番号 03L-001 送信日 03/12/04 差出人 林 正幸
件名 環境問題通信03−11号
こんばんは、林まさです。
親しくしていたおじが逝去し、ひとつ穴が空いたようです。それに取り紛れて、11月22日に第1回を開いた「環境問題を勉強する会」の通信が遅くなりました。参加者などには、次回2月21日(土)が近づいたら、印刷物として郵送するつもりです。またこの通信は私のホームページの「掲示板」の中にも掲載します。
林ひろさんの奮闘もあって「強力リニアモーター」の材料準備がほぼ完成しました。あとは明日の試作(科学館)で設計を確定することです。いずれにしてもかなりの作業量があります。7日(日)に合いましょう。
ではまた。
<通信>
03.11
事務局:林 正幸
環境問題通信03−11号
9月に配布した「呼びかけ」に応えて、飯田、臼井、清水、鈴木ひさし、戸田、富田、林まさ、林ひろの8名が参加して、それぞれの思いを語り合いました。また塚田さんがレポート参加しました。内容が豊かで時間が足りないくらいでした。
次回は都合がつけば、篠原さんに道路公害について報告してもらいます。気軽に参加してください。
富田
エネルギー問題に関心がある。また以前から電磁波の健康への影響について調べている。最近、地元の瀬戸にデジタルタワーが完成して、住民学習会にも協力している。
備考:「電磁波の健康への影響」については、1月10、11日の理科教育討論合宿(15:00〜、ルブラ王山)で報告してもらいます。
清水
勤務先の岐大が「環境」を重点にする方針を決めて取り組みを始めている。学生にどのように関心を持たせるかが課題である。長良川源流調査にも係わっている。
飯田
フロン問題をきっかけに盛口さんと話し合った。「科学がこれ以上発達させてよいか。化学物質がこんなに出回ってよいか。」
ダイオキシンはオーバーに騒いでいるという批判があるが、本当だろうか。
林ひろ
「理科総合」の授業で、レスターブラウン出演の「課外授業」のビデオの内の、水問題の部分を見せて環境問題を考えさせた。石油より水で紛争が起こると言われている。やはりエネルギー問題の展望がほしい。原子力発電はだめ。
食品問題にも関心がある。添加物は現実には放射線よりこわい。遺伝子組み換えにも疑問がある。
鈴木ひさし
「総合」の時間に環境問題を取り上げている。
春日井市に産廃施設をつくる計画があり、住民学習会に参加している。
海上の森は行くたびに荒れている。万博がまともに環境に向き合っているとは思えない。何か情報を発信したい。
林まさ
昨年、合同県教研の「公害と教育」分科会にレポートを要請されて、30年ほど前のいくつかの実践と最近の授業での取り組みをまとめてみた。それが全国教研にも参加することになり、生々しい実践に触れて改めて触発された。以来、環境問題を勉強する会を呼びかけようと決心した。
理科教育に環境の視点は欠かせない。そのための全体的な勉強をしたい。また21世紀の展望を見い出したい。
戸田
石弘之の「地球環境報告U」(岩波新書)を読んで関心が深まった。川上紳一の「全地球凍結」(集英社新書)も推薦する。
備考:「全地球凍結」については、12月23日の生物サークル(13:30〜、菊里高)で、著者を招いて講演があります。
臼井
科学技術の陰に環境問題があるという見方でなく、環境を科学技術の重点対象にする。(司会を兼ねていて、聞き損なっていたら失礼!)
岐大の体験学習と環境再生(清水)
岐大工学部のものづくり技術教育支援センターは学内「ばんケ池」の保全に取り組み、地域子ども向けに大学ジュニア・サイエンス体験学習事業として「ホタル放流と講演会・観察会」を実施した。また大学として地域と協働した「ホタル舞う大学プロジェクト」ワーキンググループを立ち上げて自然環境再生構想を提案しつつある。
前者は理科離れ対策と、環境課題の認識向上を目指したもので、約200名の参加があった。これは大学の地域貢献にもなった。
後者の構想は次のようである。
@「ばんケ池」を地下水のポンプアップにより水質浄化する。
Aホタル水路を創出する。
Bビオトープを再生してばんが営巣できるようにする。
C鳥類、魚類、昆虫、植物など環境指標生物を生息させる。
D池を開放系にして源流域から平野部までの流域モデルを創出し、絶滅危惧種などの保護をする。
Eキャンパス全体を緑化する。
F農学部ではアイガモ農法のような環境保全型農業を推進し、生態系を復元する。
G自然観察型の遊歩道を設置する。
H飛来する鳥類も多く、大学をビオトープネットワークに位置づける。
備考:ばんケ池の「ばん」は、偏が番で旁が鳥という漢字です。
「アマゾンは地球の肺ではない」(飯田)
小宮山宏の論文「原理の理解と地球温暖化問題」の中に、「アマゾンは地球の肺ではない」という部分がある。光合成で二酸化炭素を吸って酸素をはき出しているが、同時に呼吸と、落葉や枯死(微生物が媒介する)で二酸化炭素にもどしている。森が成長している間は前者が優り、炭素が植物体として固定されていく。しかし成熟した森は平衡状態にあり、新たに酸素を増やしているわけではない。これに対して伐採は最終的に大気中の酸素の消費と二酸化炭素の増加につながり、植林は成長する間に新たに炭素を固定し、その分大気中の酸素を増加させる。
彼は複雑な環境問題を考えるにも、単純な基本的法則の理解が不可欠であると主張している。
廃棄物問題の情報紙を発行して(塚田)
学生時代にコンビナートの煙を前にして「化学の進歩」の幻想が崩れて以来、経済との係わりも含めて公害・環境問題に関心と拘わりを持ち続けてきた。
化学の教師時代は「公害調査の会」にも参加したが、退職を余儀なくされてからも、春日井市の消費者生活相談員を引き受けたり、金城大家政学部の研究員として大気汚染に取り組んだりした。その中で99年に市の「環境基本計画」の策定市民委員を委嘱されて活動した。その後「廃棄物問題を考える会」を立ち上げ、現在も情報紙「Let’s try 4R」の発行を続けている。
その1から6号が3セット届けられたが、内容が豊かで参考になることが多く、鈴木さんが増し刷りすることになった。
備考:4Rとは、Refuse(使用しない、拒否する)、Reduce(減量する)、
Reuse(再使用する)、Recycle(再資源化する)です。
「地球持続の技術」のまとめ(林まさ)
何か報告をと迷う中で、小宮山宏の「地球持続の技術」(岩波新書)をまとめることにした。
この本には、エネルギー消費が現在の3倍になると予測される2050年までに、エネルギー効率を3倍に、自然エネルギーの利用を2倍にし、物質循環のシステムを構築していくための現実的ビジョンが提示されている。
内容は科学技術に根ざしており、関係する知識が総合的に得られる。このビジョンでも二酸化炭素は369から460ppmに増加するが、著者はその上で22世紀までにすべて自然エネルギーに転換する技術開発を期待している。
現在のエネルギー消費は炭素換算で75億トン/年であるが、太陽エネルギーはその1万倍が地球に降り注いでいる。
他方でヘルマン・シェーアが「ソーラー地球経済」(岩波)という本で、石油埋蔵量が現在の使用量で40年分という現状では、石油をめぐる世界戦争の危機が迫っている。さらに急速なエネルギー転換が求められる、と述べている。「地球持続の技術」は99年の発行であるが、ここ2、3年で風力発電などが急速に伸びてきている。
文献・資料の紹介(林まさ)
・北区セロハン公害対策協議会
公害の実態、住民運動、新聞記事の3部作
・愛知公害調査の会
愛知の公害T(全県硫黄酸化物調査など)
・「公害と教育」研究会
第1回の実践報告集
備考:研究会の発足は1971年でした(ちらしの1970年はまちがい)。
・02年度全国教研「公害と教育」分科会
レポートなど
・「地球白書2003−04」(家の光協会)
・レスター・ブラウン「エコ・エコノミー」(家の光協会)
・「日本国勢図会2000/2001」「世界国勢図会2000/2001」(国勢社)
統計資料
・「化学10月号」(化学同人)
渡辺正「ダイオキシン騒ぎの終焉」
・名古屋市高速道路反対連絡協議会
「道路公害と住民運動」No677〜687号
・日刊工業新聞
8月からのスクラップ
など
次回は
2月21日(土) 13:30〜
「林ラボ」
(一宮駅から徒歩5分 電話:略)
<以上>
番号 03L-002 送信日 03/12/11 差出人 鈴木 久
件名 【案内】プリマーテス研究会
鈴木 久です。
直前になってすいません。以下の案内をお知らせします。場所は、日本モンキーセンタービジターセンターです。よろしければご一緒にどうぞ。
第48回プリマーテス研究会
テーマ「サルとヒトの感覚」
今年のプリマーテス研究会は、サルとヒトの「感覚」がテーマです。サルやほかの動物たちの感覚は人間の感覚とどう違うのでしょうか?さまざまな感覚を研究している人たち、現代人の五感喪失の問題を取り扱っておられるライターの方、感覚というきわめて主観的なものを展示する取り組みなど、いろんな観点から感覚に迫ります。あなたはいま、すてきな「感覚」を味わっていますか?
2003年12月13日(土)
13:30〜
「ヒトの嗅覚・味覚に対する非侵襲計測」
外池光雄(産業技術総合研究所・関西センター・ライフエレクトロニクス研究ラボ)
「ヒトにとっての『おいしさ』の要因と構造」
伏木 亨(京都大学大学院農学研究科)
「見て、さわって、嗅いで、味わう大分香りの森博物館」
中島基貴(大分香りの森博物館)
コメント
上野吉一(京都大学・霊長研・人類進化モデルセンター)
懇親会
2003年12月14日(日)
10:00〜
「霊長類の聴覚世界」
泉 明宏(京都大学・霊長研・認知学習)
霊長類の平衡機能 ―小脳系と半器官から見て―」
平崎鋭矢(大阪大学大学院人間科学研究科)
コメント
三上章允(京都大学・霊長研・行動発現)
13:30〜
「迷走する現代人の五感と身体」
山下柚実(ノンフィクション作家/五感生活研究所)
「ロボットは他者の痛みを感じるか?」
浅田稔(大阪大学大学院工学研究科)
コメント
山極寿一(京都大学大学院理学研究科)
16:00 閉会
番号 03L-003 送信日 03/12/14 差出人 伊藤 政夫
件名 12月23日生物サークルの件
伊藤政夫です。再送になります。
生物サークルの講演会が、いよいよ1週間後に近づいて参りました。出席を予定されている方、メールまたは電話でのご連絡をお願いします。以前お送りしたチラシは、学校の電話番号がまちがっていました。どうもすみません。
********************************
市立高校生物サークル 第10回記念講演会 のお知らせ
「全地球凍結 〜生命と地球の共進化〜」
岐阜大学助教授 川上紳一先生
期日:12月23日(火)1:30〜4:30
場所:**高校 物理講義室にて
番号 03L-004 送信日 03/12/16 差出人 林 正幸
件名 MOLの会の通信を送信します
こんばんは、林まさです。
7日の名古屋EHC、ご苦労さまでした。コイル巻きがたいへんですね。時間を見つけていくつか手巻きしておきたいと思います。試作品の駆動力を思い出せばがんばれるかな!?
今年も年の瀬が迫ってきました。年賀状の文案を考える中で、果たして来年が単純に平和であれと祈れるものかと心配です。
新年早々10、11日には理科教育討論合宿があります。参加予定の人は、早めに事務局の岡田はるさんに連絡しましょう。
14日のMOLの会の通信ができました。まずメールにて皆さんに届けます。
ではまた。
<引用>
03.12
事務局:林 正幸
MOLの会通信03−12号
今回は岡田、澤田、鈴木とし、林まさ、船橋、堀の6名でした。新しい仲間の参加は元気がでます。雑談の中で学校教育の現状が話題になりました。私が「コピー、アリバイ、競争、ストレスの4つで語れてしまうのでは」と言うと、船橋さんから「評価」を加えてはと提言がありました。
ちなみに「でんきの科学館」での「なるほどサイエンス」は、好評のうちに終了することができました。また「環境問題を勉強する会」の第1回の通信も配布して、参加を呼びかけました。
・泡消化器の改良(澤田)
理科総合Aで1時間、泡に関する授業を行った。その中で以前からの泡消火器を改良して実験した。
のり容器の頭を切ると反応が早くなり、薬品を1/3にしてほどよい勢いが得られた。500mlペットボトルに、炭酸水素ナトリウム8gに水70mlを加えたものを、押し込んでおいたのり容器に、結晶硫酸アルミニウム10gに水13mlを加えたものを入れる。チューブが付いたゴムせんをして逆さにして、ろうそくの火を消す。
・下水処理の教材(澤田)
同じく「生活での廃棄物」の中で、それをごみ、下水、気体に分け、「下水とその処理」の教材プリントを作ってみた。これは10年研の現地体験研修で下水処理場と汚泥処理場に行ったことを活かす意味がある。
下水は沈砂池と沈でん池を経た後に反応タンクで活性汚泥処理される。そして活性汚泥を沈め、次亜塩素酸ナトリウムで消毒してから、再生水として川に放流される。日本で活性汚泥処理が始まったのは1930年。2004年から名古屋市では窒素、リンを微生物を使って取り除く高度処理が行われる。
下水処理場で出る汚泥はパイプラインで汚泥処理場に送られる。汚泥は濃縮槽で固形分を沈め、さらに凝集剤を加えてから機械脱水し、水分は下水処理場にもどし、固形分は焼却処理する。硫化水素を含む排ガスは水酸化ナトリウムで処理される。灰は透水性ブロックの原料などになる。かつて健康被害をもたらした場内悪臭は、装置を覆って集め、生物脱臭装置で除く。
東京湾、伊勢湾、瀬戸内海では、排水は総量規制が行われている。
面白い情報としては、下水処理の下水熱をヒートポンプで場内の暖房に利用する計画があり、下水管の上部空間を利用して光ファイバーなどの敷設が進められている。
・上下運動する玉子(岡田)
名大の川泉先生に教わった実験。ペットボトルの上部を切って容器とし、水約1gを入れる。この底にろうととチューブを使って濃塩酸約170mlを送り込む。そして玉子を入れると、ゆっくり上下に運動する。ちなみに玉子の密度は1.12g/ml(計測結果)、濃塩酸は1.19g/mlである。
殻の成分の炭酸カルシウムが塩酸と反応して、二酸化炭素の泡が付着して上昇し、泡が離れて下降する。苦労を重ねた岡田さんによると、上部の水の密度が塩酸が一部混じって適度に大きくなるとうまくいく。私たちが見た実験は上出来だそうです。
水の代わりに適当な濃度の食塩水を使ってはどうでしょうか。
・簡易減圧ポンプ(船橋)
理科教室11月号の実験。50mlディスポーザル注射器の針穴の横に1mmの穴を開けて外側からビニールテープで塞ぐ。針の穴は同じように内側から塞ぐと減圧ポンプのできあがり、ビニールテープが弁のはたらきをする。
数100mlの透明プラスチック容器の横にドリルで、注射器とつなぐチューブの外径よりすこし小さい穴を開け、チューブを中に引き入れる。
これで、軽く膨らんだ風船がさらに膨らむ、口にサランラップを張るとへこんで割れて大きな音がするなど、いくつもの実験が手軽にできる。
なおプラスチック容器を減圧のまま放置すると、割れて危険なことがあるそうです。
・万華鏡あれこれ(船橋)
新聞記事を参考に、液体万華鏡やビー玉万華鏡を製作してみた。鏡は理科業者から取り寄せたアクリルミラーを使ったが、ポリカーボネートミラーよりはるかに明るくてよい。またビー玉もアクリル球を使うときれいである。発見は、3枚の鏡の角度を正三角形でなく、頂点が20°の二等辺三角形に組むこと。ビーズは100均で手に入る。
「伊東家の食卓」より。風船にさいころを入れて膨らませ、手で持って円を描くようにまわすと、まるでバイクの音。
他にも「こども未来」の2000年10月号の「瞬間ペン移動マジックグッズ」の資材を準備してもらいました。
・消える感熱紙(船橋)
「先生はマジシャン」より。スーパーのレシートは感熱紙。これにキンカン(高濃度のアンモニア水)を塗ると、あら不思議、印字が消える。
水酸化ナトリウム水溶液でもOK。そして試しに希塩酸に浸けてみると見事に印字が復活するではありませんか。繰り返しも可能で、これは教材になります。
・塩化銅(U)とアルミ箔(鈴木とし)
鬼塚さんのHPを参考にした。水に塩化銅(U)と塩酸を溶かし、アルミホイルをすこしずつ入れていくと、次第に消えていき、やがて水溶液の青色も消える。代わりに褐色の固体ができる。これはろ紙に移して試験管の底でこすると光沢が出て銅であることが確認できる。塩酸を加えるのは反応を促進するためでしょう。
これに対して生徒がアルミニウムはどこに行ったかと質問したので、反応混合物をろ過して蒸発乾固することにした。そして白色の塩化アルミニウムになっていると説明するつもりが、黄色の固体になってしまった。
これはアルミホイルに含まれる鉄が塩化鉄(V)になって混入したためです。
ついでに亜鉛片と希硫酸で水素を発生する場合が話題になりました。この廃液には黒色の固体がすこし残るのですが、これは不純物の銅です。またダニエル電池で亜鉛板が黒色になるのも、表面に生成した銅のためです。ボルタの電池もその可能性があります。
・蒸気圧の計測(林まさ)
蒸気圧を生徒に計測させられないか。5ml注射器のピストンに穴を開けてカードリングを通す。レトルト台のリングに20Nのばねばかりを吊し、始め注射器に空気2mlを入れ、ばねばかりに引っかけ穴を指で押さえて、体積が4mlになる目盛りを読む。この2倍が1atmに相当する。なお摩擦があるので、ピストンをゆっくり引っ張っていくときと戻ってくるときの目盛りの平均値を使う。
次に30℃の水を2mlほど採って、同様にして、水蒸気の空間が広がり始めるときの目盛りを読み、蒸気圧を計算する。さらに55℃と80℃の水を注射器に採って蒸気圧を計測すると、その変化が実感できる。メタノールの蒸気圧も同様に計測できる。なおエーテルは注射器が溶けるため無理だった。
この計測は慣れることが必要であるが、簡単な割によい結果が得られる。データ例は次のようです。
1atmに相当する目盛りは 12.8N
水の蒸気圧 文献値
30℃ 0.031atm 0.042atm
55℃ 0.156 0.155
80℃ 0.438 0.467
メタノールの蒸気圧
30℃ 0.188atm
55℃ 0.594
文献値は
200mmHg(0.263atm)になるのが34℃
760 (1.000 ) 65
温度計の補正をするとよいとの指摘を受けました。
・弱酸の中和滴定(林まさ)
クエン酸がフェノールフタレインを指示薬として中和滴定できるかということで、まず理論的に検討してみました。その変色域から弱酸の塩の水溶液のpHが8より大きいことがひとつの条件になる。酢酸のような1価の弱酸で考える。
A^- + H2O ←→ HA + OH^-
c[mol/l]の弱酸をc[mol/l]の水酸化ナトリウムで中和滴定する場合は、化学平衡の理論から [H^+]^2 =2×Ka×Kw/c
したがって Ka = 5c×10^(-3)
より酸定数が小さい弱酸である必要がある。
もうひとつの条件は、誤差を2%にすると、中和点まであと2%のところで水溶液の
pHが8より小さいことである。その時点の質量作用の法則は
10^(08)×0.5c/0.01c = Ka = 5×10-(-7)
より酸定数が大きい酸である必要がある。
クエン酸の酸定数(25℃)は
K1=7.41×10^(-4) K2=1.74×10^(-5) K3=3.98×10^(-7)
第3段の電離から、この中和滴定は微妙である。
**高にはクエン酸があるので、その場で実験してみました。 まず0.005mol/lのシュウ酸標準溶液10mlを約0.1mol/l水酸化ナトリウムで中和すると、9.7mlでした。滴定には駒込ピペットを使いました。クエン酸の0.033mol/l溶液を調製して、その10mlを滴定したところ、9.9mlの時点ではっきりとした変色が見られました。クエン酸は3価の塩基として中和滴定が可能でした。
フェノールの酸定数(25℃)は Ka = 1.5×10^(-10)
約0.1mol/lの溶液を調製してその10mlを滴定したところ、2,3mlあたりからうすい赤色になり、その状態が続きます。o−クレゾールの酸定数(25℃)は
Ka = 5.13×10^(-11)
同様に実験すると、1ml未満ではっきりした赤色に変色してしまいました。
・いろいろなシャボン膜など(林まさ)
銅線でさまざまな形のフレームをつくり、それにシャボン膜を張る。メビウスの輪も作れるし、半分閉じていないフレームにも張ることができる。目標は完全に閉じていないフレームのシャボン膜です。
酢酸エチルの合成を、反応が途中で停止する事例として扱う。分離段階で、触媒である硫酸の中和を越えて炭酸ナトリウムが必要であることを利用する。それにしても、もっと簡単に途中停止が確認できる実験がないものでしょうか。
かつて平衡モデルに利用したBB弾ボックスの姉妹版として、拡散および浸透モデル用を製作しました。
次回は
2月29日(日) 13〜17時
**高校 化学室
(東門から入ってください。)
<以上>
番号 03L-005 送信日 03/12/20 差出人 加藤 賢一
件名 UVカット
物理の関係の方に、、
清水の加藤です。
旅行でニュージーランドへ行きます。地球の歩き方によると紫外線が強いため、UVカットを持っていったほうが良いとのこと。近くの薬局で700円ぐらいで、今買いました。UVカット剤は酸化チタンです。
昨年ブラックライトをつかった実験をやりましたら、結構生徒には評判が良かった。単純な実験で、蛍光塗料を塗るとその部分が光るとか、紫外線をあてると反応して(遷移して)光るビーズなどです。
UVカットクリーム=日焼けクリームをメガネに塗ったり、なにか、それを透明なプラスティックのようのものに塗れば、カットされるはずなので、多少、授業のたしになると、ちょっと思いついたのでメールしました。多分、似たような実践はあるとは思いますが。
理科の教材屋から買うのではなく、身近に有る薬局や、化粧品屋から買うのが宜しいかと思います。
番号 03L-006 送信日 03/12/21 差出人 船橋 隆久
件名 簡易型マグデブルグ半球の製作
船橋です。
理科教室11月号鈴木健夫さんの「簡易減圧装置」を使って、「マグデブルグ半球の実験」に挑戦しました。半球にはホームセンターで買ったステンレス製のボール(底が平らな物)を2つ購入し、一方に1.5mmの穴を開けました。その穴を1cm角程度のビニールテープでふさぎ弁にします。そのため使い捨て注射器の吸い出し口のビニールテープはいらなくなります。
**工業の児島さんが、前回の愛知物理サークルで紹介された方法を参考にし、水で濡らした新聞紙をパッキン代わりにしました。注射器にペットボトルの蓋を取り付け、ステンレス製ボールの底に強く押しあて、吸引を試みましたが全く減圧できません。ペットボトルの蓋をよく見ると小さな凹凸があり、そこから空気が入ってしまい意味のないことが分かりました。たまたま購入してあったトイレ用消臭剤「消臭力」の蓋を使ったところ今度はうまく減圧してくれました。この蓋には凹凸がないことと、柔らかさが幸いして密閉度がよくなったのだと思います。
新聞紙パッキンは本当にすばらしいアイデアですが、密閉度が不十分なため2つの半球は15分程度で分かれてしまいます。この問題を解決するため、ホームセンタで1×300×300mmのゴムシートを2枚購入し、パッキンにしてみましたが全く効果がありません。前回のモルの会で減圧装置の商品(中村理科)を見せてもらったところ、パッキンに使用されているゴムシートはスライムのような弾力性がありました。この弾力性が密閉度に影響しているのですね。市販のゴムシートは結構固いので、どうしても隙間ができてしまうのだと思います。
しかしスライムのようなゴムシートは一般のホームセンターでは市販していません。せっかく購入した2枚のゴムシートなので、その間に30cm程度に折りたたんだ濡れた新聞紙5枚を挟んで手のひらで押さえてみたところ、それらしい弾力性が感じられました。もう一度減圧したところ今度は完璧に密閉されました。ゴムシート表面の目に見えない程度の小さな凹凸を、濡れた新聞紙がうまく消してくれているのだと思います。そのまま2時間放置しましたが、2つのボールは離れることはありません。
その後、2つのステンレス製ボールにロープを通すことができるアイボルトを2本ずつ取り付けました。ボールに穴を開けるわけですから、この部分の密閉性を保つため自転車のチューブをパッキン代わりにしました。これは「水ロケット」の技術がそのまま利用できました。ロープを思いっきりひっぱっても決して離れない「マグデブルグ半球」が完成しました。
番号 03L-007 送信日 03/12/22 差出人 林 正幸
件名 EHC事務局会議のお知らせ
こんにちは、林まさです。
昨日は一宮EHCで、マルチ測定器製作の補習があり、幸い私は完成することができました。そこで話題になったのですが、恒例になっていたEHC事務局会議をやることになりました。
日時:1月4日(日) 10時から
場所:林ラボ(添付の地図を見てください)
ちなみに引き続き、一宮駅付近で新年会も行います。したがってもちろん公共交通機関を利用してください。一宮駅からは徒歩5分の距離です。
参加確認ができたのは、岡田たかさん、田中さん、船橋さん、私の4人です。昼食を取る都合がありますので、できれば参加予定の人は私まで連絡してください。なおどなたが参加していただいても構いません。
ではまた。