番号 05B-001  送信日 05/02/02  差出人 林 正幸
件名 環境問題通信を届けます

 こんにちは、林まさです。
 今日は私の住まいでは15cmほどの積雪です。散歩もできず、お陰でこの環境問題通信が完成しました。1週間ほどしたらホームページにも掲載します。参加者で、間違い、補足などありましたら連絡してください。
 次回は次のようです。
    5月7日(土) 13:30  林ラボ
関心のある方は予定に書き入れておいてください。
 ではまた。

<引用>
                                   05.1
                               事務局:林 正幸

      環境問題通信05−1号

 今回は飯田、臼井、鈴木ひさし、富田、林まさの5名の参加でした。

松河戸の産廃問題(鈴木ひさし)
 平成13年5月に名成産業は愛知県知事に、春日井市松河戸に産廃施設の設置許可を申
請した。これに対して春日井市、名古屋市北区、守山区の3地区の住民が反対運動を開始
した。県審議会は21回の説明会を開いたとし、社長も出席せず、安全対策についての質
問に答えることもないままであった。平成14年1月の守山区での松葉によるダイオキシ
ン調査は大気中濃度に換算して0.64〜0.83TEQ/gで、環境基準0.6TEQ/gを
既に超過していた(他の調査でも名古屋市平均の2倍を示した)。住民3団体はくり返し
要請行動を行い、知事に13万4千筆の反対署名を提出した。にも係わらず平成16年4
月には知事は許可を与えてしまった。
 計画の傾斜回転床炉は全国でも2例しかなく、しかも1例はトラブルで解体修理をする
ことになった。炉の設計も、一次燃焼室(ガス化)に比べて二次燃焼室の容量がはるかに
小さく、集塵機(サイクロン)もなく、煤塵はいきなり小さなバグフィルターに掛けられ
る(しかもその前に開放弁があり、そこから排出可能である)。また提出資料のデータか
らすると、想定通りに燃焼させる技術能力を持っているとは思えない。そして持ち込まれ
る産廃を分別する場所は無いに等しく、かつ1日あたり45トンをわずか2人で処理する
ことになっている。
 これでは破砕過程を含めて、ダイオキシンを始め、SOx 、NOx 、重金属などが発生
して、住民の健康が損なわれる危険性がある。そこで平成16年12月に名古屋地裁に差
し止め仮処分申請書を提出した。
 住民が使っているビデオ「松河戸に産廃はいらない」を見せてもらいました。それによ
ると、排煙の拡散シミュレーションも、建物によるダウンウォールやダウンドラフトを無
視したものになっている。また窒素酸化物などの対策はゼロである。

 臼井さんは、不要になった戸棚や自転車は自分で解体して、近くの銭湯や金属処理業者
に届けるそうです。また家電製品は保管しておいて、入り用になったパーツを採るそうで
す。各種リサイクル法も発効しています。リサイクルに関しても勉強して行きたいです。


授業への思い(飯田)
 高校や大学(いずれも非常勤)での授業のプリントをもらい、それに掛ける思いを聞き
ました。
 宇宙が誕生して現在までの時間を面積で示すと、人類の時代はごく小さい升目である。
言い換えると、人類は極めて長い時間を掛けて誕生した。そのことを忘れて日常の時間ス
ケールでのみ見ることは間違いを起こす。生命は海で誕生し、その環境を採り入れて進化
してきた。赤子は胎内で生命の進化を辿りながら誕生する。そして光合成でつくられた現
代の大気の例のように、生命は長い時間を掛けて地球環境を変えてきた。このように人類
は他の生物と一体の存在である。このことを無視しては人類の未来は危うい。
 「沈黙の春」や「奪われし未来」が告発した合成化学物質の危険は、ごく微量(分子数
としては巨大)でも作用する可能性があることと、生体への蓄積性である。特に有機塩素
化合物は天然に存在することはまれで、生物にとって毒になることが多い。
 胎児期に影響が大きい環境ホルモンに対しては、マスコミが騒ぎ過ぎで、根拠が不十分
であると、西川洋三らが反論している。両方の主張を勉強して、どちらの視点が正しいか
自分で判断しよう。「化学はきらいだ。学びたくない」と思っていても「科学をしらない
と殺される」現実がある。科学の本質は「身近なところ」にあり、楽しみながら市民とし
て学んで行こう。

 以上は私の勝手なまとめです。


酸性化する大気(林まさ)
 これはアルケミストの山本さんがまとめた資料です。
 二酸化炭素が雨水に溶け込むと、計算ではpHが5.6になる。しかし火山の噴煙中の二
酸化硫黄でも酸性化するので、環境汚染としての酸性雨はpHだけでは定義できない。
 雨水に含まれるイオンは次の9種である。
    H+  NH4+  Ca2+  K+  Mg2+  Na+
    NO3−  SO42−  Cl−
海水のしぶきが混入しているが、硝酸イオンと硫酸イオンは人間の活動によるので、中和
される前の入力酸性度はこれらのイオンから計算できる。そのpHは日本では4.0〜
4.5、欧州では3.5〜5.1、北米では4.0〜5.3である。なお中和前のアンモニアは
生物由来が多い。
 硫酸や硝酸の生成には空気中の OH ラジカルや O2H ラジカルが重要な役割を果たし
ている。前者の生成機構は次のようである。
    O3*(紫外線で活性化したオゾン) ―→ O2 + O
    O +H2O ―→ 2OH
硫酸は液相(水滴)では、二酸化硫黄が溶けてできる亜硫酸が過酸化水素やオゾンで酸化
されてできる。
    H2SO3 + (O) ―→ H2SO4
気相では次の反応が起こる。
    SO2 + OH + M(微粒子媒体) ―→ HOSO2 + M
    HOSO2 + O2 ―→ HO2 + SO3
    SO3 + H2O ―→ H2SO4
硝酸は気相が中心で次のように反応する。
    NO + O3 ―→ NO2 + O2
    NO2 + OH + M ―→ HNO3 + M(二酸化窒素はこの反応のみ)
 酸性雨や酸性霧、酸性雪ばかりでなく、気相の酸性物質(SOx NOx を含む)による
乾性沈着の影響も大きい。その被害は、慢性気管支炎や光化学スモッグとして健康を蝕む。
大理石の彫刻は硫黄酸化物の乾性沈着で、より水に溶けやすい硫酸カルシウムに変わる影
響も大きい。日本では樹木への影響はまだわずかであるが、いつか土壌の中和能力が限界
になる可能性がある。また酸性霧はpHが小さく、浮遊して人体や建物により大きな影響
を与える。


「ソーラー地球経済」まとめ3(富田)
 今回は次の範囲の報告でした。
第2部「化石資源政策の病理」の4章「化石資源の連鎖が社会と文化を後退させる」
 化石資源の連鎖の影響は、二極分化した「工業社会の大都市」と「第三世界の農村地
帯」にはっきりと示される。
 都市はエネルギーと食糧のために、かつては周辺に40〜100倍の畑と森林を必要と
した。化石エネルギーを利用し、輸送手段が船、鉄道、送電線、自動車となるにつれて、
都市は急速に巨大化した。1800年にはわずか1つであった100万都市は、1900
年には13、1990年には300になった。そして集中化されたエネルギーシステムに
よって、地域に合った多様性が失われ、画一化した。それは生活空間のつながりを遮断し、
各種機能センター、交通のための広い空間を産み出した。しかし産業のグローバル化はこ
の都市を空洞化する。目指すべきは、エネルギーと食糧を自給するソーラー都市である。
現に都市での食物生産(「アーバン・ファーミング」)が成長している。
 第三世界は化石資源の落とし穴にいる。先進国をモデルにした急速な工業化は、農村を
放置し、都市はそこから流入し続けるスラムにあえいでいる。開発援助融資は化石資源コ
ンチェルンの利益に合わせ、その支配を実現している。その最たるがアフリカ南部の高圧
送電線網と大発電所プロジェクトである。こうして資源が豊富にあるのに、他国の資源に
依存するしくみがつくられる。結果として農村は荒廃する。目指すべきは、独立して稼働
する地域分散型のエネルギーシステムである。小規模農業を支えることなしに、低開発や
暴動を無くすことはできないだろう。

追記1 太陽電池の現状
 現状を調べようとしましたが、予想に反して私の日刊工業新聞のスクラップは1つでし
た。インターネットで検索すると、シャープと「太陽光発電協会」のホームページが役に
立ちました。
 2002年時点での導入状況は
   日本:637[MW]  ドイツ:277  米国:212
全世界で1328MWである。
 住宅用1kWシステムあたりで、日本では1000kWh/年の発電力があり、価格は現
在70万円(かつての1/10)、補助金は4.5万円(以前より減った)、耐用年数はお
よそ20年である。発電コストで見ると60円/1kWh(電気料金は25円/1kWh)
である。
 変換効率は今では20%に近づいている。日本では生産量は年1.5倍の伸びを示す(シ
ャープが世界1)。現在はシリコン結晶型が主力だが(アモルファス型は低コスト)、化
合物半導体系や色素増感型が研究されている。

追試2 NAS(ナス)蓄電池
 林ひろさんが別の機会に提供してくれた資料です。
 夜間の電力をためる大電力蓄電池が実現した。電解質は多硫化ナトリウム Na2Sx 、
充電するとナトリウムと硫黄になる。300〜350℃に保つとすべて液体である。放電
の反応は次のようである。
    2Na ―→ 2Na+ + 2e−
     2e− + S ―→ S2−
セパレータにはβ−アルミナを使う。電位差は2.1Vで、数100本を組み合わせる。


        次回は

    5月7日(土) 13:30〜

          「林ラボ」



番号 05B-002  送信日 05/02/04  差出人 長瀬 好文
件名 Re:環境問題通信を届けます

 環境問題通信受信しました。行けそうでなかなか行けなくてご無沙汰していますが,こうやって通信を届けてもらえるのは有り難いです。でも,やはりその場に行かなければ得られないものが多いと思います。
 ところで,一つ教えてほしいことがあります。このところの大雪で,学校の敷地や周りに融雪剤(塩化カルシウム)を蒔くべきだという声が大きくなり,いくらか散布しています。しかし,私としては,あまり積極的に行うのは何となく嫌なのです。塩素イオンが環境中に散布されることになるので,結果的にダイオキシンなどの発生にかかわるのではないかと心配なのです。そんな心配は必要ないのでしょうか。ひょっとすると,林さんの報告で酸性雪のことがあったのですが,それを中和することもあるのでしょうか。そんなことは考えられないですね。エンターネットなどで調べてみると,“環境にやさしい”をうたい文句にした塩化カルシウムを使わない融雪剤があるようです。何をもって環境にやさしいと言っているのかは分かりません。・・・・・ということで,質問は「塩化カルシウムの融雪剤を蒔くのはどうしたらいいのか?」です。



番号 05B-003  送信日 05/02/20  差出人 久保田 英慈
件名 Re:環境問題通信を届けます

 長瀬先生の質問にコメントが付いていないようですので、勝手な一言をと思い、コ
メントします。
生徒からもこのような質問が出ていました。
 調べたのですが、塩カリは食品添加物にも使われているようです。
 塩化物イオンについても気になりましたが、食塩も同様な気がします。
 ただ、塩カリのせいで、雪がアルカリ性を帯びるようです。
 詳しい方のコメントをお待ちしております。



番号 05B-004  送信日 05/02/21  差出人 清水 祐樹
件名 Re:環境問題通信を届けます

こんにちは。清水です。
ちょっと調べてみました。
> 質問は「塩化カルシウムの融雪剤を蒔くのはどうしたらいいのか?」です。
私の回答は「融雪剤を蒔いても人体への影響は無視できる」です。根拠は次の通りです。
1.海水などから自然発生する塩化物イオンの量に比べたら、融雪剤の量は無視できると思われる。
2.ダイオキシンの急性毒性は、モルモットで0.6μg/kg(サリンの17倍)、ハムスターで5000μg/kgなど、大型の生物では弱くなる傾向がある。人間に対してはもっと弱いだろう(ただし未確定)。
3.測定の分解能が上がったため「ダイオキシンが検出された」ことが強調されるが、濃度が増えたとは言っていない。増えたとしてもせいぜい数倍。「検出された」ことが「濃度が増えた」と誤解されている。
4.特殊な状況を除き、ダイオキシンが原因で死んだ人はいない。しかし、アルコールや喫煙で日本だけでも毎年数十万人の人が死んでいる。日常生活ではダイオキシンの毒性を考慮する必要はない。
5.ダイオキシン対策により、他の有害物質も規制できる場合があるので、対策は必ずしも無駄ではない。しかし、現在のやり方には問題がある。

渡辺正、林俊郎著『ダイオキシン 神話の終焉』(日本評論社、2003年)
など、ダイオキシンの毒性に対して否定的な書籍がいくつか出ています。環境にやさしい、とは、土壌などに対する塩害を指しているのでは、と思います。
詳細は別の機会に報告してみたいです。



番号 05B-005  送信日 05/02/24  差出人 林 正幸
件名 融雪剤とダイオキシンに関して

 こんにちは、林まさです。
 私が長瀬さんへ個人的に返事を出さなかった方がよかったようですね。私が2月6日に彼に出したメールは次のようでした。
<メールの引用>
こんにちは、林まさです。
 塩化カルシウムの環境への影響の主なものは、自動車などの錆がひどくなることではないでしょうか。融雪剤をまいた道路を走ったら、洗車しろと言います。塩化物イオンは海水のしぶきが舞い上がり、雨に取り込まれて(塩化ナトリウムなどとして)降ってきています。融雪剤は局所的一時的には高濃度になりますが、ダイオキシンの発生につながることは考えにくいです。なお塩化カルシウムが酸性雪を中和することはありません。
 ではまた。
<以上>

 関連して清水さんが、渡辺ら著「ダイオキシン〜神話の終焉」に触れています。これを巡っては昨年2月に、下記のような討論会がありました。環境問題通信04ー2月号(ホームページにも掲載)に要約(こちらの方が読みやすい!)は書いたのですが、そのとき私がプリントした資料(これはアルケミストの会の通信資料として
作成したものです)はサークルに参加した数人にしか渡っておらず、私のホームページにも掲載していないので、この際皆さんに読んでもらおうと以下にコピーをしておきます。なお討論会の資料も保管しています。
ではまた。
<コピー>
                                   04.2
                                   林 正幸

 「ダイオキシン討論会」に参加して

 2月14日、大阪工大で開かれた
    「ダイオキシン 神話の終焉」をめぐって
    徹底討論会・「ダイオキシン」は安全か
に参加しました。パネリストは著者の渡辺、林両氏と、宮田氏(摂南大)、藤原氏(ダイオキシン関東ネット)で、主催はダイオキシン関西ネットです。
 会場は200名定員の教室がそれをはるかに越える人数で埋まりましたが、用心深く早めに到着した私は前から2列目に座ることができました。始まる前から熱気に包まれ、私自身が興奮を覚えました。
 はじめに4名のパネリストの主張、4名の討論、続いてそれぞれの側の代表4名の意見表明がありました。その後会場からの発言が1人2分で15名ほどあり、最後にパネリストの回答、まとめで締めくくられました。一部感情的な発言もありましたが、司会がきびきびとしていて、充実した素晴らしい討論会になり、交通費とは比べ物にならない満足感が得られました。
 内容は多岐に渡っており、その場で結論を出せるようなものではありませんでしたが、資料を読み返し反芻するなかで、次のように考えるようになりました。
 「『ダイオキシンは食品を通して体内に入るのが大部分で、ごみ焼却で発生するダイオキシンを規制するのは無駄である』『ごみから塩ビを除いてもダイオキシンの発生量は減らない』という著者の主張(前の私のメール)」にかなり疑問が伴う。それは以下を見てもらうと分かります。
「環境問題を捉える重要な視点の欠落も感じました。彼はさかんに『ダイオキシンで死んだ人はいない』と書いています。彼のリスク評価は半数致死量という急性毒性のデータに依っています(後ですこし発ガン性などに触れていますが)。環境問題では、公害問題のときから、基本的に慢性毒性が問題です。(前の私のメール)」は正しい批判である。
 環境問題の難しさは「予防の原則に立つ」点です。これには科学的なデータは不可欠ですが、それだけでは結論が出にくい問題です。下の牧野氏の意見が象徴的です。そして岡村氏の意見にも注目です。科学的であろうとのみすると、ついつい事実やデータがないかぎり否定的になります。そして自分が知らないことがあるという自覚を忘れたり、先入観やこだわりがあったり、多面的な視点を持たずにいると間違いを犯します。
 これをカバーできるのは、すでに70年代はじめに確認された「人間優先」(それまでは産業協和)の思想です。これは思想であって、科学ではありません。Dさん、Eさんの発言を見てください。もうひとつは率直な討論です。その点で今回は私にとっても素晴らしい勉強の場になったのです。
 内容をまとめるのは容易ではありませんが、私としてポイントと思うことを書いておきたいと思います(重複部分は一方を省いたりしている)。これは皆さんには、雰囲気を伝えることになります。なお3月に報告書が作成されるそうです。次のホームページで確認してください。
    http://kyoto.cool.ne.jp/daiokansai/
ちなみに西川著「環境ホルモン」(日本評論社)をめぐっても討論会が企画される気配で、とても楽しみです。

備考:渡辺、林両氏は本に沿うので省略する。
宮田氏の主張
・ヒトは膨大な種類の化学物質により複合汚染されているが、中でもダイオキシンは生体影響のプライオリティーが高い。
・世界的な耐容1日摂取量(TDI)は2pgTEQ/kg/日以下である。
  日本では現在約2pgTEQ/kg/日を摂取
・母乳は安全な吸収量の34〜75倍超過している。
・EUの食品基準
  魚介類:日本に換算して1.3pgTEQ/g 大半が超過。
・ダイオキシン類の抑制は、同時に多くの燃焼生成物の発生を抑制する。
・益永氏の宍道湖底質研究はデータが極端に少なく、農薬主犯説の根拠に乏しい。
藤原氏の主張
・慢性毒性、なかでも発がん性や催奇形性、生殖毒性、免疫毒性、胎児毒性、脳神経毒性などがある。
・台湾油症では、被害は本人だけでなく、子どもや胎児などにも多大な影響が出ている。
・「ヒトの有害性評価は、ヒトのデータによる医学的評価に基づくべきで・・・」毒性学の無視である。
・米国環境保護局はダイオキシン類を発がん物質と認定し、0.01pgTEQ/kg/日を提案している。
・米科学アカデミー「母乳で子どもを育てる可能性がある女性は、早い時期から脂肪の少ない食品を食べるように心掛けるべきだ。」
・ドイツ、オランダ、スウェーデン、ベルギーでは日本の新基準を厳密に適用、監視しているが、国や産業基盤が危うくなっているとの話はない。
・「誰かのつくった明確なシナリオと、ひとつの『共通マニュアル』」は、法律策定に係わった当事者として、まったくのフィクションであると言ってよい。
・焼却炉にこれだけの高コストをかけるより、焼却によらない方法でダイオキシン削減対策を講じるべきである。
・国立環境研究所の安原氏の研究しか引用していないが、東京都環境科学研究所によると、小型焼却炉にほんの少しの塩ビが混入するだけで、排ガスおよび焼却灰に高濃度のダイオキシンが含まれる。
・台湾油症では、現在では肝硬変の死亡率が対照組の3倍になっている。
・「日本油症の肝がんは医原病であり、油症研究班の汚点として残るかもしれない。」そのような確証をつかんでいるのか。
4名の討論(聞き取りが部分的で、正確でない可能性がある。)
渡辺「ごみ焼却が2〜3倍になっているのに、体内濃度は減少している。」
宮田「体内濃度の減少は輸入食品の増加を表し、海の汚染を反映していない可能性がある。」
渡辺「アルコールの危険性の方が桁違いに大きい。大豆のエストロゲン作用がずっと大きい。」
宮田「それらは代謝されるスピードが早く、ダイオキシン類の方は蓄積されるという可能性もある。」
林「ダイオキシンに変異原性はない。たばこの発がん性の方がはるかに怖い。」
宮田「プロモーターとしてはたらくことは確かである。」
牧野氏の意見
 公害問題は「被害が出てから」対策を考えた。環境問題は「被害が出る前に」手を打とうとする。前者では事実が先にあり、後者では推定による行動になる。推定に誤りがあると、社会に少なからぬ打撃を与える。
 環境に悪いから**を止めよう、と言うのはよいが、代わりに何を使えばいいか探してみても、代替品がないときはどうするのか。
 塩ビは暮らしを維持するのに欠かせない材料である。
桑垣氏の意見
 引用にルール違反がある。
 批判しながら林氏も統計的検定をしていない。
  p178 1981〜1996年まで埼玉県の平均値を越えている年は有意
  p181 出生数f350でも有意差は出せる。
  p201 セベソの出生数250でも統計的検定には耐える。
  能勢町の男児出生率の低さはセベソよりさらに有意性が高い。
 マスコミが正しく伝えない問題もある。
岡村氏の意見
 T氏によるダイオキシンについてのわずか10数分の講演で、大多数の聴衆が母乳よりミルク選択に変わった。
 誇大な形容詞、短絡的結論に驚く。中でもダイオキシンで新生児のアトピー性皮膚炎が増えるとの宣伝は、専門医に訊けばそんなことは一例もないことが判明する。
 安易にミルクでよいと考えるのは、母乳育児の本質的な意義が分かっていない。
八木氏の意見
 能勢町の美化センターのダイオキシン汚染の実態を調査せず、環境省の「ダイオキシン類精密暴露調査」を基にしか比較検討がなされていない。後者の調査は1998年から始まったが、センターは1976年6月に停止している。そのために大気の差が出ないのは当然であるし、土壌汚染も主に湿式洗煙塔のミストによる周辺汚染が問題であった。
 焼却炉対策が遅れているのは、行政がメーカーの準備が整うのを待っているからだ。
会場発言から(聞き取りが部分的で、正確でない可能性がある。)
A「不法投棄により地下水がダイオキシンで基準の14倍も汚染した。行政は渡辺さんの本を根拠に開き直る。胎児毒性をどう考えているのか。コルボーンの指摘をどう思うか。」
B「宮田さん、所沢ではダイオキシンで死んだ人はいないよ。神社の「お焚き上げ」が問題になっているが、どう思うか。母乳の検査は1件で40万もかかる。」
「日本古来の火と人間の文化をどう思うか。それによって歴史的に何か起こってきたのか。」
C「山火事も太古からたくさんあった。製材業者として困っている。」
D「小児科医として1989年からベトナムの枯れ葉剤被害に関心を持ち、調査するほどにその恐ろしさを感じている。そういうこと無視して、コストとリスクのバランスで考えるのは、本当にそれでよいのか。」
E「油症患者にとって単に塩素挫創がどうこうという問題ではない。林さんは患者の人生そもののが破壊されていることに気付かないのか。もっと実態を調査すべきである。」
F「塩ビはリサイクルしやすいと聞いている。」
G「能勢の焼却炉のすぐ側に住んでいる。近くの山や川でたくさんの奇形が見られる。健康被害も心配でたまらない。」
4名の回答・まとめ(聞き取りが部分的で、正確でない可能性がある。)
藤原氏「試験管中の研究だけでなく、もっと疫学調査が必要である。」
林氏「ダイオキシンだけではない、排気ガスの方がもっと問題である。データに基づいて考えるべきである」
宮田「複合汚染が問題である。胎児への影響が心配される。」
渡辺「基準の14倍でも食品より安全である。「奪われし未来」は定性的記述に留まっている。ダイオキシンに特化するのはおかしい。」
配布された「ダイオキシン関西ネット」
  中南「魚介類汚染の主犯はごみ焼却だ」より
・焼却炉対策の効果は環境省の次の調査に現れている。
      ダイオキシンによる大気汚染濃度の推移
    1997年   全国平均 0.55pg−TEQ/m3
    1998         0.23
    1999         0.18
    2000         0.15
・引用された益川、中西論文自身に、東京湾の底質のダイオキシン汚染が、農薬のPCP由来が1200、CNP由来が65、これに対して焼却由来が950gとある。また益永氏の宍道湖調査では、PCP由来22、バックグランド22,CNP由来3.7、大気降下(燃焼起源)17gとある。

備考:2/17のメールを一部改訂しました。
<以上>



番号 05B-006  送信日 05/02/25  差出人 杉本 憲広
件名 Physics Teacher コラム

 みなさまへ
 杉本です。アメリカのAAPT会員の方はご存じだと思いますが、昨年12月にAAPTの機関誌「The Physics Teacher」にコラムとして単極モーターが載りました。書かれたのは韓国のICPAに出席していたクリストファー=シュベリナさんで、ちゃんとStrayCatsからとも書かれています。歓迎すべきことですが、単極モーターの発展が面白いところですので、以下のようなコラムを作ってStrayCatsの一員としてAAPTに送りました。掲載されるかどうかはわかりませんが、みなさまご了解ください。

コラム
Homopoler Motor and Its’ Evolution

   The Stray Cats are very glad to saw homopolar motor was introduced in TPT b
y Mr. Christopher Chiaverina1) and there appeared the different type of moto
r also in TPT2).  It is about 5 years ago we knew this motor for the first t
ime.  This motor attracted our heart for its simplicity and the possibility of
 the appliance.  Soon the active discussion occurred among the Stray Cats memb
ers.  Our interests were “Why this motor rotate? (Is it against the Newton’s
 3rd low?)”, “Is it possible to make a linear motor car by this motor?”, et
c. 
   About the first question, we knew the 3rd low is a little complicated in th
e Electromagnetics.  About the second question, there appeared various types o
f motorcar among us.  Here I show you two types of them. As Fig.1 and Diagram
put two magnets in the opposite directions to the end of the shafts (Al rod an
d screws).  It moves because both magnetic wheels are attracted to the same di
rection.  I show you ultimately simple motorcar in Fig.2.  The car is consiste
d only by two magnets and 1 battery.  It moves on the copper plate. 

 Fig.1は川田さんのリニアモーター、Fig2は杉本のリニアモーターの図

We think the homopolar motor is not only interesting teaching material for stu
dents but also exciting material that activates our brain.  We hope many stude
nts and Physics teachers know the charm of the homopolar maotor.
 
1)“Little Gem” Physics Teacher42,553
2)David Kagan,“Upright Homopolar Motor”Physics Teacher43,68
3)Homopolar motor was first demonstrated by Takashi Saito in 1999.



番号 05B-007  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 05B-008  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 05B-009  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 05B-010  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 05B-011  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 05B-012  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 05B-013  送信日 05/02/**  差出人 ** **
件名 ***********