確率を易しく理解しよう(4)
実現した事象と実現確率の関係(1)
例、 袋の中に不揃いのトランプのカード64枚が、かき混ぜられてあります。この中から
1枚を取ったところダイヤの8でした。こうなる確率を考えます。
この確率は、64枚中のダイヤの8の枚数によって決まります。解ったことは、ダイヤ
の8が少なくとも1枚あることです。そこで、ダイヤの8の枚数をD8とすれば、求める
確率は、D8/64となります。(1≦D8≦64)
次に、D8の色々な状況を想定して、確率と上例のできごと(以下「事象A」といいます。)
のつじつまについて検討してみます。評価は、著者の見解です。
1、もし、ダイヤの8の枚数が64枚であったとすれば、事象Aが起きる確率は64/64=1となり、
事象Aが起きたのは当然です。
2、もし、ダイヤの8の枚数が50枚であったとすれば、事象Aが起きる確率は50/64=0.78と
なり、1回の試みで事象Aが起きたのは納得できます。
3、もし、ダイヤの8の枚数が20枚であったとすれば、事象Aが起きる確率は20/64=0.31と
なり、1回の試みで事象Aが起きたのは、やや以外な感じもしますが、必ずしも珍し
いこととは思いません。
4、もし、ダイヤの8の枚数が10枚であったとすれば、事象Aが起きる確率は20/64=0.16と
なり、1回の試みで事象Aが起きたのは、確率が小さいので、珍しいと思います。
5、もし、ダイヤの8の枚数が1枚であったとすれば、事象Aが起きる確率は1/64=0.016と
なり、1回の試みで事象Aが起きたのは、確率が非常に小さいので、稀なことが起き
たと考えます。
以上のことから、ダイヤの8の枚数と事象Aのつじつまを考えると、ダイヤの8が1枚の場合、
事象Aは64回に1回の割合で起きるので、ただ1回の試みで起きたのは、全くの偶然で、普
通はダイヤの8以外が引かれると考えます。ここに「起きにくいことが起きた」という矛盾
感が生じます。
ダイヤの8の枚数が2枚であっても、似たことが言えそうです。
こうして、事象Aの実現を「不自然」と判断するダイヤの8の枚数を決めることができます。
何枚とするかは、人によって異なるでしょう。
詳しくは→「有意水準」
目次 前頁 次頁