初等数学史138

 キリスト教ヨーロッパにとって、12世紀は、9世紀東方イスラム教世界がそうであったように、翻訳の世紀でした。

 バグダードの場合はギリシア語からアラビア語への翻訳でしたが、キリスト教ヨーロッパはアラビア語からラテン語への翻訳でした。

 その理由は明らかです。ムーア人によるスペインでの学問芸術の発展は、フランスやイタリア、イギリスの教会の学校の知識階級の人々に非常な不安をかき立てていたのです。

 それ故に、多くの学生がスペインに流入し、学者たちの間では、アラビアからの知識の獲得し、東方の学問を知り知らしめたいという強い欲求となって現れたのです。

 バグダードが決してギリシアの文学を翻訳せず、ギリシアの学問科学を熱心に知ろうとしたように、ヨーロッパもアラビア文学にはほとんど目を向けず、カリフの都で名声を博していた天文学、算術、三角法、光学、占星術、幾何学、そして医学に関する著作に非常な関心が向けられていました。

 ラテン教会の学者たちには、ユークリッドの「幾何学原論」でさえ、オリジナルのギリシア語ではなく、主にアラビア語の翻訳を通じて知られていたのです。

 

やさしくない英語153

「アウゲイアース王の牛舎を掃除する
  アウゲイアース王は、アポロン神に捧げる神聖な白い雄牛を12頭飼っていたが、その牛舎は30年間掃除されていなかった!ヘラクレスは、その仕事を一日でするように呼び出された。彼は川の流れを変えて牛舎を流れるようにし、その任務を果たしたと伝えられている。アウゲイアース王の牛舎を掃除するというのは、後片づけをすると言う意味で、その語句は、ときどき前任者の堕落腐敗を改革する政府に用いられる。」

 ということです。これ以上何も説明することはありませんね。

 では続いて今回はこれです。

「THE BURDEN OF SISYPHUS
  This phrase has been used to describe the poor wageearners' efforts to keep up with the rising cost of living. It's a never-ending task. Sisyphus, mythological king of Corinth, was punished for his misdeeds on earth by being forced to roll a huge boulder uphill in Hades. He never finished his assignment for no sooner had he rolled the stone near his goal than it slipped downhill, and he had to start all over again.」

難読漢字157

「孟献子(モウケンシ)曰く「馬乗(バジョウ)を畜(ヤシナ)えば、□(奚+隹)豚(ケイトン)を察せず。伐冰(バツピョウ)の家は、牛羊(ギュウヨウ)を畜(ヤシナ)わず。百乗の家は、聚斂(シュウレン)の臣を畜(ヤシナ)わず。其の聚斂の臣有らんよりは、寧(ムシロ)ろ盗臣有れ」と。此れを國(クニ)利を以て利と為さず、義を以て利と為す、と謂うなり。」

 孟献子の話ですが、「聚斂之臣は民の膏血を搾り取って上にたてまつるので人民はその害を受ける。盗臣は主君の倉庫から盗み出して自分の懐に入れるがその禍は下に及ぶわけではない。仁者の心は至誠仁愛惻怛であって、自分の財貨を失っても民力を傷つけるには忍びない。」それを「聚斂之臣有らんよりは、盗臣有れ」と言っているのですね。

 つまり、国にとっての利益とは、単なる利益が利益なのではなく、義こそがそうなのだと言うことです。

 今回も、島田虔次著「大学・中庸」(朝日新聞社)の「大学 伝第十章」からです。

 これで「大学」も終わりです。

「長国家而務財用者。必自小人矣。彼為善之。小人之使為国家。□(くさかんむり+巛+田)害並至。雖有善者。亦無如之何矣。此謂国不以利為利。以義為利也。」

 

 

 

 

 

  
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