N.S.さんからの第6信です
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N.S.さんからおすすめの本の書評第6信をいただきました。

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The Royals by Kitty Kelley

著者のKitty Kellyはアメリカの女性伝記作家ということですが、伝統ある英国王室の内情を詳しく綴ったのがこの本です。王室を取り巻く関係者1,000人以上に対して行った4年間にわたる取材をもとに、英国王室の伝統、権限、礼儀作法や普段の生活ぶりなどを紹介する一方、Margaret王女、Anne王女、Andrew王子の離婚、Diana妃の悲劇に至るスキャンダラスな側面を遠慮なく暴露しています。

もともと英国の王室はドイツの血統が濃く、事実、1714年から1915年までの200年間はドイツ語しか話せないか、あるいはドイツ語なまりの強い英語を話す国王ばかりということでした。これがGeorge5世の代になって初めてドイツ語なまりが完全に抜けてた英語を話せるようになったそうです。英国民としてはもともとドイツに対する嫌悪感が強かったため、George5世はこれをカモフラージュする意味から1917年にSaxe-Coburg-Gotha家の名称を改め、真に英国的な響きのある王室名称としてWindsor家を命名します。さらに、George5世の従兄弟であるBattenburg侯の名前がドイツ系譜を強く連想させるとして、英語的な名称のMountbatten(ドイツ語のburgは英語でmountainの意から)に強制的に改称させたほどです。改称させられた当人は相当の屈辱を味わった筈です。

Elizabeth女王の夫君のEdingburgh侯はMountbatten侯の娘とギリシャ王室の間に生まれた王子でギリシャ語が話せないギリシャ王室の出でしたが、その代わりフランス語、ドイツ語、英語が流ちょうに話せるようです。Elizabeth王女との結婚のため、ギリシャ王室のタイトルを放棄します。Edinburgh侯には姉が4人いますが、皆ドイツの貴族と結婚しております。また、Edinburgh侯の母方の祖母はロシア皇帝Nicholas1世の孫娘Olgaです。

こうして見ると、ヨーロッパの王室は何代か遡れば多かれ少なかれ皆血縁関係のようです。現にElizabeth女王とEdinburgh侯もVictoria女王まで遡れば遠戚関係にあります。 Elizabeth女王は小さい頃から第一位王位継承者として育てられており、女王に即位してからは公衆の面前で感情を表すことは君主として相応しくないとの信念を堅持していたようです。そして、父親のGeorge6世の葬式、Diana妃の葬式でも常に平静を保っておられましたが、国賓の接待用に40年以上も使用してきた王室の豪華ヨット"Britannia号"の1997年における引退式典では、さすがに嘆きを隠せなかったようです。

伝統のある英国王室も、離婚経験が2回ある米国のSimpson婦人と結婚するため、Windsor侯が王位継承を断念したことでかなり王室の権威に傷がついたとしています。さらに、Margaret王女、Anne王女、Andrew王子の離婚に至るタブロイド紙のゴシップ記事などを見ればわかるように、本来なら国民へ行動模範を示すべき王室の理想像からはかなりほど遠くなってしまったというのが大方の見方です。 我々からすると英国の貴族社会などは縁遠い存在で関心が薄いのですが、歴史的な興味からこの本を読むのも面白いかと思います。
N.S.
nr-seki@tka.att.ne.jp
表紙をクリックするとAmazon.comへ行けます。

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