ある公共施設の敷地造成に伴い、この施設の駐車場下に設けた、雨水の流出を調整するための施設です。この仕事をする2,3年前、この地区では大雨による河川の氾濫等の災害に見回れており、この経験からこのような施設が計画されたものと思われました。

 

構造としては、流出させる下水路との高さ関係から、浅く広い形状での容量確保が求められ、検討の結果、鉄筋コンクリート現場打ちのフラットスラブ構造とする事に成りました。

 

 

 

構造計算をして部材寸法を確定し、構造図が出来上がった時、この施設の中に防火用水用として雨水を貯留する機能を持たせようと言うことになりました。この年は雨が少なく、水不足のため節水を呼びかける広報車やポスターが至る所で見られるような状況で、こんな大容量の水を全て流してしまうのが勿体なく思われたのでしょう。

雨水の貯留については調整池内に必要容量を確保する隔壁を設け、洪水の予想される雨期には隔壁に設けたゲートの開放より、洪水調整容量が確保できるような構造として対処しました。規模が大きいのと、土木ではあまり無い柱とスラブの構造のため、配筋図は随分苦労しました

何かと手間のかかった仕事でしたが、何とかまとめて納品して暫くした頃、元請けコンサルさんから「鉄筋の許容応力が違うんじゃないか?」と言って来ました。「しまった!」と言う思いのあと、あの面倒な配筋図の変更が頭に浮かびました。当初この施設には一時的にしか水が溜まらず、地水位も低いことから側壁と底版を一般の部材として扱って許容応力を設定していましたが。その後、常時水に接する部材に変わっていたのでした。慌てて構造計算書をチェックしてみたら、幸いにも一部変更のみで対処出来たのでよかったのですが、思わぬ所で水不足の余波を受けてしまった仕事でした。