標本誤差(推定誤差)
標本誤差とは、推定量の、推定の目的値の周りの確率変動をさす概念語で、推定誤差と同じ意味です。
尺度は種々あり、場面に適するものを選択し、例えば、「標本誤差は、標準誤差率でいえば5%である。」などと
具体的尺度を添えていいます。「標本誤差は、5である。」では、意味不明です。
以下に、標本誤差の具体的尺度の幾つかを示します。
母集団の特性値θの1つの推定量をとするとき、のθに対する標本誤差を表わす基本形は、
E(-θ)2
です。
これは、の全ての実現値の、その目的値との乖離を、平方の形で総平均したものです。
がθの不偏推定量である場合、E(-θ)2はの分散で、その場合、
E(-θ)2=V() (1)
となります。(1)の平方根をの標準誤差といいます。の標準誤差は、
のθの周りの標準偏差です。母集団の標準偏差とは異なります。
がθに対して偏りを持つとき、E(-θ)2はのθに対する平均平方誤差と呼ばれます。
その場合、
E(-θ)2=MSE() (2)
となります。
推定の誤差は、推定量の1つの実現値に対するものではなく、の全ての可能性に対するものです。
したがって、の実現値がθに一致しても、しなくても、誤差は同じです。
標本誤差は、相対値で表わすことがあります。例えば、がθの不偏推定量のとき、
V()/θ2
は相対分散、
がθに対して偏りを持つとき、
MSE()/θ2
は相対平均平方誤差、
がθの不偏推定量のとき、
√(V())/|θ|=σ()/|θ|
は相対標準誤差(標準誤差率)、
がθに対して偏りを持つとき、
√(MSE())/|θ|
は相対平均誤差で、標準誤差率と同次元の尺度です。
標本誤差、標準誤差、標準偏差などの用語の意味を混同しないよう気をつけましょう。
誤差:Error
標本誤差:Sampling error
標準語差:Standard error
平均平方誤差:Mean square error (MSE)
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