定着したと言っていいのかな。ワインに関しては門外漢なので、付け焼き刃的な
軽はずみな意見は憚らなくてはいけないが、一応、酒の世界に生きている人間に
とって、気にならないはずがないわけで、密かにその動向を傍観しているというの
が本当のところだろう。そんな気持ちを察してかどうかはしらんのだが、うちの
お客さんが、江川卓氏の著作、「夢ワイン」を貸して下さった。まだ読んだところ
なので、感想はまだ言えんが、プロローグを読んだだけでも、氏が「はまったな」
と言うことは十分伝わってくる。その「はまった」もう片方が、川島なお美さんだ。
ドラマでワインを飲んだのをきっかけに、「シャトーマルゴー」の大ファンになり、
そのあと休暇を取って、わざわざマルゴー村の畑まで出かけていったというのだから
半端じゃない。とにかく、マルゴーを飲んで、「ほんとに死んでもいいと思った」
そうだが、江川氏にしても「五十歩百歩」であろう(氏は、1996名誉ソムリエに)。
さて、海外の有名人の中にも、二人同様、熱狂的なワイン(マルゴー)ファンがいる。
「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」などの作者で、ノーベル文学賞受賞者、アメ
リカの作家、アーネスト・ヘミングウエイだ。彼の場合は、シャトーを見学に行ったばか
りか、頼み込んで数日間滞在。そして、ヴィンテージもののマルゴーを毎日、何本も空
にしたそうだ。しかも、孫娘が生まれると、名前をマルゴーと名付けたというから驚き
ではないか。その孫娘は有名な女優になったそうだ(残念だが、若くして逝去)。
ワインに関しては、初心者のわしでも話題がつきないのだが、そろそろ本題に入ると
しよう。さて、そのワイン・・ヨーロッパでは13世紀、アラビアから伝わった錬金術
で蒸留していたそうな。そして、その頃の人々は、その液体を「燃える水」と呼んでいた。
その生産は微々たるものだったが、14世紀にはいるとこの「燃える水」は、突如として
大量の需要を見ることになる。それは、皆さんもよくご存知の、あの「ペスト」黒死病
とも言うのだが、その病気の大流行とともに、濃いアルコールが薬として有効であると、
まことしやかに流布され、そのことにより、ワインを蒸留した高いアルコール濃度は
「オウドヴィ」すなわち「生命の水」と呼ばれるようになったんじゃ。
そして、もう一つ、わしの「うんちくしよう」の掲示板で常連である「rera」さんが(この方は、6年前ほどに、自転車に乗って私のお店に来られました。今ではとても懐かしい方です。その後、HPは削除されていました)
話題にされた「アクアビット」、スカンジナビアで造られる蒸留酒。穀物あるいは馬鈴薯
を原料として精製されて、それに「ういきょう」の実を加えて、芳香あるものにしてある。
アクアビットはまたの名を「シナップス」とも呼ばれ、有名なスカンジナビア料理の前菜
(約50種類もあるという)と共に、冷やして飲むのが昔からの習慣であるという。
そもそも、この「アクアビット」、ラテン語で「生命(いのち)の水」を意味する。
13世紀、イタリアでぶどう酒から造った最初の酒も、アクアビットであると言われておる。
スウェーデンのストックホルムにおいて、最初にアクアビットの販売を許されたのは1498
年。その当時、それはワインを蒸留して造られていたらしいのだが、必要なぶどうは自国で
穫れないので、海外から輸入していたため大変高価であったという。やがて穀物から製造
する技術を覚え、最も安い馬鈴薯から造るようになったのは18世紀になってからである。
現在、スウェーデンには約20のアクアビットの工場があるそうだが、OP・アンダーソン
がよく知られている。だいたい、キャラウエイの種、アニスやういきょうの実で香りをつけ
ている。また、デンマークでは「シュナップス」と呼ばれて、国民に愛飲されているそうな。
参考文献・東京堂出版「酒の事典」、外池良三著
次回番外編は、昨今の「ワイン事情」