番号 00A-001  送信日 00/01/01  差出人 船橋 隆久
件名 文字化け注意報

 船橋です。
 いわゆる2000年問題と関係はないかもしれませんが、1月1日にakkn経由で送信したメールが文字化けしています。個人宛に送信したメールは正しく送られているで、今使っているメールソフト(マイクロソフト社のインターネットメイル)とメーリングリストの間で何らかの不具合が発生したようです。今回は別のメールソフト(マイクロソフト社のOutlook Express)で送信してみます。送信に失敗したメールの内容は次の通りです。
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 「愛知科学教育ネット」発足2年目の新年を迎えました。今年も科学・教育・情報・人生などさまざまな交流を通し、より充実した楽しいネットにしてゆきたいと思っています。
 12月19日に行われた「名古屋EHC」の例会で、林ヒロ先生から「弾性球・非弾性球,痛いのはどちら?」を証明する実験装置(杉本先生のメール「akkn119」に詳細あり)を見せてもらいました。この装置は次の課題だった微分回路が取り付けてあり、力を直接計測できるように進化していました。表示にはデジタルオシロが必要になりますが、1台数十万円もするとのことで、個人的に購入するにはちょっと大変です。
 そこで年末に、「一宮EHC」で3年ほど前に作った「音声の録音・再生ボード」を取り出し、同じように実験したところ、「弾性球はなだらかな立ち上がり、非弾性球は鋭い立ち上がり」というほぼ満足できるデータが得られました。スピーカーを使った衝突時の力の大きさ(電圧変化)も、音声の場合と同様一旦メモリーに書き込み、あとからそのデータを読み出しててモニター画面上に表示します。ただし衝突球の場合は一瞬でその計測が終了するので、計測と表示はほぼ同時に行うことができます。そんなわけで「音声の録音・再生ボード」の利用方法が一つ加わったことになりますが、問題点もあります。それは
@スピーカーの振動による電圧変化がEHCで作ったボードの規格範囲からはずれる.
A衝突のタイミングと計測開始のタイミングを一致させるため、ソフト(機械語)の修正が必要.
Bセンサー部(スピーカー部)をどのように規格化するか.
など、まだまだ課題は多くあります。
 この予備実験をしていて気づいたことがあります。それは、センサー部として使うスピーカーと「音声の録音・再生ボード」をつなぐのに「シールド線」を使った場合の方が、「普通のリード線」よりはるかに高い電圧を出力するというものです。どうも納得できないのですが、何か理由はあるのでしょうか。
 なお、昨年末(12/19)に行われた事務局会議で、今後の名古屋EHC企画の一つとしてこの「衝突解析」が決まりましたが、その他の企画は次の通りです。
・2月26日  CO2,S8の製作(第1回)  山田
・5月13日  CO2,S8の製作(第2回)  山田
・7月22日  加速度計の製作(第1回)  伊藤
・7月23日  加速度計の製作(第2回)  伊藤
・10月14日 衝突解析            林ヒロ
詳細に関しては事務局の岡田先生から連絡があるかと思います。
ではまた。



番号 00A-002  送信日 00/01/03  差出人 林 正幸
件名 討論合宿の出し物

 おめでとう、林です。
 31日夕方からはインターネットに接続しないようにしていました。何も起こらなくて良かったですね。そして私は年始は次男夫婦の来訪と、姪夫婦が子連れで来訪で家内も私も大忙しになりました。今日3日がやっとゆったりした正月になりました。
 振り返ると年末の28、29日には岡田(晴)さん、澤田さんと3人で千葉館山の「安房科学塾」に参加しました。したがって30、31日はこまねずみのようにはたらきました。その上に次男の結婚のビデオ(2時間)を見ていて、床に就いたのは新年の3時になってしまいました。
 8、9日に理科教育討論合宿は、最終的には30名に近い参加となり喜ばしいことです。その中の盛口さんの「実験紹介と問題提起」ですが、実験は次の16こを紹介してもらいます。
午後の部
T マジック
@指マッチ
Aふしぎコップ
Bとっくり
CCCレモン
D火砕流
Eドライスクリーム
F色変わり噴水
Gマグネシウム
U 新作シリーズ
Jラボアジェ酸素
Kキャベンディッシュ水素
L超簡易ダイヤモンド
M「ミラー」の実験
夜の部
V 光シリーズ
O君の息でホタルの光
P蛍光体
Qジャンボスペクトル
R黒い炎
なお「夜の部」は21時半ころの「自由討論」の冒頭にさせてください。
 それぞれが面白いと思いますが、何と言ってもベストは「「ミラー」の実験」でしょう。ご存じのようにミラーは、「原始大気」を閉じ込めて1週間放電して数種のアミノ酸を確認しています。ところが彼は部指導の中で、それを20分で実現しています。そしてペーパークロマトで、グリシンを確認して見せます。どういう方法を使うか、それはそのときのお楽しみとしておきましょう。
 ちなみに岡田、澤田と私で40種あまりの器具薬品を準備します。林ひろさんにはOHPをお願いしました。盛口さんも早めに来てくれるので一緒に準備をします。
 今回のテーマ
   「第1 改めて科学教育の「何のために、なにを」を問う」
に対する盛口さんの問題提起も期待されます。私の個人的印象では、彼はかつての「犯罪者」的意識から、積極的に新しい化学教育を創り出そうとする姿勢に変わってきているように感じます。その中には私たちが見逃している視点も含まれていると思います。彼の主張をしっかりと受け止めたいものです。

 新年を迎え、愛知科学教育ネット(akkn)」がさらに多様な価値観を共有できる、そして常に自らを刺激してくれる場として発展することを祈ります。そのためにみんなが気軽にメールを書くことが大事ではないでしょうか。
 ではまた。



番号 00A-003  送信日 00/01/12  差出人 戸田 亜昭
件名 物理サークル案内

2000年はじめてのメールを送ります。本年もよろしくお願いします。次回の物理サークルは次のように行います。手ぶらでもいいから気楽に参加して下さい。丹羽先生よりニュートリノの話をしてもらってから例会を行う予定です。煙草の煙と放射性元素のラドンの関係についての話もあるそうです。

日時:2000年2月11日(金)13:00〜15:00 ニュートリノ研究の最近の話題
   15:00〜17:00 物理サークル例会
場所:**大学(理学部ですが詳しくはサークルニュースでお知らせします)

 私は年末に技術教育研究会の工作教室に船橋さん、田中さん,杉本さんと参加しました。古い中国のからくりの「指南車」の製作に挑戦したのです。田中さんはその場で完成させてしまいましたが、私はバラバラの部品ばかりで,完成できるかどうか,不安を感じながら帰りました。家で組み立てはじめると、途中で穴をあける場所を間違っていることに気づき呆然としました。講師の石田先生から新しい部品を送っていただき,なんとか完成させることが出来ました。車をどちらに向けて動かしてもその車に乗っている人形は何時でも南を指差しているのです。このことより人を教え導くことを指南ということの語源となっているわけです。出来上がった後,何度も動かしてみては楽しみました。


番号 00A-004  送信日 00/01/13  差出人 鈴木 久
件名 新年を迎えて

 愛知科学教育ネットのみなさん
 明けましておめでとうございます。
 鈴木 久です。

 最近、インターネットがうまくいかなくてなかなか発信できなくてすいません。
 さて、質問紙授業の回答が滞ってしまっています。今、テストの問題作りと、質問の答えを作っています。範囲は中2の気象。ところで、雲の生成のところでは当然のごとくなぜ、断熱膨張すると(この言葉は使っていませんが)温度が下がるのかという質問が出されました。
 授業中には、空気入れでどんどん押し込むと熱くなる。じゃあ逆におもいっきり一気に広げてやると逆に温度が下がる(-_-;)と訳わからんこと言って迫力で押していたのですが、質問紙でちゃんとそこを突いてくる生徒がいます。(~_~)(-_-;)
 さて、どうしたものか。また、湿度計の湿球に水をつけておくと蒸発熱で温度が下がる。これはなぜかという質問もありました。こちらは、夏道に水をやると涼しくなるだろうあれと一緒と言って逃げていたのですが。何もかも説明しなくてはいけないとは思いませんが中学生くらいなら追求したくなる生徒がいてもふしぎではありません。
 というわけで以下のような説明は遠からずといえるでしょうか?相手は中学生。しかし、まちがった説明はしたくないというのが条件です。検討してください。分子・原子は授業でもう扱っています。
 液体の水を作っている分子の中には速いのもいれば遅いのもいる。蒸発するということは、水の表面から分子が飛び出ていってしまうことだ。もちろん、遅い分子は中から引っ張られて飛び出せない。速い分子が表面から減っていくと全体の水の温度は少し下がる。物体の熱が水に移動して物体の温度も下がる。ただし、この説明だとすぐにコップの中の水は放置しておくと温度が下がるかと聞かれると思います。もちろん、周りの空気やコップから熱をもらっているからそういう結果にはならない。周りの物体の方が大きすぎて変化がみにくい。しかし、熱い物体に水をぶっかければ温度差が大きいので水を蒸発・沸騰させて上のようなことが起こると考えていけないだろうか?

 次に、断熱膨張。
 これまで、つまっていたのであっちへ行ってはぶつかり反対へ、こっちでぶつかっては反対にとランダム運動だったのが、急に密度がうすくなるとなかなかぶつからずーっと邪魔されずに飛ぶことができる分子が増える。ということで、縦に1、横に1上に1と動いていたのがまっすぐ3飛ぶようなものだ。運動のエネルギーは速さの2乗で効いてくる。向きも考えると、混んでいる時は、1の2乗+1の2乗+1の2乗=3。しかし、空いてくると3の2乗で9!というわけで温度が上がる??????
(運動エネルギーの説明は中学3年でまだ。それに量的な説明はしないのだがここではまあ置いといて。)
おいおい下がってもらわくちゃ困るのだ(;_;)
やっぱり、ここは熱力学第1法則使うしかないか?
説明ごとに方法を変えたくないし、何しろ自信ない。
 蒸発熱の説明はよいか。もう少し直せば何とかなるのなら教えてください。また、断熱膨張の方は何とかなりませんか?

追伸:
先ほど第1法則はと書きましたが。分子運動の、運動エネルギーと分子間の位置エネルギーの和がエネルギー保存の法則で一定。分子間が離れたので位置エネルギーが大きくなった分だけ運動エネルギーが減りそれで温度が下がった。
とはいえるのですが。
そういう説明以外の説明は無理でしょうかということです。


番号 00A-005  送信日 00/01/16  差出人 船橋 隆久
件名 熟練工に学ぶ

 船橋です。
 きょう(1/16)のNHK衛星第1(BS7)朝10時に放映された「自動車大国の試練」という番組を見ました。その中でも扱っていましたが、「自動車の重量をいかに軽くし燃費をよくするかが、今後の生き残りをかけた競争になる」と各社ともみているようです。
 この番組の中で豊田市にある小さな町工場の工場長が紹介されていました。この工場長は40年前、中学卒業と同時に故郷島根から集団就職でこの工場に就職し、アルミ加工一筋の人生を送ってきました。そんな彼に、いままで全く取引のない、東京のある自動車会社から突然試作品依頼がありました。それは「自動車のエンジンやシャーシーなど3点を接続するブラケット」と呼ばれる部品の製作でした。自動車の軽量化はアルミ素材を使うことによってどんどんすすみ、最後に残された部品がこの「ブラケット」と呼ばれるものだそうです。
 「ブラケット」には常に強い力が加わり続けるため、アルミニウムでは鉄と同じ強度を持つ部品の製作が技術的に困難と考えられてきました。不景気で仕事数も減少していたものの、依頼された試作品の完成までに4ヶ月というのは通常の1/3の期間しかないそうです。年末からお正月にかけての休みを返上して試作に取り組み、型に融けたアルミニウムを流し込む作業が始まりました。しかし、できあがった試作品を溶接したところ、とても強度に耐えられないことがわかりました。それは「アルミの宿命」ともいえる「アルミニウム中の水素の気泡」が強度の邪魔をしていたのです。
 そこで彼は長年の経験から、型面に石膏を吹き付けることを思い立ったそうです。それは「石膏面が厚いほどアルミニウムが早く冷えて固まり、アルミニウム中の水素の小さな気泡が石膏面の薄いまだ固まっていない液体のアルミニウムのほうに追いやられる」と考えたのです。そこで溶接部に厚めの石膏を吹き付けたところ、重さが約1/2で強度は鉄に負けない期待通りの「ブラケット」が完成しました。
 「アルミ製ブラケット」完成のポイントは石膏の吹きつけにあったわけですが、私が驚いたのは「アルミ製ブラケット溶接部の石膏の厚さは167ミクロン、その他の部分は数ミクロンにする」という技術です。彼はそれを40年間に培われた自分の感だけを頼りに、思いのままにあやつることができるそうです。そして今は後輩にその技術を伝えようとしています。
 私も昨年末に「指南車作り」に挑戦しましたが、完成祝賀会で機械科の先生が言っておられた言葉を思い出しました。それは「最近はコンピュータを使った工作技術が向上してきた。それ自体は歓迎すべきことだが、若い人がそれを技術と思い込んでいるようだ。しかし、本当の技術は経験を通して体で覚えていくものではないだろうか。今の日本からそんな技術がなくなったら・・・と思うと心配だ。ものを磨くのに私もヤスリを使うが、最後の仕上げは自分の手の指紋でやるようにしている」と。
 この二人の職人としての生き方を真似ることはとてもできそうにありませんが、自分が忘れていた何か大切なものを感じ取ることができました。
 ではまた。



番号 00A-006  送信日 00/01/16  差出人 加藤 聡也
件名 草木染めについてアドバイスを

 先日の合宿ではお世話になりました。世話人の方々、おつかれさまでした。
 1月最初の2年化学の授業で草木染めをやってみました。同僚の方から、「アントシアンが重曹と一緒になると色が変わるよ」と言われるのでやってみたのですが、次のようになりました。
1 椿の花びらと水1リットルをビーカーに入れ加熱
2 1の液に重曹を一さじ投入
3 媒染液として水750mlと焼きみょうばん5g
4 木綿のさらしは牛乳につけておき、乾かして用いた
5 染色液と媒染液に交互につける。
 1の液は赤紫色です。これは花びらの色とほぼ一致しています。ところが、重曹を入れると緑色に変色します。当然、木綿には緑色がつきます。そして、媒染液に入れると、色は抜け白っぽくなります。生徒は、「緑の方がいい」と言って最後は媒染液につけずに水洗いして提出しました。



番号 00A-007  送信日 00/01/16  差出人 杉本 憲広
件名 木登り人形

 木登り人形ですが、戸田盛和の「おもちゃセミナー」(日本評論社)にそれに関する記事がありましたのでお知らせします。
 おもちゃセミナーのp.192「上へ上ぼる発想」の中にあります。それによりますと、「引いたひもの方が鉛直になるため、摩擦が小さくなってすべり、上へあがる」ということです。引っ張っていない方が摩擦が大きいのでそのままで、引いた方が滑って上昇させるんですね。以上です。
 ではまた。



番号 00A-008  送信日 00/01/17  差出人 林 正幸
件名 鈴木さんの質問紙授業に対して

 こんばんは、林です。
 冬休み明けでこのところちょいと忙しくしていました。
 すこし前になりますが、1月8、9日の理科教育討論合宿の参加者が42名とはすごかったですね。おかげでレポート数が不足し、実験準備に係わっていた私たちは入手できませんでした。でも幸い、林ひろさんが増す刷りして郵送してくれるそうです。
 そして盛口さんには大感謝です。あれだけ沢山の実験を披露してくれた上に、夜の1時半まで私たちの討論に付き合ってくれ、あげく5時半に起きて実験の片づけとその日の東京の研究会での実験の準備をし、朝食を食べるや名古屋駅に向かいました。あとできいてみると、さすがに東京での夜の飲み会には付き合えなかったそうです。
 今年のテーマ「改めて科学教育の「何のため、何を」を問う」に対しても、愛知らしく次々に多面的な意見が出てきて、たいへん有意義に感じました。誰かまとめを作らないかなあ・・・。
 実は私としては、6、7日と叔母の通夜・葬儀が飛び込んできて、危うく参加し損なうところだったのです。
 鈴木(久)さんが質問紙授業に取り組み、生徒からの質問に返事を書いて、印刷して配布しています。生徒のさまざまな質問を受け止めることは、授業を構成する上でも重要です。その中で2つの質問が紹介されました。
 断熱膨張は、空気入れの説明でもよいように思います。分子運動論的説明をするなら、膨張するときには、まるでキャッチャーがボールを受けるように、分子が壁でスピードを殺されるので、温度が下がると説明できます。飛行距離の長さは運動エネルギーには関係ありませんし、膨張するときには空気が外部に仕事をするので、内部だけでエネルギー保存則を適用することはできません。また気体分子はすこし離れると引力がほとんどはたらきませんので、膨張しても位置エネルギーの増加は小さいものです(もちろん圧力に依りますが)。
 乾湿計の湿球の温度降下の説明も十分であると思います。コップの水だって、まわりより少しは温度が下がっているはずです。もしその点を突いてくるなら、蒸発による温度降下とまわりから熱エネルギーが流入して温度上昇することの大小関係で、いくつかの事例が生じることを気付かせたいと思います。ちなみに、乾湿計は風の当たらないところで計測しないとまずいように思います。
 船橋さん、私もその番組を見ました。技術の重みが分かる生徒を育てたいですね。それには自主的に何かを製作させるのがよいですよね。
 ではまた。



番号 00A-009  送信日 00/01/17  差出人 林 正幸
件名 電池実験に対する感想など

 こんばんは、林です。
 今日は「いろいろな電池」という実験に対する生徒の感想などを紹介してみます(2クラス分のまとめ)。取り上げたのは
(a)ボルタの電池
(d)ダニエル電池(ろ紙使用)
(c)鉛蓄電池(ろ紙使用)
の3種です。ちなみに、この前に33円電池の」実験をやり、電池の原理は話してあります。

「(a)の実験で過酸化水素を加える前、ソーラーモーターはまわるのに豆電球がつかないのはなぜ? また、過酸化水素を加えると豆電球がつくのも疑問。
 こんなに簡単に電池が作れるとは思ってなかった。
 起電力が1.082とはどのようなっことを表しているのだろう。」
「電池ってけっこう簡単に作れるものだなって思ったりした。でもこれをはじめに発見した人はほんとすごいって思いました。なんか、この実験をいかして、日常生活にも生かせないものかと思いました。」
「(前略)
 (b)のダニエル電池の実験で最後に犬のおもちゃがでてきておもしろかった。犬のおもちゃは、作ったダニエル電池が3つつないであった。1つだけだとやっぱり動かないのだろうか。」
「私たちが電池をつくって豆電球がついたのはすごいと思った。
 鉛蓄電池で、手まわし発電機でまわしているときとても手がつかれた。でも自分がまわした分だけ自動にまわっているのを見てとてもうれしかった。」
「(前略)
(b)の実験はセロハンが無いとどうなるのだろうか。
(c)の実験はなぜ速く回すと回転数が多くなるのだろう。グリップをはなした時の電子の動きが知りたい。」
「(a)の実験で、豆電球をつけるためには、過酸化水素水を加えるのが、不思議だった。
(b)はろ紙の枚数は関係あるの?
(c)はハンドルをまわしてないのに、かってにまわっているのはすごいと思った。」
「こんなにいろいろな電池があるなんて知らなかった。
(b)の実験で、飽和硫酸銅をつかったのはなぜかしりたい。
(c)はいわゆる充電電池かと思った。」
「(c)の実験で手で回して、かってに回る回数が、10回まわして、9回のとき、19回のとき、24回のときがあって、規則性はなかった。
(後略)」
「同板が正極になったけれど、亜鉛板が正極になることはないんですか。」
「自分たちで電池が作れるなんて、すごいことだなあと思った。
 そしてその自分たちが作った電池を集めて直列につなぐだけでおもちゃまで動かせるなんてすばらしいと思った。」
「(c)の実験で、手回し発電機をまわして勝手にまわっている途中でクリップをはずしたら止まって、つけたらまたまわった。」
「(a)はなぜ過酸化水素水を入れたことによって、豆電球の明かりがついたのか。そのとき一応銅板を取り出したのはなぜか。
(b)はダニエル電池のダニエルって・・・何だろう。
(c)でできた電気はどれくらいもつのか。」
「ボルタの電池は昔中学の技術の時間に見たので、実験が楽だった。
(c)の実験で、何故同種類の金属で反応が起こるのかが不思議だった。」
「金属と溶液で電池ができるなんてびっくりした!!」
「(前略)
(a)の実験では液体が色が最後に変わった。何かがとかたのか?」
「犬のおもちゃがすごく変だった。
 発電機が思っていたよりも多く自分で回ったことにびっくりした。(始めは回した数の1/5くらいと思っていたら、ほぼ1/2だった。)
(後略)」
「乾電池の電池でなく、薬品を使っても電池ができたのでびっくりした。
 なぜプラス鉛板は茶色くなったのか。」
「セロハンはどんなはたらきをしているのだろうか。」
「化学反応でこんなに強い電池ができるなんてすごいと思う。」
「電池にはいろいろあるんだと思った。すごいなあ。」
「こんなにかんたんに電池はできるものなんだと思った。他にも電池を作る方法はいくらでもありそうな気がした。」
「(a)の実験で、過酸化水素水を入れた後、炭酸飲料のようになって、鼻につんとくるにおいがした。」
「手回し発電機はこうつなぐと(図あり)なんで重たくなるのか? で、はなすと、シャカシャカ回った。
(後略)」

 生徒たちの豊かなとらえ方には感動します。そしてとても応え切れません。ではまた。



番号 00A-010  送信日 00/01/25  差出人 林 正幸
件名 塩化鉛の電解に対する感想など

 こんばんは、林です。
 伊藤さん、インテク研の日取りについて私は3月5日でOKです。風邪が流行っていますが、皆さんいかがですか。私は今のところ元気です。
 さて今夜は、塩化鉛 の融解塩電解の実験に対する生徒の感想などを紹介してみます。「塩素の臭いがくさかったけど、なまりが大きかったので、なんかうれしくなった。」
「(前略)
鉛ができた時に、なんとなく、”すごい”と思った。
塩化鉛(U)がとけはじめた時の色は、黄色かったのに、加熱を続けると、赤茶色っぽくなった。」
「ガスバーナーで加熱している時プールのにおいでくさかった。」
「始めての〜水溶液以外の電気分解なので、どのような反応が起こるか楽しみだったが、発生した物質から、反応式がだいたい読めた。」
「粉から鉛ができるのがすこいと思った。」
「鉛は金づちでたたくとなぜ展性を示すのか?」
「試験管をくだくなんてびっくりしたけどたのしかった。
本当に塩化鉛は塩素と鉛でできていることがわかった。」
「なぜ塩化鉛がとけたら黒鉛棒を入れるのだろうか。先に入れといたらダメなの?」 「最初、粉だったのに、液体になって、固体の鉛になったにが不思議だった。」
「(前略)
たくさんの塩化鉛をつかったのに鉛が少ししかできなかったことにおどろいた。」
「鉛がバラバラでなく1つにかたまって出て来たのでふしぎに思った。」
「この実験は交流電源ではできない。
塩化鉛が液体になると、なぜ、だいだい色になるのだろうか。
試験管がもったいない。」
「実験成功。俺、NASAに就職できるって感じ。」
「今日の実験は1つしかなかったので落ち着いて出来た。途中で塩素のにおいがしてきた。試験管の底に融解した鉛ができているのが見えたので良かった。」
「コンセントから電流を流したので、入れる時や抜くときに怖かった。何をしたら火花が散るのか分からなかたし、ヒューズがあるので試験管を割ったときよりも怖かった。黒鉛棒を使うということは、黒鉛棒が溶けて鉛になったのかと思う。」
「塩化鉛の加熱を止めたとき、色がとたんに黒→白に変わっているときがすごくキレイだった。
(後略)」
「とにかくとてもくさかった。あんがいと大きい鉛ができたのでよかったと思った。鉛をかなづちでたたく時なぜだか楽しかった。鉛がうすっぺらくのびた。」
「(前略)
白い粉末の中に鉛が入っているとは思わなかった。」
「(前略)
塩化鉛(U)は粉末なのに熱しただけでとけてしまった。しかも白から黄色にかわった。」「黒鉛棒を試験管に入れるときに下に長い方の黒鉛棒が下側にくるようにするのはどうしてだろう。
(後略)」
「(前略)
ガラスはすぐにわれてしまったけど、鉛はすごいかたくて、ちょっとびっくりした。また、やりたいと思いました。」
「水の電気分解では、水酸化ナトリウムを入れていたけど、この実験ではそういうものは必要ないのかと思った。」
「塩化物イオンが陽極にひきよせられて、どこにどうやって電子を与えて塩素にもどったかと思った。
PbCl2 ―→ Pb2+ + 2Cl−」
「(前略)
また実験の途中の塩化鉛も、熱していたら黄→赤になったり、黒鉛棒を差し込んだらすぐに黒くなったりしておもしろかった。」
「塩化鉛を電気分解すると塩素と鉛が出来るのはわかったけど、電気分解するときにどうして黒鉛棒というものを使うのですか。」
「鉛がどこから出てきたのか不思議だった。」
 ではまた。



番号 00A-011  送信日 00/01/27  差出人 戸田 亜昭
件名 クリップモーターの出所と物理サークル案内

 物理サークル通信をもらい,くわしいことが分かったので連絡します。最新の物理学の話題を聞くことが出来ます。皆さん,お誘いあわせの上、参加しましょう。
日時:2000年2月11日(金)13時〜16時30分(終了予定)
場所:名古屋大学理学部 B館4階 422号室(物理会議室)
内容:第一部 名古屋大学理学部教授 丹羽公雄先生(素粒子物理学)
テーマ:「最新のニュートリノの研究」
○前半(1時間)
ニュートリノ発見の歴史,理論的な仮説から原子炉を使った検証実験。
ミクロな自然の階層性から見たニュートリノの位置。
宇宙論から見たニュートリノの果たす役割。
スーパーカミオカンデのデータでわかったことと,残された問題。
名古屋大学の取り組む実験OPERA計画の紹介。
○後半(20分)
当研究室が保存する「役割を果たした実験装置」のリサイクルの提案
* 大口径イメージインテンシファイアー(50本)
* シンチレーションファイバー及び500(μm)ファイバーシートブロック
第2部:サークル交流会

皆さんクリップモーターをご存知だと思います。2,3ヶ月前の?「たのしい授業」にクリップモーターの歴史を調べたものがありました。今では全国のたくさんの人が知っているクリップモーターもはじめて全国に紹介していったのは,理科ノートはじめ、「いきいき物理わくわく実験」など愛知からです。飯田さんが商業科の町田先生から聞いてそれを愛知物理サークルで紹介してくれたのが始まりだと思います。
その町田先生が私の学校で非常勤講師をされています。町田先生からまたいろいろなアイデアをいただきました。クリップモーターの話をしたら,先生が小学校のころ受けた理科の授業の中にはまだまだ沢山の実験があるとのことです。町田先生よりメモをいただきました。私たちが大切にしたいことを簡単な言葉で書いてみえます。先生が非常勤でおいでになるうちにもっともっと聞きたいと思っています。皆さんもこれは知りたいと思われるものを連絡して下さい。
(以下町田先生のメモ)
戸田先生
思い出すままに理科の授業でオモチャの例を書いてみました。何かの参考にしてください。(実に半世紀前のことですが憶えています。黒板に書いた授業ではこんな記憶はあるはずはない)町田
小学校時代に理科の授業で作ったオモチャ
・ 風のある運動場を絶対に倒れずに走りまわる紙の一輪車
・ キリの上で廻り続ける一銭銅貨
・ 輪ゴムとミシン糸車とロウソクと筆で作る戦車
・ 七色が回転すると白くなるボール紙と糸で作る回転板
・ チューインガムとメンソレータムで作る空中浮遊の糸の束
・ 割り箸で作る模型飛行機
・ 女の髪の毛で作る湿度計(男の髪ではダメ)
・ 教科書で作る動画
・ 石けんで作る隠し絵(レモンで作るのはよくあるが)
・ ショウノウ(タフタリン ナフタリンか?)で作るモーターボート

これよりは中学以降
・ 印画紙だけで作るモノクロ写真(フィルム不要)
・ カメラのシャッター速度をレコードプレーヤーで正確に測定する方法
・ 8mmフィルム画面をそのまま直接に35oフィルムに転写する方法(間にレンズが介在しない)
・ マッチと銀紙で作るロケット砲(音を立てて2メートル以上飛ぶ)
・ 小さな箱でドーナツ型の煙の輪を連続発射する方法
・ 親指と人差指の間に作ったヒモの輪の中に片方のヒモを瞬時に通す方法(手品に近い)



番号 00A-012  送信日 00/01/28  差出人 林 正幸
件名 「コンクリートが危ない」を読んで

 こんばんは、林です。
 山陽新幹線の度重なるコンクリート落下事故は記憶に新しいところですが、岩波新書の「コンクリートが危ない」(小林著)を読んでみました。
 この本は2005〜2010年の間に橋やビルが一斉に崩れ出す可能性があることを指摘している。東京オリンピックを境に、高度成長の波に乗ってそれまでの数十倍の、粗悪なコンクリートの建造物が建設された。それ以前のものは100年経っても使用できほとんどメンテナンスフリーであるのに、それ以後のものは10年を待たずして破壊が始まる・・・。
 コンクリートは、セメントに骨材と呼ばれる岩石材料(全体の70〜80%)と水を加えて練り、それを打って固まるのを待つ。もちろん中には鉄筋を入れる。セメントは、石灰岩と粘土を4:1に混合し、ロータリーキルンで焼成してクリンカーとし、砕いて少量の石こうを加えたものである。セメントは水と反応して徐々に各種の結晶がちみつな組織をつくり骨材と一体化する。
 コンクリートは表面からゆっくりと、空気中の二酸化炭素と反応してもとの炭酸カルシウムにもどる「炭酸化」が起きていく。この進行速度がコンクリートの耐用年数を決める。鉄はpHが11.5以上では表面にちみつな酸化被膜ができて腐食反応を起こさない。健康なコンクリートのpHは12〜13である。そして炭酸化が鉄筋に達すると次のように電池を形成してさび始める。
    Fe ―→ Fe2+ + 2e−
    4e− + 2H2O + O2 ―→ 4OH−
できた水酸化鉄(U)はさらに酸化されて水酸化鉄(V)、含水酸化鉄 FeOOHとなり、一部は酸化鉄(V)になる。これによって鉄筋の強度が減少するとともに、生成物の体積が2.5倍になるためコンクリートがひび割れし破壊していく。
 この炭酸化は粗悪なコンクリートでは急速に進行する。生コンを打つとき、現場では作業しやすいために水を加えることが日常化しているそうである。水が多いコンクリートは生成する結晶が粗くて、ひび割れを起こしやすくなる。
 もうひとつはコンクリートの内部で起こる「アルカリ骨材反応」である。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような「アルカリ」が異常に高いと、骨材の二酸化ケイ素と反応して水溶性になりコンクリートの強度が減少する。そして体積増加のため、マスクメロンのように表面にひび割れを生じる。
 セメントの製法が改良されてかえって一部にアルカリ濃度が高い製品ができるようになってしまった。これは外国でも問題になり、セメントの品質管理が必要である。加えて骨材の方も需要の拡大で、非晶質でアルカリ反応性が高いものが容赦なく使われている。
 加えて問題なのは、海砂が除塩することなく骨材として使われる。塩化物イオンは承知の通りに鉄の腐食を促進する。そしてナトリウムイオンの方もアルカリ濃度を高くしてしまう。
 以上は化学的な内容だが、さらに単純な手抜き作業の問題がある。阪神淡路大震災はそのことを露呈した。コンクリート打ちを中断したために接合していない柱や、鉄筋を伸ばすときの溶接が不十分な柱がまるでそこで切断されたように破壊した。鉄筋が入れてなかったり、廃棄物が埋め込まれていた例もある。そして校舎などはもっとも手抜きされやすい建物だそうである。
 いやはや、情けなくなるような現実ですね。ではまた。



番号 00A-013  送信日 00/01/29  差出人 戸田 亜昭
件名 紙すきの資料を下さいと「コンクリート落下事故」

 あるクラスで牛乳パックを集めてきました。学年の終わりにその牛乳パックで紙すきをして文集の表紙にしたいということです。どなたか紙すきのやり方について資料をおもちでしたら教えてください。なお教えていただけるなら担任が付き添いで生徒が直接指導も受けたいといっています。どなたか教えてください。資料だけでも結構です。
 林さんから「コンクリートが危ない」を読んでのメールをもらって身近な話を紹介します。ある学校で突然渡り廊下の2階部分よりコンクリートの破片が沢山バラバラと落ちてきました。管理職が危険であると判断しすぐに修理をし,現在は何もなかったようにきれいになっています。その事故の時ある先生がこっそりと破片を理科室に持ちこみビーカーにその粉を入れしばらく沸騰させました。事故現場を見上げて鉄筋の錆び方の異常さを見てさっそく調べてみたかったのです。上澄みの中に硝酸銀を入れてみてびっくりしました。塩化銀がたっぷり出来たとしか考えられそうもないほど白くにごったのです。海砂を使っているものと思われます。
 その後,校舎のつなぎ目に落下しそうなところがあったり,体育館の壁に危険な鉛直方向と30度をなす危険なクラックも(建築科の先生の話によれば建物にとって一番危険なひび割れとのことです)見つかりました。その学校は高度経済成長期の昭和38年の建設です。他人事ではない話です。
 別の学校ですが,体育館を建設直後より雨漏りがあったり,時には人間の頭くらいのコンクリートの塊が落ちてきたこともありました。校舎が折れ曲がっていることが分かるところもあります。校舎のひび割れを観察すると1階のひび割れと同じ辺りで2階の方が幅広く割れています。3階はさらにひび割れの感覚が大きくなっているのです。この学校ではアルカリ骨材反応が原因と思われるコンクリートのツララが何本も見つかります。鉄筋が腐食するのが大変怖いと思いますが,中までひび割れているところは早急に直さないと加速度的に崩壊が進むことでしょう。皆さんの学校も少しは分かる私達理科の教員がチェックしてみた方がいいのではないでしょうか。