チェビシェフ型不等式
(1)平均と標準偏差による分布の分析
チェビシェフ型不等式を用いると、平均と
標準偏差を組合わせて、平均の回りの分布
状況を、構造的に把握することができます。
チェビシェフの不等式は、任意の正数 k
に対して
Pr(|X-μ|<kσ)≧1-1/k2
となります。ここに μは分布の平均、
σは標準偏差です。
チェビシェフの不等式は、分布の連続、離散に関わらず、成り立ちます。
分布に条件がつくと、kσの幅や割合(1-1/k2)が変わり、効率も上がります。
次表の数値は、平均の前後に標準偏差の k倍の幅をとったとき、幅の内側の面積の、全体
に対する割合を示します。
k=→ | 1 | 1.5 | 2 | 2.5 | 3 | 3.5 |
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条件なし | - | 0.56以上 | 0.75以上 | 0.84以上 | 0.88以上 | 0.91以上 |
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単峰・連続 | 0.43以上 | 0.74以上 | 0.85以上 | 0.90以上 | 0.93以上 | 0.95以上 |
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単峰・連続・対称 | 0.55以上 | 0.80以上 | 0.88以上 | 0.92以上 | 0.95以上 | 0.96以上 |
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正規分布 | 0.68 | 0.87 | 0.95 | 0.99 | 0.997 | 1.000- |
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上表の「条件なし」はチェビシェフの不等式による評価。
「単峰・連続」はチェビシェフ型不等式の1つであるゼルベルクの不等式による評価。
「単峰・連続・対称」はチェビシェフ型不等式の1つであるガウスの不等式による評価。
これらにより、単峰の連続分布では、平均の周りに標準偏差の2倍半の幅をとれば、
その中に全分布の9割以上が含まれるといえます。
正規分布のように、分布の型が確定したときは、割合は下限値ではなく、正確な値となります。
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