長谷川さんの
ノンフィクション・アラカルト
The Perfect Storm   Into Thin Air   The Crucible of Creation
                   
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最近はノンフィクションに凝っているというペーパーバックの達人長谷川さんから第4信をいただきました。忙しいお仕事の合間を縫って読まれたペーパーバックを紹介していただきました。ノンフィクションの楽しみ方が満載です。

(1) "The Perfect Storm : a true story of men against the sea"
   
Sebastian Junger 著 (Fourth Estate)

 「パーフェクト・ストーム」は、「完全な」嵐というような単なる形容ではありません。気象学の用語で、ビュフォード式風力が12以上を示す空前絶後の嵐のことです。百年に1回程度現れるもので、近年では、1991年の10月、北大西洋で起こったハロウィーン・ゲールが知られているそうです。波の高さが30m以上、風速が時速200kmといったものすごいものです。
 この本は、この大嵐に遭遇した様々な人々に取材し、遭難者などの記述を中心に構成し、荒海の持つ真の力を余すところなく描写しています。
 冒頭は、北米大西洋岸のGloucester(ボストンのすぐそば)を母港とするカジキ漁船のAndreaGail号とその乗組員の日常生活の描写。北大西洋漁場、カジキ漁の変遷、漁法や漁具及び必要経費と莫大な収益、漁船団の協力と遭難等過酷で残酷な結末。遭難リストには、日本のマグロ漁船も含まれていました…。
 100頁位まで、詳細な背景描写が続き、おかげで寿司屋で何気なくつまんでいるマグロがこんな風に苦労してとられているんだなあと、感心してしまいました。
 そして、いよいよハロウィーン・ゲールの登場です。
 なお、この本は、Good -Book-Guide誌で見て興味を持ち、取り寄せたものですが、先日新潟の紀伊国屋書店で、ノンフィクションのベストセラーと宣伝されていました。直に訳本が出るでしょう。

 *私自身、海が大好きで、この夏もスキンダイビングで魚を捕りました。そのためか、いろいろなジャンルの中でも海洋ノンフィクション・小説には、目がありません。
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(2) "Convoy: the Battle for Convoys SC.122 and HX.229"
   Martin Middlebrook 著 (Penguin Books)

 第2次世界大戦中の北大西洋。連合軍の護送船団とドイツ軍Uボートとの生死をかけた一大決戦。具体的な2つの航海を例として、両軍の指揮、装備、戦術、実際の展開を詳しく紹介しています。
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(3) "Arctic Convoys: 1941―1945"
   Richard Woodman著 (John Murray)

 基本的には、(2)に似ているが、今度の場面はさらに厳しい北極海。ソビエトロシアを支援するため、連合軍の護送船団は、ロシアの極北軍港を目指す。この本では、実際に行われた全ての航海・戦闘が紹介されています。
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(4) "Into thin air: a personal account of the Mount Everest Disaster "
    Jon Krakauer 著 (Anchor Books)

 一転して、今度は山。有名な登山家・山岳ジャーナリストである著者が、実際に体験した登山ルポルタージュ。エベレスト登頂の成功後、極度の疲労と不眠の結果、単独の下山行は、困難を極める。一歩一歩を克明に記したような丹念な描写で、自分がエベレストに行ったような気分になります。夏休みの昼下がり、ビールでも飲みながらひっくり返って読むには、最高の1冊だと思います。(生死の境で苦労した作者には申し訳ないですが)
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(5) "The Crucible of Creation :the Burgess Shale and the Rise of
Animals"
   (「創造のるつぼ;バージェス頁岩と動物の勃興」)
   Simon Conway Morri 著  (Oxford University Press)

 次の1冊は、化石を中心とした科学史です。バージェス頁岩といっても知らない人が多いと思うが、恐竜がはびこっていたジュラ紀などのはるか昔、カンブリア紀という時代があった。この時期がなぜ注目されているかというと、現代の動物と、体のしくみがまったく異なる化石が残されているからだ。つまり、カンブリア紀の海中では、動物の様々な体のプロタタイプが爆発的に誕生していたのである。そして、それらの化石群が最初に発見されたのがカナダのバージェス頁岩だった。今世紀初頭に紹介されたが、あまりにも変わっていたので、化石の組み合わせを取り違えて解釈されていた。近年、再調査が行われて、初めてその異様さがうきぼりとなった。この間の論争や、進化上の問題などについては、ハーバード大の教授で科学紹介本の第一人者StephenJay Gould の"Wonderful Life"(Penguin books。訳本も出ている)に詳しく扱っている。
 さて、やっと本書にたどり着いた。著者のモリスは、進化古生物学の権威で、「ワンダフル=ライフ」より広範にカンブリア紀の解説をしており、Walcotらの論争についても具体的に検証している。さらに、直接バージェス頁岩に出かけて実際に化石の様子がどうなっているのか、そして世界各地で発見されているこの時代の化石をあわせて紹介している。また、グールドの問題点についても触れているのが興味深い。【この本だけはハードカバーの最新刊で、買ったばかりなので、とりあえずこの程度しか説明できない。あしからず】
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from 長谷川
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