やさしくない英語154

「シーシュポスの苦しみ
  この語句は、生活費が高騰するのになんとか追いついて行こうとするわずかな賃金の労働者の努力を描くのに用いられてきた。それは果てしのない仕事である。コリントの神話上の王シーシュポスは、地上での悪事のために罰せられ、ハーデース(黄泉の国)で巨大な丸石を山の上まで押し上げなくてはならなくなる。しかし、彼は決してその仕事を終えることができない。なぜなら石をゴールの近くまで押し上げるとたちまち手から滑り落ちて山から転げ落ちてしまい、まったく最初から始めなくてはならなくなったから。」

 この話はアルベール・カミュの著作「シーシュポスの神話」でご存じの方もいるかも知れません。かなり哲学的なテーマにもなっていますね。

 さて今回はこれです。

「THE BED OF PROCRUSTES
  Procrustes, "the Stretcher," was a highwayman and innkeeper who had an ingenious ethod of torturing his guests and victims. He insisted that each of them must exactly fit the iron bed in his inn. To accomplish this end, he would stretch a guest if he was too short or cut his legs to size if he too tall. A system - educational or political - in which the individual must fit a single type or pattern and conform arbitrarily is known as a bed of Procrustes, or procrustean.」

 

難読漢字158

「国家に長として財用を務むる者は、必ず小人に自る。彼為善之。小人をして国家を為めしむれば、□(くさかんむり+巛+田)害並び至る。善き者有りと雖も、亦た之を如何ともする無し。此れを国は利を以て利と為さず、義を以て利と為す、と謂うなり。」

国家の長として立ちながら、貨財にのみ努力するものがあれば、きっとそれは、小人がそのように導いてさせているのである。小人を信任して国家の政治を任せるなら、災いと害とが手をたずさえてやってきて、そうなってからあわてて善人君主を登用してみたところで、もはや手のつけようがない。これを「国は利を以て利と為さず、義を以て利と為す」というのだと言っているのですね。

 今回で「大学」は終わりです。続いて「中庸」に進んでもいいのですが、こちらは少し難解な書物ですので、次回からは少し古いものですが、小川環樹・西田太一郎「漢文入門」(岩波全書)を使おうと思っています。

初等数学史139

 12世紀のフランスとイタリアには、何人かの優れた学者がいて、アラビア語の知識と数学の好みは、イスラムやギリシアの文明の様々な古典をラテン世界に紹介しています。

 シチリアもこの頃、ギリシアやアラビアの著作の翻訳が活発でした。シチリアで注目を集めた論文にプトレマイオスの「アルマゲスト」がありました。

 クレモナのゲラルド(Gheraldo of Cremona)(1114-1187年)は、イタリアで続いてスペインで学び、トレドではアラビア語を学びます。彼の関心は、占星術、医学、数学と幅広く、様々な数学や天文学の著作をアラビア語から翻訳しています。その中に、エウクレイデス(ユークリッド)の「幾何学原論」、テオドシウスの「球面幾何学」、メネラオスの著作、プトレマイオスの「アルマゲスト」などが含まれます。

 イギリスの翻訳者には、バースのアデラード(Adelard of Bath)がいます。彼は、トレド、トゥール、ラオン、そして東方で学び、ギリシア、小アジア、エジプトを経由して恐らくアラビアまで旅をし、多くの数学的著作を持ち帰っています。エウクレイデス(ユークリッド)をラテン語に訳した最初の一人ですが、その翻訳はアラビア語からなされたように思えます。

 チェスターのロバートは、アル・フワーリズミーの代数を訳し、コーラン(クルアーン)をラテン語に訳した最初の人物です。

 

 

 

 

  
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