初等数学史106

 さて、今回から、ギリシアを中心とした地中海世界を離れて、その他の地域の数学に目を向けてみましょう。

 中国では、BC3000年からAD500年という時期は、数学活動の盛んな時期の一つでありました。しかし、文献学上、不幸な事件が起こっています。秦の始皇帝による焚書です。数学書も例外ではありませんでした。どれほどのものが生き残ったのか、どれほどのものが記憶によって再現されたものなのか、私たちにはわかりませんが、中国の学者たちは、この点を明らかにしようと本文批評(text criticism)という方法を用いるようになったと考えられます。

 焚書の後、その反動として知的要求が高まり、知的活動が盛んになったということは、想像がつきます。恐らく、焚書のすぐ後に、張蒼(BC250-152年頃)という学識者がいて、初期の作品の断片に基づいて、新しい「九章算術」を書いたものと考えられています。

 漢代は、張騫に代表されるように、西域への進出の盛んな時代でありました。これは、中国とインドや西洋との交流のあったとことを予想させます。この時期、中国が西洋に知られていたことも十分立証されています。こうした交流は、暦の変更や円と関連する幾何学的図形の研究の原因の一つであったことでしょう。

 

難読漢字125

 「湯(トウ)の盤(バン)の銘に曰く、「苟(マコト)に日に新(アラタ)にせば、日日(ヒビ)に新に、又た日に新たなり。」と」
 「康誥に曰く、「新にするの民を作(オコ)す。」と」
 「詩に曰く、「周は旧邦(キュウホウ)なりと雖(イエド)も、其の命惟(コ)れ新なり。」と」
 「是の故に君子は、其の極を用いざる所無し。」

 この章は、「新民」、「民を新にする」を釈しています。「湯之盤」というのは、「湯王の沐浴の盤」、詩というのはもちろん「詩経」のことです。

 ここでは、君子は、自新においても、新民においても至善に止まるように努力しなければならないということですね。

 今回は、島田虔次著「大学・中庸」(朝日新聞社)の「大学 伝第三章」からです。

 「詩云。邦畿千里。惟民所止。」
 「詩云。緡蛮黄鳥。止于丘隅。子曰。於止知其所止。可以人而不如鳥乎。」
 「詩云。穆穆文王。於緝煕敬止。為人君止於仁。為人臣止於敬。為人子止於孝。為人父止於慈。與國人交止於信。」

 

やさしくない英語121

 「その調査が、この最も初期の人間の完全な標本や彼らの生活様式に光を投げかけることになる人工的な遺物を求めてなされる一方で、キャンプ教授は、その大きな手がかりが早い段階で発見されることを希望している。」

 単語としては、specimens=標本、見本、clue=手がかり、糸口、ぐらいでしょう。というわけで、artifactは、「人工的な遺物」とか「工芸品」とかいう意味になります。

 さて、今回の問題です。

 LIMN
  Here, as in his Night Cafe and Hospital, he [Van Gogh] not only limns the actual scene but accuses a society which forces men into such brutality.

 limnの語源は、ラテン語のLUMEN(=light)でありその語根はLUCですが、ここから派生した英語は結構ありますね。いくつか挙げておきましょう。

 luminary=発光体(特に、太陽または月)、照明、luminous=光を発する[浴びた]、輝く、lucid=輝く、明るい、elucidate=はっきりさせる、解明する、pellucid=明晰な、頭が冴えた。

 これぐらいでやめておきましょうか。

 

 

 

 

  
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