この仕事は杭の設計で苦労しました。取付擁壁の杭種・杭径の検討で、擁壁背面土の形状から、壁高の低い擁壁の方が高いものより大きな杭が必要に成ったり、フーチング幅を広げると杭応力が増加したりとかの、常識に反するような結果のケースが出てしまいました。計算上はこれで間違いはなっかたのですが、結果だけ見て判断する人たちにこれを納得させるのは難しいと思い、背面土形状を多少修正する等して、説明できる様な結果にしておきました。

結果的に杭種・杭径は擁壁部が鋼管杭φ900、本体部がφ1000となったのですが、工事発注後に役所から「この杭の中に残土を入れられないか」との問い合わせがあったそうです。杭の施工を中掘工法としていたためこの残土の処分に困ったようですが、元請けコンサルさんは、支持力の計算で杭内の土の重量を見ていないからと、いかにもコンサルらしい理由付けで、否定したそうです。しかし最近のように建設残土の処分が問題になってくると、特に大口径杭の場合この辺の事も考慮して設計しなくてはいけないのかもしれません