長谷川さんの洋書の楽しみ方:第3信!
またまた、ペーパーバックの達人、長谷川さんから第3信をお届けします!今回は K.フォレットと G.ヤング です。
★@ Ken Follett ケン・フォレット★
英国のジャーナリスト出身。若くして書いた「針の目」が世界的なヒットとなり、以後堅実な作品を続ける人気作家。ただ、"A Dangerous Fortune"あたりから内容が大河小説風になってきている。初めの頃のわかりやすいサスペンスの方がおもしろかったというのは、個人的な感想です。
- Eye of the Needle [映画化:針の目]
チャーチル暗殺に向けたドイツ軍工作員の話
- The Key to Rebecca [映画化:レベッカへの鍵]
ドイツ・ロンメル軍のカイロ侵入工作と必死で捜索する英軍情報部員
- Pillars of the Earth
中世の大聖堂建立をめぐる人間絵巻。魔女狩りや教会、騎士
- Night over Water
大西洋横断飛行艇航路の物語
- A Dangerous Fortune (未読了)
19世紀英国で世界でも有数の銀行業を営むピラスター家。しかし、驚くべき秘密のもとに、没落の芽がふき、裏切りや悲劇とともに広がる。
- A Place called Freedom(未読)
スコットランドの地獄のような炭坑で生涯働かなければならないマックは、自由を渇望して暴動に参加。捕らえられて、米国の植民地に奴隷として送られる。貴族の娘リジーは、彼女なりの自由を求めて、マックと関わる
- The Third Twin(未読)
ジェニーは、双子と攻撃的遺伝子の関係を調査中、FBIのデータベースから重要な秘密を発見。
★A Gavin Young ギャビン・ヤング★
私が知っている限りでは、訳本や資料の紹介は見られません。(何かあったら、ぜひ教えてほしいです。)そこで、Penguin Books の作者紹介を一部抜粋します。「ギャビン・ヤングは、少年時代をコーンウォールや南ウェールズで過ごし、オックスフォード大で現代史を学んだ。卒業後2年間、イラクのバスラにある商船会社に勤めた。その後さらに未開の地へ進み、初めはチグリス川とユーフラテス川にはさまれた南イラクのマーシュ・アラブ人達と、次いで西南アラビアの平原や山地の人々と暮らした。1960年チュニスで、彼は海外特派員として、the Obserber紙に加わった。そして世界をまたに、引き続く15もの戦争と革命をカバーした。彼はまた、同紙のパリとニューヨークの通信員でもあった。〜」
- Slow Boats to China(1981、Penguin Books:1983)
一言で表すと、ギリシアから中国まで船の乗り継ぎ旅。先日テレビで見た沢木耕太郎の「深夜超特急」の船版といったところだが、豪華船からボロ船まで取り混ぜて23隻を7ヶ月かけて乗り継ぎ、ギリシアのピラエウスから中国の広東まで旅するルポルタージュ。
大体は、不十分な食事や設備(シラミがいたり等)、何日も待たされる接続などに苦しみながら、様々な船に乗り、いろいろな土地を訪れ、人々に出会う。単なる観光案内ではなく、古典や歴史を踏まえ、一般庶民と心を開いた対話が非常に魅力的である。乗った船ごとに大体一つのエピソードで展開している。
一番気に入った場面を紹介すると、ギリシアのパトモス島で泊まった宿屋で帝政ロシアの肖像写真を見つける。政治テロの話に関連して、カンボジアでかって知り合った若い兄妹について語る。平和な時代のプノンペン。大学生と高校生の二人は、将来の夢を話し、彼をクメールの伝統舞踊に誘ったりする。しかし、次第にポル・ポト軍の危険が迫る。国際電話で彼は告げる。「君たちに命の危険が迫っている。どんな手段でもいいから、すぐ首都を脱出しなさい。」二人の返事は、「じきに学校の期末試験があるし、家族に病人がいてすぐには動けない。」懇願するようなヤングの説得もむなしく、彼らは逃走しなかった直後に、クメール・ルージュの大虐殺が始まった。手元に残されたのは、記念にプレゼントされたクメールの踊る人形だけだった。
※彼の旅程は、 ピラエウス〜ミコノス〜パトモス〜メルシン〜リマソル〜ベイルート〜ポートサイド〜スエズ〜アカバ〜ジェッダ バーレーン〜ドバイ〜カラチ〜ボンベイ〜ゴア〜コロンボ〜マドラス〜カルカッタ〜ペナン〜シンガポール〜カチン〜サンダカン〜ザンボアンガ〜セブ〜マニラ〜香港〜広東
- Slow Boats to Home(1985;Hutchinson & Co.気に入ったあまり、初版をハードカバーで買ってしまった。絶版でなければPenguin Booksにあるはず)
今度は香港から英国までの帰りの船旅。香港から上海へ北上し、次いでマニラから南太平洋の島々を渡って、タヒチからリマ(ペルー)へ。南米は空路リオデジャネイロへ飛び、南アフリカのケープタウンへ。ケープタウンから南大西洋を北上する。セントヘレナ〜アスンシオン〜ダカール〜リスボン〜ブーローニュ〜プリマス。今回も途中あちこちと寄り道をしながら、いろいろな島々や土地とそこに暮らす人々との交歓が非常に生き生きと語られる。
この2冊で、彼は旅行文学のクラシックになったと私は信じているが、残念ながら日本では全く知られていない。
- Return to the Marshes (1977、Penguin Books:1989)
中近東の秘境マーシュ地方への再訪。40年余り前、ヤングが初めて目にした時は、古代シュメール人とほとんど変わらない生活をしていた彼らの生活様式を脅かす現代戦の影が。(未読了)
Gavin Youngの紹介で、つい力が入ってしまいました。
次回は、チャンドラー等、探偵物にしましょうか。
★表紙の写真をクリックするとAmazon.comへ行けます。
以上の内容は、長谷川ご本人の了解を得て掲載させていただいております。
長谷川さんへのお便りは こちらへ
このホームページ全体に関するお便り、おすすめペーパーバックの情報は tkhs@msi.biglobe.ne.jp まで
投稿していただいた方のページにもどる 【このページのtopへ】
ホームページにもどる