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 「MUSICA MUNDANA No.18」をお届けします。

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           MUSICA MUNDANA NO.18
             Jul.30.2002
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             ◆ 目次 ◆

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 ◎ 音楽史
    ギリシア--ピュタゴラス
 ◎ 数学史
    ギリシア--算術の始まり
 ◎ Homepage Updated (Jul.30.2002)
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 ◎ 随想
 ◎ あとがき
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━━[音楽史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ギリシア--ピュタゴラス◆  

 伝承によりますと、紀元前6世紀頃、音楽に関する思想に画期的な革新
 がサモスのピュタゴラスの教えによってもたらされます。

 彼はエジプトの神官や恐らくメソポタミアの学問学派から音楽の原理を
 もたらし、共同体を形成し、道徳的向上を図る目的で作られた訓練の一
 部として、これらを教えたものと信じられています。

 また、ピュタゴラス派の人々は、音階は宇宙の構造の要素であるとも考
 えていました。天空は一種の調和(ハーモニー)として描かれ、音の空
 間は一本の弦(モノコード)の助けを借りてこの調和が反映されるよう
 分割されたのです。

 ただ、ピュタゴラス自身は何の文献も残していませんし、そのことを私
 たちが最初に耳にするのは、BC4世紀の著述家からですので、最大限の
 注意を払う必要はあるでしょう。数学的比率と音程の関係を証明するの
 に初めてモノコード(一弦琴)を用いたのは、カタトメ・カノノスとい
 う書物の中で、ユークリッド(エウクレイデス)(BC300年頃)によって
 述べられているものです。

 後の時代には、かなり多くの音楽理論が残されているのですが、多くは
 曖昧で、著者自身が十分理解できていなかったのではないかと疑わせる
 ような間違いや、多くの矛盾した専門用語の使用が見られ、かなり混乱
 しています。

 ギリシア音楽理論の研究を、すべての研究の中でも最も手強く満足のい
 かないものの一つにしているのは、こうしたことに原因の一つがあると
 いいうことです。

 次回には、そのギリシアの初期音楽理論の基礎に少しふれてみます。

━━[数学史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ギリシア--算術の始まり◆

 さて、今回から時代を下って、BC1000年から BC300年頃までの時代を考
 えて見ることにします。

 この時代は、ギリシアとギリシア植民地がその中心となり、ローマを含
 めた地中海世界のほとんどは、ヘレニズム(ギリシア)文明の影響下に
 おかれてしまうということができます。

 それ以外の地、フェニキアは商業に関するもの以外にはほとんど貢献し
 ませんでしたし、エジプトでは黄金期はすでに過ぎ去っていました。メ
 ソポタミアの数学には、それなりの価値はまだ残っていたでしょうが、
 天文学に関するものを除けば、それほど注目をひくものは知られていま
 せん。

 それでは、ギリシアの算術の始まりはどうであったのでしょう。商業算
 術は、ギリシアで知られるようになるずっと以前から様々な近隣諸国で
 知られていました。フェニキアの海岸沿いに、また、そこを横断して東
 洋との交易ルートが通じ、商人たちはバビロニアで刺激を受け、かなり
 優れた商業算術を発展させていました。

 しかし、初期のギリシア人たちは、トゥキュディデスが語っているよう
 に「絶えず民族の侵入が繰り返される」地で、野蛮な好戦的な民族であ
 り、商業を行う傾向はほとんどなかったようです。当然、数学もそんな
 に発達しているわけはありません。

 ギリシア人が算術に興味を示すようになったのは、他の民族と親密な関
 係を持ち始めた時からでした。一般に言われていることとは反対に、ギ
 リシア人の数学は常に広く外部からの影響によっていたのです。数学が
 発達したのは、大陸内部ではなく交易の盛んな沿岸部であったことから
 も推測できるのではないでしょうか。

━━[随想]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ユークリッド(エウクレイデス)といえば「幾何学原論」を思い出しま
 すが、今回の音楽史に出てきましたように、モノコード(一弦琴)を使
 って弦の長さと音程の関係を理論的に証明しているのも、ユークリッド
 の書でありました。

 というわけで、今回は、ユークリッドの著作について少し書いてみます。

 先ずは、「幾何学原論」です。英語では「the Elements」ですが、元の
 ギリシア語の題名は、Στοιχεια(ストイケイア)です。

 「幾何学原論」以外に現存しているユークリッドの著作には、Data,
 On Divisions of Figures, Phaenomena(Φαινομενα=パイノメ
 ナ)と Optics(Οπτικα=オプティカ)があります。一部だけアラビ
 ア語でしか伝わっていない Divisions 以外はすべてオリジナルのギリ
 シア語で伝わっています。

 Dataは「原論」の最初の四書と緊密な関係にあり、本質的には、それを
 補足する性格のものです。On Divisions of Figuresは、アラビア語の
 翻訳でしか残っていませんが、図形を二つ以上の同じ部分あるいは一定
 の比率に分割することに関するものです。

 Phaenomenaは惑星の運行を説明するための天球(球面)幾何学の研究に
 ついての論文です。Opticsは、遠近法に関する現存する最も古いギリシ
 アの論文です。

 音楽に関する論文がこの中に含まれていないことを不思議に思われた方
 はいらっしゃいますか。プロクロスが「音楽原論」とでも言うべき書物
 をユークリッドが書いたとしていて、現存する二つの書、Introduction
 to Harmony(Εισαγωγη Αρμονικη=エイサゴゲ・ハルモ
 ニケ)と Sectio Canonis(Κατατομη Κανονοs=カタトメ
 ・カノノス)がそれだとずっと言われてきたのですが、現在は、前者は
 アリストクセノスの音楽理論に基づいており、彼の弟子のクレオニデス
 (Cleonides)の著作だと考えられています。

 後者(カタトメ・カノノス)は、音程に関するピュタゴラスの理論に基
 づいており、ユークリッドのオリジナルから誰かが抜粋したものではな
 いかと考える人もいるようです。ただ、明確なことは今のところ不明で
 す。

━━[催し物情報]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 初雁来(はつかりきたる)  ジョイントコンサート
 (北海道大学合唱団、京都大学グリークラブ、同志社グリークラブ)
  日時:2002年8月3日(土) 開場15時 開演15時30分
  場所:文化パルク城陽プラムホール(近鉄線寺田駅、JR奈良線城陽駅)

 徳島県立博物館の催し物情報は、以下のサイトをご覧ください。
      http://www.museum.comet.go.jp/

━━[Homepage Updated]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ホームページ update情報

 落書き帖第134号
 音楽史/Oxford/第2部/原(十二世紀)ルネサンスの音楽/
                        フランコ式記譜法
 音楽史/Pelican/第一巻/西洋以外の音楽/アラビア世界/
    東方でのイスラム音楽の勃興とアラビア古典音楽(7世紀-9世紀)
 数学史/Smith/第五章/西方キリスト教/
  暗黒時代・ボエティウス・マイナーな著述家・イシドルス・尊者ベーダ
 語学/ロシア文学/Д.И.フォンヴィージン/
              フォンヴィージンの社会政治評論・晩年
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 語学/ロシア語/初級コース/lesson24

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 重くて仕方のない方は、[SIMPLE版]をご覧ください。

━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 さすがに暑い日が続いておりますが、皆様お変わりありませんか。今年
 も暑い夏になりそうですね。

 時々のぞく日本気象協会のホームページ(HTTP://www.jwa.or.jp/)で

 『熱中症予防情報』の提供を始めました!

 ということですので、関心のある方は是非どうぞご覧ください。

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