JiJiさんからのおすすめ
ペーパーバック情報第6信
Shot in the Heart

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JiJiさんから6回目の投稿をいただきました。

A:\my documents\tri-red.gif あなたも哲学者

原栗知代さんが紹介されていた、Laura Zigman Animal Husbandryの「ニュ−・カウ説」いいですね。この本がどんなに駄作でも、この本を読まなくても、この説を聞いただけで私は充分満足。作者を尊敬してしまいます。私が男だから言っているのではありません、逆ナンパがある時代女の側からもこの説は成り立つでしょうから。私は作者のオリジナリテーに惚れたのです。ところで、内緒でお尋ねしますが、この説はホントなのでしょうか。

私が若かったころはpaperbackを読みたい気持ちはあっても何を読んだらいいのか、適切な手引きがありませんでした。あっても、むつかしい文学関係だけで、大衆的な読み物の案内書は少なかったのです。そんななか、植草甚一さんと常盤新平さんは懐かしい案内人です。いまこうして、高橋美香さんの素晴らしいHPに接し、またプロの作家・翻訳家栗原知代さんの解説を読ませて頂けるなんて、隔世の感があります。只では申し訳ないのですが、なにしろ困窮年金生活者なのでご勘弁を。お二方には足を向けて寝られないのですが、お住まいの方角が分からないので。何時か罰が当たりますね。覚悟しています。

A:\my documents\tri-red.gif Mikal Gilmore Shot in the Heart

情報が氾濫し、出版物も世間で充分咀嚼されないままに泡沫のごとく姿を消していく昨今、いまさらこの本を取りあげることは、いささか落ち穂拾いの感は否めないが、貴重な一粒と思いあえて紹介することにします。

私は猟奇的な関心からこの本を選び讀みはじめた。事件は全米で大きな話題になり日本でも報道されたので、ご存知のかたも多いでしょう。ユタ州で保釈中に二人を連続殺害したゲイリー・ギルモアは死刑を宣告された。当時アメリカでは死刑反対の世論が盛んで実際には処刑は実施されていなかった。こうしたなかギルモアは自分の処刑を求め、しかも銃殺による処刑に断固として固執した。これが殺人が日常的で死刑宣告も珍しくないアメリカで世論を沸騰させ関心をもたれた理由だった。

讀み進むうちに次第にギルモアの声にならない声が聞こえてくるのだ。「俺は誰だ。誰が罪を犯したのだ。しかしやったのは俺だ。ここで決着をつけなければ、この誰かはまた殺人を犯すだろう。この俺と一緒にこの誰かをきれいさっぱり銃殺してくれ!」そして最後に椅子にくくられ心臓を射抜かれた断末魔の彼の悲痛な叫び声が聞こえてくる。「俺はだれだ!やったのは誰だ!」と。

Will Durant The Story of PhilosophyJostein Gaarda Sophie's Worldも積ん讀と読みかけに終った。所詮哲学は私には縁のないものと悟った。しかしギルモアの問いはまぎれもない哲学ではないのか。殺人と死と言う閃光のみが鈍感で日常生活にまぎれ惰眠した私に人間存在の奥底を垣間見せてくれたのだ。この本はギルモアの弟によって書かれた。導入部から人を引き付ける腕力は並ではない。ゴーストライターが書いたものではと疑った。しかし彼がジャーナリストであることが記されているのを見てこの疑問は解けた。
多少英語の読解力に自信がなくても、知らず知らずに讀ませてしまう、不思議な魔力をこの本は持っているのだ。これを書くに当たり、私の思い過ごしではないかと心配になり、念のため村上春樹さんの翻訳本の後書きのみに目を通してみた。驚くではないか彼もまた自分の存在を揺り動かされていたのだ。私だけではなかったんだ。それならばきっと他の人も.....おせっかいながら、あえて一房の落ち穂を拾ってみました。私にはこれと同じ体験が唯一ほかにあります。それは文藝春秋にのった、神戸の児童殺害事件の調書を読んだ時です。一時哲学者になった私も、またTVとゴロ寝の毎日です。                                   JiJi


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