番号 03H-001  送信日 03/08/04  差出人 臼井 泰洋
件名 科教協東京大会報告です



番号 03H-002  送信日 03/08/08  差出人 林 正幸
件名 久しぶりの感動です

 こんにちは、林まさです。
 科教協東京大会、アルケ合宿に引き続き、先進科学塾で、かなり忙しいです。しかし皆さんにスタッフとして協力していただき、生徒の反応に久し振りに感動を覚えています。私が担当する「電子やり取り反応の世界」コースは、5日(火)と7日(木)は7つの基礎実験に時間を掛けて取り組みます。レポートも次回までに7枚提出させます。そんな中での断片をいくつか紹介してみたいと思います。

1.ヨウ化カリウム水溶液と塩素の反応
S「先生、青色にならないよ。」(ヨウ素を検出していることに気付いている)
T「えっ、まだ塩素のはたらきが強すぎて、ヨウ素酸まで行っちゃうのかなあ・・・」
(しばらくして)
S「赤褐色の溶液を紙に染み込ませると、ちゃんと紫色になるよ。」
T「どうしてそんなことしてみたの?」
S「プリントに垂れてしまったのを見たら、そうなっていた。」
T「そうか、普通の紙にはデンプンが加えてあるから、それでヨウ素デンプン反応が起こったのだ。」
T「ということは、片栗粉でつくったデンプン液は古くなるとだめなのだ。白色のもやもやが気になっていたんだ。」
T「すごいなあ、君のおかげで実験がうまく行かない理由が分かってしまった!」

2.亜鉛とヨウ素の反応
S「水をかけると紫色のけむりが出てきて、すごい。これ塩素?」
T「塩素は黄緑色って、習わなかったかい?」
S(別)「これ、ヨウ素だよ。」
T「そう、ヨウ素は固体は黒っぽい色をしているが、気体になると紫色なんだ。」
S「発熱反応だ。」
T「そう、蒸発皿の下を触ってみよう。」
S「と言うことは、亜鉛と水が反応した?」
T「簡単に調べられるね。」
S「亜鉛に水をかけてみよう。反応しないなあ。」
S「じゃ、ヨウ素と水かも。やはり反応しない。」
T「ということは、やはり亜鉛とヨウ素が反応しているね。その反応熱で、まだ反応していないヨウ素が昇華した。」
S「じゃ、水は何のため?」
T「触媒って、知らないかい。亜鉛とヨウ素の反応を速く進ませるはたらきをするのだ。」

3.ニッケルめっき
S「先生、この実験、目がうるうるして変だ! ニッケルめっき液って、何が入っているの?」
T「硫酸ニッケルだけど・・・。」
S「硫酸のせい?」
T「硫酸そのものが入っているのではなく、硫酸イオンなんだが、これは反応しないよ。」
T「そうそう、助剤として塩化アンモニウムも加えてあったよ。だから塩化物イオンが反応して塩素が発生しているのだ。主に泡になって発生しているのは酸素だけどね。」
S「塩素かあ。」
T「私が試しに実験したときは気付かなかった。気分が悪いなら止めていいよ。」(科学館の換気機能は事実上ゼロ)
(別の実験で、塩素が空気より重いという記述を見て)
S「そうか、だからしゃがんだときに、余計うるうるしたんだ!」(考えている!)
 これを受けて塩素が発生しないように、塩化アンモニウムを硫酸アンモニウムに代えて試してみたが、同じようにきれいにプレートができた。つまり実験の改良ができた。

4.ダニエル電池
 おもちゃが止まるまで使用してから、銅板を観察した。
S「銅板の表面に黒いものが着いている。これって、鉛かな。」(「金属と水溶液の反応」で亜鉛の表面にできた鉛を連想している)
T「でも使っている薬品に鉛は入っていないよ。金属は細かいときはどれも黒色なんだ。ニッケルめっきでも、銅板の表面に着いたニッケルは始めは黒色で、積み重ねていくと銀色になってきただろう。」
S「削ってみよう。わあ、銅の箔が取れる。もとの銅板が削れているのかな。」
T「それはもとの銅板の質量を計っておけば確認できるね。それは銅板の表面にできた銅なんだ。」
S「あれ、亜鉛板の表面にも黒いものが着いている。亜鉛かな。」
T「そうかな。」
S「亜鉛板の方のろ紙が青色になっている。銅かな。」
T「試してみよう。集めてビーカーに移すよ。」
T「そして濃硝酸を加えると、ほら、青色になった。実験に使った飽和硫酸銅水溶液も、薄めると同じ色だ。」
T「硫酸銅や、反応でできた硝酸銅には銅イオンが含まれてる。銅そのものと銅イオンは色が違うことを覚えておこう。しかし銅イオンが銅がなければ決してできない。」
T「銅イオンの検出にはアンモニア水を使う。どちらの水溶液にもアンモニア水を加えると、ほらコバルト色になる。」
S「どうして亜鉛版に銅ができたんだろう。」
T「セロハンを透過して銅イオンが拡散して来るからなのだ。亜鉛板の方のろ紙が青色になっていたのが、その証拠なのだ。」
T「亜鉛版に着いて残っていた黒いものが、すこし小豆色になってきた。銅の色が見えてきている。」
S「ビーカーの中が赤茶色になっているのは何?」
T「これは銅と濃硝酸が反応するとき、同時に発生する二酸化窒素という気体だよ。これは毒性があるから注意しよう。」
 授業では結果が出れば即かたづけさせるわけで、時間的ゆとりの重要性を再認識させられた。

5.液体窒素
 基礎実験が終わってから「液体窒素があるから、凍らせたいもの探していらっしゃい。」というと、100均でたくあん、高菜、ハッシュドビーフ、プラスチックボールを購入し、道中で草を取ってきた。
 たくあんは凍らせて、金づちで割った。プラスチックボールは軟球と違って、床に落としても弾んでしまった。そこで板で押しつぶすと、ガラスのように割れた。草は簡単に砕けた。
 こちらで乾電池に豆電球をつないで、乾電池を液体窒素に浸けて豆電球を消してみせた。これは「水が凍ってイオンが動けなくなったのさ。」とだけ言っておく。やがてまた豆電球が光り始める。
 液体酸素を見せたかったので、空気をポリ袋にとって冷やした。液体は得られたが青色にはならず、磁石にも引かれるかどうか分からなかった。ぶっつけ本番だから、酸素ボンベなど準備していない。アルミ製のプリンケースが見つかったので、スタンドに固定して液体窒素を注ぎ入れた。底から滴が落ちる。磁石を近づける。「先
生、引き寄せられているみたい。」しかしはっきりとは分からない。生徒の方が何とかしたいと思っている。マッチの燃えさしを使うがうまくいかない。そのうち線香が見つかる。生徒が夢中で底を探る。するとパン!と音がして燃え上がる。「酸素だ。」生徒はくり返し、くり返し火を付けようとする・・・。
 「先生、液体窒素に湯を入れてみようよ。」やかんに湯を沸かす。ビーカーでは危険かもしれないから、箱にポリ袋を敷いて液体窒素を入れる。「みんな、安全めがねを掛けよう。それから窒息するかのしれないな」生徒が飛んでいってドアを開ける。そして恐る恐る湯を注ぐ。白色の煙が盛り上がり床を流れて広がる。「映画のワ
ンシーンを見ているようだ。」「よし、大丈夫。もっと行け。」煙が晴れると、箱の中に液体が残っている。「何だろう?」触ってみて「なんだ、湯だ、湯だ。」
 「先生、今度は床に流そうよ。」
 いったいこの情景のどこに「理科ばなれ」などあるのだろう・・・。


番号 03H-003  送信日 03/08/18  差出人 船橋 隆久
件名 衛星から見た百名山

 船橋です。
 かつて「インテク研」で近藤さんから紹介のあった「3次元地図ソフト・カシミール3D」を、この夏休みを利用してもう一度見ることにしました。カシミール3Dは標高データを使い、いろいろな作図機能が楽しめる3D地図ナビゲータで、フリーソフトにもかかわらず全ての機能を使いこなすのが難しいほど豊富な機能をもっています。初心者用ということで、実業之日本社から「カシミール3D入門」(杉本智彦著、1900円)という解説書が販売されていますが、以下のホームページからダウンロードすることもできます。

http://www.kashmir3d.com/

 このホームページのなかに、「産業技術研究所が公開しているAster衛星画像をカシミール3Dで見る」というコーナーがありました。「この衛星画像と標高データを重ね合わせると、迫力ある3D表現が可能」と書いてあったのでさっそく試してみました。
 山岳展望図や風景CGといった3D表示は、「カシバード」という別のウインドウでおこないます。カシバードとは地形図のうえにおかれたカメラと考えるとわかりやすく、あらゆる山や谷を自由気ままに移動することができます。そしてモニタ画面上で、山の中腹や頂上から見た迫力ある3D展望図を楽しむことができます。
 「衛星から見る百名山」には、「阿寒岳」「大雪山」「十勝岳」「羊蹄山」「鳥海山」「浅間山」「筑波山」「白馬岳・立山」「乗鞍岳・焼岳」「富士山」「甲斐駒ヶ岳」「白山」「伊吹山」の13種類の衛星画像データが紹介されており、以下のホームページからダウンロードすることができます。

http://www.gsj.jp/Info/100mt/aster/aster.html

 具体的な操作については、カシミールのホームページの中で紹介されています。夏休みなのに雨続きでなかなか山に行けないでストレスがたまっている方にもおすすめです。


番号 03H-004  送信日 03/08/18  差出人 林 正幸
件名 久し振りの納得(その1)

 こんにちは、林まさです。
 先進科学塾の両コースは、皆さんのご協力を得て、無事に終了することができました。昨日は反省などと共に「打ち上げ」をやりました。
 「電子やり取り反応の世界」コースでは基礎実験の続いて、プリントを使って「知識と理論」の学習をしました。その中で出てきた質問を拾って見ました。前の実験に関係する疑問もあります。化学専攻でない人には説明が丁寧ではありませんが、雰囲気などを伝えたいという思いからこのメールを発信します。
 ではまた。

1「空気中での電子を失う勢いは分かっているのか」
 空気中の窒素分子や酸素分子は金属イオンとほとんど関わりを持たないから、真空中での勢いと同じである。これはイオン化エネルギーという数値で示される。つまり金属原子から電子を奪って陽イオンにするのに必要とされるエネルギーである。この数値が小さいほど電子を失う勢いが大きいことになる。なお正確には、固体の金属をバラバラの原子にするためのエネルギーも考慮するべきである。
2「水はどうして触媒としてはたらくか」
 これは金属も水中で変化しやすいこと、亜鉛とヨウ素の反応でも水が関係することなどから湧いた疑問であろう。
 これに十分に答えることは困難であるが、「水和」という現象に限って説明した。水分子には極性があって陽イオンや陰イオンを取り巻いて安定化させる。このためイオンが容易にできるようになる。イオン性物質は水に溶かすだけで、陽イオンと陰イオンに電離するほどである。
3「鉄くぎはどうしてきれいになるのか」
 略
4.「アルミホイルと塩酸の反応で、反応後しばらくすると溶液が黄色になるのはなぜか」
 アルミホイルには鉄が含まれている。これが塩酸の水素イオンと反応して鉄(U)イオンになり、それがさらに水および空気中の酸素(水溶液に溶けて)と反応して鉄(V)イオンになる。どちらも電子得失表を見れば納得できる。鉄(V)イオンは黄色であり、ヘキサシアノ鉄(U)酸カリウムを加えると青色になった。
5「吸熱反応の方はイメージが湧かない」
 この話題は亜鉛とヨウ素の反応で未反応のヨウ素が昇華することに関連して生まれた。これは別のテーマであるが、関心が高いのですこし説明することにした。
 始めに硝酸アンモニウムが水に溶解して吸熱する実験をした。
 発熱や吸熱は、熱くなったり冷たくなったりすることに注目するが、本来の意味はまわりにエネルギーを与えたり、まわりからエネルギーを奪ったりすることである。発熱で熱くなるのはエネルギーをとりあえず自分の運動エネルギーに変えて温度が高くなるためであり、最終的にはまわりと同じ温度になり、まわりにエネルギーを与えるわけである。熱いと分かるのもまわりにエネルギーを与える過程である。吸熱も同じことで、冷凍庫で水が凍るのをよく吸熱と誤解するが、それは冷たくて凍るという実感から来ている。冷凍庫が水からエネルギーを奪っていることに注目すれば、凝固が発熱であることはすぐに理解できる。
6「塩素や硫化水素が発生する反応式はどうなるか」
 どんな反応で発生したかに関心がある。
  CaCl(ClO)・H2O + 2HCl ―→ CaCl2 + 2H2O + Cl2
  Na2S + 2HCl ―→ 2NaCl + H2S
生徒は硫化水素が硫化鉄以外からもつくれることに驚いた。
7.「ダニエル電池の銅板と亜鉛板を入れ替えたらどうなるか」
 このような疑問の持ち方自身が、教師には新鮮である。私が答えるのでなく生徒に考えさせよう黒板に図を書くと、3人が出てきて教師そっちのけで意見交換が始まった。すこし前に、1時間半ほど勉強して「眠くなる」ことが話題になったばかりだっが、それが嘘のようである。今から思うと克明に記録を取るべきだったが、後の祭り、話は次々に展開してとても記憶できる量ではなかった。
 何故か硫酸イオンが注目されたが、負極は亜鉛が電子を与えることになった。そして正極では
    2e^- + SO4 ^2- ―→ SO4 ^4-
    SO4 ^4- + 2H^+ ―→ SO4 ^2- + H2
と考えた。水素イオンは水の電離で生じる。そこで正極は結局
    2e^- + 2H^+ ―→ H2
となることを指摘して、実験してみることを提案した。
 豆電球は光らない。ソーラーモーターもまわらない。しかしデジタルテスターで電圧が0.88Vと確認できた。確かに亜鉛板が負極であった。そして亜鉛板を裏返すと、表面に黒いものが付着していた。生徒はろ紙にこすり付けて金属であるか確かめようとする。「亜鉛かな?」しかしよく観察すると赤みがある。「銅だ。」今回はそれ以上確認せずとも納得した。
 もう一度考えると、次の反応が起こることが分かった。
    Zn + Cu^2+ ―→ Zn^2+ +Cu
生徒は考えた。それでは負極で電子を与えたのは何か。そして次の反応式を書いた。
    4OH^- ―→ H2O + O2 +4e^-
係数こそ違うがよく覚えていた。水酸化物イオンはやはり水の電離で生じる。この生徒は酸化還元まで学習が済んでいるが、やはり電解を水の電離を使って教える先生が多いようだ。そこで水だけで電池ができそうだねと、再び実験してみることを提案した。
 テスターは0.67Vを示す。亜鉛板が負極である。
参考:デジタルテスターでは電流がほとんど得られない電池でも電圧を検出する。
 続いて生徒は電圧の数値の説明が付かないことに関心が移る。前の実験の電圧0.88Vが亜鉛の酸化還元電位0.763Vより高い理由である。これは途中で「電池の電圧は酸化還元電位で決まるとは限らない」と止めた。
 最後に、後の実験において、亜鉛の方が水酸化物イオンより電子を与えやすいこと、しかも水酸化物イオンは濃度が極めてうすく、そのためさら電子を与える勢いが小さいことと、亜鉛板が負極になる根拠がないことを提起して、さらに検討が必要であるとまとめた。
 このあいだ約1時間、残念ながら話のあらすじにおいてさえ大穴が空いているだろう。しかしその場にいた私たちは「これはすごい」と感じ取った。
8「乾電池に水銀を使わなくなった意味を知りたい」
 これはたぶん私たちの会話がきっかけで持った疑問であろう。キッチン電池で水素過電圧についてすこし触れている。
 乾電池において正極で電子を奪う反応は複雑であるが、水素イオンが関係している。これが水素になる反応は速度が小さい。しかもそれは反応が起きる表面にもよる。亜鉛や水銀の表面ではより小さいが、それに比べると銅の表面では大きい。亜鉛の純度が悪く銅などが含まれると、電池を使わないときにも局部電池になって消耗する。それを防ぐために亜鉛の表面に水銀を塗った。しかし亜鉛の純度が上がり、環境問題を起こす水銀は必要でなくなった。


番号 03H-005  送信日 03/08/18  差出人 林 正幸
件名 久し振りの納得(その2)

 こんばんは、林まさです。
 「電子やり取り反応の世界」コースの最後は課題研究です。生徒が自ら簡単に課題を見つけたことは、授業構成に対するひとつの評価であると受け止めています。そしてスタッフの皆さんの協力を得て、次のようにすばらしい結果が出てきました。
 ではまた。

1.「逆ダニエル電池の研究」
 学習で出てきた質問が研究課題に発展した。
 始めに「逆ダニエル電池(銅板に硫酸亜鉛水溶液を染み込ませたクッキングペーパー、セロハン、硫酸銅水溶液を染み込ませたクッキングペーパーを重ね、亜鉛板を被せる)」で、亜鉛イオンがどこに行ったかに関心が向いた。十分に放電した後、亜鉛側のペーパーを洗い出してろ過し、ろ液を蒸発乾固すると白色固体が得られた。これを再び水に溶かして2分し、一方に水酸化ナトリウム水溶液を加えていくと、白色沈でんを生じ、再び溶解して無色の溶液になった。他方には硫化水素を吹き込むと白色沈でんを生じ、亜鉛イオンの確認ができた。
 次に正極の反応の解明に進んだ。もう一度逆ダニエル電池をつくり電圧と電流を計ると、0.88V、76.0〜91.5mAであった。
参考:76.0〜91.5mAという表現はデジタルテスターの不安定性による。
 銅板の表面の汚れから、セロハンを透過して拡散した銅イオンが電子を奪っている可能性が予想された。代わりに陰イオン交換膜を使うと、銅の表面が汚れなくなり、0.66V、25.0〜39.6mAであった。電池のパワーダウンは予想を一部裏付けたが、それがすべてではないことも示している。
 空気中の酸素の影響が予想された、つまり水と酸素が共同で電子を奪っている可能性がある。銅板と硫酸亜鉛水溶液を染み込ませたクッキングペーパーを真空ポンプで引いて酸素を除き、陰イオン交換膜と亜鉛側を被せると、電圧、電流とも桁違いに減少した。水溶液に溶解した酸素がかなり影響している。これは私にとって予想を越える結果であった。
参考:始め電圧のみを計測していたが、電流も重要であるということでやり直した。
 他方で硫酸亜鉛水溶液の酸性(pH5)から水素イオンが電子を奪っている可能性もある。それを硫酸ナトリウムに代えると、0.57V、13.5〜35.0mAであった。水素イオンのはたらきが支配的とは言えない。
 ここで硫酸銅を使わず、水溶液を硫酸亜鉛のみ、硫酸ナトリウムのみにして実験した。そして電流が時間と共に減少していくことに気付き、これも溶残酸素が水と共同で電子を奪っていることをうかがわせた。逆に真空ポンプで引いた場合も、1時間ほど空気中に放置すると、0.12V、21.1mA(max)と回復した。
備考:このテーマはかなり難しい。スタッフや私の助言も十分には整理できていず、レポートも混乱している部分がある。しかし重要なことを示唆しており、追試する価値がある。本人は亜鉛イオンの検出に関心があったようである。

2.「飲みもの電池の研究」
 「キッチン電池はジュースでもできるのでは・・・」という疑問が課題研究になった。
   名前    電圧(V) オキシドール投入後   モーター  電流(mA)
 ポカリスウェット 0.53    0.85      まわる    35.5
 コーヒー     0.79    0.91      まわらない   4.5
 アクエリアス   0.67    0.73      まわらない   0.5
 コカコーラ    0.54    0.73      まわらない   2.2
 フルーツのすすめ 0.64    0.78      まわらない   1.0
 イオン交換水   0.70    0.84      まわらない   1.4
ポカリスウェットが断トツで、アクエリアスやコカコーラの小さいことがおもしろい。なおポカリスウェットはpH4である。
 続いてポカリスエット電池でおもちゃを動かすことにした。しかし2つ直列にし、食塩を加えたりオキシドールを多くしてもだめであった。おもちゃは3V、0.37A以上が必要であると計測された。
 そこで大きいステンレス板(30×20cm)とアルミホイルの間にクッキングペーパーをはさむ形にした。4つを直列にし、食塩濃度を高くし、さらに2つを追加すると、やっと一瞬動いた。そこでオキシドールを追加すると、とうとうおもちゃが楽しげに動いた。その食塩濃度は5%、オキシドールはポカリスウェットの1/3を加えた状態であった。なお食塩は少なくてよいかもしれない。

3.「非金属が電子を奪う電池の研究」
 始めに硫黄を使うことにした。負極側はナトリウムを考えたが、実物を前にしてどう使ったらよいか分からない。そこでアルミホイルに変えた。
 ステンレス板に硫黄粉末をまき、クッキングペーパーを被せて食塩水を染み込ませ、アルミホイルを載せて電圧と電流を計ると、0.8V、0.01mAであった。一応電池にはなっている。そこで電解質を変えていくと、水酸化ナトリウムで0.25V、30.4mAという結果が得られた。正極には銅板や炭素板も試した。そして硫
黄の代わりに六一〇ハップも試した。
 負極を亜鉛板に変えると、たとえば電解質が硫酸ナトリウムで0.6V、22.1mAという結果が得られた。
 非金属をヨウ素に変えると劇的な成果が得られた。いくつも試す中で、炭素板の表面に粉末にしたヨウ素をまき、被せたクッキングペーパーに2%硫酸ナトリウム水溶液を染み込ませ、亜鉛板を載せるのがベストと分かり、1.4V、2.1Aというパワーが得られた。2つ直列にしておもちゃにつなぐと、いつまでも動き続けた。
備考:始めはテスターのヒューズが切れていたりして、結果が出ないという苦労があった。


番号 03H-006  送信日 03/08/**  差出人 ** **
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番号 03H-007  送信日 03/08/**  差出人 ** **
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番号 03H-008  送信日 03/08/**  差出人 ** **
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