T.Kさんからのおすすめ作品
                              
    
  Rising Sun
by Michael Crichton
Rising Sun



10年一昔とは良く言うが、日本経済がこれほど悲惨な状態になろうとはバブル当時誰が予測できたであろうか。

これは日本が有り余る資金を米国に投資し企業、不動産、映画会社を猛烈な勢いで
買いまくっていた頃の話である。筋立ては一種のミステリーであるが目の覚めるようなトリックがある訳でも、びっくりするようなどんでん返しがあるわけでもない。

殺人現場を記録したビデオテープの改竄をいかに見破り真犯人を特定していくかがテクノミステリーとしての(当時としては)見せ所であろう。

しかし Crichton はミステリーの形を取りながら執拗に日本人、日本企業、日本の脅威を書く。日本在住歴のある先輩刑事、混血ゆえ日本で迫害されアメリカに渡った留学生に日本の文化歴史を語らせアメリカとの違いを際立たせる。家電が日本に征服され今や半導体やスーパーコンピューターも熾烈な攻撃に晒されている。アメリカ政府は日本の不公正をなぜ許しつづけるのか・・・・・?

 今読むとエイリアンのように真剣に日本を怖れる著者の書きぶりには笑ってしまう。その後の日米の軌跡を知っている者にはSF小説かと思えるであろう。

ご丁寧にも Crichton は後書きで至極真面目にペリー来航後の日本の努力を賞賛し
アメリカはいまこそ競争者として現実に向き合わねばならないと力説している。


バブルの頃の「日出づる国」の勢いとアメリカの抱いた恐怖を再確認して諸々の感慨にふけりたい中年と、就職すらままならない学生が「日本にもこんな頃があったんだ」と元気を取り戻す?   ための一冊です。

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