2000年を振り返る

忙しかった・・けど

 今年は仕事に追われた一年だった。新年早々から仕事が入り、一年中切れることなく仕事があった。幸い地区の役員としての仕事(雑用)が今年は少なかったため助かったが、本業の方は時間を限られたものが多く、肩凝りや眼精疲労に悩まされながらも深夜まで(時には早朝まで)仕事をした事がしばしばあった。しかし、今振り返って見ると、内容的に記憶に残る仕事がない。年度末業務の検査用成果品が目的のもの、原案が決められていて図化して数量計算をするのみのもの、工期延長の限界にきて急きょ外注されたもの、他の外注先から断られてまわってきたもの等々、いわゆる雑用業務が殆どだった。時節がら仕事が有るのはありがたいことと思ってやってきたが、年間の売上額の数字は、一年の労をねぎらうには、些か寂しいものがある。これも、時節がら仕方の無いことなのであろうか

夏の思い出

 技術士など、自分には無縁のものと思っていたが、業界の業務量減少の中で受注の確保のためと、技術士試験制度の改革に対する焦りから、今年の夏は技術士試験に挑戦し、集中した訓練の成果のかいもなく惨敗を喫した。受験の動機の中には、一時のブランクはあったものの、農業土木を目指し、農業土木を歩んできた自分の技術屋としての証が欲しかった事もあったのだが、受験対策を進めていく中で、現在の農業土木に求められているもの、これからの農業土木の目指すもののアウトラインをつかんだことにより、自分の技術屋としての希薄性を認識する結果ともなった。試験不合格の原因はやはり勉強不足であったと思う。昨年の暮れの忘年会で受験を誓い合った大学の同期3名が集まった今年の忘年会で、うち1名の合格(予定)体験談を聞くことが出来たが、筆記試験の対策として18パターンの解答例を用意し、体験論文についても先輩技術士から何度も添削を受けて仕上げたということだった。回答例を1例づつ用意するのがやっとだった受験対策で合格出来る答案を書くのは最初から無理であり、自己満足の体験論文では、たとえ他の解答が合格ラインをクリアーしていたとしても、口頭試験の案内状を受け取ることは出来なかったであろう。我々の仕事は仕事量の時期的な予測が困難であり、時間的にもけじめを付けることが難しいため、実務をこなしながらの受験対策にはかなりの努力が必要となるが、最近の建設コンサルタント業務発注方式見直しの傾向や、ISOにより一新されたコンサルさんからの業務注文書に技術者のランク「B」と書かれていた現実を見ると、実務の多忙を理由に受験を回避することが、この仕事を続けていく上で決してプラスにならないことは明らかである。しかし、技術士となる事の難しさを痛感させられたこの夏の経験は、来年の受験に対してエールを送ってくれてはいない。

戻らない時間

 今年7月から1ヶ月半ほど父親が入院していた。幸い今は通常の生活に戻っているが、年老いていく両親を見ていると、人生が有限であることを思い知らされる。一緒に暮らしていると、農家の長男でありながら農業を継がず勝手なことばかりしている私を、細々と農業を続けながら見守ってくれている両親を、時としてうっとうしく思うこともあるが、子を持つ親となって親のありがたさを痛感することも次第に多くなってきている。人生は巻き戻しのきかないドラマだと思う。しかし、親から学び、子に示す人生の生き様は、エンドレスのドラマを作り出していく。自分が今、こんな立場であることを肝に銘じながら、来年も家族のために頑張っていきたいと思っている。

サンタがばれた日

「わー!サンタさんのプレゼントだ!」始めて枕元にプレゼントを置いたとき、これを見て叫んだ長女の歓喜の表情を、毎年思い出しながらプレゼントを仕入れて来きていたオトオサンタが、とうとうその正体を明かしてしまった。情報収集役の妻からもらったメモを頼りに買い込んできたプレゼントの入った袋をぶら下げて玄関を入ったら、そこに長女がいた。

長女(中一)

「おとうさん、それ何?」

後ろから出てきた長男(五歳)

「何 買ってきた?」

私、思わず長女に向かって 

「シー!」     

長女(中一)含み笑いをしながら

「もしかして, あれ?」

私 とまどいながら

「うん」

袋の中身を知りたがる長男を必死でなだめようとしている私をみながら、長女は禁断の光景をみた喜びで腹を押さえながら笑い転げていた。後で聞くと長女は小学校の5年頃、友達との会話でサンタクロースの正体を知らされたらしいが、それを確認することが出来なかったため、今日まで心の片隅に赤い服を着た白い髭のサンタクロースが残っていたそうだ。

「これでもう、私も大人だね。 来年は私の分は一緒にお店に行って買ってよ」

「一緒に」の言葉に顔をほころばしたが、来年は財布の中身を気にしながらの買い物になりそうだ。長女にとってのサンタクロースは消えたが

「サンタさんに直接合ってお願いしたいけど、会えないので手紙を書きます。私の欲しいプレゼントは○○○です。」とパンフレット付きの手紙を部屋に張り出していたチャッカリものの次女と、何の疑問も持たずサンタさんのプレゼントを無邪気に喜ぶ長男のために、まだまだオトオサンタを続け無ければならない。いや、むしろ出来るものならいつまでも続けたいと思っている。プレゼントに喜ぶ子供達の笑顔は、親にとって最高のクリスマスプレゼントなのだから。

21世紀に向けて

 2000年を迎えるに当たっては、200年問題が騒がれたせいもあったのか、胸躍らされるものがあったが、21世紀の幕開けにたいしてそれほど特別な感情が湧いてこないのは私だけだろうか?鉄腕アトムを見て想像していた21世紀は、予想を超える形で今迎えられようとしている。幼いころ、とても印象的な言葉であった「電子頭脳」が今、目の前にある。ほんの四半世紀の科学技術の進歩は目覚ましく、鉄腕アトム世代の夢はほぼ実現されたように思うが、反面、数々の問題も引き起こしており、目指して来たものへの反省を一番大きく感じている世代なのかも知れない。いずれにせよ、21世紀を歩める歩数はそれほど多くない。日々の生活を充実させ、悔いのない人生を送ることが一番大事なのだろう。こんなネガティブな思いで、21世紀を迎えようとしている。