| 凡徹さんからのおすすめペーパーバック |
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| The Ambler Warning
最近アメリカのミステリーを読み始めた私は、正直言ってこの作家のことはあまり知らなかった。たまたまアマゾンに注文していた本書が届いてしらべてみると、著者のラドラムは実は6年前に亡くなった冒険小説の大御所的存在で1980年代を中心に出版された作品はことごとくベストセラー入りし、一時はラドラムの奇跡と称せられる一大ブームが巻き起こっていたという。 さて、本書のあらすじ。 バージニアの沖合い6マイルにある、野生動物保護地区に指定されている島に密かに米政府管理下の精神病棟が置かれていた。過去20年、政府の秘密工作に携わったハル・アンブラーなる人物がここに収容されていたが、他の収容者と際立って異なるところがあった。それはアンブラーは過去の記憶は薄らいでいるとはいえ精神的な障害はまったく無く正常であることだった。なにゆえアンブラーはここに収容されているのか。なにかあるに違いない。記憶が一部蘇っても、考えれば考えるほど訳が分からないアンブラーだったが、ここからの脱出を強く思い描くようになった。 厳重管理下のこんな施設にも、精神状態はあくまでも正常な収容者であるアンブラーの状態から、同情を示してくれるナースがいてくれたことが幸いだった。二重、三重のセキュリティをかいくぐって、ほうほうの体で外界へ出ることが出来た。がしかし、どうも様子がおかしい。自分の存在を示すデータが抹消されてしまっている。困り果てて卒業した大学の事務局にコンタクトしてみても、そんな卒業生はいなかったとけんもほろろの回答が返ってくるばかり。一体なにが起こったのだ。 アンブラーは消されていた自分の記憶を呼び覚ます努力を重ねて、自分の所属していた組織のヘッドに接触するほかはないと考える。国務省の傘下のスタッフ25名で構成された秘密工作チーム。アンブラーはこのチームの一員で、このチームの重要な使命の一つが「暗殺」。彼はこの専門要員だった。有能だった。有能だったが故に、何件かの暗殺に係わっている。しかし、なぜ自分は社会から隔離される必要があったのだ。遂にアンブラーは彼に会うのを拒んでいた組織のヘッドと対決する・・・・。 秘密工作チームの上部組織には国家機密に属する使命があったろう。政府内部の部門対立もあったろう。いや、アカデミズムの世界とのいわくいい難い繋がりのようなものもひょっとしてあり得たのか。ぎりぎりのところで、アンブラーは自分が孤島の精神病棟に幽閉されねばならなかった訳を嗅ぎつける。絶望的な状況に追い込まれても、敢えて立ち向かおうとする主人公の勇気と覚悟、それに潔さ。かっての冒険小説の大物作家ラドラムの筆力には圧倒された。物語にぐんぐん引きずり込まれて、正直疲れた。彼の膨大な作品リストを眺めるととても征服する勇気はない。 2007/5/20
■ジャンル:ミステリー
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