過できる小さい孔が無数にある。そして
水素が外に出る速さは窒素や酸素が中に入る速さを圧倒し、内部が一時的に減圧になる。
 ついでに素焼き容器に二酸化炭素を吹き込んだ場合は、水が下がってチューブ内の空気
がポコポコと泡になって抜け出た。さらにあらかじめゴムせんをした状態で容器をレジ袋
で包み、二酸化炭素を下方置換すると水面が10cm以上上がった。
 この実験(通常の形は水素の噴水)、私はじょうごにセロハン膜を貼ったりして試した
がうまく行かなかった。どうやら孔の径や長さ(容器の厚さ)などが絡んでいるようであ
る。セットは参加者全員に買ってもらうことができました。

ケミカルガーデン(福島)
 市立北高科学部の「科学の祭典」への今年の出し物は、以前に紹介された「指紋の検
出」と「ケミカルガーデン」。
 前者では、蹄状紋、渦状紋、弓状紋、変体紋に分類して統計を取る計画。
参考:MOLの会通信7−12号
 後者では、通常は水ガラス(ケイ酸酸トリウム)水溶液を使うがpHが12と高いので、
「原色 化学実験プロセス図説」(黎明書房)に載っているpHが9のリン酸水素二ナト
リウム水溶液を選んだ。濃度は薄くして10%でもうまくできる。持ち帰れるように、
100均で入手したかわいい化粧びんにヒモを付け、首から下げられるようにした。使う
結晶は色や形、安定性を考慮して、塩化コバルト、塩化銅(U)、硫酸銅、硫酸ストロンチ
ウムの4種にし、これをスパチュラで加えてもらう。
 水溶液中で結晶が幹や枝を伸ばすのは、水ガラスの場合は結晶表面に不溶性の半透膜が
形成されるためであるが、たぶん同じ理由であろう。

ゴムボールをつくろう(船橋)
 MOLの会の「科学の祭典」への今年の出し物は、「ゴムボール」と「高吸水性ポリマ
ー」。
 ラテックスを4倍(7mLに水30mL)に薄めた液と、ポッカ100レモンを薄めた
(4mLに水35mL)液を、ジャムなどのびんに注いで振るとボール状になる。これを
はしで取り出して水洗いしてから、キッチンタオル(2枚重ね)の上で板で押さえて転が
すと、水が抜けてゴムボールになる。
参考:MOLの会通信3−4号

むちゃ水をすう粉(こな)(林まさ)
 前回は船橋さんの「プランツボール」から始まって、その場で「吸水ビーズ」を使って
実験をし、「科学の祭典」の出し物に決まり、私が準備していました。
 その中に「フェノールフタレインを加えた水を吸収するとピンク色になる」というのが
あった。塩の加水分解である。
    −COONa + H2O ―→ −COOH + Na+ + OH−
ところが新しく購入すると(高吸水性ポリマー ナリカ P70−3790−02)色が
変わらない。説明書には中性とある。商品の高吸水性ポリマーは(間接的であるにせよ)
肌に触れる可能性もあり、中性である必要があるわけだろう。それは多分、カルボン酸ナ
トリウムとカルボキシ基(−COOH)の割合が中性になるように重合されている。であ
れば、緩衝作用があると考えられる。そこでわずかに酢酸(酢)を加えた水にポリマーを
加えることにした。これで黄色、緑色という別の色変わり実験ができました。
@ポリコップに水30mL(高さで1cm)を入れて渡す。ポリマー0.1g(見本を見て
おおまかに)を入れたスクリューびんを渡し、加えて振り混ぜさせる。
A3mol/L塩酸(滴下しやすい「プチボトル」に入れる。以下同じ)を10滴加えて振
り混ぜる。
処理:3mol/L水酸化ナトリウム8滴を加え、「廃液」用のペットボトルに流し入れ、
コップはバケツの水ですすぐ。「廃液」は大量の水を流して捨てる。
Bポリコップに水30mL(高さで1cm)を入れて渡す。BTB3滴を入れさせる。
Cポリマー0.1gを入れたスクリューびんを渡し、加えて割りばしでかき混ぜさせる。
D3mol/L水酸化ナトリウム3滴を加えさせ、再びかき混ぜさせる。
処理:新聞紙を入れたレジ袋に流し込み、コップはバケツの水ですすぐ。レジ袋は可燃ゴ
ミとして捨てる。
 新しい商品は吸水力が数倍高くなっており、粉末状で吸水してもビーズとは言えない。
ちなみに滑り台などでおむつの粉が飛散し、それを吸い込んでお腹の調子が狂う場合があ
るそうです。

気体と物質量(堀)
 今年の合同県教研のレポーターに決まって、その内容を紹介してもらいました。実験は
盛口さんのものを活用します。
 チョーク1本、炭酸カルシウム製で10g(0.1mol)あまり。これを砕いてポリ袋
の底に入れ、包み込んで洗濯ばさみで留める。6mol/L塩酸50mLほどを注ぎ、空気
を抜いて口を絞ってセロテープで固定する。洗濯ばさみを外して反応させ、2.4Lの透明
プラ容器に入れる。次第に膨らんでちょうど容器一杯になる。
 この実験は生徒の実態に合わせて色々に活用できる。チョークの質量を測らせ、量論に
基づいて二酸化炭素が何L発生するか計算させる。それも標準状態における体積か、たと
えば15℃における体積か。あるいは化学反応の生成量は予測でき、それより多くも少な
くもないことを納得させることを目指す。さらにポリ袋全体の質量(天びんに載せたとき
の値)は反応の前後で変わるか。あるいは二酸化炭素を抜いて(口を拡げて)質量を測る
とどうか。そして生徒に実験させることもできる。
 22.4Lの体積イメージが湧きにくい高校生が多いことも話題になりました。1Lの牛
乳パックは実感できても、22.4Lはさっぱり検討が付かない! 家庭の湯船より大きい
と思う生徒さえいる(これでは1023 を理解するなんで夢の世界!)。量概念の形成にも
実験が必要なのですね。そこでプラ容器を500mL牛乳パックが4つ入るように形を変
えて作り直しては(そしてポリ袋もすこし大きくする)、という意見が出ました。
 また発生した気体が二酸化炭素であることを、たとえばろうそくの炎が消えることで示
しては、という意見も出ました。

視覚のトリック(岡田)
 学校祭のクラス展示、今年は生徒が錯視にこだわった。すべて大きくした。「首振りド
ラゴン」「エイムズの部屋」、あと名前が分かりません、見ていると動き出したり回り出
したり。
 大きくすると世界が変わる。片目で見ると飛び出して立方体になる錯視、そのまわりを
歩くと何とも奇妙。
 ニュートン別冊「錯視空間図解」が役に立った。

ドライアイスの霧(岡田)
 「楽しい授業」から。ドライアイスは湯に浸けるのと水に浸けるので、どちらが霧がた
くさんできるか。どう考えたらよいだろうか。
 温度が高いほど蒸気圧が高く、空気中に水蒸気が出やすい。それが冷やされて湯気
(霧)になる。昇華した二酸化炭素が水蒸気を冷やす。気体の二酸化炭素は昇華した時点
ではほぼ−78℃(1atmにおける昇華温度)で、空気よりはるかに温度が低い。そし
てやはり温度が高いほど激しく昇華するので、霧の発生には有利になる。
 舞台効果では、ざるに入れたドライアイスを湯に浸けたり出したりする(専用の装置が
あるそうです)。湯の温度が下がらないようにする。



番号 08I-012  送信日 08/09/27  差出人 原 弘良
件名 生徒発信の理科授業づくり−その53:仕掛けいろいろ

原です。   授業システム要素と展開(原おじさん流の概要) 
生徒の学習意欲を誘い出す「理科授業の仕掛け、いろいろ」と、人間観・教育観

     、
      だれにも、「ヒトの子どもの本質」:自分の意志で未知の世界に踏み込み探究したい本能が在る。
    この本質の確実な発現を図り継続する「授業づくり」の必須ポイントが、3点ある。 これで、ええ!
     また、自己実現を実感する授業体験の累積が、生徒の人格形成に大きく影響を及ぼすのが、授業。

  1、螺旋的な「授業の環」

   学問知の系統性を踏まえ、学問知の本質を衝いた生徒向けの教材(概念、実験等)を、「結節点」とする。 
    到達目標学力へのルートは、この「結節点」を螺旋的な配置によって構成される。これが、「授業の環」。
    この「授業の環」が、生徒の「自己実現を実感するか、否か」の最大要素であり、教材研究の本筋・基本。

     MLで発信される情報にも、現職だったら即授業で、生徒が考えてイメージ化し理解し楽しむ教材にする
    のは、26日・「MOLの会通信08−9号」の「素焼き一輪差し」ですね。眼に見えない世界をイメージ化
    して自然の本質を発見する実験教材は、「身近な生活用品」によって、生徒の感動はより深まり興味を
    引き寄せる授業場面が多くあり、私は「身近なもの実験」を大切にしました。 そこで、「素焼き一輪差し」
    は、「粒子概念、気体分子運動」教材として、「もらった!」というわけ。
     こういう「結節点に適した教材探しと開発」が、生徒の感動と直結する現職中の一番の楽しさでした。

  2、「友だち・命」は、「あんた、すごいね!」拍手でコミュニケーション: 学校の優位性の具体的展開授業を!

    学校の優位性の「二面性」の峻別:正の優位性は、「友だち・命」を具現化した、支え合い励まし合う授業。
                       :負の優位性は、「友だち・命」を軽視し、点数序列価値を重視する授業。

     拍手で、「友だちが、認めてくれた」という自己実現の実感は、単純なようで大切な授業場面です。
    自分が生徒だったら、授業で自分なりの考え・答えを、精一杯発表したときの友だちの拍手は、重いです。
    授業で拍手し合う意義のもう一つは、「授業に集中してなきゃ、拍手に参加できない」事実があります。

     「学校の負の優位性」でほくそ笑むのは、序列化によって生徒を差別・選別して、楽して得する輩のみであり、
    生徒ではありません!生徒は、「友だちの序列化・価値観」という、とんでもない人格汚染に、知らず知らずに
    染められます。学業成績は、自己評価がなきゃ意味無い!から、担任時代の私は、学期末保護者会は、
    保護者同士の懇談会にしていました。また、生徒には、「40人クラスでは、1番から40番までになるが、いつも
    上位・下位に一喜一憂するのが、友だちなのか、考えよう。」と呼びかけると、ハッと生徒は気付くものでした。

  3、多種多様なチャレンジのチャンスを生徒に!: 学習意欲を誘い出し継続させる「理科授業の仕掛け」

     人間である生徒には、当然、「意志」が在りますから、「教えようと、教師が意気込むほど、逃げる!」当然です。
    その点、理科は、いい!先生の意図は後ろにしといて、「自然界の不思議をして、語らしむ」を前面にした授業
    に全力投球し工夫する「理科授業の仕掛け」によって、必ず、生徒は「感動返球」をしてきました。

  1)最初の授業:生徒一人ひとりが、1分間スピーチで、自分デビューをするチャンスを。
     学級は、学び合う学校生活の基盤だから、教科授業でも「学級づくり」をします。
    多種多様な個性・人格の「友だち」と、学び合う学級である。その印象付けの一方法です。

  2)自分なりの「自主編成・手づくり教材プリント」が主で、副教材に「教科書」を。
     学校数だけ序列化した現実の高校では、目の前の生徒に対応した教材は、「手づくり教材
    プリント」に生徒への思いを込めたものが一番だし、その過程の毎日が、楽しかった。
     教科書問題が解けなかった多くの生徒が、授業の進行につれて確実に学力を獲得している
    事実を、いつの間にか「教科書の問題を正解しちゃうじゃないの!」という自己肯定確認
    の検証として、活用でき生徒も満足します。「共通テスト」の新聞コピー・プリントも配布
    すると、チャレンジする生徒もいて、「先生、いくつもできるのがあるよ!」と、叫ぶ。

  3)観察・実験授業で、みんなで科学者になろう!
     バーナーの点火もままならない不器用な生徒の実態。入学当初のスタートは、二人1組
    園芸スコップ・ルーペ・記録用紙を持って、春うららの「校内生物探し」の野外実習に始
    まり、その都度、「誰もがやりたくなる、レポートづくり」の学習訓練を重ねます。
     そして、高校3年間の仕上げは、7ヶ月間・個人別課題研究生活ドップリの科学者気分
    に浸り、それぞれの「宝物授業」で巣立って行きました。(最後の学校・一宮商業高校)

  4)新聞の切り抜き教材化:「わが身の生活に引き寄せて、科学を学ばせる」
     毎朝出勤前に、科学記事を切り抜き、即席教材プリントにして、授業に投げ込み続けた。
    生徒が獲得した学力が、自分が生きている社会での事実を、科学的に正しく認識し、判断
    できるまでに、自分が賢くなり成長しつつある事実を確認させるためです。それは、自分
    への誇りと、より一層の学習意欲喚起に連動するからです。
     たとえば、トリ・クロル・エチレンが、土壌汚染物質として報道されていたとき、
    授業記録に「この物質が有機溶剤であり、有機化合物の人間の体にとって取り込まれ易く、
    有害物質であることを、授業で学習したことや構造式を書いて、夕食のとき家族みんなに
    説明したら、驚いて感心してくれた。うれしかった!」と、生徒が書いていたこともあり、
    私もうれしかったし、それを授業で紹介したら、生徒たちは一斉に拍手をした。


  5)4人1組の学習グループ
     実験授業における、議論・点検・評価・グループ発表などの活動によって、個人の知識を
    機能的知識・技術にレベル・アップして、質変化と定着をもたらし、「イメ・トレ学習」や
    「100点満点面接テスト」に備えた、先生役・生徒役の交代学習を楽しみながら、
    学力アップをします。これも、「学校の正の優位性」の活用です。

  6)「授業記録」は、必須アイテムです。
    生徒の輪番制・回覧方式で、約25年間楽しみました。「生徒の広範な事実」の収集や理解・
    教師と生徒の双方向コミュニケーションの有力な一手段として、手間・暇かからず、私の
    「元気がもらえる源」のひとつでした。

  7)自由参加・加点方式の「身近な科学レポート」の募集
    「先生、1年間で、自然科学事典ができちゃうね!」と、生徒が言うほどの、モテモテ企画。
    これは、以前に報告しました。これこそ、先生の手間・暇かからず、生徒がノリノリ企画で、
    われながら、感心ものです!  先生に強制されずに、友だちからは「あんた、やるねえ!」
    と褒められるんだから、たまらねえやな!

  8)毎時限、5人以上の生徒を、無作為に指名する授業をした
    「行動することで、意識化する」と、私は考えます。能動的姿勢で、授業に参加することを、
    お説教ではなく、授業の事実で、生徒に学習習慣化させる意図でやり続けました。
     生徒の評判も良好で、「ボケッとしとれん、先生の授業は」と言い、そのうち、指名せず
    とも挙手して指名を催促するものまで出ました。(今時の、高校生がねー)


  つけたし   生徒観について
    1) 「ヒトの能力の多くは、生育環境歴に規定され創られてきた結果だ。」から、目の前の生徒が見せる
     現象に、一喜一憂するのは、本質を見誤る原因となる危険性が大きい,  と自分に用心した。
 同僚や知人は、「待ちの教育の、原さん」と言い、「よく我慢できるなあ」とも言ったが、  的外れだわさ。
    2) 重度障害児施設・近江学園・糸賀園長の、重度障害児と生きる毎日の仕事の試行錯誤過程から
     「ヒトから人間への発達過程と要因」年報レポートは、現場スタッフの集団討議を経て練り上げられていて、
     説得力抜群だった。(1960年代のことですが)
      その要旨は、どれだけ重度障害があっても、人間の五感のフル活用を促し、何よりも愛を込めたあきらめない
      コミュニケーションの累積が変化力となって、、ずーっと無表情だった子がニコッとしたとき、スタッフみんなで、
     拍手して喜びに沸いた。   とか、健常児であれば、親も家族も気付かぬうちに、発達変化を見過ごしたり
     当たり前に思って何の感動も覚えない「ヒトから人間への発達の変化力は、人間同士のコミュニケーションだ。」
     との年報レポートに、強烈な印象を受けた。
    3) 事実、養護学校生徒たちは、「就学拒否」を乗り越え、仲間とのコミュニケーションに、生きる喜びをはち切
     らせる生徒たちだった。    その光景に、
      「ヒトから人間への発達の変化力が、人間同士のコミュニケーションである。」証を、追認する毎日だった。 
      それ以降、私は、「生徒間のコミュニケーションを基軸とした授業展開の必須」を、強く意識したのです。      
     
         
     本日は、これにて。  「火薬少年プログラムによる、化学反応式・モル計算自由自在」 へ  つづき



番号 08I-013  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-014  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-015  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-016  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-017  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-018  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-019  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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番号 08I-020  送信日 08/09/**  差出人 ** **
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