変数変換による計算
(2)分散、標準偏差の計算
変数の値が一様に大きかったり、ある数の倍数であったりするとき、計算が煩わしくな
ることがあります。そのような場合、変数にある定数を加減したり、変数をある定数
で乗除すると、変数の桁が少なくなるなど、値が簡単になる場合があります。
その場合、簡単になった値に対して所要の計算をしてから、先に用いた定数で逆算する
と、目的の計算値を求めることができます。
このようにして、変数の値を変えることを、変数変換といいます。変数の加減乗除に用
いる定数は、任意で構いませんが、選択の仕方によっては、計算が一層面倒になるこ
とがあります。
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計算例
変数 Xの値を
10025,10030,10020,10015,10005
とし、これらの分散、標準偏差を求めるのに、各値は一様に 10000に近いので、各値から 10000
を引くと、各値は
25,30,20,15,5
となります。これらは皆 5の倍数ですから、これらを 5で割ると
5.6.4.3.1
となります。これらの値を Yで表わせば、Yは元の変数 Xに対して
Y=(X-10000)/5
という変換を行ったことになります。
そこで、Yについて分散を求めますと、
σY2=2.96
となります。
次に、X の分散を求めるため、用いた定数によって逆算します。分散の場合は、乗除
に用いた定数だけが使われ、加減に用いた定数は、使いません。Xの分散は
σX2=52*σY2=74
となります。Xの標準偏差は、Xの分散(逆算後)の平方根で、√74=8.60 です。
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理論
変数 Xに対して、適当な定数 a,b(≠0)をとり、
Y=(X-a)/b
とおくとき、これを Xの1次変換といいます。
分散に関する変数間の関係は、
σY2=σX2/b2
となります。aは分散、標準偏差に関係しません。
これにより、Xの分散は、YをXに逆算して
σX2=b2*σY2
となります。Xの標準偏差は、Xの分散(逆算後)の平方根で、√(σX2)=σです。
なお、
Y=X/c-d
の形で変数変換をしたときは、逆算は
σX2=c2*σY2
で行ないます。ここでも dは式に関係しません。
上の理論は、任意の a,b(≠0),c(≠0),dで成り立ちますが、a,b,c,dの選び方によっては、
計算が楽にならないことがあります。
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練習問題
次のデータは、ある理髪店の料金別客数の統計です。単価の分散、標準偏差は幾らですか。
1500円 61人
1700 92
2000 37
2200 20
2400 15
ヒント:度数分布表の形になっていますが、変数変換を行った後、度数を用いて変数変換後の
分散を計算し、逆算して変数変換前の分散、標準偏差を出します。用いる定数は、
例えば a=2000, b=100 でよいでしょう。
[答 分散134432(円2)、標準偏差366.6(円)]
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