番号 04I-001  送信日 04/09/05  差出人 林 正幸
件名 「力と運動」実験システム、めでたく完了

 こんにちは、林まさです。
 ときどき伝えてきた(伝えたかった)「力と運動」実験システム、めでたく終了を迎えました。その後、力計測器を作りました。10gの携帯電子天びんとアルミのLアングルを極細の釣り糸でつなぎ、クリップを使って2回方向を変えます。力を大きいと(と言っても1gfレベルですが)、摩擦が利いてきます。そこで試しにクリップに機械油を塗ると、かなり改善されました。
 計測を続ける中で重要なことが分かってきました。エアトラックにもかなりの摩擦があるのです。乗っているKアングルが動かないように水平調節します。そして力は掛けないで2つの速度計を1mほど離して、0.1mの間の通過時間をいろいろな速度で計測してみると次のようになりました。
      中央部[s]    終点[s]    増加率
      0.286       0.306     7%
      0.406       0.448    10
      0.464       0.513    11
      0.694       0.810    17
      0.784       0.952    21
これでは3ケ月の苦労が水の泡では・・・、ところがそうでないのです。通過時間が0.75sあたりで差が出ないようにエアトラックをわざと傾けます。
      中央部[s]    終点[s]    増加率
      0.254       0.262     3%
      0.502       0.519     3
      0.611       0.625     2
      0.683       0.691     1
      0.739       0.738     0
      0.876       0.853    −3
      0.919       0.876    −5
通過時間が長い領域では斜面を下る効果で、後の通過時間が却って小さくなるのです。そしてこれなら
      0.25〜0.85s
の範囲でほぼ正確な計測ができるわけです。傾けることがまるで潤滑剤のようです。そしてこの補正はエアトラックだからできるのです。ちなみに通過時間が0.5sあたりで差が出ないようにすると
      0.2〜0.6s
の範囲で2%の誤差しか入りません(もちろん他の要因による誤差もありますが)。こうしてどのタイプの計測もほぼ原点を通る直線に載るという結果が得られました。
 これを受けてレポートも作成し、やっと呪縛から逃れることができました(何せ途中で止めるのはしゃくですからね)。レポートは近くホームページにも掲載し、プリントとしても届けるつもりです。実物を最初に紹介できるのは9月12日(日)のMOLの会です。
 ではまた。



番号 04I-002  送信日 04/09/13  差出人 林 正幸
件名 MOLの会通信(メール)

 こんばんは、林まさです。
 昨日9月12日(日)のMOLの会の通信案ができましたので、メールにてお知らせします。参加した皆さんは間違い、不足などありましたら指摘してください。通信会員には次回の1ヶ月前に郵便にても送付します。
 ではまた。

<原稿>
                                   04.9
                               事務局:林 正幸

      MOLの会通信04−9号

 今回は小笠原、岡田、河合、澤田、鈴木とし、林まさ、福島、船橋、堀、美濃和の10名でした。
 MOLの会は私が新任2年目(1968年)に呼びかけ、今年は38年目になります。途中苦しい時期もありましたが、現在は毎回充実した例会が持てるようになり、今回も新しい参加が2人ありました。うれしいことです。
 また今回は船橋さんの合同県教研のレポート準備にかかわりながら、生徒とどう人間関係をつくっていくか、分かる授業の重要性、学級崩壊、実験の意義、サークルの価値などについても話し合いました。
 9月23日には9時から会場の北高で、ぶたの肺のレプリカづくりととんば玉の講習が開かれます。また10月31日には1時から、でんきの科学館の企画「なるほどサイエンス」のデモ準備をします。このように活動が広がっています。
 なお私の講座プラン「物質とエネルギーの世界」は、今回も時間不足でした(それだけ交流内容が多いと言うことです)。次回に時間が取れるようなら、検討をお願いしたいと思います。「化学でエネルギーをどう教えるか」を含めて、プリントを準備してください(プリントの予備がありません)。

1.タマネギ染色と紫キャベツ(岡田、美濃和)
 これと次は、でんきの科学館の「色であそぼう」の出し物準備です。
 タマネギの外皮5個分を300mlの水に煮出す。5%ミョウバン液で前媒染して染色液に浸けると、黄色になる。今回はガーゼを使ったが、布は15cm角のさらしにする。
 媒染を石灰水に変えるとオレンジ色に、お歯黒液に変えると焦茶色になる。なお「身のまわりのもので」というこだわりで、石灰水は乾燥剤の生石灰を水に溶かし、お歯黒は食酢に鉄くぎを浸けておく(試薬としては木酢酸鉄がある)。ちなみに後者はお茶のタンニンと重なって歯を黒くする。
 なお媒染とはカルシウム、アルミニウム、クロム、鉄などの塩を加えると、染料がこれらの金属イオンと結合して沈でんになることを利用している。
 紫キャベツは水で5分煮沸して、アントシアンを抽出する。これを食酢に入れると赤色に、重曹(最近は台所の洗浄剤としても市販されている)水で青緑色になる(ちなみにベーキング・パウダーは酒石酸なども入っているので緑にならない)。その上でpHが1から13の液を試験管に入れて、順次加えて色の変化を楽しむ。
 野ブドウ(洋種ヤマゴボウ)を煮出したものは、酸性で赤紫、pH11で紫、pH13で黄色になる。紫タマネギでは、酸性で赤、pH12、13で黄色になり、キャベツとすこし違う。なすも似た結果になる。
 そして岡田さんお気に入りの、うがい薬とビタミンCの実験も披露した。

2.ワインがいろいろな飲み物に(船橋)
 札幌市青少年科学館のホームページより。ワインは水に過マンガン酸カリウム、硫酸、塩化鉄(V)を溶かして赤紫色にする。
 底にヨウ化カリウムを隠した透明のポリコップに注ぐと、麦茶になる。フェロシアン化カリウムとオキシドールではあお汁に、ヨウ化カリウムと重曹とママレモンではビールに、チオシアン酸カリウムと重曹ではコーラに、オキシドールと重曹ではサイダーになる(最後は鉄イオンの色が残るので、オレンジソーダということにしては)。
 他には振動反応も投入できる。
 あとの話し合いで、「なるほどサイエンス」ではやはり全員にお土産を持たせたいとなりました。始めは染色でドラえもんかアンパンマンが白抜きになったハンカチというアイデアも出ましたが、人数が限られるため、最後に「色が消えるこま」を作らせることに決まりました。赤、緑、青色の蛍光ペンを20本ずつ準備する。円板と軸はホットメルト接着剤で固定する。ということで時間は30分、出し物は選択する必要があります。また希望者に簡単なプリントを渡すことになりました。

3.「力と運動」実験システム(林まさ)
 丸3ヶ月間入れ込んできた力学の実験システムの初披露をしました(おかげで今回は紹介できる化学実験がゼロ)。
 EHCでリニアモーターを製作したのがきっかけで、エアトラックに乗せたアルミのLアングルに、このモーターで力を掛けて(渦電流が生じることに依る)、その前後の速度を計測して、
    ΔV2 = 2aS = kS
    ΔV = at = k't
    a = F/m = k''F
など5つの関係式を実験するシステムのアイデアが浮かんだ。
 エアトラックは30mm幅、2mm厚の中空のアルミの角パイプで自作した。速度計はストップウオッチで0.1mの通過時間を計測する。力の制御は、掛ける時間をたとえば
0.4,0.8,1.2・・・sなどとしたり、掛ける距離をたとえば0.1,0.2,0.3・・・mなどとしたりする。これは、Lアングルに立てた遮へい板をモーター前脇の光センサーで検出し、制御回路で処理してリレーをオン・オフする。回路設計の苦労話には困らない。
 実際に動かして、うまく制御できていることを見てもらいました。ただあとで気付いたのですが、スイッチの接触不良に気を取られて、低い電圧での実験になっていました。もっと電圧を上げれば、めざましい運動の変化が感動を生んだはずなのにと残念です。
 時間の都合で、データとグラフはレポートで見てもらいました。
 さてこれは商品にでもならないと、他の人は使えないですね。

4.マジックあれこれなど(船橋)
 有名になった「さそりの標本」(「ものづくりハンドブック」)を大量製作して、生徒に声を掛けて渡す。教育は人間関係をつくるところから始まる。しかしこのしかけは逆効果かも!?
 千円札の上に1万円札(より大きい)を十文字に重ね、縁から鉛筆に巻いていく。巻き切って戻してみると、あら不思議、千円札が上になっている。紙をすこしずらして半分に折る。大きい面が上になるようにして、折り目の所から鉛筆に巻いていっても戻すと、なんと、鉛筆が紙の中に包まれている。これはトポロジーの世界です。
 同じマッチ2つを、同じ絵が向き合うように(表どうし)重ねる。離して見ると同じ絵である(それは当然)。ところがこれをくり返しているうちに、あれっ、絵が違ってしまう(裏の絵になる)。
 そしてボールペンを1万円札に突き刺す手品商品での実演。
 なにせ勉強が苦手な生徒たち。まず関心を向けさせないと始まらない、興味が湧かないと取り組めない。そして思うに、マジックも通常の授業も、成功するためにはよく準備しておくことが共通している。
 最後は「凸凹反転キューブ」。貼り合わせるとへこんでいるのに、片目で見ると立方体に見える市松模様の展開図。そのとなりにもう2面を、凸凹になるように貼り付けた。これを片目で見ると凸凹が反転して、凹凸になる。お土産にきれいな展開図をもらいました。また「コロコロちゃん」「もっくりくん」「トンコロリン」の作り方のプリントもありました。
 そし船橋さんの腕白時代の経験も飛び出して、県教研レポートで彼の教育の視点を聞けるのが楽しみになってきました。

5.割りばし線香花火(船橋)
 割りばしの先1/3ほどにバーベキューなどで木炭に塗る着火剤を塗る。この成分は表示によるとメタノール、エチレングリコールなどであるが、ゼリー状なのでのりなども加えてあるようだ。そして鉄粉(今回は300メッシュ)を振りかける。
 カーテンを引いてすこし暗くして点火すると、見事な花火の乱舞、これは完成度が高くお勧めです。針金でやってみましたが、こちらもうまくいきます。

6.電磁波モデル(河合)
 久し振りの河合さん、困難校などでの経験も語ってくれました。
 今回はカードリングを使う電磁波モデルの中間報告。参加者はそれぞれ14個のリングを頂いて、早速挑戦です。しかし説明を聞いてもなかなかうまくいきません。立体的な関係は難しい。それでも何とか完成です。次回には分かりやすいプリントができるようです。

7.「化学的変化はどちらに向かうか」など(林まさ)
 時間の都合で紹介のみになりましたが、他に5種のプリントを準備しました。
「化学でエネルギーをどう教えるか」
 今年の科教協大会のレポートです。講座プラン「物質とエネルギーの世界」の解説になっています。
「化学的変化はどちらに向かうか」
 今年最初に作った講座プランです。関係する実験「蒸気圧の計測」はすでに紹介しています。
「化学平衡をどう教えるか」
 上の講座プランの解説になっています。三重の化学研修に使いました。
「水素エネルギーのこと」
「環境問題通信04−5号」

追 記
 以上の他に堀さんから、学校の試薬の扱いについて相談がありました。

        次回は
    12月19日(日) 13〜17時

            **高校  化学室



番号 04I-003  送信日 04/09/20  差出人 富田 孝正
件名 高速増殖炉もんじゅ

林正幸さま  冨田です。
昨日の環境学習会で話題となった「高速増殖炉もんじゅ」はほとんど燃料を増殖しないのではないかとの件ですが、小林圭二 著「高速増殖炉もんじゅ」巨大核技術の夢と現実 七つ森書館3090円 (1994年)にその仕組みが解説されています。
それによると、公式発表で「消費した量の1.2倍増殖する(増殖率1.2)」であり、実際の増殖率は1.12とか1.13程度で、それも実際動かして検証しなければ正確な数値はわからないそうです。増殖炉で造られえたプルトニウムはそのまま炉で燃焼できず、炉はいったん止めて、再処理工場(イギリスかフランス--この再処理工場は、世界では高速増殖炉は撤退しているので、実際は日本のみを当てにした再処理工場とのこと、六ヶ所村はその施設でしょうが、今は未だ稼動していないと思います)で燃料ペレットに再処理して初めて使える。その際の精製ロスを含めればほとんど増殖にはならないことになるとのことです。その他、高速増殖炉がウラン原発と比べても、とても危険な原発でああることも書かれています。
とりあえず本の紹介まで。



番号 04I-004  送信日 04/09/24  差出人 船橋 隆久
件名 ついにできたシャボン膜

 こんばんは、林まさです。
 昨年の秋から子ども向けに、銅線でいろいろなフレームをつくり、それにシャボン膜を張る実験を見せています。今年の科教協大会のお楽しみ広場でも紹介しました。ところで当初から、閉じていないフレームにシャボン膜を張ることができないか、という課題を持ってきました。無理ではないかと言う人もいました。それがついに、今日できたのです。
 「力と運動」実験システムの呪縛から離れて、化学の実験の準備を始めているのですが、今日は弾むシャボン玉と共に「科学の祭典」に出展するシャボン膜の準備もしました。子ども自身にフレームを作らせようと、チョウとかチューリップとか見本をつくっていたときです。銅線を立体的に幾重にも絡ませれば閉じていなくてもシャボン膜が張るのではないかと思い付いたのです。案の定かんたんにそれはできたのです。あとは少しずつほどいてはなおシャボン膜が張るかを試していき、もっともシンプルなフレームを見つけることができたのです。当然ですが、そのシャボン膜には銅線に触れないで膜と膜が境界をつくる部分があります。その形状を言葉で説明することはできませんが、拍子抜けするくらい単純なのです。まいったな。
 ではまた。



番号 04I-005  送信日 04/09/27  差出人 加藤 賢一
件名 加藤です

 静岡の加藤です。
 近況です。
 土木科の授業は毎年大変です。今年は、例年にくらべ、授業の妨害をしたり、全然参加しない生徒がいてだいぶ困りました。2学期に入り、アンケートのようなものをとったら、『授業が難しい』というものが多く、改善をしています。
1、ノートをやめ、毎回プリントにする。
2、欲張らず、内容を出来るだけ減らし、ポイントを1つに限定する。
3、授業の参加を促すように、出席点2点、レポート提出で5点
とします。
3単位なので、2学期だけでレポート+出席点が合計200点になります。中間・期末の合計が200点です。赤点は合計の半分以下。つまり出席・レポート点をしっかりすれば、赤点にはなりません。
 多くの生徒はこれで、授業参加が良くなり、注意することより、褒めることができる割合が増えてきました。(と思いたい)それでも、レポートを提出しない生徒もいますけれど。
 みなさんの中にも、同じようなことで、悩んでいる方がいらっしゃると思います。管理的といわれるかもしれませんが、1時間1時間真剣勝負で授業に臨んでいるので、結構疲れます。
 今やっている、幾何光学のところでは、『人間の目は、光線が目に入る直前の直線方向から光がやってくると認識してしまう』というところを強調して、光の本来の通路でないところは「点線」で表現する。としています。作図において、「点線」の作図を意識して指導することで、蜃気楼や鏡の虚像も含めて一貫した指導案が出来るのではないかと思い、実践しているところです。生徒には「点線が重要」と指導してます。
以上です。



番号 04I-006  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-007  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-008  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-009  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-010  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-011  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-012  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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番号 04I-013  送信日 04/09/**  差出人 ** **
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