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 「MUSICA MUNDANA No.17」をお届けします。

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           MUSICA MUNDANA NO.17
             Jun.30.2002
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             ◆ 目次 ◆

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 ◎ 音楽史                           
    ギリシア--音楽の重要性
 ◎ 数学史
    インド
 ◎ Homepage Updated (Jun.30.2002)
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 ◎ 随想                 
 ◎ あとがき               
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━━[音楽史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ギリシア--音楽の重要性◆  

 ギリシアでは、音楽は他の地域、メソポタミアやエジプトでは見られな
 いほど重要なものでありました。ギリシア人は音楽をムシケー・テクネ
 ー、つまりムーサ神の技芸と呼んでいますが、そのムシケーという言葉
 は、私たちが今日音楽という言葉で表すものよりも意味が広く、詩や踊
 りなども含んでいます。

 ギリシア人の精神にとっては、音楽、詩、踊りといった要素に分かれる
 以前に存在していた総合的なものとして意識され、ごく自然に受け取ら
 れていたようです。

 音楽は体育でも用いられていたことが知られています。体育の競技会は、
 オリンピアード(現在ではオリンピック)として知られていますが、音
 楽も競技会が開かれていたようです。それは祭典の一部と言われ、アル
 ゴスのサカダスが6世紀初めデルフィでアポロン神を祝して開かれたピ
 ュティアの祭典でアウロスの競技で勝利をおさめたことはよく知られて
 いますね。

 また、ギリシア人たちは音楽が道徳や制度を形成したりコントロールし
 たりする上で最も重要な要素であるとさえ考えていました。よく知られ
 ている音楽の倫理的治癒力というのは、伝統的には半ば伝説上の人物、
 フリギアのアウロス奏者、オリュンポス(BC700年頃)とその弟子、クレタ
 人のタレタス(BC665年頃)と結びつけられています。

 この二人は、ピタゴラス学派の教えの中で重要な地位を占めています。
 残念なことに、その伝承がピタゴラス学派によるものかどうかは不明な
 のですが、ピタゴラスが、こうした教えをバビロニアから学んだという
 可能性は十分残されているでしょう。

━━[数学史]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆インド◆

 これまで、メソポタミア、エジプト、中国と四大文明のそれぞれについ
 て、古代数学について書いてきましたが、残る一つインド(インダス)
 文明については、よく分かっていません。

 ハラッパやモヘンジョ・ダロのような遺跡からみても、それなりの数学
 が発達して存在していただろうとの推測は成り立つのですが、メソポタ
 ミアの粘土板やエジプトのパピルスに相当するような文献は見つかって
 いないようです。

 文献学的にいいますと、インドには、焚書で古代の文献の多くが失われ
 たと考えられる中国よりも不確実で、例えば、スワーミ・プレスの「ス
 ーリヤ・シッダーンタ」の初版には、この著作は「およそ 2.165.000年
 前に編集された。」と書いてあるのだそうですが、これを信じる人はま
 ずいないのではないでしょうか。これは、一応4・5世紀頃の著作だと
 考えられています。インドには、信頼すべき文献は、イスラムが侵入し
 た紀元664年以前に書かれたものは何もないということです。

 それ以前の歴史については、二大叙事詩「マハーバーラタ」と「ラーマ
 ヤーナ」、コインやわずかな碑銘から収集できるものしかありません。

 インドの聖なる書「ヴェーダ」は、この時期、同時代の中国やメソポタ
 ミア、エジプトと同様に、何らかの関心が天文学に向けられていたこと
 を示してはいますが、その内容は分からず、他の地域と同じような天文
 学や計算法があったのではないかと推測できるだけです。

   ━━[随想]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 最近どういうわけか、見知らぬ人から質問というかメールを何通か頂く
 ようになったのですが、その中に「ハンス・ザックス」に関するものが
 ありましたので、今回、A Norton Introduction to Music History の
 Allan W.Atlas,"Renaissance Music--Music in Western Europe,1400-
 1600," (New York・London,1998)から、その部分を訳してみることにし
 ます。

 マイスターゲザンク(Meistergesang)

 16世紀のドイツ音楽に感傷的心情的な音楽家がいるとすれば、それは
 ハンス・ザックス(1494-1576:図版17-2)であるだろう。彼は、ヴァーグ
 ナーの「ニュールンベルクのマイスタージンガー」の演奏によって今日
 でも生き続けている。

 職業は靴屋であったが、ザックスはニュールンベルクのマイスタージン
 ガーの中で指導的人物であった。音楽社会と職人のギルドとの間に立っ
 て、マイスタージンガーは、何世紀にも及ぶドイツのモノフォニー(単
 旋律)の歌の伝統の終わりに位置していたが、毎月競技会を開いていた。
 その競技会では、競技者は先に割り当てられてた歌を歌わなければなら
 なかった。歌も(詩を含む)演奏も規則に従わなければならず、それぞ
 れの歌い手はカーテンの陰に隠れていた審査官の一団によって、非常に
 細かいところまで採点された。(ヴァーグナーのオペラのベックメッサ
 ーを思い起こすとよい。)勝利者は、ダヴィデ(マイスタージンガーの
 守護人)と呼ばれる大きなメダルを受け取り、それを次の競技会まで保
 持した。

 ザックスは、およそ 4,300の詩と 13の旋律を書いている。彼の「鳴り
 響く音(Klingende Ton)」は、マイスタージンガーの技法を例証してい
 る。(譜例 27-8)

 すぐに気づくことは、正確なリズムがないことである。一般的に正確な
 音価(音の長さ)を記譜しない世俗のモノフォニー(単旋律歌)--プロ
 ヴァンスのトルバドール、フランスのトルヴェール、そしてドイツのミ
 ンネジンガー--の長い伝統に属するジャンルに相応しいように。歌は、
 恐らく一種の自由に流れる吟唱的朗読で歌われたのだろう。

 ザックスの歌は、マイスタージンガーでは通例のバール形式:a,a,b(a)
 で書かれている。その a の部分は、シュトレン(Stollen)と呼ばれ(シ
 ュトレンが二つ合わさってアウフゲザンク(Aufgesang)を形成する。)b
 の部分がアプゲザンク(Abgesang)であった。最後の a の部分(アプゲザ
 ンクの一部)はあってもなくてもよく、全体にあるいは部分的に歌の最
 初の部分を思い起こすことができた。同様に典型的であるのは、ブルー
 メ(花)と呼ばれる曲の最初の装飾楽句である。テキストに関して言う
 と、ザックスの歌は聖書のサウルとダヴィデの争いの物語を書き換えて
 いる。このように、それは宗教改革の礼拝にマイスタージンガーの技芸
 が置かれた傾向を表している。

 マイスタージンガーの伝統はニュールンベルクから他のドイツの中心地
 へと広まり17世紀になっても続いていたが、ハンス・ザックスとその
 同時代の人々のときに絶頂期を迎えていた。彼らがいなくなるとその創
 造的エネルギーは衰えてしまった。

━━[催し物情報]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 第30回京都大学グリークラブ、東京大学音楽部コールアカデミー
   ジョイントコンサート 2002年7月7日(日) 開場15:30/開演 16:00
  国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟大ホール
              (小田急線参宮橋駅より徒歩5分)

 百観音献灯会 7月29日(日) 午後6時〜9時 ユニセフ募金協力行事
    献灯会法要 ガムラン演奏と舞踊 野外映画界など
  場所  百観音明治寺 西武新宿線「沼袋駅」下車 徒歩4〜5分
      http://www.evam.ne.jp/meijidera/index.html

 徳島県立博物館の催し物情報は、以下のサイトをご覧ください。
      http://www.museum.comet.go.jp/

━━[Homepage Updated]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ホームページ update情報

 落書き帖第133号
 音楽史/Oxford/第2部/原(十二世紀)ルネサンスの音楽/
                        世俗のテノール
 音楽史/Pelican/第一巻/西洋以外の音楽/アラビア世界/
                 先史時代・イスラム以前の世紀
 数学史/Smith/第五章/ペルシア・アラビア/
     バグダードのキリスト教学者及びユダヤの学者・後の著述家
     アラビア語への翻訳者たち・アブ・カミル
     バグダードの黄金時代の終焉
 語学/ロシア文学/Д.И.フォンヴィージン/
             修練の日々・喜劇「旅団長」
 語学/ロシア語/初級コース/lesson23

 MySouda--惣田正明のホームページ
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 重くて仕方のない方は、[SIMPLE版]をご覧ください。

━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 六月は、真夏日が続いていたかと思うと、この一週間は肌寒い日々が続
 いていますね。梅雨寒というのは、こんなにも寒いものだったのかな、
 と短い人生をふり返ったりしていますが、あまり記憶にないですね。

 さて、今日はワールドカップの決勝戦ですね。準決勝を見る限り、ブラ
 ジルは強いなあという印象を受けましたが、さあ、どうでしょう。楽し
 みですね。

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   ■発行人:文責:相原寛彰   ■発行:相原基礎学習所
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