番号 04E-001  送信日 04/05/02  差出人 鈴木 久
件名 ブログの勧め

 みなさん こんにちは、鈴木 久です。
なかなか、HPが作れなくて足踏みしていたのですが最近ブログが簡単にできることがわかり結構はまっています。これだと、構成も考えず何でも書き込め残っていくので、ひとまず書き残すという点ではいいのではと思います。
ニフティのココログに
理科大好き人間の科学の工房
http://manabinoasiato.cocolog-nifty.com/blog/

gooの無料HPで理科教育関連の本の読書記録を載せています。
http://members.goo.ne.jp/home/paiwa314/main

あと、1つ理科通信をどこかに載せてそれを合体すればとりあえず自分のHPが作れそうです。皆さんも、何か発信してみませんか?



番号 04E-002  送信日 04/05/02  差出人 鈴木 久
件名 南城の自然のCDを作りました

 鈴木 久です。
 県教研と冬の合宿研で紹介した(奈良での近畿科教協でも)「南城の自然」をCDに焼き付けてました。ただし、WORD版です。もし、一太郎版の需要もあれば作ろうかと思います。何人か要望があれば今度の実験交流会に持参します。
 一応30回分入れてあります。下の元の勤務校のHPでも内容の一部は見られますがかなり形が崩れています。それよりはきれいな仕上がりになっていると思います。

△▽△▽△▽△▽△△▽△▽△▽△▽△
「南城の自然」で
     地域自然誌をウオッチしています。
http://www.kasugai.ed.jp/minamishiro-j/

最近はじめました、blog(ココログ)です。

http://manabinoasiato.cocolog-nifty.com/blog/

gooのHP  paiwa314’website
ここでは、最近の学びの足跡を記録しています。

http://members.goo.ne.jp/home/paiwa314/main



番号 04E-003  送信日 04/05/05  差出人 加藤 賢一
件名 磁性体とか誘電体とか

 静岡の加藤です。
 この連休は電磁気の勉強をしまして、ようやく誘電率というものが、すこしわかってきました。もともと、磁性体のことを調べていたのですが、、、。
 D=εE+P という式ですね。力線で説明してあるのはファインマン三巻ですが、他の物理の本は、わりとベクトル表示で説明がされていて今一わかりにくい。
 後藤尚久さんの、『なっとくする電磁気』講談社は説明が素晴らしい。文字通り、納得できました。また、工業の教科書の電気基礎なども、力線で説明しているので、分かりやすい。後藤さんはアンテナの専門家らしいですが、理学というより工学畑。電磁気の本は、物理屋さんのものより、工業系の方のほうが、直感的にまたは物で考えてあるので分かりやすいと感じました。
 分極は物質の中でおきている。式の中でεEとPが並列に並べられているのなら、どちらも、力線とか、電束でイメージできます。。そうすると、逆に、εEを分極の力線と同等に考えてもよい。こうして、真空も分極していると考えるように、マクスウェルは考えたのでしょうか。分極しているのなら、+−+−がつづくので、力線はそのほう方向に張力を発する。これが、コンデンサーの極板間の引力ですね。
 この辺の事情は、高校の参考書Σ物理TUにかいていある。著者は近角ソウシンさん。すこし、配色がはでな本ですが、さすが、特色のあるものに仕上がっている。いっそのこと、電気力線なんか止めて、分極線というもの新しく考えて、それですべて表現したら、面白くなりますかね。
 まだ読んでませんが、紹介したい本があります。
「わかる半導体セミナー〜トランジスタを完全に理解できる本〜」伝田精一  著CQ出版。
 とにかく、〜分かりやすい〜とか〜納得する〜ではなく、『完全に理解できる本』とおっしゃられるからには、読んでみないわけにはいきません。といっても、トランジスタを理解するには、体をつかえというのです。ダイオードなど、よく、欠乏層などの説明があり、この本でもありますが、テスターを使って、ダイオードの抵抗(順と逆の両方の)を調べよというのです。
 また、電流と電圧の関係をテスターでしらべて、グラフを実際に書きなさいとある。なるほどな、と思った。小さな実験をして、グラフに書いてというのが、この著者のいう「体をつかって」ということだと理解しました。そうした上で、トランジスターの足も二本、えらんで、iV曲線を描いたりいろいろやって見よということが、丁寧に書いてあり、その通りやってみたら、なんとか分かりそうな気がしてきましたので、皆さんにもと思い、メールします。
 秋葉原に行ってきたときにかった、3000円のテスター。Acv、dcv、rのほかに静電容量も測れる。一石の組み立てラジオの抵抗を測ってみるとちゃんと100Ωと出てくる。これだけでも、結構楽しい。ところが、ダイオードはMEG Ωのオーダーになってしまい、ちょっと変。これから、時間のあるときに読んでいきます。
 では。



番号 04E-004  送信日 04/05/06  差出人 林 正幸
件名 関数のグラフと方程式の解

 おはよう、林まさです。
 連休の後半の天気はいまいちでしたね。そして今日がこんなに晴れるなんで・・・、もっとも私はいつも休みですけど。幸い見事に晴れた29日は、久し振りに昔なじみとガーデンパーティをやりました。そして2、3日と孫が初めて宿泊しました。9月に2人目が産まれるとあって、そのときに備えて練習をしていこうというのです。楽しくはあったのですが時間が長くて、正直ほとほと疲れました。さて手帳を見ると、来週からは土日を中心に忙しくなりそうです。いくつものサークルや行事があります。
 「パラボラ」は断面図付きで完成し、生徒用の別の形のものも製作してみました。なにせどんな形でも、データはすぐに得られますからね。そしてつづいて「関数のグラフと方程式の解」というプログラムを作成しました。目的は、代数的に解けない方程式を逐次計算で解くためです。逐次計算はパラボラにも使ったのですが、こちらは単調関数で解が1つであることを前提に短く作りました。今回は連続で滑らかという条件さえ満たせば、解がいくつあろうと解いてしまうもので、異なる考え方をしています。グラフの方は解がどの範囲にいくつあるかを視覚的に確認するためですが、グラフの形を知るのにも使えます。
 今回は次の方程式の解を求めてみました(もっともこれは代数的にも解けますが、実際の解となると電卓で開平計算が必要になります。)。
    sin(x^2/100)・cosx = 0
結果は0〜360[°]の範囲で次の10個でした。
    0 90 134.164 189.737 232.379 268.328
    270 300 328.634 354.965
逐次計算ですので、これらは計算の間隔を0.001に指定したものです(間隔は自由に指定できます)。
 ただ1つ問題があります。関数や方程式の入力が、プログラムを走らせてウインドウズ上で入力できないのです。プログラム(コード)そのものに予め書き込んでおく必要があり、ヴィジュアル・ベーシックのことが分かってないと利用できないのです。この問題、つまり入力した関係式を数式として認識させる(文字として認識してしまう)ことは、私の長年の課題です。だれかその解答を知っている人はいませんかね。
 当面は最小二乗法のプラグラムを組んで、別のテーマに移るつもりです。これはデータが乗る関係式を求めるもので、クイック・ベーシックでは実現していたものです。これがあると、実験データの整理が各段に楽になります。
 ではまた。



番号 04E-005  送信日 04/05/10  差出人 岡田 晴彦
件名 理科実験お楽しみ広場のご案内

科教協東海ブロック主催                     2004年5月10日
                                愛知科教協事務局

 2004年理科実験お楽しみ広場 のご案内

 毎年恒例となりました実験交流会を今年も企画しました。この会は科教協愛知支部が岐阜・三重・静岡の各支部に呼びかけ、東海ブロック集会として実施しています。今回も多くの方にご参加いただき、成果をあげたいと考えています。
 「実験紹介」では、最近工夫した実験やサークル等で紹介された実験などを持ち寄りましょう。
 「実験レポート」では、実験・観察を軸にした研究発表をしていただきます。
 もちろん、見学だけでも歓迎ですので、気楽にご参加ください。

日時:6月26日(土)9時30分〜15時
場所:**高校
     (地下鉄東山線「星が丘」下車、6番出口から南へ徒歩5分)
会費:500円(昼食のおにぎり付)

   【日程】
  9:30  受付開始  フリー交流
 10:15  実験紹介@
 11:30  実験レポート(1)(2)
 12:15  フリー交流(昼食)
 13:00  実験紹介A
 14:15  実験レポート(3)(4)
 15:00  終了

   【実験レポート】(敬称略)
(1)豊田 貴之 (愛知 市立中央高校) 「発泡スチロールの実験」
(2)滝川 正子 (愛知 県立千種高校) 「平和公園の自然と人」
(3)山本 久守 (愛知 市立北高校)  「当日のお楽しみ」
(4)辻  浩二 (岐阜 平和中学)   「音の授業」

   【お願い】
 「実験紹介」は持ち寄った実験や教材をひとつひとつ順番に紹介しあうものです。受付の時間に発表数によって時間配分をしますので、発表者全員が時間内に交流(意見交換も含む)ができるようにご協力ください。また、発表される方はできましたらプリントなどをご用意ください。



番号 04E-006  送信日 04/05/11  差出人 林 正幸
件名 ソフト「滴定曲線」

 こんにちは、林まさです。
 「最小自乗法」のプラグラム完成で、取り組むテーマを変更しようと思っていたのに、「滴定曲線」を描かせる構想が頭から離れなくなり、結局は作ってしまいました。このところビジュアル・ベーシック漬けです。
 これには次の4つの場合があります。扱う酸と塩基は1価とします。
    @弱酸を強塩基で滴定する
    A強酸を弱塩基  〃
    B弱塩基を強酸  〃
    C強塩基を弱酸  〃
ただしBは@をpH7で上下に半転すればよいし、CもAの半転で済みます。
 @の場合、滴下量と水素イオン濃度の関係式が次のようになります。

  Ca×V0 − Cb×Vb = Ca×V0×H×(V0+Vb)/(Ka×V0+Ka×Vb+H×(V0+Vb))
              − Kw×(V0+Vb)^2 /H×(V0+Vb)+H×(V0+Vb)
    Ca:酸のモル濃度  Cb:塩基のモル濃度
    V0:酸(試料)の体積[l]  Vb:塩基の体積(滴下量)[l]
    H:水素イオン濃度
    Ka:酸定数(平衡定数)  Kw:水のイオン積

これは整理すると、水素イオンから見ても滴下量から見ても、3次になっていてコンピュータの出番です。逐次計算で解を見つけますが、今回は1400の逐次計算でグラフを描くことにしました(私のパソコンで2秒かかる!)。滴下量=0のpHと中和点のpHも表示して、酸や塩基の水溶液のpHや、塩水溶液のpHも求められ
ます。
 Aの場合は、@と違っていて、滴下量と水酸化物イオン濃度(実際には 10^(pH−14) を代入)の関係式は次のようです。

  Cb×Vb − Ca×V0 = Cb×Vb×OH×(V0+Vb)/(Kb×V0+Kb×Vb+OH×(V0+Vb))
              − Kw×(V0+Vb)^2 /OH×(V0+Vb)+OH×(V0+Vb)
    OH:水酸化物イオン濃度
    Kb:塩基の電離定数(共役酸の酸定数 Ka と次の関係がある  Kb=Kw/Ka )

 これらの関係式は自分で考えたのですが、できるグラフからすると、正しいのではないかと思います。強酸と強塩基の滴定曲線は、たとえば@で酸定数を1000と入力すれば描けます。弱酸と弱塩基の場合は、かつて高校生からの質問で考えたことはあったのですが、いずれにしてもpH7の付近を漂うわけで今回は割愛しました

 ではまた。



番号 04E-007  送信日 04/05/12  差出人 加藤 賢一
件名 今日もモータ教えました

 静岡の加藤です。
 今日はモータのところを教えました。教科書に書いてある一般的な説明ですが、少しだけ、工夫したつもりです。電流が磁界から力を受けることを、まず、説明します。いわゆるフレミングの左手の法則。これは、状況次第では、左手が筋肉痛になる。そこで、ベクトルの外積の形で教える。つまり、電流と磁界のベクトルで右ねじをまわすと、力の方向が得られる。
 そのあとで、磁界の中で、矩形のコイルに直流を流したときの、力を考えさせる。矩形が途中まで回っても、おなじ、上方向の力を受けるため、逆回転してしまい、これでは、回転にならないことを押さえた上で、「どうしたら、回転させることができるか?」と発問します。
 そうすると、
1.電流をきって、惰性でまわす。
2.電流を逆向きにする
3.磁石のnとsを逆向きにする。
 という風に基本的なものが出てきます。
 こうしてから、クリップモータをやれば、かなり、効果が出てくるのでしょうね。私の場合は、やはり、もので考えてから、理屈をつけるより、先に頭で考えたほうが、『意欲』が沸く。
 最後のnとsを逆にするのは、磁石ではなくて、「電磁石のほうが楽」そうだと生徒も分かったらしい。
 わたしは、交流モーターというものを良く知らない。でも、原理的には、上の2か3しかないわけです。もちろん、回る部分を、磁石にするという方法もあります。これで、だいぶ、モーターについてわかったつもりになってきました。
とりあえず、報告まで。



番号 04E-008  送信日 04/05/14  差出人 山田 吉孝
件名 先進科学塾の生徒募集

みなさまへ
こんにちは、名古屋市科学館 山田吉孝です。
昨年度から名古屋市科学館で始めました高校生向け講座「先進科学塾」を今年も開講致します。
”通信のしくみを探る”をテーマに清水祐樹さんの講師で5月29日から始まります。
4月末には各校にチラシを配布させて頂きましたが、まだ、定員に余裕がありますので、興味ある生徒さんがみえましたら『是非』推薦をお願いします。
よろしくお願い致します。

先進科学塾については下記ページに詳しくのせてあります。
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/asw/



番号 04E-009  送信日 04/05/20  差出人 加藤 賢一
件名 電磁波

 静岡のkatouです。
 この一学期は忙しいことを承知で、電磁場の授業をどうするか、という視点でとくに磁場に重点をおいて授業してきました。といっても、簡単な実験です。
 棒磁石の周りの磁界をみる。それを方位磁石でみて磁力線をかくとかです。結局、モータまでで力尽きたという感じと、そろそろ、切り上げて、波動や力学の授業もやらなければならないからです。本当は電磁誘導や電磁波を中心にしたかったのですが、、、
 ところが、きょう、試験勉強の前に、電磁波の簡単な実験をしたのですがそれが、結構、評判がよい。アルミホイールをもっていって、「これは何を反射する。」と発問。いろいろ出てくる中で、電波というものが出てきたら、それではやってみよう。ということになり、アルミホイールで携帯をつつむと、確かに受信しない。さらに、夏の暑い日は、車のなかに、アルミをはったものをフロントガラスのまえにはる。と説明すると、結構生徒は納得してくれる。
 さらに、電子レンジはアルミ箔を入れてはならないことを説明し、結局、マイクロ波を反射するという。また、自動車のランプは、パラボラだが、アルミ蒸着していることも説明。
 主題として、一見、同じとは考えられない、それぞれの波が、アルミによって反射、あるいは、遮蔽されるということから、同じ、物理現象の現れであることをにおわせる。しかし、今一歩、電磁波という言語でくくるには、何かが足りない気がする。
 結局、電場とか、磁場とか言うものをしっかりやってないからかもしれませんが。こんど、この辺のことは、いいアイデアがあればまた教えていただきたい。
では。



番号 04E-010  送信日 04/05/26  差出人 飯田 洋治
件名 力学教育

 飯田です。
 1年半以上前に『パリティ』(丸善)に書いた原稿ですが、やっとに今月号から3ヶ月連載で掲載されることになりました。
 表題は
6月号「こう教えればもっとわかる”力の概念”」 (昨日発売)
7月号「こう教えればもっとわかる”運動の法則”」
8月号「こう教えればもっとわかる”仕事とエネルギー”」
です。
6月号は、仮説実験授業「バネと力」をきちんと位置づけたものとなっていると思います。
7月号は、『学ぶ側から見た力学の再構成』をまとめたものです。
8月号は、教科書の指導書に書いたものを書き改めました。
 ご意見頂けたら幸いです。
 以上、私からのコマーシャルでした。



番号 04E-011  送信日 04/05/26  差出人 林 正幸
件名 環境勉強会の内容

 こんにちは、林まさです。
 5月23日(日)に開かれた「環境問題を勉強する会」の通信ができたので、メールにてお知らせします。今回は内容が大量・複雑で、まとめるのに3日を要しました(もちろん勉強になりました)。とくに篠原さんと富田さん、語句やまとめ方に間違いなどがありましたら連絡をお願いします。しばらくしてホームページに掲載し、郵送する通信にもしていきたいと思います。なお参加希望で場所を知りたい方には、連絡をいただければメールにて地図を送ります。
 ではまた。

                                   04.5
                               事務局:林 正幸

      環境問題通信04−5号

 今回は飯田、篠原、鈴木ひさし、富田、林まさ、林ひろの6名の参加で勉強しました。
とくに環2公害の報告は、ビデオ2本を含めて2時間半におよぶ厚巻で、篠原さんの28
年間に渡る思いがほとばしり出て強烈でした。なお林まさの、エネルギー問題を組み込ん
だ講座プラン「物質とエネルギーの世界」については、時間の都合で次回としました。
 環境問題は理科を始め教育にも大きく係わる課題です。皆さんの気軽な参加を呼びかけ
ます。

名古屋市環状2号線の公害(篠原)
 「小幡環2反対の会」の住民運動(現在は「小幡環2公害反対の会」)が始まったの
は1975年のこと、以来28年間に渡り運動が継続している(100世帯ほど)。
 始めは、国土幹線道路審議会に住民の意見を反映させ、名古屋市のアセス要綱(本山市
政の成果)を準用させ、「高架」を「半地下」(小幡ICから上社JCまで)に変更させ
た。また名古屋市には住民の要望を反映した「環境影響評価書」を作成させ、矢田川・香
流川を高架橋からトンネルに変更させた。
 83年から設計が始まり、型どおりでなく一般住民に設計説明をして要望を反映する説
明会を開かせ、開口部が9.5mと4m縮んで、その分緑地帯も拡がった。
 88年に工事が始まると、工事公害が発生した。工事は説明もなく突然に始まり、ほこ
りがひどく洗濯物が干せず、予告なく生活道路が通行禁止になり、各種騒音に悩まされた。
家屋は地盤沈下で壁に亀裂が走り、障子が動かなくなり、池が漏水し、ブロック壁がひび
割れた。これに対して市役所、愛知国道工事事務所、喜多山監督官詰め所に交渉し、日祝
日にはダンプを止めさせ、家屋調査は結果を報告させ、それに基づく補償もさせた。
 94年に専用部(東名阪自動車道)と、一般部(国道302号線)の一部が供用される
と、果たしてものすごい騒音と大気汚染が発生し、新聞やテレビが続々と報道した。不眠
症になったり、ぜんそくに似た発作が起きたり、庭のナシやクリの木も枯れてしまった。
愛知国道工事事務所の視察、名古屋市との交渉などにも拘わらず、国や公団は何一つの対
策も採らなかった。
 97年に住民の依頼により守山保健所が調査したところ、1階より2階がひどく、昼夜
を問わずほとんど1日中環境基準を越えていた。これを受けて守山区の環境審議会にも要
望書を出した。さらに呆れたのには、騒音基準の数値の扱いがL50 (中央値)から
Leq(等価騒音レベル)に変更されるにかこつけて、幹線道路近接空間という特例を設
けて、現状のままでも完全に基準以下になることにした(旧環境基準は昼60、朝夕
66、夜50デシベル)。ちなみにこの年には道路審議会が「今後の道路環境政策のあり
方〜環境時代への政策転換」と題する中間答申をまとめている。
 98年になると、やっと重い腰を上げて対策を打ち始めた。東名阪の低騒音舗装(すき
間が多い)に続いて、99年には半地下開口部に特殊吸音ルーバーというふたを置いたこ
とにより、騒音は4〜5デシベル下がって全体としては大きな成果を得た。さらに遮音壁
の新設や特殊吸音体(ノイズレデューサ)の設置、302号の低騒音舗装などの対策が打
たれた。
 他方で大気汚染は深刻なままである。二酸化窒素は年平均が0.03ppmを前後してい
る。この数値は名古屋市の保全目標値である。国の環境基準は達成不可能ということで、
かつてのおよそ3倍である、日平均の98%値が0.04〜0.06ppmに改悪されてい
るが、この数値で見ると0.05ppm前後であり低い方の基準を常に超えている。
 窒素酸化物と共に浮遊粒子状物質(SPM)の測定も要望し、2000年には名古屋市
南部公害訴訟(あおぞら裁判)において排ガスの一部差し止め判決が出たこともあり、
02年から測定が開始された。この年の結果は日平均の98%値が0.087mg/m^3 で
あり、日平均が0.1を越える日が連続していて環境基準を越えている。事態は変わらない
が、モニタリングポストが23号線などに6カ所新設され、環2でも2ヶ所増設されて
10ケ所になった。他方で名古屋市はアセス要項の準用打ち切りを決定した。
 03年には上社JCから高針ICまでの専用部(東名阪)を供用開始したが、騒音対策
の新技術(グラスウール入りの裏面吸音板、橋脚橋桁間のゴム支承、中央分離帯の多穴ブ
ロックによる吸音など)が誇示されている。これは運動の成果であると同時に、環2東南
部建設推進のためと考えられる。この区間は万博を目指していたが、緑・天白両区の住民
運動(東南部環2問題懇談会)は全線トンネル化を要求して盛り上がっており、すでの初
期の日程を断念させている。
 常滑と中部新国際空港を結ぶ知多横断道路については、万博に間に合うことが至上命令
で、「光触媒や植裁による対策を実施し、土壌による大気浄化の実験も行う」と宣伝して
いる。ちなみに光触媒は窒素酸化物の除去率が0.3%に過ぎないことが分かっている。
 運動の中で学んでいることは次のようである。
・諦めず持続すれば、必ず成果は上がる。
・住民組織とそのネットワーク(道路公害反対愛知県民会議)が必要である。
・専門家(中京大の野原、中川両氏)の力を借りるべきである。
・女性の力は大きい。
・行政とのやり取りは文書による。
・焦らず楽しく、近所と仲良くする。
 ビデオは一方が住民運動のメンバー宮島さん(中学教師)が制作したもの、他方は名古
屋テレビの池内・猪高線拡幅に関する報道である。
 文理閣から「車優先から人間優先の道路へ」という本が出ているが、その執筆にも係わ
った。

 道路公害は単に自動車の問題に留まらない。現実の公害には立ち向かわねばならないが
、根本的にはモーダルシフトなど産業構造、経済システムを変えていく必要があると、話し
合った。

「ソーラー地球経済」まとめ1(富田)
 前に紹介したヘルマン・シェーア著「ソーラー地球経済」(岩波)のまとめを始めた。
著者はドイツ連邦議会議員、EU議会議員であり、99年にはライト・ライブリフッド賞
(環境のノーベル賞と言われる)を受けた。
 本の構成は次のようである。
シナリオ 化石経済からソーラー経済へ
第1部 束縛か解放か〜化石資源の連鎖 対 ソーラー資源の連鎖
 2  化石資源政策の病理
 3  化石資源連鎖を打ち破る可能性
 4  ソーラー地球経済への転換
今回はその第1部までである。
  シナリオ 化石経済からソーラー経済へ
 ソーラーエネルギー資源とは大陽、風力、水力、植物(バイオマス)、これに対して化
石エネルギー資源とは石油、石炭、天然ガス、ウラン、鉱物(金属など)のことである。
 これはエコロジーの問題に限定されず、経済・平和など社会的問題でもある。化石エネ
ルギー資源は偏在しており、現在では一層、紛争や世界大戦の温床になっている。経済の
グローバル化の主要因でもある。
 7つのテーゼ
1.世界文明が生存の危機から脱却するためには、再生可能なソーラーエネルギー資源へ
の完全な転換が不可欠である。
2.この転換は産業革命にも匹敵する価値がある。
3.化石エネルギー資源が推進する経済構造と社会文化の画一化を阻止し、持続的で多様
な人間優先の発展が可能である。
4.経済が循環型になり、地域性を尊重し、公共性を回復させることになる。
5.化石資源の経済効率は低い。ソーラー資源は利用者に優しい。
6.市場の法則ではなく、変えることができない自然の法則をこそ優先させるべきである。
7.ソーラー地球経済こそ、真に平等な普遍の人権を未来に伝え、多様な文化を持つ世界
社会を取り戻す。
  第1部 束縛か解放か〜化石資源の連鎖 対 ソーラー資源の連鎖
 たとえば石油の連鎖とは、採油、輸送、石油精製、排出物処理、貯蔵、輸送、エネルギ
ー変換(発電所、化学工場)である。さらに電力変換では、排出物処理、高圧送電、中圧
送電、低圧送電、消費者とつながる。
 長い連鎖は必然的に大企業集中、グローバル化を招く。そして政治的優遇措置を引きだ
す。巨大化した資本はあらゆる分野にポリープ(触手)を伸ばしてコンチェルンに成長す
る。そして化石資源の重要性をてこに自己維持を合理化し、他のシステムを危険視し、政
府に癒着して権力を得て、環境・民主主義、市場経済を破壊する。
 これに対してソーラー資源は世界のいたる所にあり、連鎖は短く、むしろ技術的に単純
化できる。ソーラーエネルギーは人間の消費エネルギーの15000倍ある。
 石油、天然ガス、石炭の採掘量は、石油換算で年間80億トンである。バイオマスでま
かなうなら、1ヘクタールあたり収穫が15トン(乾量)として、1200万平方キロが
必要になる(この計算の根拠がよく分からない!)。これに対して、世界の農業面積
1000万平方キロ、森林面積4000万平方キロであり、熱帯地方で550万平方キロ
拡大可能である。光合成による年間生産量は2200億トンである。
 EUの再生可能エネルギーの割合は96年で水力を除いて7%である。アメリカでも研
究費を3倍にし政策を変更すれば、2030年までに50%以上にできるはずである。E
Uでは2020年までに50%以上にできるという計算がある。

「家庭は屋根の上のソーラーパネルでまかなえる。」
「生態系を破壊しないか。」
「どうせ最後は熱エネルギーになる。都市にエネルギーを輸送する方がヒートアイランド
になる。」
「工場は敷地内ではまかなえない。」
「風力やバイオマスで供給する」
「それに原料も石油からバイオマスにすべきである。」
「ソーラーエネルギーは熱帯に偏り、高緯度ではとくに冬が厳しい。」
「石油以上に水の問題がある。現在は水不足で農業生産さえままならない。」
「水車のような水力発電とか、小規模でもできるところから始めようという意見がある。」
「より具体的な展望を明らかにしたい。」

備考:以上は林まさの勝手なまとめになっています。

「石油、石炭、天然ガスは
     生物起源ではない!?」(飯田)
 アーリック著「トンデモ科学の見破り方」(草見社)を読んで、7章の「石油、石炭、
天然ガスは生物起源ではない」が印象的だった。
 話の中身はゴールドの石油の無機起源説である。生物起源説は
・生体物質の分解によってのみ生じる特定の分子群が含まれる
・石油はしばしば光学活性を示す
・奇数の炭素原子をもつ分子が際立って多い(生物過程による)
とまとめられる。
 これに対して彼は、炭化水素が地殻やマントル深部から上部にしみ出してくると主張す
る。その途中で生物の痕跡を取り込むのである。地球が形成されたとき、あらゆる部分が
溶融していたわけではない。またメタンを始めとする炭化水素は太陽系に広く分布してい
る。そして生物起源説に反対する彼の15の根拠を紹介している。
 著者が言いたいのは、石油はさらにしみ出してくる可能性があり、また探査を堆積岩層
以外に広げれば多量の石油が発見されるかもしれない。そうなれば石油の「ひっ迫」に踊
らされなくて済む。ひっ迫が高利潤につながる石油企業がこの説に否定的なのである。

「たしか石油の成因は結論が出ていないはずだ。」
「環境問題との関わりはどうだろうか。」
「石炭に関しては埋蔵量が200年分はあり、その意味のひっ迫はない。」


備考:他に林ひろさんから「東京原発」という映画の紹介がありました。



        次回は

    9月19日(日) 13:30〜

          「林ラボ」



番号 04E-012  送信日 04/05/**  差出人 ** **
件名 ***********



番号 04E-013  送信日 04/05/**  差出人 ** **
件名 ***********