ヤマモトシンジさんから
カート・ヴォネガット作品の紹介
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 ヤマモトシンジとおっしゃる超読書家の方から、本に対する限りない愛情と情熱がほとばしるお便りをいただきました。


とにかく本好き!
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 HPの投稿のページなど読ませて頂きましたが、もうひとつピンときませんでした。というのも、私が読むタイプの作家はほとんど出番が無く、読んだことがあるのはジョン・ル・カレとパトリシア・コーンウェルくらいでした。多分みなさん「ペーパーバックを読む」ことに重点を置いて読むうちに出会った作家にはまったという方が多いのではないでしょうか?
 私の場合はとにかく本が好きで、村上春樹、筒井康隆、池波正太郎、隆慶一郎、椎名誠、灰谷健次郎、本多勝一、ロバート・ B・パーカー、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルド、フィリップ・K・デイック、カート・ヴォネガット、ジョン・アーヴィング、アン・タイラー、カーソン・マッカラーズ、パトリシア・コーンウェル、ヘッセ、ディケンズ、ドストエフスキー、その他友人の薦める本などを古典文学、現代文学、SF、時代物、ハードボイルドなどジャンルに拘らず月に10冊ペースで読んでいます。そんな中でアメリカ作品で原書で読むべきだと判断した物に限りペーパーバックを手に奮闘するといった状況です(アメリカにいた時はもちろんペーパーバックを読んでいましたが)。

 実際のところ、みなさんの読まれた作品を読んだことがないし、自分の読解能力がどの程度のものなのかがわからないので、紹介する作品が「お気楽」に読める物なのか、本当におもしろいのかといったことに自信が持てません。といっても私自身小難しいものは好きではありませんし、文学の中にもおもしろくてたまらない物はいくらでもあると思うのですが…。

 ちなみに、みなさんはドストエフスキーなど読んだことがおありでしょうか?もちろんロシア語なんてできませんし、私も日本語訳の文庫本で読みましたが、おもしろすぎて眠れない経験をした最初の作家だと思います。「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」「悪霊」どれもストーリー展開がダイナミックで息もつかせないといった感じですし、登場人物が饒舌で会話を読むだけで笑ってしまいます。それでいて底に流れる哲学・思想といったものにうならされ、とにかくおもしろいの一語に尽きます。

 ペーパーバックの紹介をするつもりが、関係のないことで長々とすみません。ただ英語であろうが日本語であろうがおもしろいものはおもしろい、英語で読むのが億劫になる
ような作品を読むことを避けたり、途中でやめてしまうくらいなら、日本語で読んだ方がいいのではと思った次第です。実際おもしろければ日本語で読んだ後、もう一度英語に挑戦する価値はあると思います。なんだかつまらないことを書いてしまいました。



今回紹介する作家は
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 さて、いろいろと紹介したい作家はいるのですが、今回は中でも特に好きな作家 Kurt Vonnegut (Jr.) の作品を紹介しようと思います。できれば作品ごとに私自身が紹介文を書くべきだとは思いますが、なにせストーリー・登場人物共に奇妙奇天烈であり、断片の繋ぎあわせ的な部分もあり、時間の流れ通りに話が進まないので、どうにもうまく紹介できません。現在ペーパーバックをすべて友人に貸しており、かわりに日本語訳のものがいくつか手元にありますので、あるものはハヤカワ文庫の裏表紙の要約を、ないものは巻末の作品紹介をそのまま代用させて頂きます。手抜きで済みません。

1.PLAYER PIANO     
全ての生産手段が完全に自動化され、全ての人間の運命がパンチカードで決められる世界とは……現代文明の行方を綴る処女長編

2.SIRENS OF TITAN     
すべての時空にあまねく存在する全能者は人類救済に乗り出す。だが、そのために操られた大富豪コンスタントの運命は悲惨だった!

3.MOTHER NIGHT     
第二次大戦中、ヒトラーの擁護者として対米宣伝に携わったハワード・W・キャンベル・ジュニア――はたして彼は本当に母国アメリカの裏切り者だったのか?戦後15年を経て彼の脳裏に去来するものは、生真面目な父、アルコール依存症の母、そして元美人女優の妻ヘルガへの思いだった……卓抜なユーモアとシニカルなアイロニーに満ちたまなざしのもとに、時代にもてあそばれた男の内面を自伝のスタイルで描いた感動の名作。

4.CAT'S CRADLE     
わたしはジョーナ。『世界が終末をむかえた日』の執筆準備にとりかかったのは、キリスト教徒だったころのこと。いま、わたしはプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島にいて、禁断のボコノン教徒を奉じている。ボコノン教に入信したそもそものきっかけこそは、ほかならぬ未完の大作『世界が終末をむかえた日』なのだった……。シニカルなユーモアに満ちた文章で定評のある著者が、奇妙奇天烈な世界の終末を描いたSF長編。

5.GOD BLESS YOU MR. ROSEWATER     
聞きたまえ!億万長者にして浮浪者、財団総裁にしてユートピア夢想家、慈善事業家にしてアル中である、エリオット・ローズウォーター氏の愚かしくも美しい魂の声を、暖かくも苦い愛のメッセージを。金がすべてを支配する現代社会で、隣人愛に憑かれた一人の大富豪が、その限りない愛と、限りある金とを恵まれぬ人々のために分け与えようとしたとき、いったい何が起こったのか……?現代最高の作家が贈る感動の名作。

6.SLAUGHTERHOUSE FIVE     
時の呪縛から解き放たれ、奇妙な時間旅行者となったビリーが経験する、けいれん的宇宙旅行!鬼才が描く不条理な世界の鳥瞰図。

7.SLAPSTIC     
ある日突然地球の重力が強くなり、緑死病なる奇病まで現れて世界は無秩序、大混乱!おろかしくも健気な人間たちのドタバタ喜劇。

8.JAILBIRD     
ウォーターゲート事件の巻き添えをくって囚人となったスターバックが回想する、前世期末のエピソード。愛と怒りに満ちたSF寓話。

9.WELCOME TO THE MONKEYHOUSE   
セックスが禁止され自殺が奨励される人口過剰の未来社会を描く表題作ほか、SFからユーモアまでヴァラエティに富んだ傑作短編集。

10.BREAKFAST OF CHAMPIONS     
不遇の生活を送るSF作家キルゴア・トラウトがアート・フェスティバルに招待された。著者自筆のイラスト満載、涙と笑いの感動作。

11.GALAPAGOS     
世界滅亡後百万年を経て、ガラパゴス諸島に漂着したわずかな生存者たちが遂げた新たなる進化とは?鬼才が描く旧人類への挽歌。

12.BLUE BEARD     
亡き妻の大邸宅で孤独に暮らす老人が、自宅の納屋にひそかに隠していたものとは?人類に奇跡を願い、鬼才が贈る感動の長編。

13.DEADEYE DICK
人生にご用心――オハイオ州ミッドランド・シティのドラッグストアで薬剤師をつとめるルディ・ウォールツは、いかにしてデッドアイ・ディック、すなわち必殺射撃人と呼ばれるようになったのか。ルディの父オットーは、いかにして若き画家アドルフ・ヒトラーと親友になったのか……祖国の中性子爆弾によって、やがては滅びる運命にある街で、奇人・変人・普通人たちがコミカルに織りなす人間模様を描く、涙と笑いの感動作。



さらに Vonnegut の世界について 
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 これらの作品以外にも、何冊か出ている様ですが、今のところ私がペーパーバックで読んだ作品はこれだけです。特に私自身のお勧めは2・4・5・7・12です。特に4.CAT'S CRADLE などは読後本当にボコノン教が存在すれば入信してしまいたくなるようなファンタスティックな作品です。といったことを言い出すと、あれもいい、これもいいとなって結局は全てお勧めですが。しかし、1.PLAYER PIANOは処女作のせいか2作目との期間が開いているせいか、作風が少々違ってたるかった記憶があります。6.SLAUGHTERHOUSE FIVEが一番有名で代表作としてよく挙げられており、映画にもなったようです。10.BREAKFAST OF CHAMPIONSはそれまでの作品の登場人物がでてくるので先に読まない方が面白いかと思います。

 それから名前の Kurt Vonnegut Jr.はどの作品からかは忘れましたがJr.が抜けています。というのも、アメリカ(欧米?)では父親と同じ名前を持つ場合、父親が亡くなるまではJr.を付けて、死後はとるといった習慣になっているからです。

 今では現代アメリカを代表する作家の一人ですが、「SF作家」「ブラックユーモア作家」などのレッテルから逃れるのに大変苦労したようです。「現代アメリカを代表する」などと言うと小難しく感じるかもしれませんが、Vonnegut の作品はストーリー同様文体も軽快なので、かまえて読む必要はないと思います。実際、アメリカでの彼の人気も、大学生らの若い読者が火を付けたと言われています。

 彼の作品は、現実ばなれした設定・展開が多く、「リアリティがない」と思われる方にはどうかと思いますがリアルでない設定の方が人間の本質を表現しやすいという解釈もできるのではないでしょうか。とにかく、おもっくそアイロニックでシニカルでありながら優しく、ドタバタだらけであると同時にひたすら哀しく、徹底的にユーモアを詰め込んでいながらド真面目な Vonnegut の世界にぜひふれてみてください。


表紙写真をクリックするとAmazon.comへ行けます。 

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