エチレンオキシドを用いた滅菌作業における健康障害防止対策について
滅菌作業に使用されるエチレンオキシドは、別名酸化エチレンとも呼ばれ無色のガスで、目を刺激したり吸引により吐き気を起こすだけでなく、人に対する発がん性があることから労働安全衛生法令により規制されており、その取り扱いには十分に注意する必要があります。
| <エチレンオキシドの有害性等について> (1)発がん性 @IARC(国際がん研究機構) グループ1(ヒトに発がん性あり) A日本産業衛生学会 第1群(人間に対して発がん性がある物質) BACGIH(米国労働衛生専門家会議) A2(ヒトに対する発がん性が疑われる) (2)人体への影響(出典:中央労働災害防止協会 化学物質の危険・有害便覧) 濃厚な液体が皮膚につくと、水疱ができる。 目にはいると、角膜炎を起こすことがある。 蒸気を吸入すると、低濃度の場合は、悪心・吐き気、高濃度の場合は、目・皮膚・粘膜を刺激する。 多量に吸収すると、麻酔作用を起こし死亡することもある。 |
1 規制の対象となる滅菌作業
対象となるのは、エチレンオキシド及びエチレンオキシドを1%以上含む滅菌用ガスによる滅菌作業です。
2 小型の滅菌器におけるばく露防止措置
内部に人が立ち入ることができない構造の小型の滅菌器を用いる作業では、一定の性能を有する局所排気装置を設置するか、エアレーションを行う設備を備えたものを用いて次の(1)から(3)の措置を講じなければなりません。
(1)滅菌器の内部にエチレンオキシドの充填を開始する前に、滅菌器の扉が閉じていることを点検しなければ なりません。扉に滅菌する器具のチューブなどが挟まりしっかり閉じていないと、滅菌器の外部にエチレンオキシドがもれ出すおそれがあります。
(2)滅菌を終了したら、扉を開く前に、定められたとおりの手順でエアレーションを行わなければなりません。
正しいエアレーションの手順は、滅菌器により異なるので、メーカーの取扱い説明書に従ってください。
(3)滅菌器が設置されている作業場では、全体換気装置等により十分な通気を行わなければなりません。
3 大型の滅菌設備におけるばく露防止装置
(1)上記の2に該当しない大型の滅菌設備や、部屋全体を滅菌する設備で内部に人が立ち入る構造の滅菌設備における作業において、内部に立ち入る場合には、エアレーションを行った上で、有機ガス用防毒マスク等を使用し、残留するエチレンオキシドによるばく露を防止しなければなりません。
(2)滅菌を終了したら、扉を開く前に、定められたとおりの手順でエアレーションを行わなければなりません。
正しいエアレーションの手順は、滅菌設備により異なるのでメーカーの取扱い説明書に従ってください。
(3)滅菌設備がある屋内作業場では、全体換気装置等により十分な通気を行ってください。
なお、滅菌設備が特定化学設備に該当する場合には、下記4に掲げる措置が必要になります。
4 漏えい防止措置
部屋全体を滅菌設備として使用し、建物と−体である等移動ができない滅菌設備は特定化学設備に該当し、3の措置に加えて特定化学物質等障害予防規則(特化則)に基づく次のような漏えい防止のための措置を講じなければなりません。ただし、既存の設備に対する力及びケの措置(※)については平成14年4月30日までの間に措置することとされています。
| ア 腐食防止措置(特化則第13条) ウ バルブ等の表示等(特化則第15条) オ 供給原材料等の表示(特化則第17条) キ 警報設備等(特化則第19条) ※ケ 不浸透性の床(特化則第21条) サ 定期自主点検(特化則第31条) |
イ 接合部の漏えい防止措置(特化則第14条) エ バルブ等の材質等(特化則第16条) ※カ 2以上の出入口(特化則第18条) ク 作業規程(特化則第20条) コ 適切な容器の使用等(特化則第25集) シ 計画の届出 |
なお、このような滅菌設備は、化学設備にも該当するので、労働安全衛生規則の規定にも留意してください。
○ 計画の届出について
上記の2の局所排気装置、上記4の特定化学設備を設置する場合には、設置工事の30日前までに工事の計画を労働基準監督署長あて届け出なければなりません。(平成13年7月31日までに設置されるものを除く。)
○ 作業規程について
特定化学設備に該当する滅菌設備については、エチレンオキシドの漏えいを防止するため必要な作業規程を定め、これにより作業をしなければなりません。作業規程は、滅菌設備メーカーの使用説明書を用いても差し支えありませんが、法舎に定める事項が含まれることを確認してください。
5 作業主任者の選任
滅菌作業については、有資格者のうちから特定化学物質等作業主任者を選任しなければなりません。この資格は、特定化学物質等作業主任者講習を修了することにより取得できます。作業主任者の選任は、平成15年5月1日以降の作業について行う必要があります。
6 作業環境測定
滅菌作業を行う屋内作業場では、6月以内ごとに1回、作業環境測定士による作業環境測定を行わなければなりません。作業環境測定は、作業環鏡測定機関に委託して実施することもできます。この測定は、平成14年5月1日以降6月以内ごとに行う必要があります。
7 特定業務従事者健康診断
エチレンオキシドを用いて行う滅菌作業に従事する労働者を対象として、配置換え及びその後6月以内ごとに1回、定期に、一般健康診断を行わなければなりません。この健康診断の項目、結果の記銀、事後措置等については、すべての労働者に義務付けられている1年以内ごとの一般健康診断の場合と同じです。
8 名称等の表示
平成13年11月1日以降に充填されたエチレンオキシドガスボンベ等の容器を購入するときは、その容器に内容物の名称、成分及びその含有量、人体に及ぽす作用、貯蔵又は取扱い上の注意、表示をする者の氏名(法人の名称)及び住所が表示されていることを確認してください。また、エチレンオキシドに係る化学物質等安全データシート(MSDS)も漆付される必要があります。
9 ボンベの交換について
屋内でのエチレンオキシドガスボンベの交換のような臨時の作業においても、有機ガス用防毒マスク等を使用し、エチレンオキシドによるばく露を防止しなければなりません。
10 その他
滅菌終了後においても、滅菌物の材質や大きさによっては、滅菌した物に吸着したエチレンオキシドが発散 することがあるので、必要に応じて、専用のブース内で一定時間保管することにより吸着したエチレンオキシ ドを発散させて排気するよう努めましょう。また、エアレーション終了後に滅菌設備内に長時間放置してある 滅菌物を取り出す場合には、吸着したエチレンオキシドが滅菌設備内に発散しているおそれがあることから、 再びエアレーションを行う等により滅菌設備内に残留するエチレンオキシドを排出することも重要です。