rain voiceさんからのおすすめ作品

    
  Scribbler of Dreams
by Mary E. Pearson
Scribbler of Dreams



 皆さん、こんにちは。今回は、Mary E. Pearson の "Scribbler of Dreams" というヤング・アダルト本を紹介したいと思います。この作者は全く知らなかったのですが、この小説の評判がいいみたいなので、手に取ってみました。表紙もなかなかクールで、私の好みです。では、簡単なあらすじを。

 主人公は17歳の高校生、ケイトリン(Kaitlin Malone)。クラッチフィールド(Crutchfield)家が所有するハイスクールに通っています。ケイトの父親は現在、刑務所の中。理由? クラッチフィールド家の当主、ロバート(Robert Crutchfield)を殺したから。本当は事故だったのですが、目撃者たちがクラッチフィールドの者たちで、彼らが、ケイトの父親がロバートを殺害したと主張したので、ケイトの父親は獄中に入れられることになってしまったのです。 

 ケイトは父を騙して、犯罪者に仕立てあげたクラッチフィールド家を激しく憎みます。その上、その憎む相手の所有するハイスクールに行くことになり、心の中での折り合いがつかず、一人学校で浮いてしまいます。しかし、そこでブラムという少年に出会います。ケイトはどこか他の男の子たちとは違う雰囲気を持った、この少年に恋をします。彼が、ケイトの憎むべき相手、クラッチフィールド家の一人息子、ブラム・クラッチフィールド(Bram Crutchfield)とは知らずに。

 ケイトはやがて、愛した彼がクラッチフィールド家の人間だと気づきます。そして悩むのです。ブラムに「自分はあなたの父親を殺したとされる男の娘だ」と告げるべきか、と。彼女の正体を知らないブラム。二人の仲はもう離れられないほど高まります。憎むべきクラッチフィールド家の息子、けれども唯一愛した彼。憎しみと愛情の間で激しく揺れるケイト。二人はこのまま関係を続けられるのでしょうか?

 これを読んで、あれ、と気がつく人もいらっしゃるでしょう。そう、これはまさに「ロミオとジュリエット」の現代版です。こういうのを読むと、つくづくシェイクスピアは偉大だなあ、と思います。どれほど彼の書いた作品のプロットが、今も変わらず大きな影響を与え続けているのか、と。

 現代版「ロミオとジュリエット」と言ってしまうと、もう結末は分かったよ、という方もいらっしゃるかもしれませんが、ご心配なく。ストーリーは違うものになっています。YA小説ということで、英語も読みやすいですし、17歳の女の子の二つの相反する思いで揺れ動く気持ちの持っていき方も、うまく表現できています。

 もう、使い古された感のあるプロットですが、限られた枚数(223p.)の中できれいにまとまっていて好感が持てましたし、ケイトとブラムのキャラクターも共感できました。二人をつなぐ「日記帳」の存在が出てきますが、うまい小道具だと思います。肩の凝らないPBですから、お薦めします。

2003/5/30

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