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「MUSICA MUNDANA No.25」をお届けします。
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MUSICA MUNDANA NO.25
Feb.28.2003
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◆ 目次 ◆
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◎ 音楽史
ギリシア--アリストクセノス
◎ 数学史
ギリシア--ピュタゴラス(その3)
◎ Homepage Updated (Feb.28.2003)
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◎ 随想
◎ あとがき
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━━[音楽史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ギリシア--アリストクセノス◆
前回、アリストテレスの話をしまして、ピュタゴラスの数学的宇宙論的
音楽論に対して、人間主義的な音楽論について触れました。そのアリス
トテレスの立場を一層進め、後世に多くの影響を及ぼしたのが、アリス
トクセノスです。
アリストクセノスの時代は、ギリシアの古典音楽の様式はほとんど記憶
から薄れていましたが、アリストクセノスは優れた音楽家の息子であっ
たこともあり、BC4世紀の古典の伝統の音楽で詩作するなど、優れて
実際的で、理論一辺倒に傾くということはありませんでした。
また、アリストテレスは半音以下の微分音を測定できるかどうか疑って
いましたし、プラトンは微分音の違いに耳を傾けるように主張する学識
ある音楽家たちを愚弄したりしているのですが、アリストクセノスは、
「二つ以上の微分音を続けて歌うことは不可能である。三分の一音を用
いることと、一音を三つの部分に分けたり三つの音をすべて歌ったりす
ることとは全くの別の問題である」と言っています。
つまり、理論と実践の違いをきちんと認識していたのです。理論上可能
でも実践上不可能なこともある、ということです。(現代でも、コンピ
ュータ音楽などでは、どんな音程も演奏は可能になってきていると思い
ますが、聞いて違いが分かるというのはなかなか大変なことでしょう。)
「私たちは、ハルモニクスの理論家、彼らの稠密な理論に従うべきでは
ない。」「私たちは、生まれながらにして、声で、どんな音程で歌い続
けられるのか見いだそうとしなければならない。」「最初で最も古いゲ
ノスは全音であり、人は自然にそれを獲得した。第二のものが半音であ
り、第三の最も新しいものが半音以下の音程である。それには、多くの
厳しい訓練によってのみ慣れることができる。」しかし、それにも関わ
らず「おおよそ最も美しい。」
アリストクセノスは、こう語ります。
━━[数学史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ギリシア--ピュタゴラス(その3)◆
音楽に関しては、音楽史ですでに触れましたので、ここでは触れないこ
とにしますが、もう少しピュタゴラスについてお話することにします。
彼の結成した教団は、その影響が大きくなりすぎたために解散させられ
てしまうのですが、その生き残りのメンバー達はギリシアでその教義を
広めていたようです。ピュタゴラス自身はクロトナからの亡命中、恐ら
く、タレントゥムで没しただろうと言うことです。
しかし、数世紀後、BC343年、第一次サムニウム(Samnite)戦争の大災難
の間に、ローマは「ギリシアで最も賢明で勇敢な人」として名誉を与え
るようにというデルフィの神託の命に応えるかたちで、元老院はピュタ
ゴラスの彫像を建立します。そして、人々はヌマ王(Numa)の師と呼ぶよ
うになります。
この間の事情は、詳しいことは分からないのですが、アリストテレスが
生まれたのが BC384年ですから、「彼の伝説は特にアカデメイアとペリ
パトス派で確立した」(ピュタゴラス派―その生と哲学―B.チェント
ローネ 斎藤 憲 訳)という事情と関係がありそうですね。
マイナーな人達ですが、ピュタゴラスの同時代の人に、ミレトスのアナ
クシメネスや詩人のステシコルスの兄弟であったアメリストスなどがい
ます。
ディオゲネス・ラエルティウスは、アナクシメネスがピュタゴラスに宛
てた書簡を二通引用しているのですが、彼の好みは数学というよりは哲
学にありました。アメリストスは、プロクロス(AD412-485)によって優
れた才能を発揮した幾何学者として言及されているのですが、それ以上
のことは知られていません。
━━[随想]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「MUSICA MUNDANA No.22」で、ピアノの起源について少し書いたのです
が、「ピアノ」という言葉の語源は、バルトロメオ・クリストーフォリ
(Bartolomeo Cristofori)がいうところの、「ピアノもフォルテも出せ
る新しく発明されたハープシコード(チェンバロ)」(Arpicembalo ...
di nuova inventione, che fa' il piano, e il forte)からきています。
それは、後年「強弱のつけられるチェンバロ(Gravicembalo col piano
e forte)」と呼ばれるようになり、それが、やがて「ピアノフォルテ
(pianoforte)」になり、最後には「ピアノ」になったと言うわけです。
ところで、これに似た話を見つけましたので書いておきましょう。
(古典ギリシア語事始--ギリシア古典の蘊蓄
http://home.highway.ne.jp/skondoh/unchiku.html)
「林檎のことをギリシア語では「メーロン」melon (μηλον) とい
うのだそうですが、これは別に歴史の過程で林檎がメロンに化けた訳で
はなく、メロンや瓢箪のことを「ペポン」pepon といい,のちにその
pepon の一種が melon と pepon を合わせて melonpepon と名づけられ
たのだそうです。
その 「メロンペポン」melonpepon の前半だけが俗語の中で切り取られ
呼び名とされたのが,今日のメロンだということです。強弱自在の音が
出せるというので pianoforte と名づけられた楽器が,今日ピアノとい
われるのと同じ原理である。(アテナイオス『食卓の賢人たち』,柳沼
重剛の訳注に補筆[に私が少し手を加えている])」
私の小さな古典ギリシア語辞書(Lexicon abridged from Liddell and
Scott's Greek-English Lexicon)では、pepon らしき単語と言えば、
πεπωνしか載っていませんが、その意味は「(果物が)熟した」と
いう意味でした。melonpepon というと、「熟したリンゴ」と思ってしま
った私でした。
━━[催し物情報]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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◇巡礼研究講演会「四国遍路と六十六部」
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近年,「癒しの文化」として四国遍路への関心が高まりつつありますが,
学術的な研究は十分に進展してきたとはいえません。また,遍路以外の
多様な巡礼習俗についてはほとんど知られていません。そこで,巡礼研
究の前進を図るとともに,多くの方に巡礼文化に関心をもっていただく
ため「四国遍路と六十六部」をテーマとした講演会を開催します。
○日 時 3月22日(土)13:00〜16:30
○場 所 文化の森イベントホール
○講 師 長谷川賢二(博物館学芸員)
○対 象 一般
○定 員 200名
※申し込みは必要ありません(直接会場へおこしください)。
徳島県立博物館のその他の催し物情報は、以下のサイトをご覧ください。
http://www.museum.comet.go.jp/
━━[Homepage Updated]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ホームページ update情報
落書き帖第141号
音楽史/Oxford/第2部/14世紀のアルス・ノヴァ
マショーとポリフォニーによる通作ミサ
初期イタリアのポリフォニー
音楽史/Pelican/第一巻/単旋律聖歌/ローマの典礼:聖歌の業(わざ)
数学史/Smith/第六章/西洋の東洋文明/
サクロボスコ・ロジャー・ベーコン・ジョン・ペッカム
フランスの学者たち・ドイツの著述家たち
13世紀の他の著述 家・ビザンチンの著述家たち
語学/ロシア文学/ペテルブルクからモスクワへの旅
革命への呼びかけ・ラジーシチェフの描くロシアの民衆・旅の様式
ラジーシチェフの書物の運命・ラジーシチェフの意義
ラジーシチェフについて、В.И.レーニン
語学/ロシア文学/18世紀文学の発展の結果
MySouda--惣田正明のホームページ
http://www004.upp.so-net.ne.jp/mysouda/
惣田正明のホームページ
[総合版] http://homepage1.nifty.com/m-souda/souda/index.html
[SIMPLE版] http://www004.upp.so-net.ne.jp/mysouda/index1.html
[FRAME(midi,anime)版]
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[AIHARA Hiroaki's Page]
http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/aihara/index.html
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重くて仕方のない方は、[SIMPLE版]をご覧ください。
━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月も終わりです。3月に入ると春が近づいて来ているという感じにな
るのでしょうが、世界情勢はアメリカのイラク攻撃があるかどうかの問
題に関心が高まっているようですね。
国連イラク査察問題と関連して、新国連安全保障理事会決議案が注目さ
れています。英米 vs 独仏という構図に諸外国がからんで複雑な様相を
呈していますね、
と言っても、アメリカは決議案が否決されても攻撃をするかも知れませ
んが。
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■発行人:文責:相原寛彰 ■発行:MySouda
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