番号 00C-001 送信日 00/03/02 差出人 船橋 隆久
件名 中学生からのメール
船橋です。
先月の28日、中学男子生徒からのメールを受け取りました。「愛知科学教育ネット」のホームページを見て送信してくれたかと思います。「水」に関する大変ユニークな質問でしたので紹介したいと思います。私にとってもネットを通しての中学生の質問は初めての経験でしたが、大変に勉強になりました。
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(引用開始)
はじめまして、僕は中学3年の****と申します。
今、僕は水についてのレポートを書いています。
それで、質問があるのですがもしよかったら答えてください。
水が他の物質と同じように、質量から考えて融点が−100℃、沸点が−80℃であ
るとするならば、地球上ではどのようなことが起こるのですか。
普通、学校でやる水の生成の実験を教えてください。
お願いします。
(引用終了)
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以下は私の返信内容の引用です。訂正・追加等がありましたら教えて下さい。
(引用開始)
メールありがとう。
**君が指摘してくれたとおり、水は同じような分子量の物質と比較すると融点・沸点ともに異常に高い値になっています。
融点(℃) 沸点(℃)
水 0 100
酸素 −218 −182
アンモニア −78 −33
窒素 −210 −196
これは、水分子中の「水素原子」と隣の水分子中の「酸素原子」との間にできる弱い結合(高校はこの結合のことを「水素結合」とよんでいます)の存在が大きな役割をしています。弱いといっても次々と隣の水分子とも結合しているため、液体の状態ではそれぞれの水分子がバラバラになりにくく、他の物質と比較して融点・沸点ともに高いことの原因になっているのです。
そこで質問の「水の融点が−100℃,沸点が−80℃であるとするならば」という仮定ですが、水分子にみられる水素結合の存在のため、自然界にその仮定をあてはめるには無理がありますね。しかし、あえて「水の融点が−100℃,沸点が−80℃」であるとすると、水が液体の状態で存在する温度幅は−100℃から−80℃ということになります。
私が現在住んでいる名古屋の年平均気温は約16℃ですから、この温度を地球上の年平均気温と仮定すると、地球上の全ての水は沸騰して気体の水蒸気となって、地上から空中へと逃げていくことになります。しかも一旦水蒸気となった水は液体の雨となって地上に戻ってくることがないわけですから、生物の存在に不可欠な水が地上から消滅し、「死の世界」となってしまいます。
こうして考えていくと、私たち人間を含め全ての地球上の生命は、水の分子と分子の間にある目に見えない「水素結合」という不思議な力によって守られていることになりますね。
次に「学校でやる水の生成実験」ですが、中学校では「亜鉛にうすい塩酸を加えて水素を発生させ、空気中の酸素との混合気体に点火・爆発させて水を作る」という方法を学習したのではないでしょうか。高校でも基本的には同じですが、私は水素と酸素の専用スプレー缶を利用しています。しかし、爆発実験は常に危険を伴うため、試験管のようなガラス器具は絶対使わないようにしています。その代わりのものとして、水道の蛇口にとりつける透明な塩ビ製ホース(15cm程度に切断し、一方をゴム栓で封じておく)を使用しています。そしてこのホースに目盛りをつけ、水素と酸素が2:1の混合気体に点火すると、かなり大きな音で爆発しますが、ガラス器具のような危険性は全くありません。
まもなく卒業ですね。風邪をひかないように楽しい高校生活を迎えて下さい。そして何か疑問につきあたったら遠慮なく連絡を下さい。
(引用終了)
番号 00C-002 送信日 00/03/03 差出人 井階 正治
件名 Re:名古屋オフ
みなさん、こんばんは。井階正治@**高校です。
久保田さんがnifty「理科の部屋」での山田善春さんの提案をアップしてくれました。僕は最近「理科の部屋」を見るのをさぼってまして、鈴木さんと科学館の山田吉孝さんからの電話・ファックスで知りました。
山田善春さんは大阪**高校の物理教員で、実験好きなとてもアクティブな人です。近畿・大阪の「科学の祭典」の立ち上げ・運営に当初から関わってきた人で、物理教育学会近畿支部でも活躍し、NHKの「やってみようなんでも実験」や滝川さんたちと子ども向きの実験本を書いたり、近頃では
ONSEN (オンラインサイエンスネットワークだったかな?)というグループを立ち上げ活動しています。
僕は関西に勤めていた頃から山田さんを良く知っていて、何度も飲んだことがあります。若い頃初めて大阪の研究会で発表したときもずいぶん励ましてもらい、勇気づけられました。先日、科学館で杉本さんとNHKの仕事をしたのですが、その話も東京から大阪の山田さんを通じて回ってきたのでした。
この人と愛知のメンバーを引き合わせたらきっと面白いだろうなあと以前から思っていました。急なことで日程の調整が大変だとは思いますが、近畿の実験好きなおもしろいおじさん(50歳くらいでしょうか?)との交流はきっと楽しいものになると思います。いろんなことをとても良く知っている人です。林ヒロ先生タイプでしょうか。僕も本当は子守りをする約束だったのですが、何とか家内の御機嫌をとりました。
在名の誰かが場所の設定などせねばならないと思うのですが、どうしたらいいでしょうか? たまにはロシア料理と口から火が出るようなウォッカなんてのもいいと思うのですが。
番号 00C-003 送信日 00/03/03 差出人 久保田 英慈
件名 Re:中学生からのメール
船橋先生はたいへんお優しいですが、私は最近、このような突然メールを数多く受けるようになり、少々腹をたてていました。だいたい、この、普通、学校でやる水の精製の実験という事なのですが、この子が中学生であれば、やっているはずです。
中学校の一部の生徒の中には、インターネットで聞けば、何でも教えてくれる、という風潮が見られます。自分でやってみよう、自分はここまで考えたけど、後はどうなのだろうか、という考えが、全然見えずに、最近、良く怒っている事があります。
このメールも、私は自分のwebで、文句と同時に、掲載しようと思っています。
一応、インターネットを10年以上やってきているものとして、最近のルールのなさに、どうしても文句が出てしまいます。
申し訳ありません。愚痴でした。
番号 00C-004 送信日 00/03/04 差出人 林 正幸
件名 各論「非金属元素」の「視点」による整理
こんにちは、林です。
昨日は春めいた陽気になりました。しかし今日はもう雨、そして明日からまた寒くなるとか・・・。こんなことをくり返しながら春がやってくるのですね。
さて化学における各論の扱いは、悩ましい面があります。しかし各論こそは化学教育の視点が問われると攻めに出て、次の6点を意識し
1)身のまわりの物質、主要な生産物(製法や用途を含む)
2)面白みがある物質
3)生命、地球、宇宙に係わる物質
4)毒性、環境、リサイクル
5)周期表で整理
6)すでに学習したことの応用
(できる限り受験問題からは離れたい)
第10章「非金属元素の単体と化合物」の授業プリント作成しました。次はその内容を「視点」別に整理したものです。
1)身のまわりの物質、主要な生産物(製法や用途を含む)
・希ガスはネオンサインに使用する。
・アルゴンは蛍光灯などの封入ガスに使用する。
・イソジンはヨウ素を含むうがい薬である。
・次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤に含まれる。
・塩素は塩化ナトリウム水溶液の電気分解で水酸化ナトリウムなどと共に生産する。
・オゾンは塩素と並んで水道水の殺菌に使用する。
・硫黄は火山地帯で産出するほか、重油脱硫でも生産される。
・排煙脱硫では石コウが生産される。
・硫酸は接触法で生産する(触媒は酸化バナジウム(X))。
・水素はナフサ留分の接触改質で生産する。
・硝酸はオストワルト法で生産する(触媒は白金)。
・マッチの頭薬には塩素酸カリウムを、側薬には赤リンを使用する。
・マッチのすり面と塩素酸カリウムの爆発実験はマッチのしくみである。
・窒素肥料には硫安。硝安、尿素がある。
・アンモニアはハーバー法で空気中の窒素を固定する形で生産する。
・アンモニアは火薬の原料にもなる(戦争)。
・リン肥料の有効成分はリン鉱石のリン酸二水素カルシウムである。
・カリ肥料は塩化カリウムである。
・ケイ素はケイ砂、石英(二酸化ケイ素)をコークスで還元して生産する。
・集積回路に使用するケイ素(シリコン)はイレブンナインの純度を必要とする。
・太陽電池もケイ素を使用する。
・シランはアモルファスシリコンの原料になる。
・ソーダガラスはケイ砂、炭酸ナトリウム、石灰岩を混合、融解して生産し、岩石と同 じ一種の塩である。。
・ホウケイ酸ガラスは炭酸ナトリウムをホウ酸に変えたもので、熱や薬品に強い。
・セメントは石灰岩と粘土を焼結し、石コウを加えたものである。
・コンクリートはセメントに砂や砕石を混ぜて水を加えたもので、建築物の構造をつく る。
・コンクリートは岩石の風化と同じしくみで劣化する。
・ホウ素は中性子を吸収しやすく、原子炉の制御棒に使用する。
2)面白みがある物質
・ヘリウムの沸点はもっとも低く、超伝導磁石などに冷却剤に使用する。
・ヨウ素は昇華して紫色の気体になる。
・塩素中で加熱した銅線が激しく反応する。
・オキソ酸は水酸基を持つ。その構造と酸としての強さの関係(強酸、弱酸の復習でも ある)。
・あぶり出しは硫酸の脱水作用を利用する。
・非金属の水素化物には酸性、塩基性、中性のものがある。
・金属の水素化物では水素は1価の陰イオンである。
・水素吸蔵合金
・黄リンは自然発火する。
・シランはケイ化マグネシウムを塩酸に投入して発生し、空気に触れると燃焼してしま う(実験)。
・半導体はその電導性にいろいろな特徴を付与できる。
・ケイ素にリンを加えたn型半導体では、見放された電子がうろつく。
・ケイ素にホウ素をくわえたp型半導体では、電子を横取りされた共有結合(「正孔」) がうろつく。
・両者を接合したダイオードには整流作用がある。
・ガラスはアモルファスであり、強度が大きく、透明である。
・ホウ酸は他の酸と違って、水と反応して水素イオンを生じる。
3)生命、地球、宇宙に係わる物質
・酸素は空気中に約20%含まれる(植物の光合成の結果)。
・水素は宇宙でもっとも大量にそんざいする。
・次に多いヘリウムは恒星における核融合に依る。
・水素は地球上では水として存在し、海を形成し生命を誕生させ、生命活動を支えてい る。
・水素自身は地球の大気に留まれない。
・窒素は空気中に約80%含まれる。
・農作物にとくに不足するのは窒素、リン、カリウムの3元素である。
・地殻に含まれる元素は多い順に次のようである。
O Si Al Fe Ca Na K Mg
・ケイ素とアルミニウムは酸性酸化物として、残りは塩基性酸化物として存在し、さま ざまな割合で反応して岩石となる。
・二酸化炭素は水に溶けて岩石を化学的に風化する。それは岩石の塩基性酸化物と塩を 形成して、水に溶けて海に流れる。
・残された酸性酸化物は水と反応して粘土を形成する。
・風化作用には二酸化ケイ素が水と反応してケイ酸ができることを含む。
・海では炭酸水素カルシウムが炭酸カルシウムに変化して(鍾乳洞ができるのと逆向き の反応)、サンゴなどに取り込まれ、石灰岩になった。
・海中の鉄イオンは光合成の酸素と化合して沈殿し、鉄鉱床を形成した。
参考:酸性雨は「酸と塩基」ですでに取り上げた。
4)毒性、環境、リサイクル
・塩素は毒ガスとして使用された(戦争)。
・塩素の化合物であるDDT、PCBは環境ホルモンである。塩素化合物を含むゴミを 焼却するとダイオキシンが発生する。
・上空に30km前後にオゾン層があって紫外線を吸収する。それがフロン類によって 破壊される(フロン規制)。
・硫黄酸化物による汚染は、重油脱硫や排煙脱硫で低減している。
・水素はクリーンエネルギーとして注目されている。
・自動車のエンジンや工場のボイラーから窒素酸化物が発生して大気を汚染する。
・黄リンは毒性があり、赤リンは安全である。
・かつて洗剤に配合されたリン酸塩が湖や内海を富栄養化した。
・化学肥料だけでは農地を荒廃させる。
・大気中の二酸化炭素濃度は産業革命前までの280ppmから360ppmに増し、 地球温暖化の危険がある(二酸化炭素の排出規制)。
5)周期表で整理
・最初に典型元素の周期表を掲げ、重要な非金属元素を空欄にして書き込ませる。
・各節は周期表の族ごとにする。
・各節のはじめに同族元素を確認する。
・金属は陽性で、それは左下ほど大きい。
・希ガスを除く非金属は陰性で、それは右上ほど大きい。
・非金属は右上の三角にあり、気体の単体は右上隅にある。
・典型元素の最外殻電子の個数は族番号の下1桁に一致している。
・ハロゲンの反応性は上ほど激しい。
6)すでに学習したことの応用
・金属の酸化物は塩基性酸化物である。
・非金属は、非金属どうしは共有結合し、金属とはイオン結合する。
・非金属の酸化物は酸性酸化物である。
・希ガスはその電子配置が安定で、他の原子と化合物を形成しない。
・ヨウ素(ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液)は電子を得やすく、無色になることで亜鉛 などの還元剤を検出できる。
・ヨウ化物イオン(ヨウ化カリウム水溶液)は電子を失いやすく、赤褐色になることで 塩素などの酸化剤を検出できる。
・上の実験は同時に、塩素はヨウ素より電子を得やすいことを確認している(「電子得 失表」の順番)。
・水で湿らせた万能試験紙はすこし塩素に触れると、できる塩酸の酸性で赤色になる。・排煙脱硫は、酸性酸化物と塩基の反応に依る。
・接触法は酸性酸化物と水の反応を利用する。
・濃硝酸と銅の反応では、酸化数の変化から硝酸は酸化剤であり、イオン化傾向の小さ い銅と反応する。
・二酸化窒素を水に倒立すると、無色の気体が1/3だけ残る(アボガドロの法則)。・リンの同素体
・マッチのすり面と塩素酸カリウムの爆発実験では、酸素原子のやり取りから塩素算カ リウムは酸化剤である。
・酸性酸化物である五酸化二リンは水と反応してリン酸になる。
7)その他
・ヨウ素・デンプン反応
・サラシ粉に濃塩酸を加えると塩素が発生する。
・塩素は塩基と反応して次亜塩素酸塩を生じる。
・塩化水素は塩素と水素を直接に化合させて生産する
・硫化水素と二酸化硫黄の反応
この章の授業プリントは私のホームページにあります。
http;//www.zzz.or.jp/masasuma/
それも参考にして、時間があれば意見を聞かせてください。
ではまた。
番号 00C-005 送信日 00/03/04 差出人 林 正幸
件名 メールによる質問に関して
こんばんは、林です。
船橋さんが返事を書いたメールは私にも来ていました。私もメールによる質問にはこれまで数10通の返事を書いて来ました。多くはまじめなものだったと思いますが、中には返事をする気が起きにくいものもありました。
「メールによる質問」には2つの面があります。ひとつは自分の勉強の機会として利用することです。高校生などからの質問は、あいまいな自分の知識を整理するのに役立ちますし、そのような疑問を知ることは授業構成の参考になります。自分で調べても分からないときは課題として貰っておき、返事も書きません。
もうひとつは、相手にとって勉強になるという面です。その中で安易に答を手に入れようとしている場合があります。それには返事を書かないことが相手にとって勉強になるかもしれません。しかし中学生や高校生では勉強の何たるかが分かっていないことも多いわけです。短い文章ではその真意を取り違える可能性もあります。時間が許せば、質問させ直すのもよいと思います。あるいは考え方のみを返信してやるのです。ホームページで「どこまで考えたか、どこまで調べたか、そしてどこが疑問なのか、どの点を知りたいか。」をしっかり書くように呼びかける必要もあります。今回の中学生の質問に対しても、どう返事を書くべきか迷っていたところでした。
残念ながら私の返事に対してお礼のメールが来るのはすこしです。しかしその生徒に直接係わっている教師や親でなければ指導はできません。ここはひとつ気長に付き合ってやろうじゃないか、そんな気持で試行錯誤をしています。
ではまた。
番号 00C-006 送信日 00/03/05 差出人 林 正幸
件名 べっこうあめの反応
こんばんは、林です。
今日はMOLの会があり、名古屋にでかけました。風邪の方は小康状態ですね。
さて昨日、べっこうあめの反応について調べてみました。これは以前(97年3月)に、アルケミストのひとりの鬼塚さんとメールでやり取りしたテーマです。すなわち「べっこうあめは加水分解しているのか」です。
<当時のメールの引用>
しばらくご無沙汰でした、林@愛知です。
べっこうあめをつくるとき、ショ糖の加水分解が起こるかどうかという問題ですが、先日時間を見つけて分析をしてみました。やり方は簡単で、フェーリング反応を使いまいた。
次のサンプル0.5gにフェーリング液10mlを加えて加熱しました。
・ブドウ糖
・ショ糖
・砂糖(すこし転化糖が加えられている)
・林流でできる直前のべっこうあめに水を加えて扱いやすくしたもの(30分くら い加熱した)
(糖類が0.5g含まれる体積を分析に使用)
・ブランクテスト
そしてべっこうあめは、ブトウ糖と砂糖の中間の結果になりました。
定性分析だから大まかなことしか言えませんが、半分くらい加水分解していると思われます。確かにべっこうあめの味は砂糖とは違っています。
なお鬼塚さんが書いていた、煮詰まったべっこうあめに砂糖を入れるとそれを核に結晶化が起こる点ですが
・ショ糖も残っている
・それも加熱時間が短ければ大部分がショ糖のままである
ことから納得できます。
<以上>
今回は、べっこうあめを純粋なショ糖(スクロース)でつくればもっとはっきりすると気付いて実験しました。水にほぼ同体積のショ糖を加えて煮立て、ときどきにその一部を採ってフェーリング反応を試すのです。加熱前はもちろん陰性です。ところが9割ほど煮詰まっても陰性なのです。それがヤマブキ色のべっこうあめになった時点では激しい陽性を示しました。
これはなかなか面白い結果だと思います。つまり黄色に着色が始まる最後のわずかの時間で加水分解してブトウ糖と果糖ができているのです(未反応のショ糖も含まれていると思います)。たしかに生徒実験で時間が足りなかったほとんど着色していないあめをなめてみるとまさに砂糖の味です。最後に反応が起こる理由は、水が少なくなって水溶液の温度が急激に上がり始めるためでしょう。そしてこれは脱水炭化と競争になります。あめづくりは「ぎりぎりまで加熱を引っ張って、すばやくアルミケースなどに小分けして温度を下げる」のがこつと指導してきましたが、それが裏づけられました。
これは今日のMOLの会でも紹介しました。ではまた。
番号 00C-007 送信日 00/03/15 差出人 田中 英二
件名 プログラミングの本
こんばんは、田中です。
船橋さんへ
プログラミングの本を紹介する約束だったので早速紹介します。
Visual Basic6.0に関する本
(1)「Visual Basic初級プログラミング入門」(上下)
河西朝雄著(技術評論社)
Visual Basic6.0の全般を知るのによい本
Visual Basicも本当にいろいろなことができるようになり、
すべてを知るのは大変ですが、簡単なプログラムができるようになるに
は、Quick Basicの知識があれば、1週間ぐらいで簡単にで
きるようになります。あとはおいおい必要に応じて知識を増やしていけ
ばどんどんできるようになります。
(2)Visual BasicのためのDLLをVisual C++を使っ
て作るための本
「Visual Basic システムプログラミング入門」
北山洋幸著(技術評論社)
(3)C言語、C++言語、VisualC++言語に関する本
この関係の本は、大変たくさん出ていて、どれがいいのかよくわかりませ
んが、僕が読んでよかったのを紹介します。
C言語
「新C言語入門」林 晴比古著(ソフトバンク)
これは今新版が出ています。新版がなかなかいいように思います。
C++言語
「新C++入門」林 晴比古著(ソフトバンク)
VisualC++
「新VisualC++6.0入門」(ビギナー編シニア編)
林 晴比古著(ソフトバンク)
「技術者のためのVisualC++実践プログラミング技法」
北山洋幸著(技術評論社)
こんなところです。もっといい本があるかもしれませんが、私の知っているのはこのくらいです。
ところで、やっとISAバスようの変換ボードができましたので、明日入出力のテストをしてみようと思います。うまくいったらまた連絡します。
では今夜はこの辺で。
番号 00C-008 送信日 00/03/16 差出人 飯田 洋治
件名 産業革命以降の科学技術史年表の作成感想
月末より、今精力的に産業革命以後の科学技術史の年表を作っています。まだおおざっぱなメモの段階ですが、その一部を送ります。 2000.3.15
飯田 洋治
産業革命からの科学技術史年表作成の感想とメモ
飯田 洋治
きっかけ
このところ、科学技術の行く末が心配でたまらない。このままいくとあと何年もたたないうちに人類の生存そのものが危なくなってくるのではないか、そんな危機感を強く感じるようになってきた。
自分自身、1960年代末から公害問題に取り組んだ経緯もあり、数年前の新潟科教協全国大会で盛口譲さんから問題提起されたことがずーと気になっていた。2000年正月愛知科教協合宿で再び盛口さんと議論でき、きちっと近代科学を見直したいと思っていた。
1/30、一宮生協主催の立川涼氏の講演を聞きにいった。そこで生じた疑問を質問しそこない、調べはじめた。「公害や環境問題の原因となる化学物質は重金属をはじめ、たくさんあるが、中でも塩化ビニル、DDT、BHC、PCB、フロン、ダイオキシン、などことごとく有機塩素化合物であるのは歴史上なんらかの理由があったのではないか。ひょっとすると、余った塩素のはけ口だったのではないか。」こう思って調べてみるとやはりその直感は正しかったようだ。
調べ始めると,自分の生きてきた経験、生活環境とオーバーラップするところが多く、次々と現代の課題が浮かびあがてくるようだ。
感じたことメモ
(0) これまで私自身、近代科学を自然観の形成という側面からとらえる傾向がつよかったが、技術を通して自然科学が物質文明にどのような影響を及ぼしてきたかを見ることが不十分であったとしか思えない。
(1) 授業では '67「新聞を読んで科学技術の社会に及ぼす影響についてレポートせよ」(**高校)から始まり、公害問題の深刻さを生徒から学んだ。'67教師有志で公害調査の会発足 '68全国教研新潟で三島沼津コンビナート反対運動に刺激され、'68セロハン公害反対の住民運動に突入、'71には授業で「かんから」調査、クラスを班に分け「公害調査隊」を結成して調査活動をし、発表,「毒毒調査隊」を作るなど、'76まで続けた。(**商業)
その後、身内の不幸、転勤で化学の授業を担当しなくなったこともあり、「化学物質はいいものは何もない毒ばかりだ、好きになれん」、そんな気持ちも作用して関心を持ちつつ、ずいぶん遠ざかっていた。
(2) 今回科学技術史年表を作成しながら、改めて思った。
科学技術上の発見、発明は産業の実利実益の中にそっくりそのまま取り込まれているではないかということ。科学技術は産業革命以後、利潤追求社会(資本主義の誕生発展、独占資本主義、帝国主義の形成)とっぷりととりこまれ、2度にわたる世界大戦ときっても切れない関係になっていたことを改めて痛感した。
1. 本格的近代資本主義は蒸気機関の発明などによる産業革命によって誕生した。
2. 資本主義大工業の動力源は蒸気機関だった。
3. 鉄道、船舶は綿花石炭の運搬など、産業資本の集積に果たした役割が大きい。
4. 発見された元素・化合物は利潤追求のための新たな工業原料となった。
5. 電気エネルギーの活用は革命的動力源であった。
(3) 1900年代に入ると、これまでの自由放任自由競争から、市場独占,価格吊り上げなどカルテル,トラストなど独占資本主義に。そして、製品の販路と,新たな工業原料をもとめて植民地獲得に狂奔し、武力拡張をすすめる帝国主義へと転化。もうけと力を生み出す科学技術は独占され
大規模な実験室、研究所の設立に多額の費用が投じられるようになた。
(4) 科学技術は戦争に直結していた。 市場分割,再分割のための第一次,第二次世界大戦。大戦後の冷戦下における核開発競争も戦争に直結している。
(5) 20世紀後半。もうかる資源は次々と発掘され、もうかる新技術の製品(今まで全くなかったものが新しく生まれると)は資本主義のシステムにのって飽和に達するまで爆発的に(指数関数的に)広がった。石油を中心として次々と生まれる無数の合成化合物。超大型建造物。航空機、車、テレビやビデオなどの数限りない電気製品、コンピュータ。さらにはバイオ,遺伝子工学などなどもうかるものなら何でもあり。
第二次世界大戦後、冷戦体制にあっても、大戦にならず、資本主義が伸びつづけてきたのには、こうした新技術の開発ラッシュ(この新技術の分野もまた、限度いっぱいまで指数関数的<?>に増大する)による大量生産大量消費があったからではないか。
大量消費があるからもうかるのが資本主義のシステムである。いかに最大の消費をさせるかがもうけにつながる。しかし、このシステムは消費後の大量廃棄の結果については本質的には一切関与しない〔もうからない)。廃棄についてはすべてが消費者にまかされる。使い捨て文明がこのシステムの本質である。
(6) 今やこの使い捨て文明が、人類のみならず,生物そのものの生存を脅かすようになった。大量廃棄物は指数関数の指数関数倍に増えてしまった。核廃棄物の捨て場所がなく、たまる一方なのに原子力発電をどんどん続ける。これと同じことがあらゆるところ、あらゆるもので行われているのだ。もはや消費までしかない社会経済システムでは人類の滅亡は避けられないところまできてしまった。
(7) 核兵器が今では、人類の反対を押し切って安易に使えなくなってきているように、化学物質が人類(生物)そのものの生存を脅かすようになったこと、資源が無限にあるわけではないこと、使い捨て文明が人類(生物)の滅亡に導くことを無視して、現在の資本主義的システムを維持することはもはやできなくなってきた。
今では、環境問題が新技術の開発と結びついて、もうけの対象とされるようになってきている(もうかる限りでの話であるが)。しかしいかなる制度であるにしろ、廃棄物までシステムの中に組み込んだものにならない限り人類には未来がないと断言できるのではないか。
参考文献
(1) 科学文化史年表 湯浅光朝 中央公論社 1950
(2) 物質文明と安全 磯野直秀 日経新書 1974
(3) 大自然科学史12 ダイネマン 三省堂 1980版
(4) 科学と社会の現代史 中山茂 岩波現代選書 1981
(5) 資源物理学入門 槌田敦 NHKブックス 1981
(6) 20世紀理科年表 山口幸夫 岩波ジュニア新書 1986
(7) 科学技術史第4版 城坂俊吉 日刊工業新聞社 1998
(8) NHK人間講座テキスト 20世紀の化学物質 常石敬一 1999
(9) 危ない科学技術 武谷三男 青春出版 2000
番号 00C-009 送信日 00/03/16 差出人 飯田 洋治
件名 産業革命以降の科学技術史年表(1)
産業革命からの科学技術史年表
機械電気原子力物理など
化学産業など
通信コンピュータなど
生物医学バイオなど
事故マイナス面など
政治経済社会など
<18世紀後半> 産業革命(1769~1830頃)、市民革命(1789)
1713 コークス製鉄法の確立
1765 ワット 蒸気機関の完成
1768 アークライト 水力紡績機械の発明
1769 蒸気自動車
1776 アメリカ独立宣言
1778 ラボアジジェ燃焼理論の確立、これまでに33種の元素、重要な気体の発見
1787 カートライト 蒸気動力織機
1789 フランス革命
1794 エコール・ポリテクニーク
(仏)創立
<19世紀> 石炭と鉄と熱エネルギーの時代
世界の石炭採掘量
18世紀末急増
1870 2.5億トン
1970 28億トン
1801〜1825新元素発見相次ぐ 資本主義的利潤追求のため、新工業原料の獲得
1807 フルトン蒸気船
1807 ガス灯
1812 近代的印刷機
1814 蒸気機関車
1824 ポルトランドセメント
1828 尿素の合成ヴェーラー
<この頃、有機化学の父リービッヒの活躍始まるギーセンの化学実験室
ドイツ化学とドイツ産業の進歩 農芸化学、医化学>
1830 鉄道開通(米、英、独35)
1831 ファラデー 電磁誘導発見
1839 写真(独)
1840 水力発電(英)
1844 モールス電信機(米)
1848 2月革命、共産党宣言
1853 ペリー浦賀に
1855 ベッセマー製鋼法
1857 パスツール 発酵と微生物
1859 石油工業勃興(ペンシルバニア)
1860 ベッセマー回転炉
<このころより鋼鉄の時代、石油化学工業発展>
1862 ソルヴェイ アンモニアソーダ法の発明 カ性化
1866 ジーメンス ダイナモ
<近代電気工業の画期的発展>
1867 ノーベルダイナマイト
1868 明治元年
<生産の場に直結し、民衆の生活に地盤を持つ大規模な実験室研究所でなければ黄金の卵を産めなくなった。>
1869 メンデレーエフ周期表
<1870年代軍事生産技術>
1874 DDTの合成
1876 ベル電話
1879 エジソン電球
1880〜 列強植民地を追求
1881 火力発電
(1885別子、1890足尾鉱毒事件)
1883 ガソリンエンジン
1882 コッホ結核菌の発見
1883 コッホコレラ菌の発見
1885(仏)1889(英)ピクリン酸 (独)TNT火薬
第一次世界大戦で使用
1885 パスツール狂犬病予防法
1886 アルミニューム電解精錬法
1890 電解ソーダ法(水銀法)
NaOHなどはせっけん、塩素はさらし粉(漂白、一部消毒剤)程度に利用 毒ガス、染料中間体のホスゲン、消毒剤としてクロロホルム
<電気化学工業の確立>
1888 ヘルツ電波の実証
1889 北里柴三郎破傷風菌純粋培養
1890 血清療法 北里、ベーリング
1893 ディーゼルエンジン
1897 蒸気タービン船
1897 マルコーニ電波通信成功
<20世紀> 大量生産大量消費と世界大戦 石油と鉄と電気の世紀
<合成アンモニア、電解ソーダ、石灰窒素等の大工業(電力の代表的消費部門)
が発展。機械工業本格的に比肩できる程度に成長>
1900〜3 恐慌
1901 マルコーニ 大西洋横断無線通信
独占資本主義・帝国主義
1903 ライト飛行機 フォード自動車会社
1903 フレミング二極真空管
1904 日露戦争
1905 アインシュタイン特殊相対性理論
1905 ロンドン 水道の殺菌に塩素を使用(腸チフスの流行がきっかけ)
1906 ジュラルミン
1908 ハーバー アンモニアの工業的合成法(空中窒素の固定)
<石油化学工業急成長> <第一次二次大戦とモータリゼーションで>
1909 ベークライト プラスチック第1号
1909 サルバルサン秦エールリッヒ
1910 ビタミンB1鈴木梅太郎
1910 クーリッジタングステン電球
<1910年代飛行機、潜水艦、無線通信飛躍的発展>
1911 フォード大量生産開始
1912 ビタミンCの発見 ホルスト、フローリッヒ
1913 ビタミンAの発見 マッカラム
1914 列強植民地分割完了
1914〜18第一次世界大戦
<火薬、毒ガス、戦闘機、戦車、戦艦、潜水艦>
1915 アインシュタイン一般相対性理論
1915 バクテリオファージの発見
1915 ドイツ軍毒ガス塩素使用
1916 タールによる人工ガン山極市川
1916 戦車登場
1917 ロシア革命
1918 第一次世界大戦終わる
1920 初めてのラジオ放送(米)1922BBC放送
1920 インシュリン抽出 バンティング、ベスト
<1920年代、軌道に乗りはじめた電解ソーダ法>
やや後のDDTなどの有機塩素系農薬、ポリ塩化ビニルなど、
一方製紙工業の発達によりパルプ漂白用に塩素の需要が伸びる
<化学産業 石炭から石油へ転換の時期>
1922 ビタミンE エバンス、ビショップ
1923 関東大震災
1924 トーキー映画(米)
1925 (日)ラジオ放送
1925 実用テレビ(英)
1925 量子力学誕生
1926 ビタミンB2 ゴールドバーガー
モーガン染色体遺伝子説
1926 ゴダード ロケット
1927 リンドバーグ大西洋横断飛行
1928 フレミング ペニシリン
1929 世界恐慌の始まり
1929 米、PCBの生産(余ったビフェニルと塩素の活用)
1930 ローレンス サイクロトロン
1930 アセチレンのビニル化反応発見レッペ(独)
1931 クロロプレン(カロザス合成ゴム)発売
1931 ビタミンD合成ウィンダウス
1932 ポリエチレンの発明(英)
1932 中性子(チャドウィック),重水素(ユーリー),陽電子(アンダーソン)の発見
1933 ヒトラー政権
1934 フィッシャー葉緑素構造決定
1935 湯川中間子予言
1935 ナイロンカロザス
1935 レーダーの実用化進む(英)
1936 チャップリンモダンタイムス
機械化生産様式を風刺
1938 ウラン核分裂の発見ハーン、シュトラスマン
1939 第2次世界大戦始まる
1939 DDTの殺虫力認める
1948 パウル・ミュラー、ノーベル賞)
1940年代 (米)ペニシリン、DDT大量生産
1944 900t/月 1945 1350t/月
1941 太平洋戦争始まる
1942 DDT発売
1942 ポリエチレン工業生産開始(英)
1940〜3 BHCの殺虫力認める
<第二次世界大戦中、独バイエル社毒ガス用に数千の有機りん剤開発>
<第二次世界大戦中、米生物兵器研究所除草,枯葉剤にダイオキシンの有効性>
1942 マンハッタン計画
1942 二中間子論坂田昌一
1943 レーダー
1944 "ロケットV1,2"フォンブラウン
1944 DDTナポリでの発疹チフス流行を制圧
1944 ストレプトマイシン
番号 00C-010 送信日 00/03/16 差出人 飯田 洋治
件名 産業革命以降の科学技術史年表(2)
産業革命からの科学技術史年表(2)
機械電気原子力物理など
化学産業など
通信コンピュータなど
生物医学バイオなど
事故マイナス面など
政治経済社会など
1945 原爆投下
1945 終戦
1946 最初のコンピュータエニアック
1946 チッソアセトアルデヒド酢酸工場製造再開
1946 多数のイタイイタイ病患者発生(1922奇病発生)
横浜ゼンソク
1947 クロロマイセチン バークホルダー
1947 チッソ塩化ビニール生産再開
1947 ショックレー トランジスター
1948 ATP合成トッド
1948 オーレエオマイシン発見 ダガー
1949 中華人民共和国
1949 湯川ノーベル賞受賞
1950年代北欧で酸性雨問題表面化
1951 メーザー タウンズ
1952 フロンティア電子論福井謙一
1952 米接合型トランジスタ生産開始
1952 米水爆実験
1953 日本テレビ放送開始
1953 "DNA構造解明ワトソン,クリック"
1953 ソ連水爆実験
1953 水俣病発病
1954 日本トランジスター生産開始ソニー
1954 ビキニ水爆実験
第5福竜丸被爆
1954 ソ連原子力発電開始
1954 (日)ソーダ工業戦前並に
1954 PCB生産開始(鐘淵化学)
1955 世界初商業用原子力発電(英)
1955 インシュリン構造決定 サンガー(英)
1955 通産省石油産業育成政策
1955 イタイイタイ病について発表荻野昇
1955 森永砒素ミルク中毒事件
1956 水俣病正式報告書厚生省へ細川一
1957 カナマイシン発見梅沢浜夫
1957 ソ連スプートニク打ち上げ
1957 東海村実験用原子炉
1958 トンネルダイオード江崎玲於奈
1958 米エクスプローラ打ち上げ
(日)トラジスタラジオ真空管式を上回る
1959 ヘモグロビン,ミオグロビン構造模型ペルツ、ケンドルー
1959 SERN加速器完成
1959 伊勢湾台風
1960 四日市ゼンソク
1960 日米新安保条約
1960 固体レーザー、赤外ガスレーザーの発明
1960 乾式複写機ゼロックスあらわる
1960 商業用原子力発電着工
1960 農薬中毒死1447名(厚生省調査)
1961 池田内閣高度成長政策
1961 鹿島水島コンビナート
1961 ソ連有人人工衛星ガガーリン
1962 全国総合開発計画
太平洋ベルト地帯
1962 レイチェルカーソン「沈黙の春」
1962 発光ダイオード
1962 キューバ危機
1963 3K輻射ペンジアス、ウイルソン
1963 朝永振一郎ノーベル賞
1963 (日)商業用原子力発電
1963 新潟水俣
1963 日米TV宇宙中継成功(ケネデイ暗殺)
1963 細菌の遺伝暗号解読 コラーナ(米)
1964 新幹線開通
1964 東京オリンピック
1964 三島沼津コンビナート阻止
1964 日トランジスタ電卓(シャープ)、圧電セラミック(松下)
1964 中国原爆実験
1965 朝永振一郎ノーベル賞
1965 商業用原子力発電(日)
1965 米対ベトナム北爆開始
1966 ボーイング727羽田沖墜落
1966 排ガス規制 航空機事故相次ぐ
1966 農薬中毒問題農村医学会
1967 米大規模反戦デモ
1967 力の統一理論 1967 中国水爆実験
1967 パルサーの発見ヒューイッシュ
1967 アポロ1号炎上飛行士3名死亡
1967 IC電卓生産開始
1967 松本農薬裁判
1967 第3次中東戦争
1967 中国文化大革命
1968 東大安田講堂封鎖
1968 LSIの生産開始(米)
1968 水酸化ナトリウムより塩素の需要が多くなる(製法電解法のみに)
1968 カネミライスオイル事件
1969 米アポロ11号月面着陸
1969 東名高速道路開通
1969 牛乳から多量のBHC検出
1970 日、中初の人工衛星打ち上げ
1970 米IBM LSI採用
1970 RNA腫瘍ウイルス発見 ボルチモア
1970 スモン病の疑いでキノホルム使用販売禁止
<(日)マイカー4世帯に1台普及>
1970 厚生省牛乳BHC汚染発表
1970 光化学スモッグで被害者多数
1971 ワシントン反戦50万人集会
1971 環境庁設置法
1971 仏水爆実験
1971 米マイクロコンピュータ
1971 ソユーズの3人死の帰還
1971 ローマクラブ「成長の限界」
1971 (日)DDT・BHC使用禁止
1971 サリドマイド奇形の原因と判明
1972 魚から高濃度PCB検出 PCB生産中止(日)
1972 第1回国連人間環境会議(ストックホルム)
1973 江崎玲於奈ノーベル賞
1973 米北ベトナム和平成立
第4次中東戦争
1973 オイルショック
1973 夏PCB水銀汚染魚騒動閉店魚屋続出
1973 水酸化ナトリウム水銀法の転換の方向
1973 DNA組換え技術コーエン、ボイヤー
1973 コンビナート爆発相次ぐ
出光徳山、住友化学大分、
日石川崎、信越化学直江津、
チッソ五井
1974 印地下核実験
1975 遺伝子操作規制についてのアシロマ会議
1976 南北ベトナム統一
1976 世界的異常気象
1976 セベソ(伊)で化学工場爆発 ダイオキシン広がる
1977 (日)超LSI技術進み64kbit素子開発
1977 タンカー、油田事故で海洋汚染進む
1978 試験管ベビー代1号誕生(英)
1978 大腸菌内でヒトインシュリンを合成(米)
1978 AIDS患者米国で発見
1978 ポマトを作ることに成功(米)
1979 スリーマイル島原発事故
1979 第二次オイルショック
1980 ヒトインターフェロン生産に成功
1980 世界各地に異常気象(夏)
1981 ベト、ドクちゃん生まれる
1982 遺伝子工学商品化時代に入る(米)
1982 (日)遺伝子操作研究緩和
1983 (日)体外受精児誕生
1983 (日)ごみ焼却からダイオキシン発生わかる
1993核の冬TV映画米視聴率40%
1983 (日)パソコン、ワープロ急速に普及
1984 (印)ボパール毒ガス漏れの大事故 ユニオンカーバイド社
1985 AIDS患者72カ国2万人に広がる
1985 ジャンボジェット機墜落
1986 スペースシャトルチャレンジャー爆発
1986 ペレストロイカ開始
1986 チェルノブイリ原発事故
1987 フロン規制のモントリオール議定書調印
1988 リクルート事件
1989 天安門事件
ベルリンの壁崩壊
1990 ハッブル望遠鏡打ち上げ
1990 フロン規制
バブル崩壊と金融不祥事件
イラククエート侵攻
東西ドイツ統一
1991 湾岸戦争
ソ連共産党解体エリツイン
1992 新幹線のぞみ エンデバーに毛利衛
バルト3国独立
1992 地球サミット
特定フロン全廃と代替えフロンの規制
1993 SSC計画中止
1994 H2ロケット打ち上げ成功
1994 ロスアンジェルス地震
1994 地球温暖化防止条約発効
1994 高速増殖炉もんじゅ始動
1994 米この種の原子炉開発中止
1994 関西国際空港
1995 阪神淡路大地震
1995 インターネット普及本格化
1995 地下鉄サリン事件
1995 もんじゅNa漏れ事故
1996 携帯電話PHS市場急成長
1997 日本列島総腐敗現象
1997 香港返還
1997 クローン羊
1997 遺伝子組み替え食品食卓に登場
1997 環境ホルモン問題
1997 地球温暖化問題の話題が日本で沸騰
1999 JCO事故
* ハイテクと有機溶剤-有機塩素化合物-シリコンバレーなど
参考文献
(1) 科学文化史年表 湯浅光朝 中央公論社 1950
(2) 物質文明と安全 磯野直秀 日経新書 1974
(3) 大自然科学史12 ダイネマン 三省堂 1980版
(4) 科学と社会の現代史 中山茂 岩波現代選書 1981
(5) 資源物理学入門 槌田敦 NHKブックス 1981
(6) 20世紀理科年表 山口幸夫 岩波ジュニア新書 1986
(7) 科学技術史第4版 城坂俊吉 日刊工業新聞社 1998
(8) NHK人間講座テキスト 20世紀の化学物質 常石敬一 1999
(9) 危ない科学技術 武谷三男 青春出版 2000
番号 00C-011 送信日 00/03/16 差出人 林 正幸
件名 早春のできごと
こんばんは、林です。
3月6日の朝に東京在住の私の妹が危篤との連絡が入り、続いて呼吸が停止したと言うことで、母と家内で病院に直行しました。1月程前に脳こうそくで倒れ、2月27日に見舞ったときは、言葉が不自由なもののかなり回復しており、リハビリで普通の生活に戻れるように見えました。ところが入院中に2度目のこうそくが起こり、意識不明の重体となりました。人工呼吸器と昇圧剤で回復を願いましたが、寝ずの付き添いもむなしく脳死が確認され、家族と私たち身内に厳しい選択が迫られました・・・。
そして11日の朝に心臓が停止しました。遺影を妹が好きだった深紅のばらで飾って冥福を祈りましたが、火葬されてガラガラとした白骨に変わったのを見るうちに、情けなさが込み上げて来ました。葬儀を終えて13日に新幹線で一宮に帰りましたが、娘に先立たれた母や残された家族に対する思いが、窓から見える夜景のように、次々に通り過ぎて行きました。
久しぶりに学校に行くと生徒たちが「先生、どうしてたの?」と声を掛けてくれました。高校入試の休みを利用してディズニーランドへ行ってきたメンバーが「先生、おみやげ買って来たよ。私たちも見たいから早く開けてよ。」 それはマジックの道具でした。「先生、やって見せてよ!」 「先生がきっと気に入ると思ったよ!」
私の「おもちゃコレクション」でいつも遊んでいる生徒たちです。
さて今年度最後になった実験(試験後)に対する生徒の「考察or感想」を1クラス分まとめてみました。
[a]シランの発生
ケイ化マグネシウムを合成し、塩酸に投入する。
[b]二酸化窒素と水
メスシリンダーに発生させて、水に倒立する。
「c]赤リンの爆発
マッチのすり面と塩素酸カリウムをたたく。
「aで、ちゃんと量をはかったのに爆発しました。とても驚きました。こわかった!!塩素酸カリウムとマッチのすり面ですごい大きな音が出て驚きました。こわかった!!大きな音が出る実験はぞくぞくしておもしろいけど、こわい。」
「aはバチバチなっておもしろかった。くさかったけど・・・。ビーカーの中があわになっていた。cはバンってなってビビった。でも私は失敗した。」
「びっくりする実験ばかりでこわかったです。とくにcのは本当、こわかったよ〜〜」「さいごの実験だった。さみしいです。うまくいった。今回は音がたのしい実験だと思った。」
「シランの臭いがとてもきつく、長い間反応がおこったのに驚いた。リンの爆発ではとても大きな音がするのが分かった。」
「bは、臭かったけどとてもきれいな水になりました。いろいろ実験したけど、cぐらいしかよく分かりませんでした。」
「シランという物質がいつ発生しているか分かりづらい。」
「aは、液体の上で炎が発生するのは不思議。bの空気を入れたあとの変化が、何がへんかするのかよく分からなかった。cは体によくない。」
「aもbも両方の実験は、くさい。cは、あっちこっちの班からすごい音がして、ドキドキしてこわかった。ビクビクしてしまうおそろしい実験は、イヤだった。」
「今日はハプニングの続出でした。試験管が割れたときはびっくりしました。一年生の最後の実験だったけどおもしろかったです。」
「(前略)
1年生最後の実験もやっぱり楽しかったデス。試験管がもったいなァと思いました。」
「bは、成功だったのか失敗だったのか・・・。」
「前の時間に化学室からドン!!という音をきいていたので、実験をやるのがすごくこわかった。」
「今回はどれも実験結果が明快で楽しかった。cに特にびっくりしたけど、aでは水面なのに火が出てきたのが不思議だったし、一緒に入れたガラスは反応しない(?)のだなあと思った。bではあっというまに銅片がとけて、ろ紙をはずしたら、黄色の気体がぶわっと出てきておどろいた。また色が濃くなるのも不思議だった。空気を入れたのに薄まらなかったの?」
「うるせー。」
「きょうの実験を先生はたのしいと言っていたが、こわいのまちがいだったと思う。」
「cは飛び出たり、爆発したりで、びっくりした。」
学年末試験後ですが、多くの生徒がレポートを提出しました。
ではまた。
番号 00C-012 送信日 00/03/21 差出人 林 正幸
件名 「酸化・還元」の授業
こんばんは、林です。
飯田さん、いきなり長いメールを読ませてもらいました。歴史を踏まえて、次にどんな提案が出てくるのか楽しみです。私は工学部だったせいか、自然科学と技術を一体化してとらえていますし、産業や資本との係わりも当然視しています。しかしであるが故に、見落としている視点があるかもしれないと思います。
久保田さん、メールの質問にどう答えていくか、新しい課題として考えていきたいと思います。
昨日から今年の科教協大会に向けての「酸化・還元」の授業というレポートを作成しました。こんなに早く準備したのは私にとって前代未聞なのですが、このテーマの授業は三学期に実施するので、ついついレポートしないままに過ぎていました。しかし今度こそはと、まだ思いの冷めないうちに作成したのです。そのままホームページに掲載しましたので、興味がわく方はのぞいてみてください。
これですこし気持を立て直すことができたかな。あとひとつ、3月5日にあった「MOLの会」の通信を作成すれば、前を見て進めそうです。
ではまた。
番号 00C-013 送信日 00/03/26 差出人 船橋 隆久
件名 大藪さんが教えてくれた最後の実験
船橋です。
3年間一緒に実験の開発や物作りに参加してくれた大藪さんが、今月の17日で退職されました。退職といっても本人の希望ではなく、学校が1年契約で3年間続けていた契約を、今月限りで継続しないというものです。科教協等で紹介した「各種結晶格子モデル」も全て大藪さん手作りの作品でした。これからも、いろいろなアイデアを紹介してもらえるのではと楽しみにしていましたが大変残念です。
最後に、手力実験にも使えそうなおもしいアイデアを提供してくれました。それは「火を自由に操る実験」というものです。まず、紙(私は少年マガジンのページを利用)を1枚用意し、生徒に「1から9の数字」のうちの1つを言ってもらいます。そして、線香で紙の一部に火をつけるとジワジワと燃えていき、生徒の言った通りの数字が浮かび上がるというものです。
「モルの会」ではすぐに「酸化剤としての硝酸カリウムを利用したもの」と見破られてしまいましたが、これだけではうまくいかない2つのヒミツか隠されているのです。それは、次の2点を解決することにあります。
@火をつけると硝酸カリウムの付いている部分がとジワジワともえていくものの、
その後も火が燃え広がって数字にならない.
A1から9の数字が常に紙の真ん中付近に現れるにはどうするか.
硝酸カリウム水溶液(濃度は適当でいい)を絵筆を使って紙に書き乾燥させるわけですが、このままでは@のような不都合が生じます。そこで硝酸カリウムで書いた数字が乾いた後、今度はその数字の外に火が燃え広がらないように、燃えにくい薬品で「縁取り」をする必要があります。この「縁取り」として食塩水が大変有効で、乾いてしまえばほとんど分からなくなり、このことで@は解決しました。
次にAの解決策として、ディジタル表示の7セグメントを考えました。これでもうまくいきますが、線香で火をつける部分が8では7カ所、1では2カ所と差がでてきてしまい、意外性が薄れてしまいます。そこで下のような数字パターンを使えば解決します。ただし線香の火をどこにつけるかがポイントなので、うっかりするとへんな数字になってしまいます。
なお、燃やす線と燃やしたくない線の境目として5mm程度必要です。そうすれば、食塩がマスキングとして十分役立ちます。うまくやれば、新しい手力実験として使えそうですがいかがでしょうか。
ではまた。