| しゃもんさんからのおすすめ作品 |
| Suzanne's Diary for Nicholas by James Patterson ■あらすじ紹介 出版社に勤める女性・ケイティは、失意の日々を送っていた。心から愛していた恋人から、つい先日、突然一方的な別れを告げられたのだ。ショックから立ち直れずにいる彼女のもとに、小さな小包が届いた。差出人は別れた恋人・マット。包みの中には一冊の日記帳。マットからの短い手紙が添えられていた。「こんな別れ方をすることになったのはすべて僕のせいだ。その理由はこの日記を読んでもらえばわかると思う。ただ、この日記の中には、君にとって読むのがつらく、傷つく箇所があるだろう。それでも読んでもらえたらと願う…」日記の書き手は、マットではなく、スザンヌという女性―スザンヌが、幼い息子・ニコラスに宛てて書き綴った日記だった。そしてその女性の夫、その子の父親は、マットであった。衝撃を受けるケイティ。自分は彼にだまされていたのか? マットはケイティを捨てて家族のもとへ戻ったのか? 怒りとショックでいったんは日記を読むのを止めようとしたケイティだが、マットの真意を知りたいという思いから、少しずつ日記を読み進めていく… ■感想 「他人の日記を読む」というのはそれだけで秘密の匂いがあり、後ろめたさと同時に心惹かれるものがありませんか?普通はまあそんな機会はないけれど、そういう気持ちを捉えた設定は見事で、読み進まずにはいられない作りになっています。スザンヌの日記の部分と、ケイティの「現在」が交互になっているので、日記を読んでいるケイティの気持ちや感情の変化もこまやかに伝わってくる。スザンヌの、息子ニコラスへの愛情にあふれた言葉がちょっと過剰かなというくらい繰り返されますが、楊童さんも書かれているように、これが「日記」であること、そして、スザンヌがなぜ、まだ1歳にもならない子供に宛てて日記をしたためているのかが明らかになることで納得がいきます。実際、子供のいない私が読んでも、母親の切ない愛情に胸が絞られるような思いでした。子供に宛てた日記なので言葉は比較的平易ながら、美しいと感じました。 以上のように、作品のスタイルとしては洗練されていますし、子供に対する細やかで純粋な愛情が描かれていて、心に触れる部分も多々あります。あるんですけど…心情的に、ちょっと文句というか、言いたいことが出てきてしまいました。 「マット、甘ったれてんじゃないっ!!」 …失礼しました。というのは、私には、「理由も告げずに一方的に別れを宣言し、しかもその後で他の女性が書いた日記を送りつけてよこして読めという」彼の姿勢が、甘えと自己憐憫以外の何ものでもないと感じられてしまったのです。読後、ケイティ、そしてスザンヌという二人の女性の生き方と、取った行動については確かに感動を覚えました。でも、その後からふつふつと…いかにつらい経験が自分にあるからといって、それを何も知らない恋人に無理やり共有させる、しかも自分で話すのはつらいからこれ読んでね、って、なんなのそれー!と、マットに対する憤慨を感じました。自分が話すより、これを読めばよくわかってもらえると思うから、って、そんなに言葉に自信が持てないっていうのなら「詩人」なんて商売やってんじゃない!おまけに、最後に彼がとった行動っていったら…。ああ、だめですね。やはり私のように感情移入しやすいタイプの人間は、こういう話は読まないほうがいいのかも。そうそう、楊童さんからご指摘があった「パターソン氏がこの話を書いた理由」についてですが、しゃもんの憶測は以下の通りでした: 1)実際にあった事件や事故にヒントを得て、書いてみたかった 2)誰も悪人が出てこないお話を書いてみたかった 3)男の弱さを許し、完全に受け入れてくれる慈母のような女性にめぐり合える (しかも二人も)男性にとってのロマンスを描きたかった 本当のところ、どうなんでしょうね? ≫≫このホームページ全体に関するご意見はこちらへ 投稿していただいた方のページにもどる ホームページにもどる | 書名タイトルリストへ | 著者名リストへ |