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 「MUSICA MUNDANA No.20」をお届けします。

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           MUSICA MUNDANA NO.20
             Sep.30.2002
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             ◆ 目次 ◆

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 ◎ 音楽史                           
    ギリシア--ギリシア初期音楽理論(その2)
 ◎ 数学史
    ギリシア--ギリシア数学
 ◎ Homepage Updated (Sep.30.2002)
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 ◎ 随想                 
 ◎ あとがき               
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━━[音楽史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ギリシア--ギリシア初期音楽理論(その2)◆  

 前回、ギリシアの分離型テトラコードの話をしましたが、結合型(接続
 型)テトラコードというのもありました。

 アリストテレスが、「ドリア起源の人々は、アイオリス人とは違って、
 分離した音によって二つのテトラコードに分けた」と言っていることか
 ら、分離型テトラコードはドリア起源ということができるでしょう。後
 には分離型テトラコードが主流になるのですが、この頃までは、結合型
 のテトラコードの方が主だったと言うことになりましょうか。

 結合型というのは、上の方のテトラコードの第4音(一番低い音)が、
 下のテトラコードの第1音(一番高い音)になるところが分離型とは
 異なります。現代のピアノの鍵盤で言いますと、d'',c'',b''フラット,
 a'',g',f',e' です。(分離型では、d'',c'',b''フラット,a'',g',
 f',e'フラット,d')上のテトラコードの第4音(a'')は、メーセ(真ん中
 の音)と呼ばれ、最も重要でギリシアの音階体系の中心でありました。

 全音階のゲノスの他に、ギリシアには、半音(クロマティック)のゲノ
 スと半音以下の音程(エンハーモニック)のゲノスとがありました。半
 音のゲノスでは、音程は「短3度、半音、半音」であり、半音以下の音
 程のゲノスでは、「2全音、1/4音、1/4音」、あるいは、恐らくもとも
 とは「2全音とレイムマ」の二つの音だけではなかったかと言うことで
 す。

 この2全音は、ギリシアの旋律を後のヨーロッパの旋律とを区別する主
 要な特徴の一つで、西洋(平均律)の長3度より少し大きく、私たちに
 はより鋭く聞こえるそうです。  

━━[数学史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ギリシア--ギリシア数学◆

 前回も述べましたように、ギリシアの計算術であるロジスティックにつ
 いては、正確な内容はほとんど知られていませんが、数の理論であるギ
 リシアの算術はそうではありません。哲学者たちのテーマとして、哲学
 者たちのよって書かれた著作を通して、後のギリシア人によって残され、
 現代まで伝えられてきました。その詳細は、初期の時代に伝えられたオ
 リジナルのまま、恐らくほとんど変えられていないでしょう。

 ロジスティックも算術も、西洋だけでなく東洋でも発達しましたが、論
 理科学としての幾何学は、純粋に西洋文明の産物でした。直感的な幾何
 学は、普遍的なものであり、発達段階や過程は異なっていましたが、世
 界の様々な地域で見られます。

 例えば、三平方の定理(ピュタゴラスの定理)は、ピュタゴラスよりず
 っと以前からエジプトでは知られていたでしょうし、中国でもインドで
 も知っていただろうと信ずるに足る理由があります。しかし、その定理
 を最初に証明した、また幾何学的証明という考えを最初に持ったのは、
 ギリシア人であると明らかにいうことができます。

 実際に、命題の論理的連続と考える私たちの幾何学はすべて、二次元平
 面であれ、三次元空間であれ、円と直線に限定されたものであれ、円錐
 曲線や高度な平面曲線を含むものであれ、その起源は唯一ギリシア文明
 の中にあると考えてよいでしょう。

 ギリシアの数学は、あまりに完全なまで幾何学に専念したので、算術も
 ずっと後には代数として知られる学問も、ほとんど全く幾何学的観点か
 ら扱われました。それで、私たちは、ギリシア数学は、幾何学、算術、
 ロジスティック、音楽、そして一種の代数を含んでいるとはいえ、その
 中心的要素は幾何学であったと言うことができるでしょう。

━━[随想]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前回の音楽史で、分離型テトラコードが現代の西洋の音階の基礎になっ
 ているとお話しました。

 そこで、今回、ピュタゴラス音律でのテトラコードの弦の長さの比を考
 えてみることにします。同じ太さの弦をその比率で張れば、簡単にオク
 ターヴ音階が得られるでしょう。

 テトラコードは完全4度ですから、その弦の比率は、3:4になります。
 全音は、8:9の比率ですから、第2弦は 3 x 9/8 = 27/8 = 3.375 で
 す。同じく第3弦は 27/8 x 9/8 = 243/64 = 3.796875 です。

 第4弦と第5弦は全音で繋ぎますので、第5弦は、4 x 9/8 = 9/2 =
 4.5 です。これが第二のテトラコードの一番上の音で、第1弦との比率
 は、2:3となり、完全5度の音程ですね。下のテトラコードの一番下
 の音、つまり第8弦は、9/2 x 4/3 = 6 となって、ちょうど第1弦の二
 倍、つまり1オクターヴ下の音になるわけです。

 第6弦は、9/2 x 9/8 = 81/16 = 5.0625、第7弦は、81/16 x 9/8 =
 729/128 = 5.6953125 になります。これで、全音階のゲノスのドリア旋
 法による1オクターヴ音階ができあがりました。

 音程は、全全半全全全半ですから、普通の階名で読みますと「ミレドシ
 ラソファミ」ということになりますか。同じようにして、「ドレミファ
 ソラシド」となるように弦を張ってみてはいかがでしょう。結構楽しか
 ったりします。

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━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 9月から、Justnetが so-netと統合されましたので、Justnetのサイトに
 アップしてあるホームページの方を so-netに移動しました。2004年3月
 までは、Justnetのホームページも見られるそうですので、しばらくの間、
 両方のサーバにアップするつもりです。

 Justnetは、1996年からですので何となく名残惜しい感じがします。

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 今後ともよろしくお願いします。

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